ネンドコネコネ王国
| 名称 | ネンドコネコネ王国 |
|---|---|
| 種類 | 粘土王国型複合テーマパーク(城郭風展示施設) |
| 所在地 | 西遠地区(紙粘土工房街区) |
| 設立 | (王国宣言式) |
| 高さ | 本塔:34.7m(計測基準は“乾燥後高さ”) |
| 構造 | 軽量発泡芯+耐水性粘土外装、内部は換気回廊を持つ |
| 設計者 | 粘土建築家:渡辺精造(わたなべ せいぞう) |
ネンドコネコネ王国(ねんどこねこねおうこく、英: Nendo-Koneko-ne Kingdom)は、にある[1]。
概要[編集]
現在では、に所在するは、乾燥と湿度を“治世”として扱う粘土造形のテーマパークとして知られている[1]。
本施設は、入場者が「こねる」「ならす」「押し跡を残す」工程を疑似体験できるよう、城郭風導線と、見学動線上の作業台が一体化した設計として特徴づけられている[2]。
同施設の運営理念は、粘土が持つ可塑性を社会制度の比喩として説明する点にあり、子どもの教育だけでなく、自治体の広報施策にも影響したとされる[3]。
名称[編集]
「ネンドコネコネ王国」という名称は、開設準備段階で実施された住民ワークショップで、最終的に“音の反復が王冠に似る”という理由により採用されたとされる[4]。
当時の広報資料では、王国を「ねんど(素材)」+「こねこね(工程)」+「王国(運用)」の三要素として図示しており、職員研修のスローガンにも用いられた[5]。
なお、施設外壁の主要サインは、音声入力向けにカタカナ表記を徹底したとされ、誤読防止のために「ン」をわざと二画に分割した例が報告されている[6]。
沿革/歴史[編集]
構想の起点(“粘土行政”構想)[編集]
王国の構想は、にの地域文化担当が主導した「子育て手触り施策」から始まったとされる[7]。当初は“工作体験の増設”が目的であったが、試作段階で職員が「素材が乾くまでの時間管理こそが行政の縮図ではないか」と発言したことが転機になったと伝えられる[8]。
ここから、乾燥温湿度を“治世指標”と呼び、湿度計の表示を童話の暦(第◯週・治水月)として掲示する発想が生まれたとされる[9]。
ただし、一次資料とされる議事メモでは「湿度55%を“王妃の微笑”と記す」といった記載があり、信頼性に疑問を持つ研究者もいるとされる[10]。
建立と“乾燥耐性”の競争[編集]
王国の実施設計はに着手され、設計者のは、城郭風の意匠を維持しつつ、雨天でも外装が反り返らないようにする配合を追求した[11]。
技術開発では、耐水性粘土の配合を「紙粘土:軽量骨材:撥水剤=47:38:15」と固定し、さらに試験ロットを月ごとに割り当てたと報告されている[12]。この比率は、完成後の現場検査で「同じ比率なら王国の“性格”が安定する」と説明されたが、後に比率の由来が“くじ引き”だったことが判明したという逸話も残っている[13]。
完成後の、王国宣言式では本塔の高さを“乾燥後34.7m”として掲げ、刻印には「触れた時間の分だけ形が学習する」との言葉が添えられたとされる[14]。
社会に対する波及[編集]
王国の来訪者数は開業翌年で約18万3,400人とされ、目標値(16万人)を約14.6%上回ったと報告されている[15]。この数値が、自治体の「参加型文化施策」のモデルとして他地区へ参照されたとされる[16]。
さらに、施設内の“湿度の広報”が話題となり、家にある加湿器を「治世用インフラ」と呼び替える投稿が増えたとされる[17]。
一方で、粘土作品の経年変化(崩れや色の退色)が“学習の証拠”として肯定される運用が、教育現場では賛否を呼んだと指摘されている[18]。
施設[編集]
ネンドコネコネ王国は、王冠広場、本塔回廊、こね場(体験工房)、王妃図書室(童話と説明ボードの閲覧区画)、そして湿度観測塔の五系統のゾーンから構成される[19]。
