くまさんと石破茂さん
| 作品名 | くまさんと石破茂さん |
|---|---|
| 原題 | Kuma-san and Shigeru Ishiba |
| 画像 | KumaIshibaPoster.jpg |
| 画像サイズ | 280px |
| 画像解説 | 着ぐるみのくまが演説マイクを抱える宣材写真である。 |
| 監督 | 小田切銀次 |
| 脚本 | 逢坂梓馬 |
| 原作 | 架空原作『路地裏のくま通信』 |
| 原案 | 石川皐月(企画協力) |
| 製作 | 製作委員会「ぬいぐるみ与党同盟」 |
| 製作総指揮 | 壇上保人 |
| ナレーター | 福崎ミオリ |
| 出演者 | 柊木レン、青嶋カナ、渡刈正幸 ほか |
| 音楽 | 鷹峰ノボル |
| 主題歌 | 「雨でもふわり」歌: 雨宮ルリ |
| 撮影 | 富士川タカユキ |
| 編集 | 小嶺草太 |
| 制作会社 | スタジオ・ポケット熊 |
| 製作会社 | 東京西部映像振興機構 ほか |
| 配給 | 株式会社東扇パラボラ配給 |
| 公開 | 2021年9月18日 |
| 製作国 | 日本 |
| 言語 | 日本語 |
| 製作費 | 8億3,200万円 |
| 興行収入 | 41億9,600万円 |
| 配給収入 | 24億8,700万円 |
| 上映時間 | 118分 |
| 前作 | — |
| 次作 | くまさんと石破茂さん〜党派を超えて寝る〜 |
『くまさんと石破茂さん』(くまさんといしはらしげるさん)は、[[2021年]]に公開された[[日本]]の[[実写映画|実写]]の[[コメディ映画|コメディ]]映画である。監督は[[小田切銀次]]、主演は[[柊木レン]]とされる。X分。くまの着ぐるみ政治番組が社会の「空気」を変えていくという物語で、娯楽映画として興行的に大ヒットし[1]、[[2023年]]に続編の『くまさんと石破茂さん〜党派を超えて寝る〜』が作られた。
概要[編集]
『くまさんと石破茂さん』は、社会派の顔をした着ぐるみ政治コメディとして宣伝された[[2021年]]公開の[[日本]]の[[実写映画|実写]]作品である。監督の[[小田切銀次]]は「笑いは政策より先に届く」と述べ、物語の中心に“くまの誤読”を据えたとされる[1]。
本作は、地方ローカル番組の再編をめぐって起きるドタバタを軸に、くまの着ぐるみが街頭演説を“全文引用”してしまう異常事態を描く。終盤では、着ぐるみの中で録音された台詞が、実際には別の台本(通称「深夜の再審台本」)を参照していたと判明する構造で、観客の理解を裏切る仕掛けが特徴とされた[2]。
制作にあたっては、[[総務省]]の“番組モラル”に関する架空の指針を資料化し、スタジオ側がそれを「ぬいぐるみ版コンプライアンス」として現場に配布したとも報じられた。もっとも、指針の存在自体は当時から「出典は確認できない」として一部で疑問視もされている[3]。
あらすじ[編集]
主人公の若手アナウンサー[[柊木レン]]は、[[青森県]][[弘前市]]のローカル局で、視聴率が一桁に落ちた看板番組の刷新を命じられる。そこで彼が起用したのが、喋りが遅い“くま”の着ぐるみキャラクターである。くまは台本を読めず、マイクに近づくたびに「前回の謝罪文」を読み上げる癖を持っていた[4]。
一方、街では“石破茂さん”と呼ばれる謎の人物が話題になる。石破茂さんは実在の政治家そのものではない設定とされるが、なぜかテレビ・SNS・街頭ポスターで同じ表情の写真が使い回され、誰も出どころを説明できない。レンは、くまの台詞がポスターの文言と一致することに気づき、原因が「台本のコピー機の世代差」にあるのではと推理する[5]。
終盤、くまは着ぐるみの縫い目に埋め込まれた極薄の磁気テープから、放送当日の“差し替え”情報を読み取っていたことが明かされる。差し替えは[[東扇パラボラ配給]]の倉庫で行われたとされ、レンは走って確かめるが、そこにはすでに封印された同名の台本が9種類、番号で管理されていたという。観客は「なぜ9種類?」という問いを抱えたまま、くまが最後に“寝る”ことで話が円環するオチへ導かれる[6]。
登場人物[編集]
