どさんこくん
| 通称 | どさんこくん |
|---|---|
| 地域 | (全道域) |
| 運用主体(推定) | 放送局・自治体連携の広報チーム |
| 関連番組(文脈上) | 系の情報番組枠 |
| 特技設定 | 馬券予想に似た“天気読み” |
| 導入年(資料差) | 前後とされる |
| 視聴者参加 | 街頭サンプリングと投票企画 |
| 公式呼称 | 「どさんこくん」+年号付きの称号 |
どさんこくんは、を象徴するマスコットとして運用されているとされるキャラクターである。発祥は民放局の「地域密着企画」だと語られてきたが、実際の運用経緯は複数の証言で異なっている[1]。また、番組内の“視聴者参加型”施策と結びつき、広報と消費行動を同時に動かした事例として言及されることがある[2]。
概要[編集]
は、の生活文化や季節感を“わかりやすく擬人化する”ために考案されたとされる地域マスコットである。紹介資料では、丸みのある体型と語尾のリズムが特徴とされ、特に家庭向け情報番組の冒頭で「今日の道産」を一言で要約する役割が与えられてきたとされる[3]。
一方で、運用の実態は「キャラクター」よりもむしろ広告・広報の作法に近いとされている。すなわち、視聴者の注意をつかむ導入設計と、視聴後の行動(買い物、来場、投票)を同時に誘導するための“擬似キャラクター装置”として整備されたという指摘もある[4]。
このための関連文脈(「お馬さん」的な親しみ、夕方帯の雑談型構成、「どさんこワイド」類似の口調)と結びついて語られることが多い。ただし当事者側の発言は一致しておらず、特に「いつからどこで登場したか」については、資料上の空白と口伝のズレがあるとされる[5]。
成り立ち(発祥と運用設計)[編集]
どさんこくんの発祥は、放送局の番組制作史よりも先に“物語の型”として成立したとされる。1980年代後半、の広告代理店で働いていたとされる「企画技師」が、視聴者の記憶に残る合言葉を研究するため、統計という名の“韻律実験”を行ったことが起点だと語られている[6]。
その実験では、天気予報や交通情報などの見出しを、語尾の音数・母音数で分類し、最終的に「伸びる語尾=行動の確率が上がる」という結論に至ったとされる。そこで生まれた“型”が、のちにマスコットへ移植されたと推定される。なお、この結論をまとめた社内報は第17号だけ配布が遅れ、配布日が2月19日だったとする証言が残る[7]。
また、どさんこくんは単なる愛称ではなく、季節ごとに役割を入れ替える運用が前提とされていた。例えば、春は「苗(なえ)を食べる」、夏は「川(かわ)を冷やす」、秋は「祭(まつり)を整える」、冬は「暖(だん)を借りる」といった“擬似スローガン”が毎月微調整され、台本の改稿回数が月平均で12.3回だったとする内部記録が引用されることがある[8]。
この運用は、当時の情報番組が“便利情報の寄せ集め”に見られることへの対策として設計されたとされる。そこで視聴者に「自分も一緒に数える」感覚を持たせるため、どさんこくんはの昼帯コーナーで、時計の秒針に合わせて決め台詞を発する演出が採用されたという[9]。なお、秒針合わせは科学的に否定されることもあるが、現場では“合っているように見える”ことが重要だったと回顧されている。
関連番組と“お馬さん”文脈[編集]
どさんこくんが語られるとき、しばしば的な比喩が用いられる。ここでの“お馬さん”は実際の競走馬を指すというより、視聴者が理解しやすい「見立て(当たるか外れるかの快感)」を番組内に持ち込む手法として解釈されている[10]。
ある回では、どさんこくんが天気を“馬の脚”に例えたとされる。たとえば、低気圧の接近を「先行馬」、積乱雲の発達を「差し馬」、降水確率のブレを「揉まれる馬」として説明し、最後に「今日の道産、どの陣営が勝つ?」という投票を促したという[11]。この投票は番組公式では“当たった人の反響”を主に扱うとされたが、実際には投票後にレシート連携を案内する導線が組まれていたという噂もある。
さらに、夕方帯で放送される情報番組「どさんこワイド」系の文体が、どさんこくんの台詞に影響したとされる。語りのテンポが速い回ほど“発言の文字数が短い”設定になっており、当時の台本では1分あたりの説明量が平均で68.4文字に調整されていたとされる[12]。ただし、この数値は検証不能であるとする指摘もある。
このような演出は、視聴者の“実況体験”を強化する狙いがあったとされる。すなわち、番組の内容を理解する以前に「参加している感覚」が先に立ち、結果として地域情報が記憶へ定着する構造が作られたと説明されている[13]。
社会的影響と広報的効果[編集]
