リボルブ
| 名称 | リボルブ |
|---|---|
| 英語表記 | Revolve |
| ジャンル | 特撮ヒーロードラマ |
| 発祥 | 1978年頃の玩具・放送企画 |
| 主な舞台 | 関東臨海工業地帯、地下回転施設 |
| 特徴 | 回転変身、円環状の敵組織、逆回転演出 |
| 代表的な放送枠 | 土曜18時台 |
| 提唱団体 | 日本映像工学協会 回転映像分科会 |
| 関連玩具 | リボルバー・ブレス、回転核基地 |
| 通説 | 玩具と安全教育の折衷から生まれたとされる |
リボルブ(英: Revolve)は、の特撮の一系統で、回転機構を用いた変身・合体・時間遡行を主題とする作品群である。の玩具試作「回転核」を起点に成立したとされ、後年にはの放送文化研究会を中心に再評価が進んだ[1]。
概要[編集]
リボルブは、後半に系の特撮技術者と玩具メーカーの共同試作から生まれたとされる、回転を中心概念に据えたヒーロードラマである。変身バンクや必殺技の演出において、人物・背景・小道具のいずれもが回転することを前提に設計され、画面内の「回るもの」が多いほど高評価とされた[1]。
この方式は、当初は撮影台の都合を誤魔化すための苦肉の策であったが、やがて「回転によって正義が起動する」という独自の倫理観へと発展した。なお、初期の企画書では「回転しない悪は滅びない」と記されていたとされるが、原本の所在はの倉庫火災で失われたため、真偽は定かでない[2]。
成立史[編集]
玩具試作「回転核」[編集]
リボルブの起源は、春にの模型工房で試作された発光玩具「回転核」に求められる。これは本来、児童の右手と左手の協調運動を養う知育玩具であったが、開発責任者のが「回すと顔が出る」構造に着目し、そこへ変身ヒーローの設定を後付けしたことが、シリーズ化の契機になったとされる[3]。
当時、の玩具安全基準では鋭利な突起のある玩具が敬遠されていたため、設計は必然的に球体と円盤へ寄せられた。この制約が、かえって後のリボルブ的意匠、すなわち胸部の回転蓋、足裏の偏心ローラー、背面の風車状パーツを生んだとされる。
放送企画への転用[編集]
には、系の編成会議で、夕方の情報番組後に放送する子ども向けヒーロー枠として提案された。企画書では「毎回、敵の侵略が一度止まり、主人公が回ってから再開する」という独特の構成が採られており、当時のプロデューサーは、これを「静止画に戻りがちな児童番組への反省」と説明したという[4]。
ただし、撮影現場では回転セットの遠心力により衣装が剥離しやすく、初回パイロット版の約38%が再撮影になったと記録されている。特に第3案「逆回転の夜」は、機材がすべて逆向きに回り続けたため、編集室でテープを裏返して対処したという逸話が残る。
シリーズ化と商業展開[編集]
正式シリーズとしての『リボルブ』は放送開始とされ、以後は年ごとに派生作が作られた。玩具売上は初年度に約17億円、翌年には関連文具を含めて29億円に達したとされるが、内訳には「回る下敷き」や「回る連絡帳」まで含まれており、統計の取り方には疑義がある[5]。
また、の美術協力により、敵組織の拠点は必ず円形劇場または回転レストランを模した構造とされ、舞台としてはの埋立地やの旧工業団地が重用された。これにより、ロケ地の上空から撮ると毎回似たような印象になるという副作用が生じたが、視聴者の一部には「都市の輪郭が整う」として好意的に受け止められた。
作品的特徴[編集]
回転変身[編集]
リボルブ最大の特徴は、変身の際に主人公が360度ではなく、実際には約342度しか回転しない点にある。これは、当時の子役が三半規管の不調を訴えたためで、残り18度は画面効果で補完する方式が確立された[6]。結果として、視聴者には「最後の一瞬で現実が追いつく」ような印象が残るとされる。
変身ポーズもまた特殊で、右腕で円を描き、左足を少し引きずる動きが標準化された。これは、撮影台の油圧装置が片側だけ強く、立ち位置を誤ると主演俳優が回転台から落下するためであり、安全対策がそのまま美学になった典型例とされている。
敵組織「環状評議会」[編集]
敵側はたいていと呼ばれる組織に属し、世界を直線で管理しようとする理念を掲げていた。彼らの幹部は「直線至上主義」を標榜していたが、会議場は円卓であり、毎回の作戦も最後には回り回って自滅するという構成になっている[7]。
特に第27話「直角の悲劇」では、敵幹部が“曲がらない剣”を鍛造したにもかかわらず、完成品が実際には反り返っていたため失敗する。視聴者アンケートではこの回が最も教育的とされ、の一部小学校では算数の「円周率の日」に教材として用いられたという。
必殺技と音響[編集]
代表的必殺技は「リボルブ・クラッシュ」で、敵を倒すのではなく、敵の周囲を高速で回り続けて自己解体を促す方式である。音響面では、戦闘開始時に必ず「ギュウウ…ン」という回転音が入るが、実際には金属バケツを扇風機に近づけた音を逆再生したものであると関係者が証言している[8]。
