じょるじょるダンス
じょるじょるダンス(じょるじょるだんす)とは、和製英語の造語として、意味ありげな膝の屈伸と手拍子を同期させた即興ムーブを指す。〇〇を行う人はじょるじょるヤーと呼ばれる[1]。
概要[編集]
は、意味の解釈が後から増殖していくタイプのサブカル即興運動として知られている。インターネットの発達に伴い、動画共有サイトで“踊り”というより“自己申告の儀式”のように頒布され、短い尺で反復可能なことが支持された。
初期のころは地域イベントでの余興として認知されていたが、のちに「振付の正解よりも、語りの正解が重要」とする鑑賞態度が広まり、じょるじょるヤーは“動き”だけでなく“説明文”まで含めて文化を完結させるものと理解されるようになった[2]。
定義[編集]
明確な定義は確立されておらず、概ね「(1)膝を“にじみ”のように沈める屈伸」「(2)胸の前で手拍子を“ほどく”ようにずらす」「(3)最後に肩で小さく合図する」の3点セットとして説明される[3]。
この3点セットは、音源のテンポに合わせるだけではなく、“歌詞の意味に追従しない”ことが特徴とされる。一方で、踊り手が「今のは失恋のじょるじょる」「これは宇宙の家賃」などと後付けで情景を宣言し、視聴者がそれを採点する慣習も指摘されている[4]。
なお、動画が長尺であっても許容される場合があるが、最終的に“1ループで誤魔化しが効く”ことが好まれ、ループ長は体感で2.7秒から4.1秒の範囲に収まることが多いとされる[5]。
歴史[編集]
起源[編集]
の起源は、前後にの下町ネット喫茶で行われていた“回線の遅延を踊りに変える集団”に求められるとする説がある[6]。そこで流れていたのは当時人気だったチャット連動型のミーム動画で、読み込みが途切れる瞬間にだけ、皆が同じような膝の動きをしていたという。
この時期、ムーブには特定の曲名が結び付けられず、「じょるじょる」は遅延を表す擬音として掲示板に書き込まれた。のちにその書き込みが和製英語風に誇張され、「Jorujoru(揺れるの意)+Dance(ダンスの意)」という“それっぽい語感”として定着したとされる[7]。
年代別の発展[編集]
にはのストリート寄席で「回線遅延チャレンジ」として披露された記録があり、観客が拍手のタイミングを1拍ずらすと踊り手が“完成した気持ち”を吐く、という演出が受けたとされる[8]。
には、短尺投稿文化が強まるなかで、振付が“右膝優先”か“左膝優先”に二分される議論が起きた。界隈では「右膝ヤーが王道、左膝ヤーが裏道」と呼ばれ、自己紹介欄に膝の好みを必ず書く習慣が生まれたとされる[9]。
には、配信プラットフォームの統計から「投稿1本あたりのコメント増加率が平均になる」という“らしさ”のある数字がまとめられ、盛り上がりの根拠として参照された。ただしこの数字は、誰かが集計したのではなく、まとめ記事の筆者が計測アプリの表示をそのまま引用したものに過ぎない、という内輪のツッコミも残っている[10]。
インターネット普及後[編集]
インターネットの発達に伴い、は“踊って終わり”ではなく、“踊った後の解釈で評価が決まる”傾向へと変化した。具体的には、動画の終端に配置されるテロップが「じょるじょるヤー宣誓文」として機能し、視聴者はそれを引用して別動画を作る、という二次頒布が活発になった[11]。
また、拡散の速さを意識して「撮影は、投稿は」といった生活リズムまで最適化され、“儀式化した努力”が語られるようになった。明確な定義は確立されておらず、ただしこの儀式化こそがアイデンティティだとする論が有力である[3]。
特性・分類[編集]
は、動作の“質感”で分類されることが多い。分類の軸は「膝の沈みが滑らかか(ねっとり型)」「手拍子がかみ合うか(かちゃ型)」「最後の肩合図が小さいか(ちいさ型)」などで、愛好者同士が口頭で“味”を共有する傾向がある[12]。
代表的な分類として、ねっとり型(の比喩が多い)、かちゃ型(小刻みな誤差が称賛される)、ちいさ型(カメラに届かない寸法で勝負する)などが挙げられる[13]。一方で、投稿者が意図的に分類を混ぜることもあり、その場合は「混合味」として歓迎される。
さらに、音源に関しては歌ものでも無音でも成立するとされる。ただし界隈では「無音のほうが伝わる」と主張する者もいれば、「聞こえない苦しみが必要」とする者もおり、明確な線引きは設けられていない[14]。
日本における〇〇[編集]
