^_^
| 表記 | ^_^ |
|---|---|
| 分類 | 感情表現記号(カオモジの亜型) |
| 用途 | 文章上の微笑・好意・軽い肯定 |
| 主要媒体 | 、チャット、メールの短文 |
| 普及時期(推定) | 後半〜前半 |
| 規格の有無 | 非公式だが民間で運用基準が作られたとされる |
は、左右対称の記号配置によって「にこり」とした表情を表すとされる、文章中の感情表現記号である。主にやの短文文化で普及したとされている[1]。
概要[編集]
は、目にあたる記号を「小さな山」として、口にあたる記号を「低い谷」と見立てることで、文章に感情の温度感を付与する表現記号である。とりわけ、強い主張を避けつつ相手の発言を柔らかく受け止めたい場面で用いられることが多いとされる[2]。
起源については、テキスト通信の黎明期における「視認性の工学」研究が背景にあったとする説がある。具体的には、系の端末評価会議で「短点・中点・下線」の組合せが人間の読み取り速度に与える影響が検討され、その代表例がとして広まったとされる[3]。ただし当該会議の議事録は断片的で、研究者の回想記録では符号の由来が一貫していないと指摘されてもいる。
なお、近年では「^_^」を単なる絵文字と見なすより、微妙な「距離感」の合図として読む実務家もいる。たとえば掲示板管理者の間では、の出現頻度がトラブル抑止に相関するという独自分析が共有され、規約運用の参考にされたとされる[4]。
語源と成立(架空の起源史)[編集]
端末評価会議「表情視認性委員会」の功績[編集]
が誕生したとされる物語の中心には、に所在する「表情視認性委員会」がある。委員会は正式名称をといい、当時の通信機器メーカーからの受託調査としてに設置されたとされる[5]。
同室では、利用者が「不機嫌」「中立」「好意」を区別する際、記号の角度と高さの組合せが読解時間を左右することがデータ化された。そこで被験者に提示されたのが、上に開いた記号を「目の山」、下に閉じた記号を「口の谷」として認識させる一連のテストパターンであり、その中で最も誤読が少なかったのがだと記録されている[6]。
ただし議事の一部は「回転数依存の副作用」が原因で再検証され、最終報告書の一節だけが後年になって差し替えられたとされる。差し替え後の版では、起源が「技術」から「文化」へ移されており、読者の間で「最初から顔だったのか?」という混乱が生じたとも指摘されている[7]。
ネーミングのゆらぎ:「キャレット口」「山谷目」[編集]
成立初期、「^」は英語圏の呼称に引きずられて「キャレット」と呼ばれたが、日本側の作業ログでは「山記号」「谷記号」などの表現が併記されていたとされる。これにより、は社内文書では「山谷目(さんこくめ)」と通称され、チャット掲示に転記される際に通称が省略されたことで、結果として記号の見た目だけが残ったという[8]。
また、初期の利用者コミュニティでは「キャレット口(キャレットぐち)」と呼ぶ層と、「山谷目(山と谷)」と呼ぶ層がぶつかった。議論は小さく見えるが、実際には「相手の感情がどれほど強いか」という解釈差に波及し、のちに「^_^は軽い肯定」「-_-は中立」という勝手な対応表が掲示されたとされる[9]。
当時のローカルルールを再現したデータとして、ある管理者ノートでは「^_^の出現は、書き込み当日中の返信率を+6.3%増やす傾向があった」と細かく記されている。ただし対象は投稿総数に限定されており、統計的有意性は「要検討」と注釈されている[10]。
社会的影響と運用の実態[編集]
は、単なる丁寧語の代替ではなく、言葉の「温度調整」手段として機能したとされる。とりわけ、直接的な否定が炎上しやすい場面では、断定を避けた“微笑の逃げ道”として利用された。たとえば、の地域フォーラムでは、初期の規約案に「反論時は^_^を1回以上付与すること」との冗談めいた条項が書き込まれ、最終的には採用されなかったが、代わりに「感情のクッションが必要」との運用方針だけが残ったという逸話がある[11]。
さらに、この記号の広がりは、文章の読みの速度にも影響したとする調査報告がある。通信文の中でを含む投稿は、含まない投稿に比べて「視線の停留時間が短い」傾向が観測され、読み手が内容の前に感情シグナルを先に回収することで、誤解が減った可能性があると議論されたとされる[12]。
一方で、運用が洗練されるほど「意図の透け」が問題視されるようになった。たとえば同じ掲示板でも、管理側が“落ち着き表明”のためにを推奨すると、利用者はそれを「監視の手口」と疑い、逆に使用頻度が低下した時期があったとされる。ある分析記事では、その低下は投稿規模の範囲で観測され、「^_^は善意の合図から、組織の合図へと変質した」と結論づけられている[13]。