どさんこくんの存在は、単に番組のマスコットとしてではなく、地域企業の販促を“安心して行うための口実”として機能したとされる。例えば、全道の商店街が共同で行う試食企画において、キャラクターの台詞が添えられると売上が伸びたという報告が、庁の内部資料として伝わっている[14]。
その資料は「台詞の種類別に購買率を比較した」形式をとっており、同一商品でも“勧め方”で差が出たとされた。ある調査では、どさんこくんが「今日の一口」と言った場合の平均購入率を7.2%とし、別台詞「今日のあったか」に切り替えると7.8%に上がったと記録したとされる[15]。もっとも、購買率は季節変動の影響を受けるため単純比較は難しいとする反論もある。
また、地方自治体側の反応としては、イベントの参加率が“体感で増えた”という声が多かったとされる。特に子ども向けブースでは、どさんこくんのスタンプラリー導入から3週間で参加者数が約1.6倍になったと報じられたとされるが、報道の根拠は明確でないとされる[16]。
一方で、広報の成功が過度な期待を呼び、「次も当たるはず」という空気を生んだという指摘もある。番組が地域の未来を“勝ち筋”として語り始めると、視聴者は成功体験を他の施策にも投影するようになり、その結果、別の政策では反動が出たとする見方がある[17]。
批判と論争[編集]
どさんこくんの運用には、いくつかの批判が積み重ねられた。最も多いのは「キャラクターが情報の判断を肩代わりしている」というものである。すなわち、視聴者が自分で天気や地域経済を読み取る前に、どさんこくんの“たとえ話”が結論として置かれてしまうという不満である[18]。
次に、広告色の強さが挙げられる。どさんこくんが登場する前後で、番組内の紹介が“視聴者の温度”に合わせて増減したという証言があり、台本上では「情報提供」だったものが、実際には販促導線を強化する役目だったのではないかと論じられた[19]。
さらに、「お馬さん」文脈がギャンブル連想を招くとして問題視されたことがある。競馬への理解が薄い層には、比喩が過剰に刺激的だったとされ、近郊で一時的に問い合わせが増えたという[20]。ただし、問い合わせの人数や期間は資料でばらつきがあるため、どの程度の影響だったかは確定していない。
加えて、運用主体の不透明さも論点になった。公式には“制作スタッフ”として片付けられてきたが、実際には内の複数組織が協議し、責任の所在が分散していたのではないかと疑う声がある[21]。この点は、当時の番組改編で名称が似た企画が複数併走したことと無関係ではないとされる。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐伯麗子「地域マスコットの擬似参加設計:秒針演出の効果測定」『放送文化研究』第12巻第3号, 2006.
- ^ 渡辺精一郎『韻律で読む天気:合言葉の統計設計(内部資料校正版)』北海道企画局, 2002.
- ^ Katsumi Narita, “Mascot-Mediated Local Knowledge and Viewer Behavior,” Journal of Japanese Broadcasting, Vol. 9, No. 2, pp. 41-59, 2008.
- ^ 田中真砂「“お馬さん”比喩のテレビ史的系譜:理解容易性と倫理の境界」『メディア倫理年報』第4巻第1号, pp. 77-96, 2011.
- ^ 北海道庁広報課「番組連動販促の台詞別購買率(報告書抄録)」『北海道公共広報研究紀要』第2巻第2号, 2010.
- ^ Margherita L. Chen, “Emotional Accounting in Local News Scripts,” International Review of Broadcast Studies, Vol. 15, Issue 4, pp. 201-223, 2014.
- ^ 小林雄太「“どさんこワイド”型語りの計測:文字数制御と離脱率」『放送制作技術論集』第7巻第3号, pp. 10-26, 2013.
- ^ 藤堂香織「地域参加の勝ち筋語りが残すもの:参加者の期待形成」『社会情報学ジャーナル』第5巻第2号, pp. 88-101, 2015.
- ^ STV番組史編集室『STV夕方帯編成の裏側(当時の台本と注釈)』STV出版局, 2009.
- ^ J. R. Whitmore, “Masots and Metaphors in Regional Programming,” Broadcast & Society Quarterly, Vol. 21, No. 1, pp. 1-18, 2017.
外部リンク
- どさんこくんアーカイブ(仮)
- 北海道放送台本倉庫(非公開資料閲覧)
- 道産情報投票ログ(閲覧申請制)
- お馬さん比喩研究会(掲示板)
- ローカル広報効果測定ラボ(記事保管)