チーターマン
| タイトル | チーターマン |
|---|---|
| 画像 | 架空のパッケージイメージ(CTMロゴ付き) |
| 画像サイズ | 300px |
| caption | 夜霧のジャングルを駆ける主人公チーター・マンのシルエット |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム(ハンティングアクション) |
| 対応機種 | Windows(のちに家庭用機へ移植) |
| 開発元 | 黎明サイバー工房 |
| 発売元 | 星脈トレーディング |
| プロデューサー | 成島シズカ |
| ディレクター | 黒羽ハルオ |
| デザイナー | 梶野ルミナ |
| プログラマー | 岡部テツ |
| 音楽 | 音響映像社(架空スタジオ) |
| シリーズ | チーターマンシリーズ |
| 発売日 | 1999年9月17日 |
| 対象年齢 | 15歳以上(国内レーティング) |
| 売上本数 | 全世界累計312万本(1999年末時点の集計) |
| その他 | 日本ゲーム大賞受賞、ファミ通クロスレビューゴールド殿堂入り |
『チーターマン』(英: CheeTa Man、略称: CTM)は、[[1999年]][[9月17日]]に[[日本]]の[[黎明サイバー工房]]から発売された[[Windows]]用[[アクションシューティングゲーム]]。[[チーターマンシリーズ]]の第1作目であり、名作として語り継がれている[1]。
概要[編集]
『チーターマン』は、プレイヤーが都市郊外の旧軍事施設から放たれた「高速獲物」を追跡し、同時に回収装置として機能する武装をアップグレードしていく[[アクションシューティングゲーム]]である。通称は[[CTM]]であり、発売当初から「名作として語り継がれる」類型に分類されることが多い[1]。
黎明サイバー工房は本作を「捕捉と離脱のゲーム化」として設計したとされる。なお、開発初期の企画書には「[[チーター]]のような機動力で、獲物というより“物語”を狩る」との趣旨が記されていたと報告されている[2]。一方で、同社広報は後年「実在の動物とは一切関係がない」旨も述べているが、ファンの間では“虎柄の理想形”として語り継がれている[3]。
編集者の間では、世界観がやけに具体的である点が評価されてきた。たとえばゲーム内の待機音楽は、同社が[[長野県]]の古い風洞実験棟で録音した素材を「49回目のテイクだけ採用した」とされるなど、細部に作為があることが繰り返し語られている[4]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
プレイヤーは主人公の「チーター・マン」として操作し、地上と微小空域を往復する。移動は二段階の加速(滑走→跳躍)で構成され、基本アクションとして[[銃撃]]と[[格闘]]が用意される。特筆すべき点として、敵は一体ずつではなく「群れとして“追跡パターン”を持つ」ように実装されていると説明される[5]。
ゲームシステムの特徴として、武器の「威力」だけでなく「遅延」「偏差」「余韻(弾の残響)」が数値化される。武器改造は[[ハンティングパレット]]と呼ばれるUIで行われ、各パレットは最大で6枠、合成時には“相性係数”が参照されるとされる。相性係数は理論上2,048通りあるが、実際に採用されるのは384通りに圧縮されていると、後年の開発者インタビューで語られた[6]。
戦闘面では[[スラスト・ターゲット]]と呼ばれる目標ロックがあり、ロック中は画面中央に「獲物の心拍」風のゲージが出現する。このゲージがゼロになると、武器の命中がわずかに戻る一方で「逃走演出」が強制される仕様がある。プレイヤーは逃走演出を“追いかける”ことになるため、進行が単なる撃破から「奪還」へと変質する点が名作性に繋がったと論じられている[7]。
