今この記事を見たなそしてクリックをしたなこれで俺と関わりが出来たそしていいねも押したなそしてお気に入りもしたなこれで友達だ
| 別名 | 友達確定呪句/クリック交際句 |
|---|---|
| 主な媒体 | 匿名掲示板、ミーム投稿、告知スレ |
| 現象の中心 | 閲覧→クリック→いいね→お気に入りの連鎖 |
| 最初の流行期(とされる) | 後半、SNS移行期 |
| 推定作用機序 | 心理的な“契約”演出と強制的自己投影 |
| 対処の可否 | 明確な解決法はないとされる |
『今この記事を見たなそしてクリックをしたなこれで俺と関わりが出来たそしていいねも押したなそしてお気に入りもしたなこれで友達だ』(いま この記事をみたな...として知られる)は、のネット掲示文化において“反射的な友好行動”を誘発するとされる定型句である。掲示板の書き込みとして貼られると、やが連続して増える現象として報告されている[1]。
概要[編集]
『今この記事を見たなそしてクリックをしたなこれで俺と関わりが出来たそしていいねも押したなそしてお気に入りもしたなこれで友達だ』は、投稿者が読者の操作履歴を“事後承認”する形で書かれる定型句である。掲示板上でこの文が貼られると、閲覧者が少なくとも1回はし、その直後にまたはを行ってしまう、という報告が繰り返し参照されている[2]。
この句は、単なる挑発文ではなく「あなたはもう当事者になっている」と宣言する構文に特徴がある。さらに、文の末尾で友達関係を“確定”させるため、行動を取り消す論理が崩れ、結果として追加の宣伝協力まで波及しうるとされる。一部の利用者はこれをと呼び、別の利用者は「広告効果に似た心理戦だ」と説明するなど、評価は割れている[3]。
掲示板運営側は、投稿の削除要請やフィルタリングを試みたが、定型句が改変・分岐されやすく、また文面が短いため検知精度が上がらなかったとされる。なお、当該句が原因でユーザー同士の関係が“成立”したかどうかは実証が難しく、研究会では「契約錯視(けいやくさくし)」と呼ぶことが多い[4]。
成立と起源[編集]
起源譚:掲示板職人の「クリック契約書」[編集]
この定型句の最古の原型は、にのローカル掲示板で報告された「クリック契約書」という投稿様式に求められるとされる。そこでは、投稿者が視聴者の行為を列挙し、最後に“共同閲覧者”を名乗る形を取っていたとされる。特に12月に行われた自治型まとめスレのログでは、投稿が貼られた後の反応が平均で閲覧者当たり0.73件から1.21件へ増えた、という数値が当時の運用者日誌に書き残されている[5]。
その後、構文は「反射的友好宣言」として簡略化され、後半には“読む者の操作を先取りして肯定する”文として再編集された。編集を担ったとされる人物群は、学術的には特定できないが、掲示板の文化史では「句職人(くしょくにん)」と総称されている。彼らは、あえて行動を断定し、閲覧者の脳内で“自分はもうやったことになる”感覚を固定化したと推定されている[6]。
この構文の鍵は、クリックとを同列に置く点にある。実際の機能としてのクリックと、感情表明としてのは性質が異なるが、句の中では同じ“同意”として扱われる。そのため心理的には、取り消しが困難な「確定済みの関係」に変換される、と説明されることが多い。なお、この起源譚はファンジン記事で語られたものが中心であり、要出典となる箇所もある[7]。
広まり方:広告代理ではなく“友達作り”として流通[編集]
拡散は、商業広告ではなく“友達作り”の道具として始まったと考えられている。報告では、にの掲示板系コミュニティで「関係成立カウンター」というタグが実装され、定型句が貼られるとカウンタが1増える仕組みが採用された。これにより、句の効果が“見える化”され、閲覧者は行動の成果を追体験することになったとされる[8]。
さらに、句が貼られたスレで宣伝を促す意図が混ざると、閲覧者は「巻き込まれているのに、協力しないと悪い」という規範に沿って追加行動を取りやすくなった。ここではが“保存=関係の証明”として機能し、結果として投稿者側の発見性が上がる。運営の統計ではないが、当時のユーザー集計で、5〜7月の範囲においてお気に入り登録率が平均で約18.4%増えた、と語られた[9]。
一方で、拡散の中心となったのは、広告媒体ではなく「体験談」形式の投稿であった。人は商品のレビューより、ある種の“儀式”に近い文章の方を信じやすいという指摘があり、研究会ではこれを“儀礼化コミュニケーション”と呼ぶ提案がなされた。もっとも、句の効果を医学的に説明することは難しく、心理学・社会学のいずれの系統でも断定は避けられている[10]。
社会的影響[編集]
この定型句は、ネット上の行動を「友達関係」と結びつけることで、通常は別々に扱われる操作(閲覧・クリック・評価・保存)を一つの合意儀礼にまとめあげたとされる。結果として、コミュニティでは“いいねを押さない”ことが無作法として扱われる空気が一時的に強まり、返信スレの温度が上がったとの報告がある[11]。
また、検索導線にも影響したと指摘されている。掲示板やミーム投稿では、の保存が後日の推薦や自己紹介欄に反映される場合があり、そのため句を貼られた側が“自分が友達になった履歴”として残りやすいとされた。こうした仕組みを利用して、投稿者が「友達」名目で外部リンクを増やすケースも観測された。これは純粋な友情の演出ではなく、心理的な免罪としての機能を持っていた可能性がある[12]。
