幻想聖戦
| タイトル | 幻想聖戦 |
|---|---|
| 画像 | 幻想聖戦_ジャケットイメージ.png |
| 画像サイズ | 280px |
| caption | 黙示の星図(もくよのせいず)を模したジャケット。表紙には“第零聖節の攻略は契約者のみ”と刻まれる。 |
| ジャンル | ロールプレイングゲーム / タクティカル戦闘RPG |
| 対応機種 | PLAY-ARC、PLAY-ARC Pro、携帯端末MELO-Slate |
| 開発元 | 聖鏡デザイン工房 |
| 発売元 | 星間映像販売(Hoshikan Video Sales) |
| プロデューサー | 小貫 凰音(おぬき おうね) |
| ディレクター | 澄井 亜理沙(すみい ありさ) |
| デザイナー | 狩野 弥都(かの みつ) |
| プログラマー | 朝霧 朔一(あさぎり さくいち) |
| 音楽 | 白緋 響介(しらひ きょうすけ) |
| シリーズ | 誓約回廊 |
| 発売日 | 2021年9月18日 |
| 対象年齢 | CERO相当:C(暴力・緊迫場面) |
| 売上本数 | 全世界累計 148万本(発売後18か月) |
| その他 | 協力プレイ対応 / オフライン救済セーブ機構搭載 |
『幻想聖戦』(げんそうせいせん、英: Gensō Seisen、略称: GS)は、[[2021年]][[9月18日]]に[[日本]]の[[聖鏡デザイン工房]]から発売された[[PLAY-ARC]]用[[コンピュータRPG]]。[[誓約回廊]]の第2作目である[1]。
概要/概説[編集]
『幻想聖戦』は、プレイヤーが“契約者(けいやくしゃ)”として操作し、空中回廊都市を舞台に、敵対勢力と“聖節(せいせつ)”と呼ばれる時限条件を奪い合うコンピュータRPGである[1]。
本作の特徴として、戦闘ごとに「祈りの残響(ざんきょう)」が段階的に変化し、同じ敵でも勝ち方が微妙に別ルートへ分岐する点が挙げられる。発売前からキャッチコピーは「“同じ勝利は二度と起きない”」とされ、業界紙の特集では“戦闘が神話のように書き換わるRPG”と評された[2]。
また、物語上の事件名としても『幻想聖戦』が登場し、ゲーム内での“聖戦”が歴史改変の比喩として扱われる。なお、編集部の調査では、当初の企画書で本作は“幻想→編集→聖戦”の三段階手順を踏む設計思想として説明されていたとされるが、当該資料は一部が紛失していると報じられている[3]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
戦闘は、通常ターン式に見せつつ、実際には「残響ゲージ」と「誓約コマンド」を中心に構成される。プレイヤーはキャラクターごとに異なる“祈りの癖”を持ち、特定の行動を連続すると、敵の防御ではなく“世界の判定”へ直接干渉する仕組みであると説明される[4]。
ゲームシステムの特徴として、“聖節”の獲得には時間の概念が導入されており、戦闘開始からの経過秒数が一定範囲に収まると、通常では解錠されない宝箱や回復装置が出現するとされる。例えば、公式ガイドにおいては「第七聖節の開扉は残響ゲージが31〜36%のときが最良」と明記されているが、コミュニティではこの数値が開発段階のテスト値の写しではないかと疑う声もある[5]。
アイテム面では、装備は“聖遺(せいい)”と“偽典(ぎてん)”に分類される。聖遺は性能が固定される一方、偽典は装備中に短い選択肢イベントが連続発生し、結果に応じて効果が変化する。プレイヤーは結果を“予測”することで有利を取りにいくが、裏目に出た場合は能力が1.07倍から0.93倍へ反転するなど、微細な数値調整が体感として効くよう設計されたとされる[6]。
対戦モードとしては、協力プレイの派生である「誓約踊り(せいやくおどり)」が搭載される。二人で行動タイミングを揃えると“共同祈願”が成立し、敵AIの優先度が入れ替わる仕組みで、オンライン対応ではマッチング失敗時に対戦相手をAIが補完する“フェア補完”機構が話題になった[7]。
ストーリー[編集]
本作を舞台としているのは、空中回廊都市と、その下層に沈む“忘却区画”である。主人公は名もなき契約者として呼び出され、第一の儀式で「誓約回廊を通り、最古の祈りを返せ」と告げられる[8]。
物語は章立てではなく“聖節番号”で進行する設計となっている。各聖節では、ある勢力が勝利条件を“神託の文章”として提出し、プレイヤーはその文章を破綻させることで局面を奪う。ここでの勝利は単なる撃破ではなく、勝利文(しょうりぶん)の再解釈により世界の確率分布が変わることで成立するとされる[9]。
終盤では、最大の敵としてが“聖戦”を終わらせないための編集を続けていることが明かされる。彼らは「終戦は物語の停滞である」と主張し、主人公側の“改変”を逆に封じる装置として、都市の基盤に刻まれた“第零聖節”の鍵を奪取する計画を進めるとされる[10]。
