東京ディズニースカイ
| 名称 | 東京ディズニースカイ |
|---|---|
| 種類 | 天空型観覧・娯楽複合施設(回遊型) |
| 所在地 | 夢光浜三丁目 |
| 設立 | 19年(2007年) |
| 高さ | 271.7 m(最上階天井高) |
| 構造 | 鋼トラス+免震コア、ガラスカーテンウォール |
| 設計者 | 砂丘山工房(Sakyūzan Atelier) |
東京ディズニースカイ(とうきょうでぃずにーすかい、英: Tokyo Disney Sky)は、にある[1]。
概要[編集]
東京ディズニースカイは、現在では夢光浜三丁目に所在する天空型観覧・娯楽複合施設である[1]。施設の最大の特徴は、地上約150 mから始まる「雲梯(うんてい)」と呼ばれる回遊導線が、季節ごとに光学的に色温度制御される点にある[2]。
また、施設名の「スカイ」は単なる愛称としてではなく、運営が掲げた「Sky-Index(空の指数)」に由来するものとして説明されている[3]。Sky-Indexは、当日の気流安定度と湿度減衰を同時に換算した“楽しさの予報”であり、観覧コンテンツの音響チューニングにも反映されるとされる[4]。
名称[編集]
東京ディズニースカイという名称は、当初から一般公募ではなく、の後援を得た「都市景観ロゴ審議会」による選定結果として整えられたとされる[5]。同審議会は、名称の可読性を「改札・広告・機内誌」の三媒体で同一視認角として検証したといい、採用理由として“空中の視認性が最も安定した”と報告した[6]。
なお、施設が正式に掲げる略称は「TD-SK」であるが、運営スタッフの間では「雲の遊園」と呼ばれることが多いとされる。これは、ロビー天井の意匠が“雲の層(Cloud Layers)”として分節表現されているためである[7]。
語感の近さが注目されがちだが、公式には「東京の上空に“見上げ文化”を供給する」という思想に由来すると説明されている[8]。
沿革/歴史[編集]
構想と許認可のねじれ[編集]
施設計画は、が進めた“海風と回遊の共存”政策に連動して始動したとされる。湾岸区は、沿岸部の風の乱れが居住者の体感に影響するという理由で、観光施設にも風制御の技術導入を条件として求めた[9]。
当初案では高さは240 mに抑えられていたが、風洞実験の結果「雲梯の角度が臨界域を超える」として補正が入った。具体的には、模型の風速換算が7.4 m/sから7.1 m/sへ低下すると、雲梯の一部で“足音が吸われる”現象が観測されたとされる[10]。このため、音響と転倒リスクの両面から、最終的に271.7 mまで引き上げる判断がなされたと記録されている[11]。
許認可手続では、免震コアの仕様が複数回差し戻された。差し戻し理由は「免震が強すぎると、利用者が“上昇感”を得られない」ためであるとされ、建築基準法より先に“体験品質”が審査された点が、後年の批判材料にもなった[12]。
運営思想:Sky-Indexの誕生[編集]
運営側は、天空施設に特有の“空の揺らぎ”をパラメータ化するため、と共同でSky-Indexを開発したとされる[13]。Sky-Indexは、雲量推定(0〜100)、気流安定度(A〜F)、湿度減衰(dB/分)の三要素を、重み係数0.42/0.33/0.25で合算する仕組みである[14]。
当初は研究所側の主導で“天文学的精度”が優先されたが、実運用では「入館者の視線が最大化される時間帯」に合わせて係数が微調整された。結果として、同係数は年次で平均±0.03の範囲で揺れたと報告されている[15]。ここから、施設は“空に最適化する娯楽”として知られるようになった。
ただし、この制度化は、空が変わるたびに体験が変わることを意味し、チケット販売の公平性が論点化した。運営は「同じ天気は二度ない」として説明したが、利用者の感情は必ずしも収束しなかったとされる[16]。
施設[編集]
東京ディズニースカイは、地上約40 mの「導入広場(インレットプラザ)」を起点として、回遊導線が上へ伸びる構成をとる[17]。導入広場には、利用者が自分の“見上げ角度”を測定できる鏡面装置が設置されており、計測値は後述の音響チューニングに反映されるとされる[18]。
施設中核は、複数の層に分かれた雲梯(うんてい)であり、ガラスカーテンウォール越しに空模様が“編集されたように”見える意匠が採用されている[19]。雲梯は全部で12区画に分割され、区画ごとに照明の色温度が自動制御される仕組みであると説明される[20]。
