あややはガチ(きんいろモザイク)
| タイトル | あややはガチ |
|---|---|
| ジャンル | 学園コメディ、日常、メタフィクション |
| 作者 | 久留美 みなと |
| 出版社 | 東雲書房 |
| 掲載誌 | 月刊リリカルブリッジ |
| レーベル | BRIDGE COMICS |
| 連載期間 | 2012年4月号 - 2018年11月号 |
| 巻数 | 全11巻 |
| 話数 | 全74話 |
『あややはガチ』(あややはがち)は、・久留美 みなとによるの。『』()において連載された[1]。
概要[編集]
『あややはガチ』は、をモデルとした私立綾乃女学院を舞台に、硬派な転校生・あややこと綾瀬谷 真琴と、彼女を「ガチ」と断言する同級生たちの関係を描いたである。題名の「ガチ」は作中では「真剣」「本気」を意味する学内スラングとして扱われ、のちに読者間で独立した用語として流通したとされる[2]。
作品は、一見するとに分類されるが、実際には校内新聞部の誤報、地域商店街の再開発、文化祭での伝説的寸劇などが複雑に絡み合う構成であり、後半では半ばに接近する。連載当時は「何でもない会話が急に妙に熱い」と評され、は142万部を突破したとされる[3]。
制作背景[編集]
作者の久留美みなとは、もともとの美術予備校で背景美術を担当していた人物で、2009年ごろに『月刊リリカルブリッジ』の編集会議へ持ち込んだ四コマ案が本作の原型であったという。編集長の早坂武志は、当初「会話が硬すぎる」と却下したが、登場人物の一人が“あややはガチ”と書かれたホワイトボードの落書きを見て方針を変更したと伝えられている。
なお、作中で頻出するとの描写は、作者がの車内広告を毎朝観察していたことに由来するとされる。また、原稿中のトーン指定に「ここで本気を出す」とだけ書かれたページが13回確認されており、アシスタントの間では「本気マーカー」と呼ばれていたという[4]。
あらすじ[編集]
新学期編[編集]
春、転入生の綾瀬谷真琴は、品行方正で無口な少女としてに迎えられる。しかし、隣席の西園寺ユイが彼女のノートに貼られた付箋を見て「この子、全部ガチだ」と発言したことから、学年内で“あややはガチ”という謎の評判が広まる。以後、真琴は何をしても「ガチ判定」されるようになり、購買部のパン選びですら一種の儀式として描かれるようになる。
文化祭編[編集]
文化祭では、演劇部の代役不足を埋めるために真琴が風の劇に出演するが、台本の一部を独自解釈した結果、上演時間が予定の37分から81分へ延長された。客席では保護者会が静まり返った一方、地域の商店街組合が「真剣勝負の教育効果」を評価し、翌年以降の協賛金を1.8倍に引き上げたとされる。
この編で初めて登場する“ガチメーター”は、ユイが勝手に作成した5段階の評価表であり、以後の巻では重要な物差しとして機能する。ガチメーターの数値が4を超えた回では、必ず誰かが走るという法則がある。
修学旅行編[編集]
への修学旅行では、真琴の真面目さがついに現地の鹿にまで伝播し、鹿せんべいを渡す際の礼儀作法が学内で議論となる。作中では、宿舎の消灯後に行われた「ガチとは何か」を巡る会話が名場面として扱われ、単行本第6巻の帯には「青春は、たいてい本気である」と記された[5]。
また、この編ではなぜか前の売店に学内新聞の号外が貼り出されるなど、地理的な整合性をやや逸脱した演出が見られるが、ファンの間では「勢いで押し切るのが本作の正道」と整理されている。
登場人物[編集]
綾瀬谷 真琴は、本作の中心人物であり、作品タイトルの由来でもある。無表情に見えて実は負けず嫌いで、テストの点数が92点でも「まだ足りない」と言い出すため、周囲からはしばしば修行僧に例えられる。
西園寺 ユイは、真琴の“ガチ”性をいち早く見抜いた人物で、作中最大の煽り役である。口調は軽いが観察眼は鋭く、文化祭での発言「この人、心拍数まで本気」が読者投票で人気台詞第1位を獲得したとされる。
早乙女 ミサキは新聞部所属で、誤報と飛ばし記事を量産する一方、なぜか真琴に関する記事だけは異様に正確である。彼女が校内掲示板に貼った“ガチ認定証”は、後年の同人誌文化にまで影響を与えたとされる。
このほか、担任の霧島先生、購買部の高橋さん、地域商店街の会長・片桐正雄などが登場し、いずれも本筋と関係ないのに妙に重要な役回りを担う。なお、高橋さんは連載中に3回だけ名字が変わっており、単行本ではすべて修正されている。
用語・世界観[編集]
作中世界では、「ガチ」は単なる俗語ではなく、周辺の若者文化で用いられる評価概念である。主に「手を抜かないこと」「妙に本気なこと」「本人は至って真面目だが周囲が面白がること」の三義を持つとされ、作中では度数のように扱われることもある。
「ガチメーター」は、ユイが独自に開発した評価システムで、睡眠時間、返事の速さ、購買部パンの買い方など9項目から算出される。公式設定資料集によれば、満点は100ではなく「無限大」とされているが、実際には第3巻以降ほとんどの人物が23前後で推移する。
