あからさま建設
| 業種 | 総合建設・再開発・土木工事 |
|---|---|
| 本社所在地 | (登記上) |
| 設立 | (架空の前身統合説がある) |
| 主な事業領域 | 都市再生、橋梁補修、地下インフラ保全 |
| 特徴 | 社内の「赤札(あかふだ)会計」制度で透明化を標榜 |
| 関連団体 | 公共工事品質評価会(通称:品評会) |
| 略称 | AKC(社内文書ではA-Ken表記が多い) |
| 公式な立場 | 不透明運用は存在しないとしている |
(あからさまけんせつ)は、で展開されてきた建設業者として知られる企業である。社名の語感とは裏腹に、透明性をめぐる運用がたびたび話題となったとされる[1]。
概要[編集]
は、街の「見える」部分を派手に整えつつ、「見えない」工程を細分化して管理する方針を掲げる建設会社として記述されることが多い。一般には「社名が示すほどあからさまではない」との風評もあり、そのギャップ自体が広報素材になった時期があったとされる。
一方で、同社は工事進捗の報告を“公開”するとして、毎月の報告書に厚い付録を付けることで知られた。付録には、現場のボルトを締めた回数、コンクリートの温度差、足場の揺れの周波数までが記載されたというが、これが過剰な「透明性演出」であったのか、それとも真に品質管理の結果だったのかは判然としていない。なお、社内ではという内部制度が参照されるとされ、利害調整の手段として運用された疑いも指摘されている[2]。
命名と定義[編集]
「あからさま」の由来と建設への接続[編集]
社名の由来は複数の説があり、最も有力とされるものでは、は創業期に行われた「赤い見取り図(あか みとりず)」運動に由来するとされる。この運動では、図面上の判断が“隠れて”見えることを嫌い、赤色の注釈を必ず入れる規約が制定された。ところが同規約の文書量が増え、最終的に注釈が多すぎて図面が読めなくなるという逆転現象が起きたとされる。
その後、この問題を解決するために「赤札会計」が導入され、注釈は“赤札”という別帳に追い出されたと推定されている。すなわち、外から見る図面は白く清潔に見える一方、注釈の本体は別帳へ移されたため、皮肉にも「あからさま」という言葉が制度的には“間接化”したと説明されることがある[3]。
業界での呼ばれ方[編集]
業界団体では同社を「見えるものは見せるが、見せ方が上手い会社」と評する向きがあったとされる。加えて、競合が同じ透明性をまねようとして報告書が半年で3.4万ページに達した例があり、は“量で誤魔化す”のではなく“必要な不透明を移す”ことで管理しているのだという解釈が広まった。
ただし、当時の資料は「見える化」運用の成果として引用される一方、異なる研究者からは“見せない工程を説明で埋める技法”と呼ばれたとも記録されている。いずれにせよ、社名が合成語として機能し、建設技術の説明より先に、心理的な連想(正直さ、露骨さ、露出)を呼び込む点が特徴とされている[4]。
歴史[編集]
前身、そして「赤札会計」導入[編集]
初頭、の前身とされる3社は、公共工事の契約条件が複雑化したことに伴い、見積もりの根拠を説明するための帳票を統一しようとした。契約上の“根拠”は提出物に限定され、口頭説明は認められにくかったため、説明のための説明が増えるという負の連鎖が起きたとされる。
そこで、当時の事務方責任者である(やまぎし ごうじろう)が「赤札会計」を着想したと伝えられている。赤札会計とは、現場で発生した例外処理を赤札として分類し、例外処理の理由を“工事の説明”から“会計の説明”へ移す仕組みである。結果として、工事報告書の本文は整然としたが、赤札は別置きで積み上がっていったとされる[5]。
なお、ある内部報告書では「赤札は平均で月あたり1工事に対し、厳密には17.6枚で、四捨五入すると18枚」と記載されているという。数字がやけに細かい点から、当時の集計担当が神経質であったのか、それとも集計そのものが制度の“儀式”になっていたのか、後年の検証では意見が割れている。
都市再生プロジェクトと評価会(品評会)[編集]
後半、同社はの湾岸再整備に参入し、橋梁補修と地下配管の更新を一体で請け負ったとされる。このプロジェクトでは、完成後の“見た目”だけでなく、地下の温度変動や地盤の微振動を、指定周波数帯ごとに記録して提出したとされる。
さらに、同社が主導したとされる「公共工事品質評価会(通称:品評会)」が設置され、評価の観点が“工程の透明さ”へ寄った。品評会は本来、品質の客観化が目的とされるが、運用が進むにつれて、客観化のために必要な書類が膨張し、「測っていること自体が品質である」との錯覚を生むようになったと批判された[6]。
この時期の代表例として、における再開発で「排水勾配の微差」をめぐる争いがある。勾配の数値は0.02%単位で調整されたとされ、報告書には“調整回数 41回”という痕跡が残るという。しかし、回数の根拠が現場記録ではなく、赤札会計の分類に基づいているとされ、後年に「測定より分類が先行したのでは」とする指摘が出た[7]。
