ジャスガ反転上スマ
| 名称 | ジャスガ反転上スマ |
|---|---|
| 英語名 | JASGA Reverse Up Smash |
| 分類 | 対戦ゲーム用高等入力技法 |
| 初出 | 1997年ごろ |
| 提唱者 | 中村修一郎ほか |
| 主な舞台 | 大阪府、京都市、東京都中野区 |
| 用途 | 反撃・差し返し・心理戦 |
| 派生 | 遅らせ反転上スマ、半拍ジャスガ、斜め抜け上スマ |
ジャスガ反転上スマ(ジャスガはんてんうえスマ)は、界隈において、入力直後の判定を逆転させるように見せかけながらへ移行する特殊入力法である。もともとはにで行われた研究会で整理された概念とされ、のちにの大会文化を経て一般化した[1]。
概要[編集]
ジャスガ反転上スマは、行動の瞬間に入力方向を反転させ、相手の密着圧力をいなしたうえでに接続するための技法である。実際には単一の操作ではなく、とをずらしながら利用する複合手順の総称であるとされる。
この語は、当初は圏の筐体常連の間で「ジャスガ返し」などと呼ばれていたが、半ばに配信文化へ取り込まれる過程で現名に定着した。なお、名称中の「反転」は、左右入力の切り替えを指すだけでなく、心理的優位の回復を意味する比喩でもあると説明されることが多い[2]。
歴史[編集]
前史[編集]
前史はのにあったゲームセンター『アルカディア尼崎別館』までさかのぼるとされる。ここで対戦台を常設運用していたが、ガード成立直後の硬直差を口頭メモで整理し、後に『逆向きに立ったまま殴ると取れる』という奇妙な概念を残したことが始まりとされる[3]。
当時はまだ「上スマ」という呼称すら地域差があり、では「頭突き」、では「天井抜き」と呼ばれることもあった。こうした呼称の混乱が、結果としてジャスガ反転上スマを一つの手順として束ねる動機になったという説が有力である。
研究会の成立[編集]
、近くの貸会議室で、非公式の検証会『JASGA-97』が開かれた。参加者は16人で、そのうち実際に資料を作成したのは4人にすぎなかったが、残り12人の観察記録が妙に精密だったため、後世の編集者はこれを「共同研究」として扱うようになった。
この会で、入力の最初の1/30秒だけを残し、次のフレームでへ反転させると、ガード成立と同時に上スマッシュが最短で出るという手順が定式化された。ただし、対象作品の内部処理の癖に大きく依存しており、ある版では全く成立しないことから、当時から「半分理論、半分おまじない」と呼ばれていた。
普及と俗流化[編集]
以降、の対戦交流会で短縮入力のデモが流行し、ジャスガ反転上スマは初心者向けの反撃ネタとして紹介されるようになった。もっとも、解説動画の一部では成功率がとされていたが、後年の再検証では前後に下がる例が多く、視聴者の集中力を含めて成立していた可能性が指摘されている[4]。
には配信者のが「反転した瞬間に心まで向きを変える」とコメントし、そこから精神論的な解釈が広がった。以後、この技法は単なる入力ではなく、対戦における姿勢の切り替えを象徴する言葉としても用いられるようになった。
技術的特徴[編集]
ジャスガ反転上スマの最大の特徴は、操作そのものよりもの記憶に依存する点である。熟練者は目視よりも相手の足音や攻撃音の残響で入力することが多く、の一部サークルではこれを「音響反転」と呼んでいた。
また、キャラクターの体格差により成立感が大きく変わることから、では極めて難しく、ではやや安定するという、直感と逆の報告が複数残っている。これは上スマッシュの判定が頭上へ伸びる瞬間に、ジャスガの解除硬直がわずかに噛み合うためと説明されるが、実際にはプレイヤーの緊張が最も大きい瞬間に成功例が記憶されやすいだけだという説もある。
なお、が2014年に行った簡易調査では、上級者24名中21名が「存在を知っている」と回答した一方、正確な入力を3回連続で再現できた者は6名だった。数字の割に話題だけが先行した技法として知られている。
文化的影響[編集]
この技法は、対戦ゲームにおける「守りから攻めへ移る瞬間」を象徴する表現として一般化した。実況では「ジャスガ反転上スマ来た!」という叫びが定番化し、系の配信文化を経て、失敗時の空振りすら一つの芸として消費されるようになった。
