ネコふんじゃったΣ( ̄。 ̄ノ)
| タイトル | ネコふんじゃったΣ( ̄。 ̄ノ) |
|---|---|
| 画像 | Neko_Funjatta_Sigma_boxart.png |
| 画像サイズ | 256px |
| caption | 初回限定版の外箱。顔文字部分が熱でわずかに変形し、店頭での見分けが難しかったとされる。 |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | MelloByte |
| 開発元 | 株式会社ミャウウェーブ |
| 発売元 | 株式会社ミャウウェーブ |
| プロデューサー | 相川 章平 |
| ディレクター | 羽鳥 みつる |
| デザイナー | 門倉 祐介 |
| 音楽 | 片岡 玲子 |
| シリーズ | ネコふんじゃったシリーズ |
| 発売日 | 1998年7月17日 |
| 対象年齢 | 全年齢 |
| 売上本数 | 国内約86万本 |
| その他 | 初回版には紙製の『肉球シール』が同梱された |
『ネコふんじゃったΣ( ̄。 ̄ノ)』(英: Neko Funjatta Sigma)は、にのから発売された用である。通称は「Σネコ」で、シリーズの第1作目にあたる[1]。
概要・概説[編集]
『ネコふんじゃったΣ( ̄。 ̄ノ)』は、にから発売された用のである。プレイヤーは「踏まれた記憶を持つ家猫」を操作し、の路地からの地下商店街までを縦断する。キャッチコピーは「踏んだら最後、跳ね返る。」であり、当時の店頭ポップにはしばしば顔文字部分だけが蛍光ピンクで印刷された[1]。
本作は、タイトルの奇妙な印象から作品と誤認されることが多いが、実際には画面端で反転する弾幕と、足音を入力する独自のリズム射撃を組み合わせた作品である。なお、発売前の社内資料では「Σ」は「相似反射係数」を意味するとされていたが、後年のインタビューでは「単に見た目が強そうだったから」と説明が変更された[2]。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、プレイヤーは通常のショットに加えて「反芻ジャンプ」と呼ばれる特殊移動を用いる。これは地面を3回連続で踏むことで発動し、一定時間だけ敵弾を吸収できる仕組みである。吸収した弾は背中の鈴に蓄積され、最大12発まで保持可能である[3]。
また、ステージ内には『スリッパ』『焼き魚』『段ボール城』などのアイテムが散らばっており、取得順によって効果が変化する。とくにスリッパは防具であると同時に近接武器でもあり、説明書には「履くな、振れ」とだけ記されていた。
戦闘[編集]
戦闘は一見すると通常のであるが、実際にはプレイヤーの入力テンポが敵の行動を決定する「逆拍応答」方式が採用されている。ボスは拍子木、魚焼き網、掃除機など日用品を模した大型機械が多く、なかでも第4面の『自動給餌機リボルバー』は、発射口からカリカリを毎秒96粒ずつ射出することで知られる。
なお、当時の開発メモには「猫は怒ると足音が4分の7拍になる」との記述があり、これが本作の全体的なテンポ設計に影響したとされる。要出典。
アイテム[編集]
アイテムは全38種で、うち17種が食べ物、9種が毛繕い関連、残り12種が意味不明な装置である。最重要アイテムは『Σ缶詰』で、取得すると画面内の敵がすべて直角に移動する。プレイヤー間では「赤缶」「灰缶」「逆立ち缶」と呼び分けられていたが、公式ガイドでは一括して『保存食』に分類されている。
一方で、隠しアイテムの『毛玉の証明書』は、実際にはスコア表示のフォントを変更するだけの効果しかない。しかし、発売直後にこのアイテムを巡って掲示板で数百件の検証が行われ、結果として本作の知名度を押し上げる要因になった。
対戦モード[編集]