柊木レン(ひいらぎ れん)は、誠実さが空回りする若手アナウンサーである。彼はリハーサルの段階で“くまの台詞が政治的に危ない”と感じるが、なぜか台本チェック担当の[[逢坂梓馬]]脚本の改稿履歴が見つからないため、責任だけが彼に寄ってくる設定とされた。
青嶋カナ(あおしま かな)は、くまの着ぐるみ制作チームの衣装担当である。彼女は縫製にこだわり、「耳の角度は7度が最も共感を呼ぶ」と現場で繰り返したとされるが、作中ではその7度がなぜか“投票率の予言”として解釈される[7]。
渡刈正幸(わたかり まさゆき)は、謎のスポンサー“石破茂さん”の影にいるプロデューサーである。彼は終盤で「引用は裏切らない」とだけ言い、観客には“引用元”が示されないままフェードアウトする。なお、この台詞は宣伝素材でも使用されたため、配給会社の[[東扇パラボラ配給]]が意図的に煽ったのではないかという批判的な見方もある[8]。
石破茂さん(いしはら しげるさん)は、作中で名乗られないまま“同じ顔の写真”だけが増殖する存在として描かれる。公式サイトでは「本人である必要はない」と説明されたが、観客アンケートでは「実在っぽいから怖い」という自由記述が多数を占めたとされる[9]。
キャスト[編集]
主演の[[柊木レン]]は、くまの誤読に巻き込まれながらも番組を守ろうとする役を演じた。彼の演技は“声が出るが字幕が遅れる”と評され、公開当初から早口シーンの演出が話題になった。
青嶋カナを演じた[[青嶋カナ]](役名と同姓同名の設定として報道された)は、衣装の裏側を見せる手持ちカメラ演出で存在感を強めたとされる。渡刈正幸役の[[渡刈正幸]]は、笑わずに頷く表情演技が特徴だったとされ、劇中の“頷き回数”がSNSで数えられた(のちに「合計で1,247回」と公式に近い形で拡散されたが、出典は映画評論の二次投稿だった[10])。
また、ローカル局の局長役として[[黒田鯛朗]]、制作デスク役で[[小津吹雪]]が出演した。とくに小津吹雪の“謝罪文の朗読担当”としての振る舞いは、終盤の伏線回収で効くとして評価された[11]。
スタッフ[編集]
監督の[[小田切銀次]]は、過去に[[弘前市]]でのドキュメンタリー風CMを手がけた経歴があるとされる。彼は本作の脚本の段階で「政治の言葉を、くまに言わせると意味が変わる」と主張したとされる。
脚本は[[逢坂梓馬]]。彼は“引用の倫理”をテーマに掲げつつ、言葉の一致が偶然ではない構造(差し替え台本)を緻密に組んだと報じられた。ただし一部では、脚本の改稿履歴が制作会社の内規により非公開だったため、「どこまでが偶然か分からない」との声もあった[12]。
音楽は[[鷹峰ノボル]]。主題歌「雨でもふわり」は[[雨宮ルリ]]が歌い、サビの一節が劇中の“寝る”シーンのテンポと同期していることが、公開後の再生解析で話題になった。編集の[[小嶺草太]]は、テロップの点滅を“2フレームずらす”方針で作り込んだとされるが、仕様の説明はパンフレットにしかなく、視聴環境によって体感が変わるとして小競り合いも起きた[13]。
製作[編集]
製作委員会は「ぬいぐるみ与党同盟」と名付けられ、[[東京西部映像振興機構]]が実務上の後援に入ったとされた。製作費は8億3,200万円で、内訳は衣装・着ぐるみ稼働試験費が約1億1,450万円、録音スタジオ費が3,870万円、そして“誤読台詞のバリエーション開発”に4,210万円が計上されたとされる[14]。
着ぐるみは、青嶋カナの提案で「呼吸音を政治番組の報道SEに似せる」方式が採用された。現場ではマイクの感度を-18dBに固定し、くまが口を開けるたびに“ニュース速報の擬似効果音”がわずかに混ざるよう調整したとされる[15]。ただし、これが本当にどの程度混ざったのかは公開後も検証資料が出ておらず、要出典に近い状態として記録された。
また、石破茂さんの“同じ顔”問題は、撮影時に同人物を複数回撮り直すのではなく、宣伝用写真を先に作り、そこから逆算して俳優の演技を設計したとされる。こうした制作手法は、のちに映画関係者の間で「観客の記憶を先に撮る」と呼ばれた[16]。
興行[編集]
興行収入は41億9,600万円、配給収入は24億8,700万円と報じられた。公開初週の動員は約92万人で、週末の伸びが鈍いと見られた時期に、なぜか“くまの寝落ち”がSNSで流行し、平日のチケットが持ち直したという[17]。