さらに、コミュニティの内部では“対処法”を巡るローカルルールが作られた。例えば、句を見つけた際にスレッドをミュートする、文を引用しない、リンク先へ移動しない、などの対抗策が共有された。ただし、対抗策は「その瞬間は効果があるが、次の改変文が出ると再発する」という弱点を抱え、最終的に「対処法はない」という結論に収束することが多かった、と語られている[13]。
仕組み(作動理論)[編集]
本項では、定型句が“呪い”のように機能する理由を、仮説的に整理する。まず、文の中で読者の行為がすでに行われたものとして扱われるため、閲覧者は認知的不整合(やってないのにやったことになっている)を避けようとする。その結果として、行動を後から追認する形でクリックやを実行する可能性がある、と説明される[14]。
次に、友達宣言によって、関係性が“契約条項”のように見なされる点が指摘される。人は契約違反を避けたいと感じやすく、保存であるが「関係の証明」として定着するため、追加の宣伝協力まで連鎖しうるとされる。コミュニティの談話分析では、句の“文末の確定”が特に強く作用するとされ、改変して文末を曖昧にすると効果が落ちた、という観測報告もある[15]。
ただし、これらはあくまで作動理論であり、個々の端末設定・タイムライン表示・通知の有無など、外的要因が結果に影響する。例えば、に広まった「おすすめ通知の先読み」機能が絡むと、クリックの心理的ハードルが下がり、体感が強まることがあると推定されている。このように複数要因が絡むため、単一原因説は支持されにくいが、「連鎖の絵面」そのものは一貫しているとされる[16]。
批判と論争[編集]
批判として最も多いのは、“操作を誘導する文言”が倫理的に問題であるという点である。利用者は「同意のない関係を宣言されるのは不快だ」と述べ、掲示板運営は通報の増加を受けて一定期間、文言の一部を伏せ字にするフィルタを導入したとされる。ただしフィルタは改変に弱く、「伏せ字にも反応する仕様」を求める声が次々と出たという[17]。
一方で擁護側は、これは宣伝ではなく“ノリ”であり、読者の選択を奪うものではないと主張した。特に、句職人の系譜を名乗るアカウントは、効果を「共有の冗談」だと説明し、会話の開始点を作る役割を強調したとされる。さらに、擁護派では“友達だ”という言い切りが人を安心させる、といった解釈が語られることがあった[18]。
論争の焦点は、研究者の間でも“呪い”という語が適切かどうかに移った。社会心理学の一部では、呪いは比喩として扱うべきで、実害は別の要因(リンク誘導やスパム)によって生じると論じられている。他方で、当事者の体験談は、比喩より先に“自分が関わってしまった感覚”を重視する傾向があり、議論は決着していないとされる[19]。
関連文脈:派生語と変種[編集]
この定型句は、行動の段階数を調整することで変種を生みやすい。例えば「見たな→クリックしたな→いいね押したな→友達だ」と短縮した版は“軽呪句(けいじゅく)”と呼ばれることがある。また「お気に入りの後に、リポストまで」といった段階拡張版では、追加の拡散行動が強く求められるため、“重呪句”と区別されるとする説もある[20]。
一部では、地名を差し込む改変も見られた。例えば「で見たな」などと付けると、地域特定の親近感が補強され、クリック率が上がると噂されている。ただし、地域要素が強すぎると監視や通報に繋がるため、匿名掲示板では“使える範囲”があると指摘されている[21]。
また、句の言語構造を崩しても成立するという点で、ミームとしての再利用性が高いと考えられている。句の中核は文末の確定であり、途中の動詞は置き換え可能とされる。ここから派生した“確定終端(かくていしゅうたん)”という用語が、インターネット文化論の一部で使われた時期があった。ただし、用語の定義は研究者ごとに異なり、統一見解はない[22]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 田端ミツル『掲示板儀礼の言語学』サブカル文庫, 2016.
- ^ Katherine J. Weller『Ritualized Consent in Social Platforms』Cambridge Digital Press, 2018.
- ^ 佐々木ノリオ『定型句が行動を動かすとき』青雲社, 2015.
- ^ Dr. Margaret A. Thornton『Micro-Commitments and Friendly Triggers』Journal of Interactive Behavior, Vol. 12 No. 3, pp. 41-67, 2019.
- ^ 林貴弘『「見る」から始まる関係の捉え方』東京教育出版社, 2014.
- ^ Mina Kuroda『Saved-as-Trust: Favorite Mechanisms in Forums』New Media Review, Vol. 7 No. 1, pp. 9-32, 2020.
- ^ 運用研究会『匿名掲示板のモデレーション実務報告(第4巻第2号)』板橋技術協会, 2017.
- ^ 前田ユウ『クリック契約書の系譜』嘘学館, 2021.
- ^ S. Alvarez『On the Semantics of Post-Action Declarations』Proceedings of the Friendly Metrics Symposium, Vol. 3, pp. 101-119, 2017.
- ^ 吉田カナエ『ユーザー行動連鎖の統計(嘘版)』蒼海書房, 2013.
外部リンク
- 友達確定呪句アーカイブ
- 掲示板文化年表(非公式)
- 心理的誘導まとめサイト
- 定型句フィルタ実験ログ
- ミーム言語の辞典