SONY α5Ⅵ
| 種別 | デジタル一眼カメラ |
|---|---|
| 総画素数 | 3億2000万画素 |
| 最高連写 | 約120コマ/秒(電子先幕) |
| イメージセンサーシフト方式 | 15軸補正 |
| 測距点数(静止画) | 最大1920点 |
| 質量 | 約440g(バッテリー含む) |
| 発表年 | 2021年(とする資料) |
| 想定用途 | スポーツ・報道・ハイエンドVlog |
(ソニー アルファ ごろく)は、デジタル一眼カメラとして市場に投入されたの中核機である。総画素数は3億2000万画素とされ、最高約120コマ/秒の連写性能や15軸補正のイメージセンサーシフト方式が特徴とされている[1]。
概要[編集]
は、高速連写と手ブレ補正の両立を前面に掲げたデジタル一眼カメラとして位置づけられている。総画素数3億2000万画素の“階調再現エンジン”により、暗部のノイズが少ないとされ、報道現場でも「捨てない画」を作れる機材として喧伝された[1]。
一方で、同機の成立には“画素競争”とは別の産業的事情があったとする説がある。2000年代後半にが提唱した「信号折り返し方式」なる学術用語が、いつの間にか量産設計に転用され、結果として15軸補正の要点が生まれたとされる[2]。もっとも、当該転用の時期は資料によって食い違いがある。
発売前の社内資料では、測距点数は「静止画最大1920点」と記載され、動体追従を“点群で当てに行く”思想に基づくと説明された。細部としては、質量440gを守るために三層基板の実装面積を逆算し、グリップ形状も分子レベルで再設計されたとされるが、そこまで本当かは議論がある[3]。
仕様と仕組み[編集]
3億2000万画素と“階調再現エンジン”[編集]
の総画素数は3億2000万画素とされ、画素ピッチではなく“量子段差”の考え方で階調が決まると説明されている。ここでいう量子段差とは、撮像素子上の微小な電位の段階が複数系統で補間されるという概念である[4]。
社内の説明資料では、同機は「3億2000万の点を、3億2000万の主張にしない」設計思想を採ったとされている。実際には各画素が同一重みではなく、動き推定の結果で重み付けが変わるため、連写時の“地味な勝ち”が生まれるとされた[5]。ただし、重み付けの割合(当初は「主張係数 0.64」とされていた)は、改訂版では別値に置換されたという内部報告が残っている。
この思想が社会に与えた影響として、広告撮影の発注が「最終的な現像データ込みの判断」に寄っていった点が挙げられる。撮影者が撮って終わりではなく、“機材が作り直す部分”まで契約に含める流れが生まれたとされる[6]。
15軸補正イメージセンサーシフト方式[編集]
15軸補正のイメージセンサーシフト方式は、手ブレを単純な横縦回転だけで捉えない発想に基づくとされる。補正の軸は少なくとも、左右・上下・回転・前後・さらに“微小収差相当”まで含むと説明され、撮影者の歩行リズムに追従するよう設計されたと報じられた[7]。
ただし、15軸という数の根拠は公式資料で一貫していない。ある技術解説では「15軸は試作機の不具合から生まれた“罰ゲームの末の数”」とされ、別の回顧録では「当時の制御理論が15変数で書ける形式だったから」とされている[8]。この食い違いが、後年のユーザーコミュニティで“軸数オタク”を増やす原因にもなった。
面白い逸話として、の小規模スタジオで同機の補正ユニットを調整中、スタッフが誤ってセンサー位置を0.0001mmずらした結果、逆に手ブレが整うという事象が観測されたとされる。検証の末に、そのずれが“15軸のうち片側だけ共振周波数に合致していた”ためだと結論づけられたという[9]。
測距点最大1920点と約120コマ/秒[編集]
測距点数は静止画時最大1920点とされ、対象を“線”ではなく“点群”として捉える方式が採用されたとされている。連写時は点群の更新を約120コマ/秒で回すため、画像処理パイプラインがカメラ内部で渋滞しないよう、電源供給の位相も同期させる必要があると説明された[10]。
この同期の工程には、の研究施設で使われたという“位相帳簿”が引用されることがある。位相帳簿とは、部品ロットごとに電源位相の微差を記録し、ファームウェアで調整するためのノートであるとされる[11]。なお、この帳簿は一般に公開されず、存在自体を要出典とする指摘もある。
もっとも、最高約120コマ/秒は万能ではなく、シャッターモードやバッファ条件で体感が変わるとされている。にもかかわらず発売初期には“動画と同じ感覚で連写できる”という誤解が広がり、スポーツ現場で「撮れてはいるが繋がらない」問題が話題になったという。
歴史[編集]
“α5”系譜と、なぜⅥが必要になったか[編集]
は、α5系譜の6代目として整理されることが多い。だが、その“6代目らしさ”を作る契機は、画素数ではなく“補正の哲学”の刷新だったとする見方がある。具体的には、前世代で多発した斜め方向のブレに対し、補正アルゴリズムが追いつかないという現場指摘が積み上がり、制御変数を増やす方向へ舵が切られたという[12]。
増やした変数を15軸へ収束させる過程では、開発チームがの工場で夜間試験を繰り返したとされる。ある工程記録では、試験日は「月に22回、うち15回がブレモードA」「残りがB」という書き方をしたとされ、細かさが逆に都市伝説化した[13]。ただし、当該記録は原本が見つかっていない。
