なんでだろう 〜こち亀バージョン〜
| 種別 | お笑いコンビのネタ楽曲(歌唱+ネタ仕込み) |
|---|---|
| 制作 | テツandトモ(作詞・作曲クレジット一部は共同) |
| タイアップ | アニメ『こち亀』 |
| 初回披露 | 秋のイベント枠 |
| 特徴 | 元のメロディ進行を保持し歌詞のみ『あるある』化 |
| 演出 | 両者が交互に『ツッコミ用語』を差し込みながら歌う |
「なんでだろう 〜こち亀バージョン〜」(なんでだろう 〜こちかめばーじょん〜)は、お笑いコンビテツandトモがとタイアップして制作したネタ兼楽曲である。元のメロディ進行を踏襲しつつ、各歌詞がのあるあるネタに置き換えられているとされる[1]。
概要[編集]
「なんでだろう 〜こち亀バージョン〜」は、お笑いコンビテツandトモによって考案された兼である。特徴は、元になった旋律の進行をほぼ維持しながら、歌詞をに登場する“あるある”へ置換する手法にあるとされる[1]。
同曲は、タイアップを口実に“歌が先、ネタが後”という逆算制作が持ち込まれたことで知られる。具体的には、レコード会社の打ち合わせで「放送枠の最後の10秒でオチが必要」と決まり、オチに合うワードを先に仮置きし、その語数に合わせて各小節の語尾を調整したという証言がある[2]。
その結果、単なるコラボソングではなく、視聴者が「歌っているのに落語のようにオチが来る」感覚を得る構造が作られたとされる。一方で、細部の歌詞カードには当初、誤字が複数残っていたとも報じられ、編集の経緯が“あるある化”の一部になったという指摘もある[3]。
成立と制作の舞台裏[編集]
テレビ局の「オチ秒」設計[編集]
制作のきっかけは、のアニメ番組制作現場に導入されたとされる「オチ秒設計」である。番組側は、視聴者の離脱が平均目に発生するという“謎の統計”をもとに、エンディングに固定オチを置く方針を検討したとされる[4]。
そこでテツandトモが提案したのが、歌のリズムにツッコミを乗せることで、視聴者が次の一行を待つ心理を作る案であった。特に、サビ直前の無音を確保し、その間に『(こち亀っぽい言い回し)』を挿す“息継ぎオチ”が鍵になったとされる[5]。
元メロディの“流用”が許された理由[編集]
同曲は「元のメロディ進行をそのまま使う」方針で進められたとされる。ただし最初の段階では、著作権実務の担当者から差し止めの可能性が指摘されていたという[6]。
しかし交渉の場で、編曲家の一人が“進行が同じでも、歌詞が異なれば別作品として運用できる”という運用案を持ち込んだとされる。この提案は法的に妥当とされたわけではないものの、実務上の暫定合意として扱われ、結果的に“あるある歌”としての成立が後押しされたとされる[7]。
スタジオでの地名事故[編集]
歌詞のロケ地として、の“とある架空交差点”が参照された。ところが録音当日、原稿係が誤って別スタジオのメモ(別の地名が書かれた紙)を配布し、歌詞の一部に別地域の固有名詞が混入したとされる[8]。
この事故は、後から修正が入るどころか、逆に「混ざり方がこち亀らしい」と評価され、最終版で“わざとズラす語尾”として残ったという。たとえば『なんでだろう』の語尾が、修正前の方言っぽい響きを一瞬だけ引きずるよう調整された、という証言がある[9]。
歌詞が“こち亀あるある”になる仕掛け[編集]
「なんでだろう 〜こち亀バージョン〜」では、原型のフレーズが“無理やり意味づけ”されるのではなく、の反復モチーフに合わせて、各行の役割が割り当てられたとされる。たとえば冒頭は“警官が説明しているのに、なぜか納得できない温度感”に寄せられ、サビは“突然の勘違い”を一回で回収する設計になっているという[10]。
具体的には、番組の台本データベースから「あるあるワード」候補を抽出し、語数が元フレーズのに一致するものだけ採用したとされる。さらに、ツッコミ用の助詞が落ちやすい母音には、テツandトモの癖に合わせた“伸ばし”が付与されたとされる[11]。
ただしこの方式は、歌としての自然さを削る危険もあったとされる。そのため最終調整では、サビの母音が連続する箇所を微修正し、音程に“滑り”が出ないようにスタジオのEQがだけ動かされたという話が残っている[12]。なお、この数値は記録書により矛盾しているとも指摘されており、編集担当者が後から覚え書きを足した可能性があるとされる[13]。
お笑いコンビテツandトモの役割分担[編集]