日本におけるは、主にとの隙間で育ったと説明されることが多い。特にでは、振付を覚えるより“説明文テンプレ”を作るほうが楽だとされ、テンプレ職人がじょるじょるヤーの中心人物として語られた[15]。
一部の地域では、商店街の夜市で「じょるじょる路地ルール」が導入された。路地の幅に合わせて最初の屈伸をに固定し、手拍子を、というローカル規約が作られたとされる。ただしこのルールは、現地の掲示板に残っていないにもかかわらず“誰かの記憶”として流通している点が特徴である[16]。
また、の意識が高まる局面では、既存曲の利用を避けて自作ジングル(通称「じょる線」)に置き換える動きが強まった。頒布は主にテンプレ動画の二次公開として行われ、配布形態はパッケージ化されず、コメント欄で更新されることが多かったとされる[17]。
世界各国での展開[編集]
は日本国外でも類似現象として受容されたが、海外ではしばしば“日本の謎ダンス”として紹介される傾向があった。特にのストリーム文化では、宣誓文(テロップ)の切り取りが先に拡散し、動作のほうは後追いで再現されたとされる[18]。
では、膝の屈伸に哲学的解釈を与える短文エッセイとセットで共有され、「じょるじょるは時間の遅延を抱擁する」という極端な要約が広まった。なお、この要約がどこから来たのかは追跡不能とされ、ただ“それっぽい”ために生き残った点が、ネット文化の可塑性として語られる[19]。
一方ででは、チーム単位で“みんなの誤差”を統計化し、平均ズレを目標値とする“エンブレム踊り”が流行したとされる。ただしそのは、誰かの測定ではなく、字幕のフォントレンダリング遅延から逆算された数値だという噂もあり、真偽は判然としない[20]。
〇〇を取り巻く問題(著作権/表現規制)[編集]
を取り巻く問題は、主に著作権と表現規制の二軸で整理されることが多い。まず、初期には既存曲の使用が多く、振付よりもテロップが注目される一方で音源の権利処理が追いつかないケースが見られたとされる[21]。
また、動画プラットフォーム側の運用変更により、特定の擬音テロップ(例:「じょる…」の連続表記)が“性的/暴力的連想”として誤検知され、削除や制限が発生したという。明確な因果関係は示されていないが、コミュニティでは「表記を1文字減らすと通る」といった回避ノウハウが共有された[22]。
さらに、創作の派生が加速した結果、テンプレの丸投げ頒布が増え、オリジナルの説明文テンプレをめぐって小競り合いが生まれた。ある編集者気質のじょるじょるヤーが「頒布の前に、出典の情景だけは書け」と主張したことが、のちの自主規約の原型になったとされるが、出典の定義自体があいまいなまま残った[23]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 山川コウ『遅延は踊れる—掲示板発ミームの身体化』新都社, 2016.
- ^ Dr. Margaret A. Thornton『The Semiotics of Slap-Beat Gestures』Oxford Meme Press, 2019.
- ^ 田辺ゆずは『和製英語の流通史:なぜ“っぽさ”が勝つのか』講談学術, 2018.
- ^ 佐藤ミチル『短尺動画における後付け意味の設計』Vol.12 No.3, ネット語用論研究, 2020.
- ^ 鈴木アキラ『文化祭余興のデータ化と儀式化』第4巻第2号, 地域サブカル紀要, 2017.
- ^ 『配信プラットフォーム運用と誤検知の統計(匿名版)』Tech Platform Review, pp.41-58, 2021.
- ^ Hiroshi Nishimura『Delay-Aware Choreography in East Asian Microcultures』SpringerByte, Vol.7 No.1, 2022.
- ^ 小林慎太郎『頒布の倫理:二次公開コミュニティ入門』潮見文庫, 2023.
- ^ 渡辺精一郎『擬音テロップと運用規約—誤検知の境界線』[要出典風]青空法務出版, 2020.
- ^ 『ネット文化年表:2008〜2022 断片史』国際コミュニティアーカイブ, pp.88-101, 2022.
外部リンク
- じょるじょるヤー公式アーカイブ
- 短尺振付データベース“膝味辞典”
- 二次頒布掲示板(更新停止中)
- 擬音テロップ誤検知アラート集
- 文化祭テンプレ職人ギルド