ニョホっとプリキュア!
| タイトル | 『ニョホっとプリキュア!』 |
|---|---|
| ジャンル | 変身ゆるファンタジー(コメディ寄り) |
| 作者 | 榊モモカ |
| 出版社 | 株式会社ぴよ合金書房 |
| 掲載誌 | 月刊にこにこ咲かせ隊 |
| レーベル | ぷりきゅあ!ココロ・コミックス |
| 連載期間 | 〜 |
| 巻数 | 全22巻 |
| 話数 | 全146話 |
『ニョホっとプリキュア!』(にょほっとぷりきゅあ!)は、によるの。『』()において連載された[1]。
概要[編集]
『ニョホっとプリキュア!』は、街のトラブルを「音の力」で解決する変身ヒロインものとして位置づけられている漫画である。主人公たちは合言葉の「ニョホっと」を合図に、感情の“詰まり”をほどくフォームへ変身することで、日常の悪意を浄化するとされる。
本作の特徴として、変身バンクの代わりに「くしゃみ」や「鼻歌」などの身体反応がスキル入力として扱われる点が挙げられる。編集部の資料では、読者アンケートの自由記述から抽出された“笑いの筋肉”に着目した設計と説明されており、結果として子ども向けでありながら大人の同人界隈にも波及したとされる[2]。
制作背景[編集]
制作の発端は、作者の榊モモカがの冬に内の小児耳鼻科で見た「耳の中の詰まり」を比喩にした掲示物だと述べられている。そこには“音でほどく”という健康啓発の文言があり、榊は「感情の鼻づまりも同じではないか」と着想したとされる[3]。
一方で、当時のぴよ合金書房は「変身ヒロインの文法」に飽きを感じる層の存在を社内調査で指摘しており、月刊誌ながら単行本は短期で増刷される企画を求めていた。そこで編集部は、変身用語を極端に擬態語寄りへ振り切る方針を採用し、タイトルの頭文字を“ニョ”に合わせる試みが先行したとされる[4]。
また、監修として雇われた外部の言語研究者は、「『ニョホっと』は破裂の直前に息が漏れる音韻であり、安心感を誘発する」と説明している。なお、この理屈がどのデータに基づくかについては、いくつかの号で編集部が“要出典”に相当する注記を同梱していたとも指摘されている[5]。
あらすじ[編集]
本作は時系列を保ちつつも、編ごとに“音の治療法”が変化する構造を採っている。以下、主要なごとに記す。
は、主人公・が、商店街のラジオ塔に「沈黙の粒」が降り積もる異変を目撃するところから始まる。ニナが思わず「ニョホっと」と息を漏らすと、粒はふっとほどけ、同時に誰かの心が救われたような感覚が訪れるとされる[6]。
では、変身アイテムの“鍵”がマイクではなくハンカチであることが判明する。悪意の源が「声の届かなさ」だと示され、ニナたちは口パクではなく“音程のずれ”をあえて許容する新技を開発する。ここで初めて「ズレ=逃げ道ではなく、道標である」という台詞が流行語になったとされる[7]。
では、敵の名が「ほこりの裁判官」—塵でできた法廷を徘徊する存在—とされる。くしゃみ一発が“証拠”として扱われ、ニナは判決前に相手の誤解を溶かす必要があると学ぶ。さらに、この編の終盤で「ニョホっと」は“自己申告”ではなく“相手の呼吸を整える合図”だと再定義される[8]。
では、街の下水処理施設が実は「感情の保水」を行う養殖場であったことが明かされる。作中では、沈黙が増える速度が1日あたり0.37gと計測されており、科学っぽさが演出されている。ただし、同じ号で計測方法が“古い詩”に頼っていると描写され、読者が困惑したと報告されている[9]。
登場人物[編集]
主人公側は、五人組の“音のプリズム隊”として整理されている。最初に変身した者から順に、担当する音域(低音・中音・高音・間(ま)・余韻)が割り当てられる仕組みとされる。
は、照れたときに必ず「ニョホっと」と息を漏らす癖がある。本人は無自覚だが、その音が相手の呼吸を整える“鍵”になっているとされ、作中でもっとも比喩が多いキャラクターとして扱われる[10]。
は中音担当で、ラジオのような揺らぎを用いた浄化が得意とされる。彼女は変身後の姿で靴紐がほどける演出を入れてほしいと編集部へ提案し、結果として第1章の増刷のきっかけになったと語られている[11]。
敵対側の代表として、塵の裁判官ことが登場する。彼は「沈黙は秩序である」と主張し、浄化を“違法な騒音”として扱おうとする存在として描かれる。なお、作中では彼の誕生日がとされているが、祝われ方が毎年同じでないと注釈されており、編集方針の揺れが表面化したともいわれる[12]。
用語・世界観[編集]
本作の世界では、感情は“空気”として流通し、街の設備(塔・井戸・ポンプ)に吸い込まれると考えられている。感情の滞留は「詰まり」と呼ばれ、放置すると沈黙の粒となり、会話が短くなるなど日常行動に影響する設定が採用されている[13]。
変身の基礎用語として「ニョホっと・プロトコル」がある。これは合言葉ではなく、身体の反射(鼻・喉・腹部の微調整)を入力として扱う手順書である。公式ガイドブックでは、プロトコルの手順が全部で「17ステップ」とされているが、作中で具体的に確認できるのは15ステップまでであり、残り2ステップは“読者の体感で補う”と説明されている[14]。
さらに、敵の仕組みとして「裁き箱(さいきばこ)」がある。裁き箱は音を封じる装置で、内部に溜まった沈黙が“判決文”の形を取って現れるとされる。ここで判決文が一行だけ長いことが多く、編集部は「言い足りなさを笑いに変換するため」とコメントしたとされるが、当時の担当編集が途中で異動したため、記録の温度差が指摘されている[15]。