批判と論争[編集]
批判の第一は、解釈の多様性である。たとえ同じでも、読み手によって「優しい」「芝居がかった」「軽くバカにしている」などの印象が変わりうるとされる。とくに、文脈が欠落した単体投稿では、意図が決めきれず、結果として誤爆が増える可能性があるとして、使用を控える提案が出された[14]。
第二は、記号の“経済”化である。某チャット運営の内部資料では、ユーザーが感情を表すために絵文字に頼るほど、文章の説明コストが下がり、話題が深まらないという懸念が示されたとされる。資料には「^_^の多用が長文比率を下げた」との数字があるが、資料自体が社内向けで公開はされず、後年に匿名転載されたため信頼性は揺れている[15]。
第三に、誤用の問題がある。たとえば同じキーボード記号でも、タイポでやに化けた場合、別の表情として解釈されることがあり、謝罪が長引く原因になったと語られる。ある掲示板の記録では「誤用→訂正→訂正の訂正」という三段階の揉めが、誤差時間を要したとされる[16]。一方で、この揉めが“文化”として定着し、訂正テンプレの研究が始まったという、皮肉な発展も同時に語られている。
代表的な事例(物語風の検証ログ)[編集]
をめぐる“それっぽいが怪しい”事例として、の某大学掲示板での出来事が挙げられる。掲示板運営は新しい時間割を告知する際、説明文の最後にを添えたところ、問い合わせ件数が前週比になったとされる[17]。ただし同時期にFAQが改訂されており、因果は断定できないとされるが、「やはり表情は効く」という空気だけが先に広がった。
次に、企業の社内チャットでの“儀礼化”がある。ある家電メーカーの人事部では、承認が遅れた際に「遅延の言い訳」ではなくだけを先に送る運用が一時期流行したという。担当者は「言葉で謝ると責任が重く感じるが、^_^なら相手に圧がかからない」と説明したとされる[18]。しかし、受け手側からは「謝罪の主体が消えている」との反発もあり、結局その運用は「短文テンプレの一部」として整理された。
さらに、地域行政の広報でも“実験”があったと語られている。東京都の広報系部署が、宛ての案内文を読みやすくするために、文章末尾の負担感を下げる記号を検討した。案としてが挙がったが、最終的には記号が1文字だけ残り、理由は「住民の解釈が割れるから」との声があったとされる[19]。ただし当該記号がどの文章に残ったかは公表されておらず、ネット上では“見えないまま採用された”というロマンが語られている。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 端末文字感情評価室「表情視認性委員会報告(暫定版)」科学技術庁内報, 1998.
- ^ 黒瀬倫子「記号配置による感情推定モデル—^_^の誤読率を中心に」『情報視覚学研究』第12巻第3号, pp. 41-58, 2001.
- ^ カオモジ工学研究会「テキスト絵の読み取り速度と停留時間」『ヒューマン・チャット学会誌』Vol. 7 No. 2, pp. 101-120, 2004.
- ^ Dr. M. Halloway「Micro-affect Signals in ASCII Messaging」『Journal of Text Interaction』Vol. 19, No. 4, pp. 221-239, 2006.
- ^ 藤堂静馬「掲示板規約における感情シグナル運用史」『ネットワーク文化史叢書』第5巻, pp. 77-96, 2010.
- ^ 園田恵梨「距離感としての絵文字—^_^の運用と逸脱」『社会記号論レビュー』第3巻第1号, pp. 9-27, 2012.
- ^ K. Hartwell「On the Economics of Emoticon Density」『Proceedings of the Informal Systems Conference』第2巻第1号, pp. 13-29, 2015.
- ^ 【要出典】広報設計課「住民向け文面の負担感低減手法に関する試案」『自治体通信デザイン年報』第8号, pp. 55-70, 2017.
- ^ 株式会社ニッポン端末「絵文字推奨ルールのA/B検証ログ(内部資料相当)」『社内統計報告』pp. 1-18, 2003.
外部リンク
- 記号表情実験アーカイブ
- 掲示板語用論データバンク
- ASCII表情研究会
- チャット運用ガイド倉庫
- 感情シグナルの分類辞典