バナナサンド
| ジャンル | トークバラエティ |
|---|---|
| 放送局 | TBS |
| 出演(司会) | バナナマン / サンドウィッチマン / 進行4人(架空の内訳で運用) |
| 放送開始年 | (番組史上の体感としては説もある) |
| 放送形態 | スタジオ収録(マルチカメラ) |
| 平均視聴率(とされる) | 関東地区で年平均約7.4%(ただし年度によりブレが大きい) |
| 主なコーナー | 即席“箱庭”ゲーム / 逆質問ガチャ / バナナ×サンド評価会 |
| 公式略称 | バナサン |
(英: Banana Sand)は、のトークバラエティ番組である。お笑いコンビのとに加え、司会進行役として4人がスタジオを回し、ゲストとゲームを遊びながらトークを展開する形式として知られている[1]。
概要[編集]
は、スタジオに置かれた複数の「箱庭」からゲームを選び、進行役4人がルール説明と採点を兼ねて進行するトークバラエティ番組である[1]。
番組名は“番組の進行テンポがバナナの熟度(甘さの立ち上がり)と、サンドイッチの層(会話の層)で決まる”という社内企画書の比喩から採られたとされる[2]。この語感が広まり、視聴者の間では「バナサンを観ると口がサクサクする」といった言い回しも見られた[3]。
初期の運用では、ゲーム勝敗だけでなく「一言の重さ(文字数×語尾の温度)」まで算出する方式が試験導入されたが、あまりに細かい計算が話題化し、結果として番組の“真面目にふざける”路線が定着したとされる[4]。
企画・成立[編集]
企画書の起点:熟度計測と層分けトーク[編集]
番組の成立は、の編成局内に設置された「温度別トーク最適化」ワーキンググループに端を発するとされる[5]。同グループは、ゲストの発言が冷え込む時間帯を解析し、温度が下がると“場がサンドされて会話が詰まる”という比喩を採用したという[5]。
一方で、司会4人の進行は“熟度”を基準に設計された。具体的には、台本の一文目に含まれる母音の比率(当時は「ア・オ・イ・エの散らばり」が熟度を示すとされていた)を、収録当日の室温と連動させるという、やけに細かいルールが議論された[6]。
ただし、この室温連動は最終的に「気持ちだけ連動」に縮められた。縮められた理由は、雨天時に控室の空調が勝手に上下し、結果が一貫しなくなったためである[6]。この“科学っぽいのにふわふわ”な折衷が、番組の核になったと推定されている[7]。
司会4人制とゲーム採点の設計思想[編集]
司会進行は、との2組を軸に据えつつ、さらに4人がスタジオを回す形で企画された[8]。ここでいう“4人”は、視聴者から見える進行役に加えて、台本上は「採点係」と「空気係」と「ツッコミ係」と「間(ま)係」のような役割が分解されていたとされる[9]。
採点方式は、ゲストが出した答えに対し「文字数」「語尾」「想定外率(主観)」を掛け合わせることで算出されたとされる[10]。この方法は、番組内で“統計”と呼ばれたが、実務上は制作スタッフの好みが係数に反映されていたと報じられた[10]。なお、最初の係数は「数字にすると責任が生まれる」ため、紙の裏に手書きで残していたという証言もある[11]。
この設計思想は、トークの“分岐”をゲームに接続することで、ゲストが自然に盛り上がれる導線を作ることを目的としていた。つまり、勝敗はきっかけであり、目的は“会話の層を壊さずに積み増す”ことだったとされる[12]。
放送内容と代表的なゲーム[編集]
番組では、進行役4人が毎回、ゲストに「今日の層」を提示し、その層を壊さないようゲームを選ばせる形式が多いとされる[13]。層とは、最初のトークテーマ→中盤の驚き→終盤の落としの順番を指すとされ、ゲストが順番を入れ替えると減点になることがある[13]。
代表的なコーナーにはがある。これはスタジオ床面に仮設の「箱」が並べられ、ゲストが箱の中からアイテムカード(バナナ形状カード、サンド由来のパン粉カード等)を引くと、進行役がトークの質問を即興で生成する仕組みである[14]。
また、では、ゲストが“答える側”から“質問する側”へ切り替わる。ガチャの抽選番号は毎回「0〜99」までの2桁表記で表示され、たとえばが出ると“相手の過去に触れる質問”が強制されるといったルールがあるとされる[15]。ただし、強制された質問があまりにも刺さりすぎたため、進行役が「刺さり具合をバナナの熟度に換算する」と言って誤魔化した回もあるとされる[16]。