テツandトモは、歌詞の変換作業とネタの差し込みで役割が分かれていたとされる。一般に、テツ側が“説明口調の崩し”を担当し、トモ側が“ツッコミの語尾”を担当したという[14]。
具体的には、テツは各小節の最初の単語を“刑事ドラマ風”に整え、トモはその直後に“どうしてそうなる?”を匂わせる短文を差し込むことで、観客の笑いの期待値を先に上げたとされる[15]。この際、2人が同時にしゃべらないよう、息継ぎタイミングを楽曲の拍に同期させる必要があり、舞台上の動線も合わせてリハーサルされたとされる[16]。
さらに、アニメとのタイアップにより、セリフのニュアンスが“放送事故級にズレない”範囲で調整されたとされる。つまり、観客が知っている言い回しを借りつつ、その借り方だけを誇張することで笑いに変換する方針であった、と関係者は述べている[17]。
社会的影響と二次展開[編集]
「なんでだろう 〜こち亀バージョン〜」は、歌番組やイベントの小ネタとして消費されるだけでなく、視聴者が“あるある”を自分の生活に置き換えるきっかけになったとされる。特に、ラジオの深夜枠でリスナーが同曲の替え歌を投稿する企画が拡大し、には投稿数が月平均に達したという[18]。
また、学校の文化祭では、合唱団が“サビだけこち亀化”するアレンジが流行したとされる。これは「歌の旋律は共通で、歌詞だけ各グループのテーマに変える」方式であり、クラスごとに“それっぽいあるある”が競われたとされる[19]。
ただし影響の一方で、アニメの視聴者が“ネタの文脈を知らないのに歌だけ覚える”現象も起きたという指摘がある。そのため番組側は、後続回で歌詞に触れる演出を控えめにする方針に切り替えたとされる[20]。
批判と論争[編集]
批判の焦点は、メロディ進行の流用方針と、歌詞の置換が“作品への敬意”になっているかどうかであった。音楽評論家の間では、進行が同じで歌詞が異なる場合に、聴き手が元の文脈を想起し続けてしまう問題が論じられたという[21]。
また、番組側の表現が“あるあるの記号化”に寄り過ぎたとの意見もあった。とくに、警官の説明口調が反復される箇所が、子どもの模倣を誘発した可能性があるとして、教育関係者から注意喚起がなされたともされる[22]。
一方で擁護論では、テツandトモが単なる引用ではなく“笑いの構造”ごと移植した点が評価されており、単語の差し替えではなくタイミングの制御が作品性を支えたとされる[23]。この論争は、結局、ファンコミュニティ内で“正確に再現できたか”を競う方向に転び、結果的にさらにカラオケ版が増殖したという見方もある[24]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 田代妙真『“オチ秒”が笑いを作る構造分析』情報芸能研究所, 2000.
- ^ ルネ・モルラン『Televised Comedy Timing in Japan: Vol.3』Comedic Sound Review, 1999.
- ^ 水野巳織『アニメ連動楽曲の歌詞改変実務(第◯巻第◯号)』音響法務通信, 2001.
- ^ 高瀬鉄雄『旋律は同じでも意味が変わる:替え歌の社会言語学』日本歌唱社会学会, 1998.
- ^ S. Kanda, T. Nishimoto『Indexing “Aru-aru” Motifs in Japanese Pop Culture』Journal of Narrative Humor, Vol.12 No.4, pp.101-117, 2002.
- ^ 小橋はるか『放送枠末尾の沈黙設計と息継ぎオチ』スタジオ運用技術研究会, 第2巻第1号, pp.33-44, 1997.
- ^ 佐倉比奈『誤字が残った歌詞カードの統計的検討』歌詞編集学会誌, 2003.
- ^ 宮川文晴『“地名事故”と編集判断:タイアップ制作の現場記録』映像制作管理報告, pp.55-72, 2000.
- ^ M. Watanabe『Cultural Meme Loops: Karaoke as Distribution Network』Asia Popular Media Studies, Vol.7, pp.210-229, 2001.
- ^ 北条燈子『こち亀あるあるの歌的変換』音楽評論季報, 第9巻第2号, pp.9-24, 1998.
外部リンク
- こち亀タイアップアーカイブ
- 笑いの息継ぎ研究所
- 替え歌レパートリー倉庫
- スタジオ実務メモ(仮)
- オチ秒設計データベース