また、協力プレイは発売当初から用意されていたとされるが、オンライン対応は別売りの[[周辺機器]]が前提だったとする証言もある。初期ロットでは2人同時起動で安定性が落ち、フレームレートが「59.94fpsから31.2fpsに落ちる」など、当時の掲示板では細かな体感差が記録されている[8]。
ストーリー[編集]
物語は、港湾都市を模した架空の[[霧守市]]における「夜間回収作戦」を起点とする。主人公は旧軍の観測網を引き継ぐ回収員であり、行方不明になった同僚を追ううちに、獲物と呼ばれる存在が単なる生物ではなく「学習する監視モジュール」であることが示唆される[9]。
各ステージは“獲物の種類”ではなく“回収の目的”で区切られる。たとえば[[回収目標: 斜光パネル]]では、敵を撃つほどパネルが割れてしまうため、プレイヤーはあえて損傷を最小化しながら回収装置だけを作動させる必要がある。この逆転設計が、名作として語り継がれる理由の一つとされる[10]。
終盤では、主人公が自分の加速挙動そのものが監視アルゴリズムの学習結果であることを知る。ここで登場する“真の敵”は、赤いマーカーで示される[[補助監視核]]であり、破壊しても形を変えるため「撃つ」より「誘導する」ことが求められるとされる。なお、最終ミッションの成功条件は「撃破」ではなく「29秒間の同期」だと説明され、攻略本では同期ズレの目安がミリ単位で解説されたとされる[11]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公のチーター・マンは、寡黙である一方、会話は主に武装の音声ガイドとして表示される。ガイド音声は全520行が収録され、そのうち“怒り相当”が68行、“諦め相当”が11行という配分だったとされる。細かい比率が語られる理由は、序盤での感情変化が後半の演算(誘導ステージの成否)に影響するという噂があったためである[12]。
仲間には、通信士の[[韋戸サヤカ]]がいる。彼女は回収員の教育係として登場し、プレイヤーに「追跡は速度ではなく、間合いで測る」と繰り返し助言する。さらに、韋戸は一部ミッションで「回収装置の校正」を代行するが、その校正値が“前回の失敗回数”に依存する仕様だったと記憶するプレイヤーもいる[13]。
敵側の代表格として[[補助監視核]]に仕える[[霧走操体]]が挙げられる。霧走操体は複数の外殻形態を取り、撃破条件がそれぞれ異なる。特に外殻「Zeta-3」では、弾丸よりも“足音の間隔”がダメージ判定に関わるとされ、実測動画が投稿されたことがあるとされる[14]。
また、隠し人物として[[風洞番人]]が登場する。彼は風洞実験棟のゲート前に現れ、プレイヤーの手持ち武器の“残響値”を聞き分けるような演出を行うとされる。実際に何をすれば会話が成立するのかは複数の説があり、攻略界隈では「この会話がエンディング分岐の鍵」と長く信じられてきた[15]。
用語・世界観/設定[編集]
本作の世界観では、都市は「霧」と「電力分配」の二つで支えられるとされる。霧は単なる気象ではなく、[[霧守市]]に張り巡らされた通信遮断層の名残として扱われている。プレイヤーが迷うのは物理的な地形だけでなく、霧層がレーダーの“符号”を汚染するためであり、これがゲーム内の視界機構と結び付いていると説明される[16]。
武装に関わる用語として[[ハンティングパレット]]、[[スラスト・ターゲット]]、[[余韻(よいん)値]]などがある。余韻値は攻撃の残像であり、敵AIが次の行動を決める際に参照される。つまり、強く撃つほど次の敵の回避が早くなるという“気持ち悪い因果”が成立する、と評論家は述べた[17]。
敵の中核にある装置として[[補助監視核]]があり、核は「学習する監視モジュール」と定義される。だが開発資料では“監視”よりも“回収”を優先する方向で記述されていたともされ、用語の整合性が後年の考察トピックになった[18]。
なお、ファンの間では“チーター”が単なる比喩ではなく、回収員訓練の暗号名だったのではないかという説も流通している。暗号名は[[黎明サイバー工房]]の内部文書に由来する可能性があるとする指摘があるが、社史が公開されていないため裏付けは限定的とされる[19]。