本塔回廊は、壁面に浅い指形のレリーフを埋め込み、来訪者が触れることで“館内の気流”を読む導線になっていると説明される[20]。ただし、触れた結果として本当に気流が変わるかについては、観測計画が非公開であり、確証は得られていない[21]。
また、こね場には、作業台が全部で612台あるとされ、番号は「ひだまり係数(H)」の値で並べ替えられているという[22]。作業台の予約システムは、当日配布の“王国手形”と紐づける方式で、紙質を湿度で変える運用が採用されている[23]。
交通アクセス[編集]
施設はの西遠地区、旧倉庫群を転用した紙粘土工房街区に所在する[24]。
公共交通ではのから路線バス約28分、「王国前」停留所下車で徒歩約6分とされる[25]。自家用車では、近隣の臨時駐車場を含めて最大1,240台収容できるとしており、雨天時には誘導員が“粘土カラーコーン”を使用する運用が知られている[26]。
なお、施設入口では入場前に湿度チェックが行われる。基準値は「館内搬入粘土の安全範囲として、外気湿度が65%未満」とされるが、実際には数値の幅が回によって微調整されているとの指摘もある[27]。
文化財[編集]
ネンドコネコネ王国は、建立後に地域の“手仕事文化”を示す建造物として審査され、の登録文化財に準ずる扱いで登録されているとされる[28]。
登録に際しては、外装粘土の配合記録、指形レリーフの設計図、さらに湿度暦の掲示文書がセットで提出されたと報じられている[29]。
ただし、粘土外装は経年で色が変わるため、補修時にどこまでを原型として扱うかが論点になり、「原型率」を巡って評価委員会の会議が長引いたとされる[30]。この過程で、原型率を“見た目85%+触感70%”とする奇妙に具体的な基準が採用されたとされるが、基準の根拠文書は閲覧制限されている[31]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 静岡県教育文化局『登録文化財の運用要領(粘土外装編)』静岡県教育文化局, 2002年.
- ^ 佐藤楓『可塑性を行政に転写する試み:ネンドコネコネ王国の運用分析』地方創生ジャーナル, Vol.12 No.3, 2004年, pp.41-68.
- ^ 渡辺精造『指形レリーフの設計原理:乾燥後34m級構造の実務』粘土建築研究報告, 第4巻第1号, 2001年, pp.1-29.
- ^ Marielle K. Thornton『Humidity as Narrative: Microclimates in Family Museums』Journal of Experiential Planning, Vol.8 No.2, 2006年, pp.77-102.
- ^ 浜松市観光課『西遠地区の再編と王国型施設の波及効果』浜松市資料叢書, 第9号, 2003年, pp.13-35.
- ^ 林田邦明『童話暦掲示の社会的効用に関する一考察』教育方法研究, 第18巻第4号, 2005年, pp.201-219.
- ^ “王妃の微笑”記録班『治水月と湿度表示の試験ログ(写本)』内々資料, 1998年.
- ^ 小笠原ミツ『粘土外装の補修と原型率:85/70基準の導入経緯』建築保存レビュー, Vol.21 No.1, 2007年, pp.55-90.
- ^ 山口直哉『参加型文化施策の定量評価:来訪18万を超えた日の分析』文化統計年報, 第33巻第2号, 2002年, pp.9-24.
- ^ Rui Nakamura『Playful Governance and Material Culture: A Comparative Note』International Journal of Civic Arts, Vol.3 No.1, 2008年, pp.33-49.(原題表記が誤植とされる)
外部リンク
- ネンドコネコネ王国 公式湿度暦
- 浜松市 西遠地区 体験工房マップ
- 粘土建築研究会アーカイブ
- 登録文化財データベース(静岡県準拠)
- 指形レリーフ設計者インタビュー