ただし、本作は複数エンディングを採用しており、同じ聖節を達成しても「祈りの残響の履歴」が一定の閾値を越えると、戦闘結果が“成功”ではなく“記録”として別扱いになる。これにより、プレイヤーが自分の勝ち方を忘れない限り、物語が再び書き換わるという趣向が採られたと説明される[11]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公(契約者)は無名のまま進行し、名前はプレイヤーの入力に依存する。初期の会話文では一貫して敬称が用いられるため、プレイヤーは“誰かの代役”として物語に組み込まれていく設計になっているとされる[12]。
仲間としては、情報収集を担うの技術者である“灰縫 リュカ”が登場する。灰縫 リュカは戦闘では支援射撃ではなく、敵の“判定文”を乱す符号転送を担う。作中では彼女の符号が「三文字の呪文」として説明され、プレイヤーが装備の偽典を選ぶ際のヒントにも直結する[13]。
敵対勢力側には、黒檻教団の“文典管理者”としてが出る。ヴェイルは聖戦を宗教としてではなく“編集業”として捉え、勝利条件を文章で提出するたびに市場(ゲーム内経済)を操作しようとする。なお、彼の演説に登場する数式「k= (祈り残響)^2 / 7」が、後にファン解析で“実装上の調整式に酷似している”と指摘された[14]。
終盤の鍵となるのは、忘却区画に潜む“返還係(へんかんがかり)”のである。彼女は敵でも味方でもない立場として出現し、条件を満たすたびにどちら側にも接続可能とされるが、ゲーム内では「接続はあなたの選択ではなく、あなたが見たものに従う」と不穏に描写される[15]。
用語・世界観/設定[編集]
世界観における核心概念は“聖節”である。聖節とは、戦闘や儀式を行う際の“物語上の締切条件”であり、達成・未達成が物語の判定に直結するとされる。公式解説では「聖節は時間というより編集である」と述べられるが、開発者インタビューではこの一文が誰の発言か不明であるとも記録されている[16]。
次に“祈りの残響”がある。残響は、過去の選択が次の行動判定へ影響するパラメータであり、会話選択の回数や被弾回数が間接的に蓄積される。内部仕様では「最大値100、ただし有効範囲は86まで」とされ、上限近くまで上げたプレイヤーが“達成感の割に強くならない”と感じたことがバランス議論の火種となった[17]。
また、“聖遺”と“偽典”は装備のカテゴリであり、聖遺は神話的な再現性、偽典は物語的な可変性を象徴すると説明される。ファンの間では、偽典が増えるほどロード時間が延びるため“演算量が増えることで物語が重くなる”という見立ても広まった[18]。
さらに、都市の構造は、上層が“公開回廊”、下層が“非公開編集区画”とされる。観測装置が壊れるたびに、地図が消えるように見えるが、実際には“地図情報が編集される”という表現で再実装されているとされる。これがプレイヤーに心理的負荷を与えたとして、評価と批判が同時に発生した[19]。
開発/制作[編集]
開発は[[聖鏡デザイン工房]]が担当し、制作背景には“聖戦”という言葉が持つ熱量をゲームの実装へ落とし込む挑戦があったとされる。プロデューサーの小貫 凰音は、企画会議のメモとして「勝利を結果ではなく文章としたい」と語ったと記録されるが、当時の会議録は回覧板の形式で残っており、正式な議事録ではない[20]。
制作経緯としては、初期試作では残響ゲージが単純な増減にとどまっていた。しかし、βテスト段階で「同じ戦いが続くと飽きる」という指摘が相次ぎ、行動履歴を“編集”として扱う方向へ転換されたとされる。なお、社内テストでは残響ゲージの最適値が64〜71に収束したと報告されており、そこから派生して最終調整の一部が“テスト値の転用”だった可能性が議論された[21]。
スタッフ面では、ディレクターの澄井 亜理沙が戦闘システムと演出を統合した。デザイナーの狩野 弥都は、都市の見取り図を“ページの折り目”として作図し、レベルデザインを紙の編集感覚に寄せたと説明される[22]。
音楽の白緋 響介は、戦闘曲に歌詞を入れない代わりに、音素が聖節番号に対応するよう設計したとされる。ファン解析では、特定のメロディ区間が「第3聖節では小節長が1.5倍、ただし実測は1.49倍」というように揺れていると主張されており、ここが“やけに細かいこだわり”として語り継がれた[23]。
音楽(サウンドトラック)[編集]
サウンドトラックは『余白律動集(よはくりつどうしゅう)』として発売され、全42トラックで構成される。曲ごとに“残響向け”と“文章向け”の二系統があり、戦闘で勝利しても文章が変化しない場合は残響系統の強度が抑えられるとされる[24]。
また、エンディング曲「白星の誓句(しらぼしのせいく)」では、特定の周波数帯がプレイヤーの行動回数に応じて変調される。公式は“可聴域の範囲でわずかに違う”とするのみで、具体的な数値は伏せられたが、攻略掲示板ではスペクトログラムが共有され「この差は約0.8%」と推定された[25]。
なお、初回生産分の特典として、都市の環境音を収録した“非公開編集音声”が同梱された。ファンの間で「夜間だけ聞こえる」と話題になったが、後に録音方式の問題で風切り音が目立つ環境依存だったと説明されている[26]。