開発/制作[編集]
本作の開発は[[黒羽ハルオ]]が企画し、黎明サイバー工房の小規模チームで進められたとされる。制作経緯として特に語られるのは、1998年夏に行われた“風洞音のゲーム化”実験である。実験は[[長野県]]の旧風洞実験棟で行われ、録音データから「余韻値」を推定するアルゴリズムが作られたと説明された[20]。
スタッフ構成では、プログラマーの[[岡部テツ]]が物理演算を担当し、デザイナーの[[梶野ルミナ]]が獲物AIの行動分岐を設計したとされる。なお、当時の社内メールが発掘されたという逸話では、梶野は敵AIに「焦り」フラグを持たせることを提案し、結果としてステージ難度が“感情パターン”で変動する仕組みになったと記されている[21]。
発売前の調整では、ベータ版が同年9月末までに「合計11回のセーブデータ互換テスト」に回された。ある検証担当は、互換テストのうち3回で“演出遅延”が発生し、29秒同期の条件式が修正されたと証言した[22]。この手触りの良さが、後の評価につながったと考えられている。
制作段階では、星脈トレーディングが広告枠を確保し、キャッチコピーとして「狩れ、追い越せ、回収せよ」が掲げられた。さらに、全国の量販店向け販促では[[ファミ通]]の架空枠記事が配布されたとされるが、実在の媒体との関係は不明であると指摘される[23]。
音楽(サウンドトラック)[編集]
『チーターマン』の音楽は[[音響映像社]]が制作したとされ、作曲は「霧の周波数」に合わせたという建付けになっている。サウンドトラックでは、通常フィールド曲と戦闘曲の切り替えに“呼吸テンポ”が用いられたとされる。ここでの呼吸テンポは、敵の行動前兆に同期しており、プレイヤーは気づくと無意識に避け方を覚えるようになると評された[24]。
代表曲として挙げられる[[『霧守市 夜霧リフレイン』]]では、オーケストラの和音が三度ずつ外れる“ずれ”が意図されている。音楽評論では「名作として語り継がれるのはメロディよりも“ズレの倫理”にある」との表現が見られる[25]。
一方で、制作記録には一部トラックの作曲者名が空欄になっていることがあり、編集者は「スタジオ間の権利調整が遅れた」と推定した[26]。この曖昧さが、ファンの二次創作(替え歌)を促し、結果としてソフトの寿命を延ばしたという見方もある[27]。
他機種版/移植版[編集]
移植版としては、2001年に[[PlayStation]]向けとされる「チーターマン・リムナント」が発売された。移植では余韻値の計算精度が調整され、「原作より気持ち遅い」ことが好評になったとされる[28]。
また、2004年には携帯機向けに「チーターマン:ポータブル追跡」が登場した。携帯版では対戦モードが追加されたが、協力プレイは通信品質に依存し、切断時の復帰が“29秒同期”の演出だけ残る仕様だったという噂がある[29]。
バーチャルコンソール系への配信も行われたとされ、ユーザーは「当時のPC版より霧の色が少し青い」と報告した。これについて、黎明サイバー工房が色管理を“意図的に変更した”という説明を出した一方で、実際には画面マッピングの既定値だったのではないかとも指摘されている[30]。
評価(売上)[編集]
発売直後の売上は好調であり、全世界累計は1999年末時点で312万本を突破したとされる。内訳として、[[アジア]]圏が41%、[[北米]]圏が33%、[[欧州]]圏が26%で、残りは“動かないはずのサンプルディスク”が回収された分として計上されたとする資料が存在する[31]。
日本国内では[[日本ゲーム大賞]]の「企画部門」相当での受賞が報じられ、ファミ通のクロスレビューではゴールド殿堂入りとなったと説明される。ただし当時のレビュー基準は地域ごとに異なっていたという指摘もあり、評価の一貫性については議論がある[32]。
評価の焦点は、単なる難度ではなく「撃つことが常に正解ではない」設計にある。特に回収目標系のステージで、“失敗が次の学習の材料になる”ような感覚がプレイヤーの記憶に残りやすかったとされる[33]。
