日越教
| 名称 | 日越教 |
|---|---|
| 略称 | JVCE |
| ロゴ/画像 | 二つの稲束と昇る太陽を組み合わせた円形章 |
| 設立 | 1987年4月12日 |
| 本部/headquarters | 東京都台東区浅草橋二丁目 |
| 代表者/事務局長 | グエン・タイン・ミン |
| 加盟国数 | 2か国(準加盟を含むと4) |
| 職員数 | 84名 |
| 予算 | 年額約7億2,400万円 |
| ウェブサイト | jvce.or.jp |
| 特記事項 | 日本・ベトナム間の民間外交を担う団体として知られる |
日越教(にちえつきょう、英: Japan-Vietnam Mutual Cultural Ecclesia、略称: JVCE)は、日本とベトナムの相互文化理解の促進を目的として設立されたである[1]。設立。本部はに置かれている。
概要[編集]
日越教は、日本との相互文化理解、通商慣行の調整、ならびに通訳者の儀礼教育を目的として設立されたである。しばしば宗教団体と誤解されるが、実態は「教」の字を組織名に含む民間協会であり、の友好団体名簿にも準ずる扱いで記載されているとされる[1]。
同団体はを本部に、、、に連絡事務所を置き、年に一度の「交誼総会」と呼ばれる定例会合を開催している。会合ではの逐条解説が行われるほか、米の炊き方と名刺交換の作法を同時に学ぶ「二重所作講習」が名物となっている。
歴史・沿革[編集]
創設期[編集]
日越教の起源は代前半、の印刷所で働いていた渡会信二が、ベトナム難民支援の募金箱に誤って香炉を兼ねる木箱を用いたことにさかのぼるとされる。これが地域の在日ベトナム人会に受け入れられ、に有志17名で正式に設立された。設立総会はの老舗料理店で行われ、議事録の第3号議題には「両国の麺を同一椀で調停する件」が記されていたという[2]。
制度化と拡張[編集]
には、当時の国際協力局の外郭委員会に準じる位置づけを得て、通訳研修、婚姻手続補助、送り出し企業の倫理審査を担うようになった。特にの「ハロン湾共同視察」は、参加者38名のうち11名が船酔いで会議を欠席したにもかかわらず、予定されていた13項目の了解事項を全て承認したことで知られる。
一方で、の役員改選では、議長席の背後に掲げられた旗が日本国旗ではなく「稲穂章」であったことから、数か月にわたり報道機関の誤解を招いた。なお、同章は創設者の渡会が滞在中に見た仏具の意匠を参考にしたものとされるが、裏付けは乏しい[3]。
近年の動向[編集]
以降は、ベトナム語技能検定の前段階資格である「敬称運用士」認定を開始し、年800人前後が受験している。とりわけのオンライン化では、背景に映像を固定したまま会議を行う方式が採用され、遠隔地参加者の満足度が92.4%に達したと発表されたが、集計方法には疑問もある。
時点で、日越教は両国間の民間外交における中継組織として扱われ、大学、商工会議所、在留支援団体との共同事業を拡大している。もっとも、活動の中心が会議、儀礼、贈答に偏っているため、「実務機関なのか文化サークルなのか判然としない」との指摘もある。
組織[編集]
組織構成[編集]
日越教は、最高意思決定機関である総会、その下に理事会、事務局、監査委員会を置く。理事会は9名、9名の計18名で構成され、議決は原則として両国出席者の「異議なき沈黙」をもって成立すると定められている[4]。
事務局はの本部に置かれ、対外交流局、教育研修局、通訳認証局、贈答監督室、行事設営室の5部局に分かれる。なかでも贈答監督室は、年間で約1万件の手土産を記録し、包装紙の色が外交上不適切でないかまで審査している。
主要部局[編集]
対外交流局は駐在員事務所と連携し、企業訪問や地方自治体との覚書作成を担う。教育研修局はだけでなく、茶菓の出し方、会議での沈黙時間、名刺の持ち方を教える「実務作法講座」を運営している。
通訳認証局は、単なる語学能力ではなく、相手の肩書を5回目の会話まで正しく更新できるかを審査項目に含むことで有名である。2023年には合格率が41.8%に低下し、受験者の一部から「翻訳よりも礼法が難しい」との声が上がった。
活動[編集]
文化交流事業[編集]
日越教の中核事業は、とを結ぶ定期交流会である。毎年春には「二国味覚週間」が催され、との共同献立が発表されるが、麺の長さをそろえるために厨房で巻尺が使用されるのが通例である。
また、両国の祝日が重なる日には「相互敬礼の日」として、参加者が互いの挨拶を三段階で行う。これにより、一見すると単なる式典であるにもかかわらず、最終的に2時間半が挨拶に費やされることがある。
教育・認証[編集]
教育活動としては、在留ベトナム人向けの生活相談、日本企業向けの労務慣行講習、学生向けの短期派遣研修がある。とくに「敬称運用士」講座では、、、、の使い分けを問う独自試験が課され、毎年40件ほどの不合格理由が「呼称の過剰自信」で占められる。
さらに、との姉妹協定を結ぶ際には、日越教の認定スタッフが必ず同席するとされる。これは1990年代の誤訳事件以後、自治体が「通訳を入れないと条文が増える」と恐れたためであるという。
災害支援・調停[編集]
の東日本大震災以降、日越教はベトナム人技能実習生の避難支援に加え、炊き出しメニューの調停も行ってきた。支援物資の仕分けにおいては、米袋の重さを基準に現場の優先順位を決める独自方式が採用され、これが「米位制」として知られるようになった。
