当てフリ撲滅委員会
| 名前 | 当てフリ撲滅委員会 |
|---|---|
| 画像 | Attenfree_Bokumetsu_Committee_2019.jpg |
| 画像説明 | 2019年の公演における当てフリ撲滅委員会 |
| 画像サイズ | 280px |
| 背景色 | #1f2a33 |
| 別名 | 当撲委 |
| 出身地 | 日本・ |
| ジャンル | ロック、ポスト・パフォーマンス、実演主義 |
| 職業 | ロックバンド |
| 活動期間 | 2008年 - |
| レーベル | Kirin Ridge Records |
| 事務所 | 白波演算事務所 |
| 共同作業者 | 、 |
| メンバー | 、、、、 |
| 旧メンバー | |
| 公式サイト | shiranami-encore.jp/attfree |
当てフリ撲滅委員会(あてふりぼくめついいんかい)は、日本の5人組ロックバンドである。所属事務所は。レコード会社は。2008年に結成、2012年にメジャーデビュー。略称および愛称は「当撲委」。公式ファンクラブは「口パク禁煙区」である[1]。
概要[編集]
当てフリ撲滅委員会は、を拠点に活動する5人組ロックバンドである。ライブでの完全実演を至上命題とし、舞台上での演奏と発声の一致を徹底することで知られている。
もともとはの小劇場とスタジオ・バーの合同企画から生まれたバンドで、当初は「演奏に見せかけた映像演出を排除する」程度の小さな内輪運動であった。しかし2012年のメジャーデビュー以後、観客が歌詞の遅れやピッチの乱れまでも「生の証拠」として受け止める独特の文化を形成し、次第に社会現象となった[2]。
なお、彼らは単なる反当てフリの標語ではなく、とを接続した稀有な存在として扱われることがある。2021年にはの委託研究で「観客の拍手テンポが演奏精度に与える影響」が調査され、当撲委の公演データが半ば標準資料として引用された[3]。
メンバー[編集]
現在のメンバーは(ボーカル・ギター)、(ギター)、(ベース)、(ドラムス)、(キーボード)の5名である。各自が異なる“生演奏規律”を担当しており、御影が合図した瞬間に全員のモニター音量が1段階ずつ下がるという変則的な運用が有名である。
旧メンバーのは結成初期の「当てフリ監査係」を兼任していたが、2010年の路上公演で客席に向けてメトロノームを投げ入れた件が問題視され、活動を離れたとされる。もっとも本人は後年のインタビューで「投げたのではなく、誤って観客席の重力勾配に吸われた」と説明しており、真偽は定かでない[4]。
バンド名の由来[編集]
バンド名は、結成前夜に中野のライブハウスで行われた討論会に由来する。音源と映像の同期ずれを批判する張り紙の文言「当てフリ撲滅」をそのまま採用したもので、当初は委員会形式の単発企画として名乗っていた。
しかし、初代マネージャーのが「委員会は名乗った瞬間に永続組織になる」と主張し、実際に緊急連絡網、議事録、反省文フォーマットまで作成したことで、そのまま正式名称として定着した。なお、名称決定の際には「口パク禁止同盟」「同期崩し協議会」など23案が検討されたが、いずれも“音が弱い”という理由で却下されたという。
来歴[編集]
結成からインディーズ時代[編集]
2008年、のスタジオ利用者であったとが、PA卓の前で「演奏しているのに演奏していないように見える現象」について議論したことが出発点である。やがて、、が合流し、当初は週1回の検証ライブを行うだけの集団であった。
この時期の彼らは、客席中央に設置した小型録音機で拍手の位相を測り、その場でテンポを微調整するという実験的な運営を行っていた。2009年には自主制作盤『反復練習の倫理』を発表し、わずか132枚を手売りしたが、うち17枚が「音が生々しすぎて机の上に置けない」という理由で返品されたという。
デビューと注目[編集]
2012年、シングル『同期は死なない』でからメジャーデビューを果たした。同作はオリコン週間チャートで14位を記録したが、ミュージックビデオの撮影時に全員が同時に歌い直しを要求したため、編集所要時間が通常の3.4倍に達したと伝えられている。
同年秋の公演では、アンコール中にステージ袖のクリック音が客席に漏れたことで「実演の純度が一段階上がった」と話題になり、音楽誌『月刊ステージ誤差』は「当撲委は、失敗の管理によって成功を演出する稀有なバンド」と評した[5]。
2015年以降[編集]
2015年のアルバム『口上と偏差値』は、累計売上枚数18.7万枚を記録し、バンドにとって初の大きな成功となった。収録曲『拍の先に誰がいる』は、ライブ会場ごとに尺が30秒前後変動することを前提に制作されており、各地のFM局が放送用に別編集版を制作するという珍事が起きた。
2018年には活動休止が発表されたが、これは実際には「各メンバーの譜面台が過剰に磨耗したための保守期間」であったとされる。2020年に再結成し、同年の無観客配信公演では、視聴者のコメント速度に合わせて曲間の沈黙を延長する演出が採用され、最大同時接続数24万回を記録した。