終盤にはが行われる。評価は5段階で、熟度(甘さ)と層(滑らかさ)をそれぞれ点数化し、さらに合算点に応じて「エンディングの語尾が変わる」という小さな演出が加わる。語尾変化のルールは、番組ブログによれば「語尾の子音が増えるほど会話が硬化する」という仮説に基づいたとされる[17]。
反響と社会的影響[編集]
は、バラエティ番組としては珍しく“トークの設計”を視聴者に可視化する方向性があったと評価されている[18]。視聴者の一部は、ゲームに負けた回の“言い淀み”がSNSで分析され、翌週の放送で進行役4人が言及する循環が生まれたと指摘している[18]。
特に、ゲーム採点が細かいこと(文字数や語尾温度など)から、「会話を最適化する」思考が生活にも波及したとする見方がある[19]。一例として、視聴者が友人同士の雑談で「今日の熟度は何点?」と冗談を言う文化が生まれたと報じられた[19]。この流れは、会話教室や社内研修でも“言い回しの温度”という疑似概念が使われるようになったとされる[20]。
一方で、影響の副作用も指摘されている。トークを“採点されるもの”として捉える人が増え、真面目な場では逆に沈黙が増えたという相談があったと、民間の相談窓口がまとめた報告書では示唆されている[21]。なお、この報告書は「数値の信頼性が低い」として当初は回収されたが、後に一部が資料として出回ったとされる[21]。
番組自体は、テレビ欄では「笑いと会話の設計図」と表現され、視聴者投稿を受けた“改善版台本”が作られた回もあった。改善版の台本は、ゲストが言い直しを提案した場合に加点される仕組みに変更されたとされる[22]。
批判と論争[編集]
番組の細かい採点方式は、放送初期から「バラエティのはずなのに議論が理屈っぽすぎる」という批判を呼んだとされる[23]。特に、で“刺さりすぎる質問”を抑えるために「語尾温度を下げる」と称して進行役が言い換える場面が、視聴者によっては過剰に演出されたと受け止められた[24]。
また、“司会4人制”についても、誰がどの役割か曖昧にされることがあるという指摘がある。番組公式は「チーム進行」とだけ説明していたが、ファンコミュニティでは「間(ま)係の声が大きい回が伸びる」などと推測が広まった[25]。この推測は検証されないまま独り歩きし、結果として“間の音量”を測るアプリが一時的に売れたと報じられた[26]。
さらに、採点係数の出所については「スタッフの好み」が反映されているのではないかという疑念が浮上した。番組制作担当者は否定したとされるが、ある制作会議の議事メモとして「係数は机の引き出しではなく“笑いの流れ”で決める」と書かれていたと、匿名の内部投稿が話題になった[27]。もっとも、その投稿は後に削除されたとも言われる[27]。
このような論争はあるものの、番組は“数学のふりをした会話”というユニークさで視聴者を引きつけ続けたと考えられている[28]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 山根帆波『笑いを温度化する編集会議』青灯社, 2014.
- ^ Dr.エリオット・グレイ『Conversation Engineering on Television』Vol.12 No.3, International Broadcast Studies, 2015.
- ^ 黒瀬悠理『バラエティ採点の心理メカニズム』放送技術出版社, 2016.
- ^ 志村涼太『スタジオ床面の“箱”が会話を作る』月刊メディア設計, 第8巻第2号, 2017.
- ^ 相良紗英『語尾温度の統計(ただし主観)』日本笑い研究会, 2018.
- ^ TBS編成局『2013年度編成資料(抜粋)』TBS出版部, 2013.
- ^ Katarina M. Solberg『Layers of Small Talk: A Field Report』pp. 41-63, Nordic Media Review, 2019.
- ^ 西川慎吾『“熟度”と命名の社会史』北町大学出版局, 2020.
- ^ M.ハートフォード『Text-Length Metrics in Comedy』Vol.5 No.1, Journal of Playful Analytics, 2021.
- ^ 高梨実希『バナサン文献目録(第1次)』嘘書房, 2022.
外部リンク
- バナサン公式アーカイブ
- 箱庭ゲーム研究会
- 語尾温度ファンサイト
- TBSトーク分析ポータル
- バナナ×サンド評価会メモ