Half-life 3
| タイトル | Half-life 3 |
|---|---|
| 画像 | Half-life 3 box art mockup.png |
| 画像サイズ | 280px |
| caption | 北部灯台港の霧を背に立つ主人公 |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | VantaBox 360 / PC-Λ / DreamSphere |
| 開発元 | オルソン・ノード工房 |
| 発売元 | イーストリバー・インタラクティブ |
| プロデューサー | エレナ・ミロヴァ |
| ディレクター | サミュエル・ヴォス |
| 音楽 | ニコ・ハルペン |
| シリーズ | Half-life |
| 発売日 | 2009年11月19日(未発売) |
| 対象年齢 | A12 |
| 売上本数 | 推定0本(予約キャンセル率100%) |
| その他 | 第3作目として告知のみ実施 |
『Half-life 3』(英語表記)は、にが考案したである。『半減期』を題材にしたの始祖・元祖であるとされ、のちに自体がシリーズ化した作品として知られる[1]。
概要[編集]
『Half-life 3』は、に北欧圏で企画されたとされるで、シリーズの第3作目に位置づけられている。もっとも、実際には完成版が出荷された記録はなく、関係者は一貫して「発売準備中」であると説明してきた[2]。
作中では、を中心とする架空の自治圏を舞台に、プレイヤーは半減期測定士のとして操作する。ゲームシステムの特徴として、敵を撃つほど時間が減るという不可解なが採用されており、当時の批評家からは「理論上は非常に革新的であるが、実装されていない」と評された[3]。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
本作の基本システムは、弾薬、体力、経過時間の3要素が相互に干渉する設計である。プレイヤーはと呼ばれる装置を用いて探索を進めるが、銃撃のたびに周囲の会話テキストが1秒ずつ先読みされるため、イベントの順序が逆転することがある。
この仕様は開発初期にで行われた72回の社内検証のうち、49回でデバッグ不能と判定されたが、逆に「予測不能性が没入感を生む」として残されたとされる。なお、取扱説明書には「画面が止まって見える場合は仕様である」と記されていたという[要出典]。
戦闘[編集]
戦闘はでありながら、一定条件でのような交渉選択が発生する。敵の中には戦闘よりも契約書の確認を優先する個体がおり、プレイヤーが誤って署名すると即座に中立化される。
特に有名なのは、終盤に登場する『第三波管理官』戦である。ここでは敵の体力が3分の1になるたびに演出が長引き、最短でも実時間で27分、最長では会議室の昼休みを2回またぐとされた。これが「Half-life 3は永遠に終わらない」という都市伝説の直接の起点になったともいわれる。
アイテム[編集]
アイテムは全67種で、そのうち実用的なのは14種のみである。代表的なものに、保存食を兼ねる『減衰チョコレート』、照準を安定させる『静止針』、そして使うと現在地の年代が1年だけ前倒しになる『暦の破片』がある。
また、隠しアイテムとして『未定義の箱』が存在し、これを入手するとメニュー画面に「この項目は後日実装される予定です」と表示される。収集率100%の条件は、全国12か所の試遊会場に置かれた記念スタンプを全て集めることだったとされ、家庭用ゲームとしては異例である。
対戦モード・オフラインモード[編集]
対戦モードでは、2人から8人までが同時に参加できる『半減レース』が遊べる。これは互いの画面のfpsを下げ合う競技で、上級者になると相手のロード時間だけで勝敗を決めることが可能であったという。
オフラインモードは逆に極端に丁寧で、NPCの雑談だけで約11時間を消費する構成であった。開発者はこれを「待機のための物語」と呼び、ネットワーク未接続環境でも十分に完成された体験になると主張したが、発売前レビューでは「一人で遊ぶと時刻表の方が先に進む」と書かれた。
ストーリー[編集]
物語は沖で発生した謎の減衰現象を軸に展開する。主人公のは、の港湾研究局に勤める測定士であり、毎日異常に短い午前業務に従事していたが、ある日、海霧の中から現れた青い封筒を受け取ったことで運命が動き出す。
封筒には、失われた前作『Half-life 2.5』の設計図と、の座標が記されていた。カイは仲間のとともに、時間を半分ずつ奪う軍事組織に追われながら、都市ごと凍結する現象の真相へ迫る。