また、“3億2000万”の数字が独り歩きした理由として、総画素数が社内の販売部門にとって説明可能な上限だったことが挙げられる。技術的には別案(約3億1000万画素)も検討されたが、展示会での比較表作成の都合で3億2000万へ寄せられた、と回顧される場合がある[14]。
開発に関わった人々と、開発地の物語[編集]
同機の開発には、撮像制御系の社内チームに加え、外部から制御工学の専門家が招かれたとされる。人名は資料で複数の表記が見られるが、たとえば(やまお さくり、推定)という人物が“軸数最適化”の議論に影響したとする証言がある[15]。
現場の“空気”を示す逸話として、試作機の動作確認はの某スタジオと、同じくの郊外倉庫で行われたとされる。倉庫では、風の揺らぎを再現するために、天井の換気口を毎分17回、平均角度で「7.3度」動かす調整を行ったという[16]。この数値はなぜかカタログにも引用され、結果として一般ユーザーが「7.3度補正」と呼ぶようになった。
さらに、最高約120コマ/秒の達成は“撮像部”だけでなく、熱設計と電源制御が絡んでいたとされる。開発者は「熱は敵ではないが、位相ズレは敵だ」と語ったと報じられ、以後、社内でも位相という言葉が技術と営業をつなぐ合言葉になったという[17]。
社会的影響[編集]
は、撮影者の仕事の形を変えたとされる。従来は“撮った後に頑張る”傾向があったが、同機では補正と測距が撮影時点で積極的に働くため、撮影当日の判断が速くなったと評価された[18]。
特に報道現場では、測距点最大1920点が“カメラが見に行く”感覚を生み、取材の段取りが変化したとされる。たとえば、会見では被写体の移動前に構図を固定し、点群が“追従しきる瞬間”を待つ運用が試みられた。運用が成立した結果、同機があるだけで記事の締切が平均して12分短縮したとする社内集計があったとされるが、統計の出典は不明である[19]。
一方で、動画用途へ流用されると“静止画前提の補正設計”が露呈する場合があるとして、クリエイター側から注意喚起がなされた。とはいえ、約440gという軽量性が外ロケを後押しし、結果として撮影チームの人数を減らす方向へ進んだとする指摘もある[20]。
批判と論争[編集]
批判の中心は、数値の強さに対して実運用が追いつかない可能性がある点にある。測距点最大1920点と約120コマ/秒は魅力的だが、撮影条件によっては本来の性能が出ないため、“スペック信仰”を助長したという指摘がある[21]。
また、15軸補正の説明が難解であったことも論争の火種になった。ある評論家は、15軸という表現が「ユーザーが自分で理解できる領域を超えている」ことを示し、結果として過剰な期待を生むと論じた[22]。これに対し別の技術ライターは、軸数は理論を単純化した“商標的な数字”に過ぎないと反論したという。
さらに、存在自体に揺れがある要素として“位相帳簿”が挙げられる。要出典の指摘を受けつつも、ネット上では「位相帳簿を持つロットだけが120コマ/秒を安定稼働する」という噂が広まった。こうした噂が中古市場の価格差に影響し、結果として不透明性が問題になったとされる[23]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐久津 栞平『高速度連写時の位相同期設計』光学制御研究会, 2021年.
- ^ 浜谷 允人『15軸補正の数理モデル—仮説から実装へ』日本写真工学誌, 第58巻第3号, pp. 112-139.
- ^ M. Keller『Multi-Axis Sensor Shift and Perceptual Sharpness』Journal of Imaging Systems, Vol. 29, No. 2, pp. 41-78.
- ^ 東海林 澪『総画素3億2000万の階調再現エンジン構想』映像記録技術論文集, 第14巻第1号, pp. 5-26.
- ^ A. Paredes『Frame-Rate Upper Bounds Under Buffer Constraints』International Review of Camera Engineering, Vol. 12, Issue 4, pp. 201-233.
- ^ 【書名が一部欠落】『位相帳簿の運用実態(抄録)』東京電子技術会年報, 第40回, pp. 77-92.
- ^ 伊吹 朋也『測距点群による静止画フォーカスの最適化』精密撮像学会誌, 第9巻第2号, pp. 88-103.
- ^ R. Singh『Why 1920 Focus Points? A Marketing-Algorithm Coevolution』Proceedings of the Pixel Economy Workshop, pp. 9-18.
- ^ 鈴木 亜希子『440g級ボディ設計における重量配分の実測』日本カメラ設計研究, 第6巻第2号, pp. 33-55.
- ^ T. Okamoto『ロット差と高連写の実効性能』画像計測シンポジウム論文集, 第27回, pp. 140-151.
外部リンク
- アルファ補正ラボ
- 点群測距研究所
- 位相同期アーカイブ
- 三億二千万画素の旅
- 120コマ/秒実験ノート