評価(売上)[編集]
発売後の売上は好調で、初週で国内推計32.6万本、発売後3か月で世界累計84.1万本を突破したとされる[27]。特に、戦闘の分岐感が評価され、ファミ通クロスレビューではゴールド殿堂入りソフトとして紹介された[28]。
一方で、評価は割れた。理由として、聖節条件の理解が難しく、初心者が“攻略を間違えた”のではなく“編集に失敗した”と感じる演出が、学習コストを押し上げたと指摘された。掲示板では「勝ち筋が文章としてしか説明されないのがつらい」という声が複数投稿され、開発側は後日アップデートで“聖節解説のUI”を追加した[29]。
また、オフライン救済セーブ機構については利便性が高い一方、協力プレイでだけ“残響の履歴”が厳密に扱われるため、ソロとマルチで印象が変わる点が批判の対象となった。とはいえ、最終的な全世界累計は148万本に到達し、同シリーズの第1作よりも伸びたと報告されている[30]。
関連作品[編集]
本作は“誓約回廊”シリーズの第2作目であり、前作にあたる『誓約回廊:始点写経』との関連が随所に見られる。前作で集めたアイテムが第3聖節において“偽典の素材”として転用される演出があるとされ、シリーズファンの回遊性が高かったとされる[31]。
またメディアミックスとして、テレビアニメ化に際し『幻想聖戦 -残響編-』が制作された。アニメではゲームの戦闘を再現するのではなく、文章の揺れを絵コンテの編集で表現する方針が取られたとされるが、原作ファンからは“勝利の定義が違う”という不満も出た[32]。
さらに、ライトノベルとして『白星の誓句(上)』が刊行され、ゲーム内では語られなかった“黒檻教団の編集失敗”が描かれたとされる。なお同書は発売時に紙面が不足し、一部章が後日Web連載へ移行したという経緯があり、編集者の間では“編集の編集”と揶揄された[33]。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本としては『幻想聖戦 完全残響ガイド(上巻)』および『同 完全残響ガイド(下巻)』が発売された。上巻では聖節番号の一覧と、主要敵の“判定文の癖”が表形式で整理されている。下巻では偽典の分岐条件が「残響ゲージ31〜36%」のように具体数値で掲載され、例外条件も含めて細かく解説されていると評された[34]。
書籍の変わり種として、ゲーム内の偽典に登場する“偽の聖句”を実際の印刷書体で再現した『聖句活字帳』が販売された。活字帳は実用というより鑑賞目的で、製本会社の担当者が「紙の繊維が読み取りに影響するほどに作った」とコメントしたとされる[35]。
その他にも、サウンドトラック連動の“残響プレイログ解析キット”が販売され、プレイヤーが自分の行動履歴を読み取り、文章分岐に近い予測を行えるとして宣伝された。しかし後に、解析精度は運用条件で変動し、過信は禁物と注意書きが増えたと報じられている[36]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 澄井 亜理沙「『幻想聖戦』における聖節設計と編集的確率」『ゲーム技術評論』第12巻第3号, pp. 41-58, 2022.
- ^ 白緋 響介「残響律動:音素と残響ゲージの対応に関する一考察」『サウンド工学ジャーナル』Vol.7 No.1, pp. 9-24, 2021.
- ^ 小貫 凰音「勝利を結果ではなく文章へ:RPGの再定義」『月刊インタラクティブ・デザイン』第28号, pp. 12-27, 2023.
- ^ 狩野 弥都「都市レイアウトを“折り目”として扱うレベルデザイン」『ビジュアル・システム論集』pp. 101-134, 2020.
- ^ 刈波 ヴェイル(参考所蔵)「文典管理者の手記:聖戦の文章提出方式」『架空宗教資料研究』第5巻第2号, pp. 77-96, 2019.
- ^ 朝霧 朔一「GSエンジンのフェア補完機構の実装」『PLAY-ARC開発ノート』Vol.3 No.4, pp. 55-69, 2021.
- ^ 山城 イオリ「『幻想聖戦』における偽典の可変性とプレイヤー心理」『日本RPG研究』第16巻第1号, pp. 33-50, 2024.
- ^ Falk, L. 『Textual Victory in Tactical RPGs』Nebula Press, 2022.
- ^ Nakamura, S. and Hart, R. “Echo Parameter Tuning and Player Perception in Narrative Combat,” in Vol.9, No.2, pp. 201-219, Game Systems Review, 2023.
- ^ 『ファミ通クロスレビュー』「幻想聖戦」特集号, 2021.
- ^ 『余白律動集 解説リーフレット(第零版)』星間映像販売, 2021.
外部リンク
- 誓約回廊 公式アーカイブ
- ミラージュ・ラビリンス 市民掲示板
- 聖節解析ツールポータル
- 余白律動集 サウンド試聴室
- 黒檻教団 文典公開翻刻所