また、綾乃女学院の校舎には「第三音楽室の隣にある使われていない階段」という、実在したら危険なほど便利な空間が存在する。この階段は“告白未遂の発生率が高い場所”として物語上の要所となり、では「感情の中継地点」と呼ばれている。
書誌情報[編集]
単行本は9月に第1巻が刊行され、2月の特装版をもって全11巻で完結した。初版帯には「ちいさな本気が、世界を動かす。」という煽り文句が印刷され、実際に第4巻までは重版が比較的早かったという[6]。
書誌上の特徴として、第7巻以降は各巻末に作者の手書きコメントが収録され、ここでのみ「編集部に止められた小ネタ」が読める。とくに第9巻の付録小冊子『あややはガチ 公式歩数計』は、なぜか校内での歩数と心の揺れを対応づける謎のチャートが掲載されていた。
メディア展開[編集]
2015年にはが発表され、系列の深夜枠にて全13話が放送されたとされる。アニメ版では真琴の沈黙が原作以上に長く、制作現場では「5秒の間にセリフを詰め込むな」という注意書きが何度も出されたという。
その後、ラジオ番組『あややは本気でしゃべる』、舞台化公演『あややはガチ The Stage』、さらに向けリズムゲーム『ガチ☆ダッシュ』へと展開し、いわゆるメディアミックスの成功例として扱われた。特にゲーム版は「告白ボタンを押すタイミングがすべて」であるため、初週ダウンロード数が18万件を超えた一方、最終面で攻略法が誰にも分からず投げ出されたプレイヤーが多かったという。
反響・評価[編集]
連載当時、本作は「ただの日常ものではない」「会話の温度が異様に高い」としてで断続的に話題となり、単行本3巻発売時には書店の平積みがとで同時に消えたと報じられた。特に“ガチ判定”という言葉は若年層の間で流行し、2017年のある調査では関東圏の高校生の14.2%が一度は使ったことがあると回答したとされる[7]。
一方で、評論家の真柴秀明は『現代少年誌研究』第44号で、本作を「学園コメディの皮を被った規律論の寓話」と評し、作品の評価軸を一段引き上げた。しかし、文化祭編の長回しと設定の増殖については「もはや作者自身がガチである」との指摘もあり、読者の間では称賛と困惑が半々であった。なお、最終回直後に“あややはガチ”のタグが一時的に国内トレンド1位になったという話があるが、出典は確認されていない。
脚注[編集]
[1] 東雲書房広報部「『月刊リリカルブリッジ』新連載告知」『刊行速報』2012年3月号, pp. 4-5. [2] 霧島倫太郎「若者語としての“ガチ”の受容と変容」『学園文化年報』Vol. 18, pp. 112-129. [3] 東雲書房編集部『BRIDGE COMICS 年鑑 2018』東雲書房, 2018年, pp. 66-67. [4] 久留美みなと『ネーム帳と本気マーカー』東雲アートワークス, 2016年, pp. 21-24. [5] 井出佐和子「修学旅行回における共同体感覚」『漫画研究ジャーナル』第12巻第2号, pp. 33-41. [6] 『あややはガチ』第1巻帯コメント、東雲書房、2012年. [7] 文化流行研究所「2017年度 関東圏高校生語彙調査」『若年層言語白書』2018年版, pp. 90-92. [8] 真柴秀明『現代少年誌研究』第44号, pp. 8-19. [9] 「テレビアニメ『あややはガチ』制作記録」『月刊リリカルブリッジ』2015年10月号, pp. 50-55. [10] 木下望『ガチの倫理学』新都社出版, 2019年, pp. 141-149.
関連項目[編集]
脚注
- ^ 東雲書房広報部「『月刊リリカルブリッジ』新連載告知」『刊行速報』2012年3月号, pp. 4-5.
- ^ 霧島倫太郎「若者語としての“ガチ”の受容と変容」『学園文化年報』Vol. 18, pp. 112-129.
- ^ 東雲書房編集部『BRIDGE COMICS 年鑑 2018』東雲書房, 2018年, pp. 66-67.
- ^ 久留美みなと『ネーム帳と本気マーカー』東雲アートワークス, 2016年, pp. 21-24.
- ^ 井出佐和子「修学旅行回における共同体感覚」『漫画研究ジャーナル』第12巻第2号, pp. 33-41.
- ^ 『あややはガチ』第1巻帯コメント、東雲書房、2012年.
- ^ 文化流行研究所「2017年度 関東圏高校生語彙調査」『若年層言語白書』2018年版, pp. 90-92.
- ^ 真柴秀明『現代少年誌研究』第44号, pp. 8-19.
- ^ 「テレビアニメ『あややはガチ』制作記録」『月刊リリカルブリッジ』2015年10月号, pp. 50-55.
- ^ 木下望『ガチの倫理学』新都社出版, 2019年, pp. 141-149.
外部リンク
- 東雲書房 作品アーカイブ
- 月刊リリカルブリッジ 公式特集ページ
- あややはガチ 公式設定資料室
- 綾乃女学院 同窓会記録室
- ガチ文化研究会