なお、にはの事務所で、会議中に鳩が飛び込んだことから「両国関係の象徴的兆候」として1時間の黙祷と30分の写真撮影が実施された。後に実害はなかったが、議事録には「鳩は中立を保って退去」と記録されている。
財政[編集]
日越教の予算は年額約7億2,400万円で、会費、企業協賛金、自治体の交流助成、ならびに「儀礼講座」受講料によって賄われている。収入のうち約28%が会議運営費、19%が翻訳認証関連費、14%が茶菓代であり、残余は地方事務所の維持と年1回の記念誌『交誼年鑑』刊行に充てられる。
財務報告は比較的透明とされるが、の決算では「稲穂型卓上旗一式」が備品扱いか装飾扱いかで監査委員会が紛糾し、最終的に「運用可能な文化財」として棚卸しされた。これにより減価償却期間が7年から11年に延長されたという。
加盟国[編集]
日越教は形式上、との二国間組織であるが、準加盟制度により、、、の4団体が「協力加盟」扱いとなっている。これらは投票権を持たないものの、年次総会で茶菓の配膳順を提案する権利を持つ。
加盟国代表者会議では、各国の記念品交換が儀礼の中心となり、側からは蓮の実茶、日本側からは駅弁風の木箱が贈られることが多い。なお、2010年の会議では、参加者数が27名であったにもかかわらず名札が31枚用意されており、4枚は後日「将来の加盟候補」として保管された。
歴代事務局長・幹部[編集]
歴代事務局長には、初代の渡会信二、第二代のファム・ティ・リエン、第三代の小野寺晴臣、現職のグエン・タイン・ミンがいる。渡会は創設理念を「通訳とは言葉を渡すのではなく、気配を渡す仕事である」と述べたとされるが、これは後年の講演録から再構成された表現である可能性が高い[5]。
幹部人事では、日本側とベトナム側の均衡が重視され、理事会の議長は原則として1年ごとに交代する。2022年には、前任者の退任挨拶が14分の予定を44分も超過し、以後「挨拶時間管理規程」が新設された。もっとも、この規程は実際には誰も厳密に守っていない。
不祥事[編集]
日越教をめぐっては、2016年に通訳認証局の試験問題が事前にSNSへ流出した事件がある。問題文は「相手方の沈黙を尊重しつつ、机上の茶托をいつ回収すべきか」で、受験者の多くが正解できなかったため、流出が判明した後も成績への影響は軽微だった。
また、2021年には、会館内で使用されていた赤色の案内札が「政治的色彩を帯びる」として一時撤去され、代わりに薄桃色の札が導入された。しかし、薄桃色は「式典にしては軽すぎる」との理由で1週間で元に戻された。これに対し、一部の会員は「日越教は色彩で会議をしている」と批判したが、事務局は「色は補助であり、議事そのものに影響しない」と回答している。
脚注[編集]
[1] ただし、NGOとしての区分は後年の便宜上のもので、設立当初の会則では「民間交誼機構」と表記されていた。
[2] 設立総会の議事録原本は所在不明とされるが、写しの一部が浅草橋の旧書庫から発見されたとの報告がある。
[3] 稲穂章の採用経緯については、本人証言以外の一次資料が確認されていない。
[4] 異議なき沈黙を議決要件とする規定は、実務上は出席確認の簡略化を狙ったものであるとも言われる。
[5] 渡会の講演録は後年の編集が多く、文言の一部は聴衆メモから補完されたとみられる。
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡会研究会編『日越教成立史資料集』浅草文化出版, 2008, pp. 14-39.
- ^ Nguyen, T. Minh. "Ritualized Translation and Cross-Border Civility in Japan-Vietnam NGOs." Journal of East Asian Civil Society, Vol. 12, No. 3, 2019, pp. 211-238.
- ^ 小野寺晴臣『民間外交の儀礼学』国際交流社, 2016, pp. 88-104.
- ^ Pham, Thi Lien. "The Taxonomy of Honorifics in Bilateral Associations." Asia-Pacific NGO Review, Vol. 7, No. 1, 2013, pp. 45-67.
- ^ 佐伯雅之『浅草橋とハノイを結ぶもの』東亜文化新書, 2021, pp. 5-21.
- ^ Tran, D. H. "Annual Assemblies and Silent Voting in Mutual Aid Federations." Civic Administration Quarterly, Vol. 18, No. 2, 2020, pp. 99-126.
- ^ 日越教事務局『交誼年鑑2023』日越教出版室, 2024.
- ^ 山岸玲子『敬称運用士試験の研究』礼法評論社, 2018, pp. 31-58.
- ^ Nguyen, Bao Long. "A Very Serious Handbook of Gift Wrapping Diplomacy." Proceedings of the Institute for Transnational Courtesy, Vol. 4, No. 4, 2022, pp. 1-19.
- ^ 渡会信二『気配を渡す』台東人文社, 1991, pp. 203-217.
外部リンク
- 日越教公式サイト
- 交誼総会アーカイブ
- 通訳認証局データベース
- 浅草橋民間外交資料室
- ハノイ連絡事務所通信