対戦モードは用のと用の乱闘形式が用意されており、専用の「押し入れアリーナ」で勝敗を競う。オンライン対応ではないが、通信ケーブルを使ったローカル対戦が人気を博し、1999年夏には家電量販店で『猫踏み大会』が開催された[4]。
対戦では、相手を直接倒すよりも、先に床を鳴らしすぎて自滅させる戦術が重視された。このため、上級者同士の試合では1分間に80回以上の足踏み音が記録され、店頭デモ機の下部ゴム足が外れやすいという問題も発生した。
オフラインモード[編集]
オフラインモードでは、『夜食巡り』『雨戸潜入』『午前3時の台所』の3ルートが選択可能である。いずれもセーブ不能の短編構成で、クリアすると本編よりも長いスタッフロールが再生される仕様であった。とくに『雨戸潜入』は、プレイヤーが障子の影を移動しながら敵の視線を避ける潜入要素を含み、後年の風スピンオフに影響を与えたとされる[5]。
ストーリー[編集]
物語は、下町の猫・シグマが、ある日うっかり自分の尾を踏まれたことをきっかけに、世界中の「足音」を集める旅に出るところから始まる。シグマはの古い魚屋で出会った老犬ミルクと協力し、足音を通貨として扱う地下市場『オトバザール』の存在を知る。
やがて、足音の消失によって街から歩行の概念が薄れていく異変が起こり、シグマは元凶である人工反響装置『タタキ・ゼロ』へ挑む。終盤では、かつて「踏まれた」猫たちの記憶が一斉に再生され、シグマ自身が過去の自分を踏んでいたという循環構造が明かされる。このどんでん返しは発売当時、ゲーム雑誌で『猫版・円環的郷愁』と評された[6]。
登場人物[編集]
主人公[編集]
シグマ 本作の主人公。灰色の短毛を持つ雄猫で、首輪に『Σ』の刻印がある。もともとは普通の飼い猫であったが、床を踏む音に異常な感受性を示すようになり、結果として敵弾を音で避ける能力を得た。公式設定では体重4.2kgとされるが、開発資料では4.8kgだった記述も残る。
仲間[編集]
ミルク 荒川の魚屋で暮らす老犬。序盤でシグマに『踏まれ方の作法』を教える師匠的存在である。口癖は「踏むなら静かに、鳴るなら堂々と」。
カンナ 地下商店街の自動販売機に住み着く白猫。アイテム鑑定を担当し、実際にはすべての品目を3割増しで高評価する癖がある。
パンタ 対戦モード専用のライバルキャラクターで、常に左足から着地する。これが有利判定を生むとされたが、後年の検証で気のせいだった可能性が高いとされている。
敵[編集]
敵役は『踏音管理局』に属する機械群で、局長格として『課長型掃除機ハチロウ』、『自律式スリッパMk-II』、『缶詰監視塔』などが登場する。中でもラスボスの『タタキ・ゼロ』は、駅前の広場に設置された巨大な共鳴柱で、全方位に足音を反射することで都市機能を停止させたとされる。
この設定は、都市騒音対策とペット愛護を無理やり接続した結果生まれたものであり、当時の制作者は「環境問題を子ども向けにしたかった」と説明している。
用語・世界観[編集]
作中世界では、足音が単なる音ではなく、通貨・燃料・記憶媒体の3つの役割を兼ねる資源として扱われている。これを管理するのが『踏音暦(とうおんれき)』であり、1日が「朝鳴」「昼鳴」「夜鳴」の3区分で構成されるという独特の制度が敷かれている。
また、街の建築物はすべて「猫が屋根を渡りやすい角度」で設計されているとされ、駅の改札口には必ず毛繕い用の待避スペースが設けられている。この設定は制作当時の都市計画資料を参照したものと説明されているが、実際には開発チームが見学した内のペットホテルの間取り図を拡大解釈しただけであるという証言もある[7]。
開発・制作[編集]
制作経緯[編集]
本作の企画は、相川章平が深夜の会議室で、机の下にいた猫をうっかり足で避けた際に思いついたとされる。最初は教育ソフトとして計画されていたが、足踏み音を入力に使う仕様が過剰に発展し、最終的にへ転換した。