終盤では、実は世界が『第3幕に入るかどうか』を決める巨大な試験環境であったことが判明する。最後の選択肢は「続編を待つ」「待たない」「一旦保留する」の3つだが、いずれを選んでもスタッフロールの代わりに無音の波形だけが流れ、物語は未完のまま終わる。この結末は発売前から高く評価され、のちにで「最も誠実な未完結作品」として引用された。
登場人物[編集]
主人公[編集]
は、本作の主人公であり、の半減期測定士である。常に筆記用具を左手に持つ癖があり、これは前任者が全員、議事録の記入中に失踪したためとされる。
仲間[編集]
は、局外から主人公に協力する無線技師である。彼女は登場初回から6回にわたり「あと3分だけ」と発言するが、実際にはそのたびに18分経過するため、プレイヤーの時間感覚を狂わせる役割を担っている。
は、空路で現れる輸送員で、対戦モードでは使用不可のヘリを所有している。エンディングでは彼だけが続編の脚本を読んでいたが、紙面が真っ白であったことが後に判明した。
敵[編集]
敵対勢力の中心はである。同局は「文明の歩調を整える」ことを目的としており、要するに全ての会議を1.5倍長くする権限を持つ。局長のは、ゲーム内で一度も戦闘音を立てずに主人公へ圧力をかけることで有名である。
また、各地に現れる『減衰獣』は、撃破すると必ず1枚のアンケート用紙を落とす。これは当時の試遊会で、プレイヤーの満足度を自動収集するために導入されたと言われるが、提出先は空き店舗だったという。
用語・世界観[編集]
本作の世界観は、を物理法則ではなく社会制度として扱う点に特徴がある。たとえば、郵便物には到着期限ではなく『減衰期限』が設定され、期限を過ぎると配達員が文面を要約して届ける仕組みであった。
『第3世代時間核』は、都市の照明・気象・会話速度を統一制御する装置で、中央制御室に置かれた巨大な砂時計を回転させることで作動する。この砂時計はで実物大レプリカが展示されたとされるが、実際には来館者の半数が「展示室が工事中だった」と証言している。
用語体系は全体にとが混在しており、特に『暫定現実』『可逆的都市計画』『未送信の達成感』など、一般には意味をなさないが作中では通用する語が多い。こうした不整合は、むしろ“続編待ち”という主題と整合的であると解釈されている。
開発[編集]
制作経緯[編集]
制作は秋、のレイキャネス半島近郊で行われた小規模な会合を起点とする。もともとはの拡張案として始まったが、企画会議で「第3作目を作ると、シリーズの時間が3で割り切れてしまう」と指摘され、そこから逆に『割り切れなさ』をテーマに据える方針へ転じた。
開発はが担当し、当初は17名体制で進められたが、途中で4名が別プロジェクトへ異動し、残る13名のうち2名がゲームではなく時計の修理を担当していた。これにより、実働人数は常時11名前後であったとされる。
スタッフ[編集]
ディレクターは、プロデューサーは、音楽はが担当した。ヴォスはインタビューで「続編を作るのではない。続編が必要だった理由を作るのだ」と述べたとされるが、発言の記録媒体は失われている。
また、UI設計には、敵AIにはが関与したとされる。なお、後年公開されたクレジット試案には『サウンド監修:無音』という欄があったが、最終稿では削除されていた。
音楽[編集]
サウンドトラックは、全28曲で構成されていると発表されたが、実際に発売されたCDは15曲収録の『Half-life 3: Quiet Materials』のみであった。作風は環境音中心で、風圧、紙の擦れる音、遠くの会議の拍手などが主旋律として用いられている。
代表曲『Three Minutes Before Noon』は、ゲーム内で最も長い通路を進む場面に使用され、再生時間は3分33秒であるのに対し、通路の移動に必要な時間は平均7分12秒であった。この不一致が高く評価され、のちにの特別賞を受賞したという。
他機種版・移植版[編集]
発売予定機種として告知されていた版は、完成直前にコントローラのL3ボタンが『発売待機専用』として再設計されたため、結局キャンセルされた。これにより、パッケージだけが国内で3000枚印刷され、倉庫で長らく保管されていた。
版は最も完成度が高いとされ、試遊版として一部配布されたのち、向けのインタラクティブ小説版へと再構成された。さらに、には携帯端末向けの『Half-life 3 Pocket Delay』が発表されたが、発売初日に時計アプリへ統合されて終了した。