の大会では、成功した選手に対して観客が一斉に拍手する慣習があり、2011年の『鴨川オープン』では、決勝3本目の初手でこの技法が成功したため、対戦時間そのものより拍手のほうが長かったと記録されている。
一方で、初心者への普及過程で「ジャスガを取ったら必ず上スマが出る」と誤解した者も多く、系イベントの体験会では、説明員が毎回「反転は入力の話であり、勝利保証ではない」と注意書きを配布していた。もっとも、その注意書きはなぜか三回に一回の割合で持ち帰られず、会場の壁に残されていたという。
批判と論争[編集]
批判の中心は、この技法が実在する操作概念として語られる一方で、作品ごとの内部仕様を横断的にまとめすぎている点にある。特にの『対戦入力学会年報』では、ジャスガ反転上スマという言葉は本来の技術用語というより、複数の入力事故を後から美化した民間分類であるとの見解が示された[5]。
また、の調査班は、配信者の説明を受けた視聴者のうちが「反転しただけで強くなった気分になる」と回答したことを報告しており、競技面よりも自己効力感の演出に寄与しているとの指摘がある。これに対し、擁護派は「ゲーム用語の多くはまず雰囲気で広がる」と反論している。
なお、として長年放置されている説に、「ジャスガ反転上スマは元々、会議の椅子を回しながら入力練習をした際に偶然発見された」というものがあるが、関係者の証言が食い違っており、現在も真偽は定まっていない。
派生技法[編集]
後年には、より細分化された派生が多数生まれた。代表的なものに、入力猶予を半拍遅らせる、しゃがみ姿勢から移行する、回避硬直を利用して背面へ抜けるなどがある。
これらはに攻略サイト『フレーム便覧』や動画シリーズ『一日一反転』で整理され、地方大会の解説資料にも採用された。もっとも、実戦では名称だけが先行し、実際の入力は各プレイヤーの癖に強く依存するため、同じ技法名でも人によって内容が微妙に異なる。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 中村修一郎『反転入力と防御崩しの研究』関西対戦文化研究所, 1999.
- ^ 石川レイ『実況における技法名の定着過程』配信文化評論 第12巻第3号, 2014, pp. 41-58.
- ^ 佐藤真紀『ジャスガ体系の民間分類について』日本入力学会誌 Vol. 8, No. 2, 2007, pp. 113-129.
- ^ Harold B. Wexler, "Temporal Reversal in Competitive Smash Inputs," Journal of Digital Sport Studies, Vol. 19, No. 4, 2016, pp. 201-223.
- ^ 田辺一成『大阪対戦台史 1989-2005』吹田文化出版社, 2006.
- ^ Margaret L. Arkwright, "Guard States and Cognitive Bias in Live Commentary," International Review of Game Rituals, Vol. 7, No. 1, 2018, pp. 9-34.
- ^ 『対戦入力学会年報 2018』対戦入力学会, 2018, pp. 77-81.
- ^ 山岡利夫『フレーム便覧 改訂三版』中野ゲーム資料室, 2021.
- ^ 宮下あや『鴨川オープン決勝戦記録集』京都対戦連盟, 2012.
- ^ Samuel K. Dent, "On the So-Called Reverse Up Smash: A Slightly Misnamed Technique," Proceedings of the Pacific Arcade Symposium, Vol. 3, No. 2, 2020, pp. 88-97.
外部リンク
- フレーム便覧アーカイブ
- 京都対戦連盟資料室
- 関西入力文化研究センター
- 対戦入力学会オープンリポジトリ
- 中野ゲーム資料室デジタル館