また、最上階には観覧ホール「ピンポイント・サロン」がある。ここではSky-Indexが「E(気流不安定)」に該当した場合、投影演出が変速されるとされ、観覧者の視線が揺れないよう“投影の粒度”が調整される[21]。この粒度は、映像ライブラリの粒子数を1.0倍から3.2倍に切り替えることで実現されるとされる[22]。
交通アクセス[編集]
施設はの臨海部に所在し、最寄りの交通結節点として(架空)と、区運行のモノレール「ベイリンク」が案内される[23]。ベイリンクは、特定日には運行間隔が最短4分12秒に設定されるとされるが、混雑状況により変動する[24]。
また、徒歩導線として「虹歩道(にじほどう)」が整備されており、導入広場までの距離は公称で0.92 kmである[25]。虹歩道は夜間に微弱な段差照明が点滅し、利用者が“足取りを揃えやすい”よう設計されたとされる[26]。
なお、車での来訪も可能だが、上層への搬入動線と観覧者動線が交差しないよう、送迎は一方通行のループが採用されている。運営は、これにより「体験の途切れ」を抑制できると主張した[27]。
文化財[編集]
東京ディズニースカイには、正式には“建造物としての文化財指定”はないが、屋外公開部の一部が「都市景観技術遺産」として登録されているとされる[28]。登録対象となっているのは、海風を計測し制御する微風格子(ミクロウィンド・グリッド)であり、格子の間隔は公称で28.6 mmとされる[29]。
さらに、雲梯の照明制御ロジックは、教育用途にも転用される前提で資料化されている。資料はの特別アーカイブに収められ、講習会「見上げ設計学」にて参照されるとされる[30]。ただし、アーカイブ内の一部は商用ノウハウに関するため“閲覧制限付き”とされ、研究者の間で出典確認が争点になったことがある[31]。
このように、文化財というより技術遺産の側面が強い施設として理解されることが多い。なお、施設竣工時には、景観色の設計が地域の祭礼と連動する“祝祭モード”も導入され、初年度だけで17回切替えが行われたと記録されている[32]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 砂丘山工房『東京ディズニースカイ設計報告書(Vol.3)』湾岸区政科学局, 2008年.
- ^ 佐々木真琴『Sky-Indexによる観覧最適化の試み』『建築体験工学研究』第12巻第2号, 2009年, pp. 41-58.
- ^ Margaret A. Thornton『Atmosphere-Driven Entertainment Systems in Coastal Metropolises』Journal of Urban Spectacle, Vol.18 No.4, 2011, pp. 77-95.
- ^ 石田光里『雲梯の視線誘導設計と色温度制御』『照明設計学会誌』第9巻第1号, 2010年, pp. 12-29.
- ^ 『都市景観技術遺産登録要領(改訂第6版)』【文化庁】政策資料室, 2014年, pp. 3-19.
- ^ Benedikt Krüger『Micro Wind Lattice Systems for Viewer Comfort』Proceedings of the International Conference on Wind-Aided Architecture, 2012, pp. 210-218.
- ^ 前田廉人『免震が「上昇感」に与える影響:体験工学の観点から』『日本建築基準技術論集』第5巻第3号, 2013年, pp. 101-119.
- ^ 『湾岸区観光交通計画(平成20年度版)』湾岸区企画交通部, 2009年, pp. 55-63.
- ^ 林田和樹『祝祭モード運用記録:初年度17回の切替え』『都市演出年報』第2巻第1号, 2010年, pp. 1-9.
- ^ Ryohei Matsuda『Civic Branding and Visibility Angle Testing』International Review of City Branding, Vol.7, 2015, pp. 33-49.
外部リンク
- Sky-Index公式アーカイブ
- 湾岸区都市景観技術遺産データベース
- 雲梯シミュレーション講習会サイト
- 夢光浜交通ループ案内(運営)
- 照明設計学会:色温度制御事例