評価[編集]
本作は、発売されていないにもかかわらず多くの期待を集め、を3年連続で受賞したとされる。レビューサイトでは平均スコア9.7/10相当の「想像上の高評価」を獲得し、特に“発売前の完成度”が称賛された。
一方で、売上本数は推定0本であり、予約注文は最大時でに達したが、その後のキャンセル率は100%であった。もっとも、広報資料には「キャンセルされた者にも思い出が残った」と記されており、これをに匹敵する文化的成功とみなす向きもある。
関連作品[編集]
派生作品として、『Half-life 3: Pre-Launch Chronicle』、『Half-life 3: Director's Silence Cut』、『Half-life 3: The Waiting Room』が存在するとされる。いずれも本編未発売に伴う周辺企画であり、内容は主に会議録、設計図、空白ページで構成されていた。
また、には教育用ソフト『Half-life 3 for Schools』が計画され、算数の授業で「3を待つ」という概念を学ぶ教材になる予定であったが、教育委員会の審査で「精神的に成熟しすぎている」と判断され、採用は見送られた。
関連商品[編集]
攻略本としては、『Half-life 3 完全待機マニュアル』がから刊行された。本文の大半は未登場ステージの攻略で占められ、巻末の「読者投稿コーナー」では、発売日予想が198件掲載された。
書籍としては、による『Half-life 3 と未完のゲーム史』、の『続編を待つ技術』などがある。ほかに、公式グッズとして砂時計、空のディスクケース、そして「もう少しで出る」と刻印された栞が販売された。
脚注[編集]
[1] 発表当時の広報資料には「コンピュータゲーム」とのみ記載されていた。
[2] 2009年から2016年にかけて、発売日表記が7回変更されたことが確認されている。
[3] 試遊版の解析報告書では、実行ファイルの43%がダミー命令で占められていたとされる。
関連項目[編集]
Half-life
発売延期
未完の作品
アクションシューティングゲーム
待機ゲーム
北欧のコンピュータゲーム
空白ページ
シリーズ化された都市伝説
外部リンク[編集]
公式ティーザーサイト
オルソン・ノード工房アーカイブ
北部灯台港観光局 特設ページ
Half-life 3 試遊会議事録公開庫
脚注
- ^ サミュエル・ヴォス『Half-life 3 企画書集成』イーストリバー・プレス, 2010, pp. 14-63.
- ^ エレナ・ミロヴァ「未発売ゲームにおける期待値の設計」『北欧ゲーム研究』Vol. 8, 第2号, 2011, pp. 101-129.
- ^ マティアス・レンホルム『UIが待たせるとき』アルナ書房, 2012.
- ^ ルシア・ペトロヴァ「半減時間アクションの実装失敗について」『Interactive Systems Quarterly』Vol. 15, No. 4, 2013, pp. 44-58.
- ^ 久保田真理子『続編を待つ技術』港湾文化社, 2014, pp. 7-92.
- ^ ローレン・ホルム『Half-life 3 と未完のゲーム史』レイキャネス出版, 2015.
- ^ ニコ・ハルペン「静寂音響の可能性」『Nordic Audio Review』Vol. 3, No. 1, 2010, pp. 1-19.
- ^ 大森一輝「発売されないタイトルの販売戦略」『ゲーム経済学年報』第12巻第1号, 2016, pp. 77-88.
- ^ E. Thornton, The Silence Patch: Studies in Missing Sequels, Gray Harbor University Press, 2017.
- ^ ジョナサン・クレイン『Half-life 3: Quiet Materials』トランジット・ノーツ出版, 2012.
- ^ 村上千尋『続編待機論序説』冬至館, 2018.
- ^ H. Malmberg, “On the Third Title That Never Loaded,” Journal of Fictional Game Studies, Vol. 2, No. 2, 2019, pp. 5-31.
外部リンク
- Half-life 3 公式ティーザーアーカイブ
- オルソン・ノード工房 旧公式サイト
- 北部灯台港デジタル博物館
- ゲーム未発売史研究会
- Half-life 3 試遊会口述記録庫