開発はわずか14か月で行われ、途中で3回の方向修正があった。第1案は「猫のしつけ教室」、第2案は「踏音シミュレーター」、第3案は「猫が世界を踏み直す物語」であり、最終案が最も売れないと予想されていたという。
スタッフ[編集]
ディレクターの羽鳥みつるは、足音収録のために内の寺院、商店街、体育館を巡り、合計247種類の靴音を録音した。音楽の片岡玲子は、鈴音と木魚の音階を組み合わせた独自の音源チップ用楽曲を作曲し、『夜食巡り』のBGMは発売後に一部の受験生から「集中できない」と苦情が寄せられた[8]。
なお、プログラマー欄には「山田一族」とまとめて記載されることがあり、実際の担当人数は社内で誰も正確に把握していなかったとされる。
音楽[編集]
サウンドトラックは、発売翌年に『ネコふんじゃったΣ( ̄。 ̄ノ) 音叉集』として単独発売された。全29曲で構成され、うち11曲は足音、鈴音、皿の落下音をリズム化したものである。代表曲『踏音のワルツ』は、ゲーム内では3秒しか流れないにもかかわらず、演奏会版では8分44秒に拡張された[9]。
主題歌は存在しないが、タイトル画面で流れる8音のジングルが事実上のテーマとして扱われている。ファンの間では「Σララバイ」と呼ばれ、後にの話が持ち上がった際にも、このジングルがOP候補として検討されたという。
他機種版・移植版[編集]
には版が発売され、ポリゴン背景の追加と引き換えに顔文字の一部が表示不能になる不具合が発生した。さらにには携帯端末向けの『Σ( ̄。 ̄ノ) Lite』が配信され、片手操作に最適化された結果、ゲーム本編よりもメニュー画面の操作が難しいと評された。
には旧作アーカイブ企画の一環として『ネコふんじゃったΣ( ̄。 ̄ノ) 復刻鳴動版』が公開され、をうたったが、実際には鈴の振動表現が省略されたため「半分静かな移植」と呼ばれた。ほかに海外向けの『Cat Step Sigma』も計画されたが、顔文字が翻訳できず未発売に終わった。
評価[編集]
発売当初の初週売上は約6.4万本であったが、口コミによって伸び、最終的に国内累計86万本、全世界累計91万本を突破したとされる。特にではゴールド殿堂入りを果たし、の優秀賞にも選出されたという記録が残る[10]。
一方で、操作体系が独特すぎるため、一般層には「面白いが指が追いつかない」との評価が多かった。専門誌の一部では、足音入力の精度が高すぎると逆に敵弾が増える仕様について「設計思想がほぼ猫である」と批判され、これが本作の熱狂と混乱を同時に生んだ。
関連作品[編集]
続編には『ネコふんじゃったΣ( ̄。 ̄ノ)II 反響の夜』『ネコふんじゃったΣ( ̄。 ̄ノ)EX ねこだまり編』があり、いずれも色を強めた派生作である。ほかに、派生ジャンルとして『ネコふんじゃったΣ( ̄。 ̄ノ) 釣り編』、『ネコふんじゃったΣ( ̄。 ̄ノ) 寝返り大戦』など、実在性の低いタイトルが雑誌読者投稿欄で半ば公認された。
また、本作を題材にした読み物系商品として、ゲームブック『踏まれても折れない』が刊行され、選択肢の半数以上が「にゃ」と「にゃー」に割り当てられていた。これは後のメディアミックス展開の原型になったとされる。
関連商品[編集]
攻略本『ネコふんじゃったΣ( ̄。 ̄ノ) 公式踏音解析書』は、全192ページのうち68ページがアイテム図鑑で占められていた。とくに巻末の『足音波形一覧』は、実用性よりも怪しさで話題となり、古書店ではゲーム本編より高値で取引された例がある。
その他の書籍として、『Σ猫と都市騒音の民俗誌』『猫足音学入門』などが刊行され、いずれも一般書店のゲーム棚ではなく民俗学コーナーに置かれることが多かった。なお、特典として付属した肉球型定規は、実際には約3mm短く、プレイヤーからは「測れるが信用できない」と評された。
脚注[編集]