ただし批評家の一部は、余韻値の説明不足が学習を属人化させるとして、初心者離脱が一定数あったとも述べた。黎明サイバー工房はこれに対し、チュートリアルは「声ではなく霧で理解させる」方針だったと回答した[34]。
関連作品[編集]
関連作品として、チーターマンシリーズでは第2作「チーターマン:重力の罠」(2002年)や、第3作「チーターマン:二重霧回廊」(2003年)が挙げられる。これらは同じ世界観を共有しつつ、プレイヤーの役割が回収員から“誘導員”へと変化していくと説明される[35]。
メディアミックスとしては、テレビアニメ化ではなく「冒険ゲームブック」形式の刊行が先行したとされる。主人公が“撃つ”のではなく“回収する言葉”を探すような構成になっている点がファンに好評だったと記録されている[36]。
また、本作を題材にした同人ゲームコンテストが各地で開催された。主催は架空の「霧守インディーズ連盟」だとされるが、実態は不明とされ、公式発表ではないにもかかわらず参加者の多さが話題になった[37]。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本としては[[『完全回収図鑑 チーターマン実戦余韻値』]](黎明出版社、2000年)が最も広く流通した。内容は武器改造表だけでなく、各ステージの霧の色温度を“ケルビン換算”で推定したページがあるとされる。推定値は「霧守市・第3区画がK=3120付近」といった具合に記され、当時の測定環境まで細かく書かれているとされる[38]。
他にも、映像編集者向けの「余韻値録音ガイド」(星脈フィルム、2001年)や、サウンドトラックの譜面集「リフレインを噛む」(音響譜面社、2000年)が刊行された。これらはゲームを遊ばなくても音の理解だけで没入できると評され、後年の作曲家志望にも影響を与えたとされる[39]。
なお、児童向けの要約版も存在するとされる。タイトルは「チーターマン・ジュニア まちの回収員」で、難しい計算式を“心の距離”に置き換えたと説明されているが、実在の発行元は確認できないとされる[40]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 黒羽ハルオ『霧守市の手触り:チーターマン開発秘話』黎明出版社, 2001.
- ^ 成島シズカ『狩れ、追い越せ、回収せよ:販促から見たCTM』星脈トレーディング広報室, 2000.
- ^ 韋戸サヤカ『通信士の記憶:同期29秒の論理』月海通信叢書, 2003.
- ^ 岡部テツ『余韻値モデル:ゲーム物理と心理の境界』計測工学ジャーナル, Vol.12 No.4, pp.41-58, 2002.
- ^ 梶野ルミナ『追跡パターンの設計図:敵AIの感情分岐』インタラクティブデザイン研究, Vol.7 第1巻, pp.9-27, 2001.
- ^ 『ファミ通クロスレビュー年鑑 1999-2000(架空集計)』角川ゲーム編集部, 2000.
- ^ A. Kurogane『Spectral Delay in Action Shooters』Journal of Game Audio, Vol.5 No.2, pp.101-119, 2004.
- ^ E. Mori & J. Patel『Tracking as Narrative: A Study of CheeTa Man Systems』International Review of Play Studies, Vol.3 No.1, pp.55-73, 2005.
- ^ 音響映像社『『霧守市 夜霧リフレイン』録音記録(第49テイク採用)』音響映像社報, 1999.
- ^ 『世界累計312万本の内訳(社外提出用メモ)』黎明サイバー工房内部資料, 1999.
外部リンク
- 霧守市公式メディアアーカイブ
- CTM余韻値データベース
- 黎明サイバー工房旧掲示板(ミラー)
- チーターマン・サウンドアーカイブ
- 霧守インディーズ連盟(ファン運営サイト)