作中の中心概念である「余韻浄化(よいんじょうか)」は、攻撃ではなく回復として扱われる。ニナたちは“浄化後の沈黙”まで含めて整える必要があるとされ、最終章に向けて治療思想が拡張されていく。なお、余韻浄化の理論式として《R=n×(にょ/ほ)》が一度だけ登場するが、変数nの定義が曖昧であると批判されたこともある[16]。
書誌情報[編集]
本作は、月刊誌『月刊にこにこ咲かせ隊』で連載され、単行本はレーベル「ぷりきゅあ!ココロ・コミックス」から刊行された。連載期間はからまでとされ、全22巻に及ぶ。
累計発行部数について、ぴよ合金書房は発表資料で「累計発行部数610万部を突破」としており、特にの年度末に増刷が重なったと説明されている[17]。ただし、増刷の回数や日時の表記には号ごとに揺れが見られるという指摘もあり、編集部の広報担当が途中で交代した影響と推測されている[18]。
また、単行本第9巻には作中設定資料が付録として収録されており、そこでは沈黙の粒のサイズが「平均0.41ミリメートル」と記されている。数値に根拠があるのかは不明であるが、読者が定規で測ろうとして机を壊したというエピソードが当時の編集会議で共有されたとされる[19]。
メディア展開[編集]
テレビアニメ化はに発表され、制作はが担当した。アニメ版では、変身バンクの尺を短縮し、代わりに“呼吸を整える演技”を長く取る方針が採用されたとされる[20]。
第2期に相当する構成としてとがそれぞれ前後編に再編され、原作の口調が一部変更されている。これにより“ニョホっと”が画面上でテロップ表示される回数が増え、SNS上で「ニョホッター」という呼称が生まれたとされる[21]。
メディアミックスとしては、音声合成による「ニョホっと・ボイスカード」や、街のラジオ塔を模した体験ブースがの一帯で実施された。企画名は「沈黙の粒をほどくナイトツアー」で、入場者数は初日で9,842人に達したと公式に報告されている[22]。
ただし、体験ブースの運営マニュアルには、注意書きとして「笑ってよいが、咳払いは控えること」と記されていた。ここが過剰に健康指導っぽかったため、後年には“変身の誤学習”として一部から批判を受けることになる[23]。
反響・評価[編集]
反響としては、子ども向けの安心感と、大人が“自分の鼻歌”を許す余白が両立した点が評価されたとされる。作品の主題歌は「余韻のまあるい嘘」と題され、初回配信で再生数が1週間に1200万回を超えたとされる[24]。
一方で、学術寄りの読者からは、音韻擬態語を治療概念に接続する発想が注目された。雑誌『表象文化季報』では、ニョホっと・プロトコルが“自己効力感の儀礼”として機能している可能性が論じられたとされる[25]。
また、批判の少なさとは裏腹に、特定の編で出た“数値計測のシーン”が過剰に科学っぽいとして笑いのネタにされている。たとえば沈黙の粒の増加率0.37gは、ファンの間で「推定なのに確定口調」として引用され続け、終盤で設定が揺り戻されたことから「作者が数字に負けた」と揶揄されることもあった[26]。
総評として、本作は「変身ヒロインの型」を守りながら、擬態語と身体反射を主軸に再設計した作品として記憶されているとされる。特に“浄化の対象が相手の呼吸である”という転換は、読者の感想文で繰り返し引用された[27]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 榊モモカ『ニョホっとプリキュア! 公式読本(第1版)』ぴよ合金書房, 2018.
- ^ 望月フミヤ「音韻擬態語と安心感の関係—『ニョホっと』事例を中心に」『言語と遊戯研究』Vol.12第3号, 2017, pp.41-58.
- ^ ぴよ合金書房編『月刊にこにこ咲かせ隊 記念編集部報告書(増刷の技術)』株式会社ぴよ合金書房, 2019.
- ^ 神代(かみしろ)ユウ「変身バンクの短尺化が視聴維持率へ与える影響」『映像メディア論叢』第27巻第1号, 2018, pp.12-29.
- ^ 朝霧ニナ役声優の取材班「演技指導における呼吸ベースのワークフロー」『アニメーション制作実務』Vol.5第2号, 2020, pp.77-90.
- ^ 表象文化季報編集委員会「擬態語が儀礼になるとき—余韻浄化の記号論」『表象文化季報』第9巻第4号, 2021, pp.203-221.
- ^ スタジオ雲猫「『ニョホっとプリキュア!』音響設計ノート」『スタジオ雲猫技術紀要』No.3, 2019, pp.1-33.
- ^ 榊モモカ『ニョホっとプリキュア! 22巻特装版 付録資料集』ぴよ合金書房, 2021.
- ^ Kumoneko Studio. “Breath-Driven Animation in Nyohotto Pretty Cure!” International Journal of Kawaii Media, Vol.8 No.2, 2020, pp.55-69.
- ^ Arai, S. “The Silence Particle Meter and Its Audience Reception.” Journal of Spectacle Studies, Vol.3 No.1, 2019, pp.88-101.
外部リンク
- ニョホっと公式ファンサイト
- ぴよ合金書房 作品アーカイブ
- スタジオ雲猫 音響設計の部屋
- 月刊にこにこ咲かせ隊 バックナンバー案内
- 沈黙の粒 測定レポート倉庫