1. ^ 初回限定版の帯に記載。 2. ^ 開発者インタビュー『月刊メロディックゲーム』1999年3月号。 3. ^ 公式攻略ガイドでは最大14発とする記述もある。 4. ^ 横浜駅東口ゲームフェア実行委員会記録。 5. ^ スピンオフ企画書「夜間潜入仕様案」より。 6. ^ 『週刊ゲーム展望』1998年40号。 7. ^ 取材メモ「猫と段差と都市設計」より。 8. ^ ただし、本人は「むしろ眠くなる」と反論している。 9. ^ コンサート版CDブックレット記載。 10. ^ 受賞記録はのちに一部再編集されたとみられる。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
相川章平『Σ猫開発全史』ミャウウェーブ出版部, 2002年.
羽鳥みつる『足音で遊ぶゲーム論』月刊メロディック社, 2001年.
片岡玲子『ゲーム音楽における鈴音の応用』東京音響研究所紀要, Vol. 14, pp. 33-58, 2000年.
門倉祐介『インターフェースとしての顔文字』株式会社プレイ文化研究所, 1999年.
『週刊ゲーム展望』1998年40号, pp. 12-17.
Margaret A. Thornton, "Rebound Rhythm in Domestic Action Games", Journal of Ludic Studies, Vol. 8, No. 2, pp. 101-129, 2003.
Kenjiro Iwamine, "Cat Steps and Urban Soundscapes", Game Audio Quarterly, Vol. 5, No. 1, pp. 4-19, 2001.
『MelloByte年鑑 1998』メロ技術出版社, 1999年.
佐伯律子『猫と記号の近代史』新潮社, 2004年.
Oliver W. Trent, "The Smiling Punctuation in Japanese Game Titles", International Review of Play Culture, Vol. 2, No. 4, pp. 77-88, 2005年.
外部リンク[編集]
ミャウウェーブ公式アーカイブ
Σネコ博物館デジタル展示
踏音研究会
MelloByte資料室
猫足音保存委員会
脚注
- ^ 相川章平『Σ猫開発全史』ミャウウェーブ出版部, 2002年.
- ^ 羽鳥みつる『足音で遊ぶゲーム論』月刊メロディック社, 2001年.
- ^ 片岡玲子『ゲーム音楽における鈴音の応用』東京音響研究所紀要, Vol. 14, pp. 33-58, 2000年.
- ^ 門倉祐介『インターフェースとしての顔文字』株式会社プレイ文化研究所, 1999年.
- ^ 『週刊ゲーム展望』1998年40号, pp. 12-17.
- ^ Margaret A. Thornton, "Rebound Rhythm in Domestic Action Games", Journal of Ludic Studies, Vol. 8, No. 2, pp. 101-129, 2003.
- ^ Kenjiro Iwamine, "Cat Steps and Urban Soundscapes", Game Audio Quarterly, Vol. 5, No. 1, pp. 4-19, 2001.
- ^ 『MelloByte年鑑 1998』メロ技術出版社, 1999年.
- ^ 佐伯律子『猫と記号の近代史』新潮社, 2004年.
- ^ Oliver W. Trent, "The Smiling Punctuation in Japanese Game Titles", International Review of Play Culture, Vol. 2, No. 4, pp. 77-88, 2005年.
外部リンク
- ミャウウェーブ公式アーカイブ
- Σネコ博物館デジタル展示
- 踏音研究会
- MelloByte資料室
- 猫足音保存委員会