また、決め台詞の末尾に「回れ」を付ける慣習があり、これは現場の口癖が脚本に取り込まれたものとされる。「正義よ、回れ」「明日へ回れ」などの変種が各シリーズで生まれ、後年の自己啓発番組にも影響を与えた。
社会的影響[編集]
リボルブは、単なる特撮作品にとどまらず、1980年代の児童文化において「姿勢を正す番組」として利用された。日本全国の学習塾では、集中力向上のためにオープニングテーマを30秒だけ流す慣習が生まれ、の外郭研究会でも「回転視聴が読解速度に与える影響」が議論されたとされる。
一方で、流行しすぎた結果、観覧車や回転寿司、洗濯機まで「リボルブ的」と形容される風潮が生まれた。特にでは、商店街のアーケードに設置された装飾回転盤が「街の正義装置」と呼ばれ、地域振興計画に組み込まれたという記録がある。なお、この流れに便乗して「回るだけで勇気が出る」という健康器具が多数販売され、国民生活センターが注意喚起を出したとする記事もある[要出典]。
主要な派生作品[編集]
テレビシリーズ[編集]
『リボルブX』()は、シリーズ初の続編であり、主人公が交代したにもかかわらず、変身ポーズだけは初代より1秒長くなった。制作側はこれを「成熟の表現」と説明したが、実際にはエンディングへの尺不足を埋めただけともいわれる[9]。
『新リボルブV』()では、敵基地が地下ではなく高層ビルの屋上に置かれ、風圧でセットが常に傾いていた。この不安定さが「終末感の演出」として評価され、後のハード路線の先駆けとされている。
劇場版[編集]
劇場版『リボルブ/最終回の前夜』()は、公開初日にフィルム缶の向きが逆で納品され、冒頭10分が逆回転で上映された。観客の一部はこれを新表現と受け取り、館内アンケートでは「理解できなかったが気持ちはわかった」が最多回答だったという[10]。
また、併映の短編『回転する朝』は、の港湾倉庫で撮影され、潮風で回転台が錆びる事故が話題になった。この事故以降、特撮現場では「海の近くで回すな」が格言として残った。
批判と論争[編集]
リボルブには、過剰な回転表現が幼児の平衡感覚に影響するのではないかという批判が当初から存在した。これに対し制作陣は「回ることで世界の中心を学ぶ」と反論したが、の一部では実際に校庭で旋回遊びが流行し、保護者会で問題になったとされる[11]。
また、シリーズ後期においては、設定が複雑化しすぎて「回転の回転による回転のための回転」と評されることもあった。ファンの間ではこれを「四重回転問題」と呼ぶが、制作座談会では、脚本家のが毎回円グラフで構成を説明していたため、誰も止められなかったという。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡会精二『回転核と児童玩具安全規格』日本玩具工学会誌 第12巻第4号, 1979, pp. 41-58.
- ^ 佐伯道隆『特撮における円運動の倫理』映像文化研究 Vol. 7, 1983, pp. 102-119.
- ^ 西園寺亮『夕方枠と回転演出の相関』放送批評 第18巻第2号, 1981, pp. 5-21.
- ^ Margaret L. Thornton, “Revolving Heroes and the Semiotics of Motion,” Journal of Japanese Media Studies, Vol. 4, No. 1, 1989, pp. 77-96.
- ^ 高橋冬彦『環状評議会の美術設計について』美術と特撮 第9号, 1984, pp. 64-81.
- ^ J. E. Caldwell, “The 342-Degree Transformation Problem,” Screen Effects Quarterly, Vol. 2, No. 3, 1990, pp. 11-29.
- ^ 日本映像工学協会 回転映像分科会編『回転表現の標準化報告書』同協会出版部, 1987, pp. 1-143.
- ^ 三浦久代『回るだけで勇気が出る健康器具の社会史』生活文化評論 第5巻第1号, 1991, pp. 33-47.
- ^ 小林誠『リボルブX制作日誌』東都出版, 1982, pp. 88-112.
- ^ 田辺真理子『逆回転上映事件と観客受容』映画館学報 第14巻第2号, 1986, pp. 201-218.
- ^ Peter A. Sloane, “Circular Villainy in Weekend Tokusatsu,” Popular Media Review, Vol. 11, No. 4, 1992, pp. 155-173.
外部リンク
- 日本回転映像資料館
- 特撮円環年表アーカイブ
- リボルブ研究会公式紀要
- 昭和児童番組保存センター
- 回転特撮ファンフォーラム