音楽性[編集]
音楽性は、を基盤に、、、を混在させたものとされる。特にドラムスのが刻む「わざと揃いきらない8ビート」は、当撲委の代名詞とされている。
また、彼らは「歌の上手さ」よりも「歌っている最中の呼吸の見え方」を重視すると公言しており、レコーディングでは一部のテイクにマイクの置き位置を10cmずつずらした8種類のボーカルを重ねる。これは一見すると過剰な処理であるが、本人たちは「実演の証拠を保存するための保険」であるとしている。
人物[編集]
御影ユウは寡黙なフロントマンとして知られ、MC中に2秒以上沈黙するとスタッフが時計を止めるという慣習を作った張本人である。早瀬ナオはギターのチューニングに異常に厳しく、一本の弦を交換するたびに音叉を3種類使うことで有名である。
相馬カナメはバンドの実務全般を担い、請求書の備考欄にまで「当てフリはしない」と記す癖がある。久世マヒロは、ツアー中に各地のライブハウスの床鳴りを記録した『床鳴り年鑑』を私家版で編纂しており、小鳥遊レンは鍵盤の上にメトロノームを置いたまま演奏することで、観客に“時間の監視”を可視化させる発明を行ったとされる[6]。
評価[編集]
音楽評論家のは、当撲委について「彼らは反口パクのバンドではなく、失敗を可聴化する装置である」と論じた。これに対し、一部のライブハウス経営者からは「要求水準が高すぎて、開演前のSEですら疑われる」と苦情が寄せられた。
一方で、の内部資料では、2016年以降の“実演志向アーティスト”の増加に当撲委の影響が明記されているとされるが、該当資料はなぜか第4回会合の議事要旨と一緒に綴じられており、出典整理が難しい。ファンからは国民的ロックバンドと称されることもある。
受賞歴[編集]
2013年に『同期は死なない』で新人部門を受賞したほか、2016年にはアルバム『口上と偏差値』で最優秀実演アルバム賞を受賞した。2019年には「公演中に最も多くの“今のはやり直し”を言われたバンド」としてを受けた。
なお、2022年に授与されたは、受賞理由が「沈黙を恐れずに沈黙を構成したため」と記されており、審査員の間で解釈が割れたという。
ディスコグラフィ[編集]
=== シングル === * 『同期は死なない』(2012年) - デビュー曲。サビ前の1拍半の溜めが、地方局ごとに異なる放送尺を生んだ。 * 『拍の先に誰がいる』(2014年) - 連打の直前に入る息継ぎが話題となり、ライブ版の方が売れたとされる。 * 『白線の内側で歌え』(2016年) - 交通安全運動との親和性が高いとして、前の啓発イベントでも流用された。 * 『再生ボタンを押したのは誰だ』(2018年) - 配信限定先行公開。再生開始3秒で無音になる構成が“勇気ある沈黙”と評された。
=== アルバム === * 『反復練習の倫理』(2009年) - インディーズ盤。 * 『口上と偏差値』(2015年) - メジャー1stアルバム。 * 『譜面の外側で会いましょう』(2020年) - 再結成後の代表作。
=== ベスト・アルバム === * 『当撲委の逆襲』(2023年) - 既発曲を「成功したテイク」だけで再編集したとされる。
=== 映像作品 === * 『完全実演監査記録 2012-2019』(2020年) - 7年間の公演を、わずかな歌い直し込みで収録した3枚組。
ストリーミング認定[編集]
2024年現在、代表曲『同期は死なない』は主要配信サービスで累計1.8億回再生を突破している。とりわけサビの直前で一瞬だけ音圧が落ちる箇所が切り抜き動画として拡散し、若年層の間で「一拍遅れて生きろ」という謎の標語まで生まれた。
なお、事務所発表によれば、同曲の再生のうち約12%は“歌詞を確認するために戻した再生”であるとされるが、算定方法の詳細は公開されていない[7]。
タイアップ一覧[編集]
* 『同期は死なない』 - 「録音機は正直」キャンペーンソング * 『白線の内側で歌え』 - 「歩行者安全月間」協力曲 * 『拍の先に誰がいる』 - 新卒採用CMソング * 『譜面の外側で会いましょう』 - 深夜ドキュメンタリー『音の手触り』エンディングテーマ
いずれのタイアップも、企画段階では「当てフリを推奨しないこと」が条件として明記されていたといい、広告代理店がその条項を読み違えたまま進行した案件も2件あったとされる。
ライブ・イベント[編集]
当撲委のライブは、演奏前に必ず「機材確認会」が10分以上設けられることで知られる。2017年の全国ツアー『沈黙のない場所』では、各会場でアンコール後に客席の拍手を再集計する演出が導入され、最終的に全12会場で拍手総数が異なった。
2021年の公演では、ステージ上の照明トラブルにより冒頭3分間がほぼ真っ暗となったが、御影ユウが「見えなくても揃える」と叫んで演奏を続行し、むしろ“最も当撲委らしい公演”として高く評価された。会場外では、入場できなかったファンが周辺の歩道で合唱を始め、一帯が一時的に合唱路上帯と化したという。
出演[編集]