平成期の拡大と、透明性の逆転[編集]
以降、同社は「住民向け公開会議」を頻繁に開催し、工事の進捗を掲示板と電子掲示で提示したとされる。掲示板には“施工の見どころ”が彩色され、住民が自由に質問できる形式が採用された。
ただし、質問に対する回答は毎回、短い期間で差し替えられたとも指摘される。ここで、が“説明の差し替え”にも関与したのではないかと疑われた。つまり、住民の疑問は公開の場で処理されるが、根本の整理は別帳で更新されるため、公開情報だけを見ると整合性が取れているように見える、という構造が形成されたとされる[8]。
この逆転構造が、社名の「あからさま」さえも相対化し、「あからさま=露出ではなく、露出に見える運用」とする見解が広まった。もっとも、この見解を“陰謀論”と退ける立場もあり、当時の広報担当は「透明性は手続で担保するもの」との趣旨を繰り返したと伝えられている。
主な事例とエピソード[編集]
が広く知られる契機となった事例は、実務上の細部がむしろ話題化する点にある。例えば、あるマンション改修工事では、外壁のひび割れ補修に使う下地処理を「工程別に色分け」したうえで、住民向けには色だけが見えるよう調整されたとされる。色は赤・青・黄の三色で、工程の順番も公開されたが、肝心の“時間”は公開資料から意図的に抜かれたと噂された。
別の案件では、足場の安全点検が“週1回”とされながら、実際には気象条件により週当たり最大3回まで増えると説明されたという。しかし点検表には「最大3回」ではなく「最大2回+臨時0.5回」という奇妙な書き方が記録されていたとされる[9]。この「0.5回」が何を意味するかについては、測定のうち“写真だけ撮る回”なのか、“安全確認のみ一部実施する回”なのか、複数の解釈が流通した。
また、同社が受注したの地下改良案件では、工期短縮のために工区を17分割し、各工区の進捗を「17進法(せぶんしんぽう)」で管理していたという逸話がある。実際に17進法で入力されていたかは要出典のままであるが、報告書のフォーマットだけが“17列”で整っていたため、当時の新人が「これ、仕様ですか?」と聞いたところ、古参社員が「仕様というより祈りだ」と答えた、という形で語り継がれている[10]。
批判と論争[編集]
同社に対する批判の中心は、透明性という言葉が、実際には“透明に見える範囲を戦略的に定義すること”へ変化していたのではないか、という点である。特に、赤札会計のような内部分類を通じて、外部提出物では整合性が保たれつつ、詳細は別帳に退避する構造が問題視された。
の運用についても、評価の指標が書類の完成度に寄り、現場の裁量が“測られるまでの演技”に寄せられたとの指摘がある。さらに、住民公開会議の場で出された要望が、公開資料では短期間で反映されたように見えるが、実工事への反映は遅延し、結果として住民の記憶が薄れるタイミングで最終調整が行われたのではないかと疑われた[11]。
ただし、同社はこれらを一括して否定し、「工程の記録は責任の所在を示すためにある」と主張したとされる。なお、反論書には「透明性の定義を誤解している」という文言が見られたと報じられているが、その定義がどこまで具体的かは説明されていない。こうした“定義の空白”が、あからさま建設という社名の妙と結びついて、終わりのない議論を生んだと考えられている。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 北野 玲一『建設企業の説明責任と帳票文化』筑摩書房, 1998.
- ^ M. A. Thornton『Visibility as Contractual Practice in Civil Engineering』Oxford University Press, 2004.
- ^ 山岸 剛治郎『赤札会計――例外処理を移送する技術』日刊建設経営社, 1965.
- ^ 藤堂 眞琴『透明性は手続で担保できるか』日本法令出版, 2001.
- ^ S. Kapoor『The Paperweight Effect: When Reporting Becomes Work』Springer, 2013.
- ^ 公共工事品質評価会編『品評会の評価基準(第3版)』全国品質協議会, 1987.
- ^ 佐伯 亜希『図面が白くなるとき:注釈の行方』勁草書房, 2010.
- ^ 『港区湾岸再整備 工程記録集』港区都市整備局, 1979.
- ^ 田村 眞一『17進法で測る工区管理』土木情報学研究所, 1996.
- ^ L. Hernandez『Construction Governance and Narrative Consistency』Cambridge Academic Studies, 2018.
外部リンク
- Akarasama Construction アーカイブ
- 品評会(公共工事品質評価会)ポータル
- 赤札会計 記録検索所
- 住民公開会議 オープン掲示板図書館
- 工程記録 形式知化 研究会