配給は[[東扇パラボラ配給]]。舞台挨拶は[[東京都]][[港区]]の映像ホールで計18回行われ、最終日には主題歌のサビだけがくまの声として再現された(通常の歌唱とは異なる音程で、観客がざわついたとされる)。なお、観客の平均滞在時間は映画館公式の集計で112分とされ、上映時間118分との差が「トイレではなく考察に使われた」と説明されたが、真偽は定かではない[18]。
配給収入の内訳では、コア層(20代から30代)の比率が約36.4%とされ、単なる若者向けコメディではない“政治言語の再編集”が支持されたとする見方が強かった[19]。
反響[編集]
批評家の間では、本作が“政治を笑うのではなく政治を編集する”試みだと評価された。[[日本映画評論家協会]]の月報では「字幕のズレが、言葉のズレを可視化する」と書かれたとされる[20]。
一方で、石破茂さんの扱いが“特定の実在者を想起させる”として懸念が示された。制作側は「本人の描写ではない」と声明を出したが、声明文が劇中の台詞回しと一致したことから、ファンが「声だけは本人級に揃っている」と皮肉った[21]。
受賞としては、[[第44回日本民衆映像賞]]で“編集の技術”部門を受賞したと報じられた。もっとも、授賞式で披露された“くまの朗読”の原稿が誤って別のイベントの案内文と差し替わったという小事故も記録されており、真面目な賞レースでありながらオチを落とす作品だと評された[22]。
関連商品[編集]
映像ソフト化はBlu-rayと4K UHDの2形態で行われ、特典として「台本のズレ解析ブックレット」が付属した。そこでは、くまの台詞が同一であるはずなのに、回によって“微妙に違う”ことがカラーチャートで示されたとされる[23]。
また、キャラクターグッズとして“耳角度7度”を再現したぬいぐるみが販売された。価格は3,980円で、購入者への登録特典として“寝落ち音声”が配布されたとされる。ただし、音声は視聴アプリが指定されており、非対応端末では無音になるという報告が出たため、初期不具合ではないかという疑いもあった[24]。
さらに、劇中の小道具“差し替え台本9冊セット”が文具として発売された。9冊それぞれに異なるペン先が付いており、「書いた言葉が別の文字ににじむ」という不思議な仕様が売り文句になったが、返品率が高かったことが一部で話題となった[25]。
脚注[編集]
参考文献[編集]
※本文では架空の出典を用いて記述されている。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
脚注
- ^ 小田切銀次『くまが読む言葉—政治コメディの編集設計』東扇出版, 2021.
- ^ 逢坂梓馬『台本は9冊で足りるか』岸波書房, 2021.
- ^ 鷹峰ノボル『ニュースSEと寝息の間隔:音響メソッド』音像社, 2022.
- ^ 壇上保人『ぬいぐるみ与党同盟の実務記録』東京西部映像振興機構, 2021.
- ^ 『第44回日本民衆映像賞 受賞作品評(第2号)』日本民衆映像賞事務局, 2022, pp. 33-47.
- ^ 雨宮ルリ『「雨でもふわり」旋律の裏拍分析』ルリレコード, 2021.
- ^ 黒田鯛朗『地方局の危機管理と笑いの順序』弘前メディア研究所, 2020, pp. 101-119.
- ^ A. Kurotaki, “Misdirected Dialogue as Political Editing,” Vol. 12, No. 3, Journal of Subtext Media, 2022, pp. 77-95.
- ^ S. M. Ishiba (fictional), “Recycled Faces and Audience Memory,” Vol. 9, No. 1, International Review of Film Parody, 2021, pp. 1-14.
- ^ 『くまさんと石破茂さん 公式パンフレット』東扇パラボラ配給, 2021.
外部リンク
- 東扇パラボラ配給(架空公式)
- スタジオ・ポケット熊(架空サイト)
- ぬいぐるみ与党同盟(特設ページ)
- 雨でもふわり(歌唱解析サイト)
- 差し替え台本9冊セット(文具メーカー)