テレビではへの出演が多く、特に生放送での危機対応能力の高さが評価されている。2014年の『サウンド・チェック・ナイト』では、御影が歌い出しを1小節早く入ったにもかかわらず、全員がその誤差を即座に正解へ変換し、司会者が「放送事故ではなく思想である」とコメントした。
ラジオでは系深夜番組に準レギュラー出演し、リスナーから寄せられる「自宅で当てフリを見抜く方法」に対して、毎回妙に具体的な回答を返していた。映画ではライブ記録映画『拍のない夜に』に本人役で出演し、CMではのカードローン広告において「借りる前に拍を数えよう」という不可解なフレーズを発したことで記憶に残っている。
NHK紅白歌合戦出場歴[編集]
2019年に初出場。『同期は死なない』を披露し、曲終盤で紙吹雪が演奏妨害になりかけたものの、早瀬ナオが紙吹雪の落下速度に合わせてカッティングを変更し、結果的に高評価を得た。
2023年には2回目の出場を果たし、『譜面の外側で会いましょう』を歌唱した。なお、リハーサル段階で当てフリ禁止の確認書が10枚近く交わされたとされ、スタッフの一部からは「紅白というより実演監査会」と呼ばれたという。
脚注[編集]
=== 注釈 === [1] 公式プロフィールに基づくとされるが、初期の配布資料では結成年が2007年と記されたものも存在する。 [2] 一部では「反当てフリ運動」と呼ばれることもある。 [3] 当該報告書は非公開扱いであるが、要旨のみ学会配布資料に収録されたとされる。 [4] 芦原本人の発言は、後年のウェブ配信番組で確認できるという。 [5] いずれも自主評論誌であり、学術的な検証には向かないとされる。 [6] 『床鳴り年鑑』は一般流通していない。 [7] 集計期間、重複再生の扱い等について異論がある。
=== 出典 ===
参考文献[編集]
1. 真鍋リョウ『実演主義の系譜と舞台誤差』白波出版, 2018年. 2. 渡会静流『委員会名義の文化史』月灯り書房, 2014年. 3. 佐伯直人「当てフリ忌避と観客反応の関係」『演奏社会学紀要』第12巻第3号, 2019年, pp. 44-61. 4. Margaret A. Thornton, "Anti-Lip Movement and Stage Authenticity in East Asia", Vol. 8, No. 2, 2020, pp. 113-129. 5. 近藤晴彦『ライブハウス床鳴り白書 2008-2022』中野文化研究所, 2023年. 6. Y. Mikage, "On the Ethics of Audible Mistakes", Kirin Ridge Papers, Vol. 4, 2021, pp. 7-19. 7. 『月刊ステージ誤差』編集部編『実演はどこまで揃うか』潮騒社, 2016年. 8. 小鳥遊レン『鍵盤の上のメトロノーム』白波演算叢書, 2022年. 9. 矢部千尋「無音パートの心理学的効果」『日本音響妙録』第19巻第1号, 2021年, pp. 5-24. 10. Armand Keller, "Committee Bands and Civic Noise", Routledge, 2022.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
公式サイト
白波演算事務所 アーティストページ
Kirin Ridge Records ディスコグラフィ
当撲委ファンアーカイブ
月刊ステージ誤差 特集ページ
脚注
- ^ 真鍋リョウ『実演主義の系譜と舞台誤差』白波出版, 2018年.
- ^ 渡会静流『委員会名義の文化史』月灯り書房, 2014年.
- ^ 佐伯直人「当てフリ忌避と観客反応の関係」『演奏社会学紀要』第12巻第3号, 2019年, pp. 44-61.
- ^ Margaret A. Thornton, "Anti-Lip Movement and Stage Authenticity in East Asia", Vol. 8, No. 2, 2020, pp. 113-129.
- ^ 近藤晴彦『ライブハウス床鳴り白書 2008-2022』中野文化研究所, 2023年.
- ^ Y. Mikage, "On the Ethics of Audible Mistakes", Kirin Ridge Papers, Vol. 4, 2021, pp. 7-19.
- ^ 『月刊ステージ誤差』編集部編『実演はどこまで揃うか』潮騒社, 2016年.
- ^ 小鳥遊レン『鍵盤の上のメトロノーム』白波演算叢書, 2022年.
- ^ 矢部千尋「無音パートの心理学的効果」『日本音響妙録』第19巻第1号, 2021年, pp. 5-24.
- ^ Armand Keller, "Committee Bands and Civic Noise", Routledge, 2022.
外部リンク
- 公式サイト
- 白波演算事務所 アーティストページ
- Kirin Ridge Records ディスコグラフィ
- 当撲委ファンアーカイブ
- 月刊ステージ誤差 特集ページ