七種茨
| タイトル | 七種茨 |
|---|---|
| 画像 | 七種茨のロゴ(架空) |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | 『七種茨』のジャケットイメージ(架空) |
| ジャンル | 冒険RPG(ハンティング・クラフト要素含む) |
| 対応機種 | 携帯型携行端末(N7I Hand)/据置互換ドック(D7A) |
| 開発元 | 七茨計画社 |
| 発売元 | 暁黒流通(Kyoukoku Distribution) |
| プロデューサー | 渡辺精一郎 |
| ディレクター | Dr. Margaret A. Thornton |
| デザイナー | 椿貴祥 |
| プログラマー | 林田篤志 |
| 音楽 | 七茨音響工房 |
| シリーズ | 七種茨 |
| 発売日 | 2018年11月9日 |
| 対象年齢 | C(15歳以上相当) |
| 売上本数 | 全世界累計120万本(初週換算で算出) |
| その他 | 協力プレイ/オンライン対応・オフライン実行モードあり |
『七種茨』(よみ、英: Seven Kinds of Thorn、略称: N7I)は、[[2018年]][[11月9日]]に[[日本]]の[[七茨計画社]]から発売された[[携帯型携行端末]]用[[コンピュータRPG]]。[[七種茨]]のシリーズの第1作目である。
概要[編集]
『七種茨』は、旧都の地下水路を模した異界を舞台として、プレイヤーが“茨”と呼ばれる7系統の罠装置を解析・狩猟・鍛冶しながら進む[[コンピュータRPG]]として設計された作品である。ゲーム内では、各茨が「気配」「刃紋」「音蝕」「霧圧」「沈着」「共鳴」「温度回路」という属性を持ち、プレイヤーはそれらを組み替えて戦術を組むことになる。
本作が生まれた経緯としては、[[七茨計画社]]が行政文書の保管庫を調査していた最中、[[文化庁]]の外部協力枠に紛れ込む形で発見された“七種の保全装置”の写しが企画の核になった、とされる[1]。当時の社内では、題名の「茨」は植物ではなく「管理のための棘」という比喩として解釈され、設計部門はこの比喩を“罠と儀式の中間”へ落とし込んだ。
なお、後年のインタビューでは、ディレクターの[[Dr. Margaret A. Thornton]]が「名前だけは研究者っぽく、遊びは泥臭く」と述べたとされるが、当該発言の日時が社内記録上で[[平成]]33年と記載されており、後から訂正が入ったという逸話も残っている[2]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
プレイヤーは「狩丁(かりちょう)」と呼ばれる職能見習いとして操作し、各ステージに点在する“茨柱”から解析手順(ミニ手続き)を踏むことで、新しい装置レシピを解放していく。ゲームシステムの特徴として、戦闘は[[ハンティングアクション]]寄りの間合い設計と、クラフトによる準備が同時に求められる点が挙げられる。
戦闘では、茨を地形に設置してから敵の動線を誘導する方式が基本になっている。例えば[[音蝕]]系の茨は、一定半径内で敵の“意思値”を下げる代わりに、自分の足音も増幅するため、熟練者はわざと誤作動するリズムを仕込むとされる。この挙動は開発資料では「第4位相での自己干渉」と呼ばれていた[3]。
アイテム面では、茨そのもの以外に「棘粉(きょくふん)」「刃紋紙」「霧針」「温度コイル」など、素材がやけに細分化されている。公式攻略メモでは“棘粉は湿度62.4%で粒度が固定される”とされ、説明文だけがやけに理科の実験ノートのようである点が話題になった[4]。ただし実際のゲーム内では湿度の数値は表示されないため、プレイヤーは経験則で「水場の次の扉が当たり」と推測するようになった。
対戦モードとしては「七茨同盟戦」があり、協力プレイと対戦が同一リスト内で切り替えられる仕様が採用された。協力では茨の“霧圧”を味方の視界共有に転用できるが、対戦に切り替えると同じ特性が敵側のジャミングになるため、勝敗が学習と裏切りに分かれる構造になっている。オンライン対応は発売から3か月後に段階開放され、オフラインモードは最初から“野良のような挙動”を目指して実装されたとされる[5]。
ストーリー[編集]
ストーリーは、旧都の地下水路網を“回廊”と呼ぶ地域間で進行する。主人公は回廊に散らばる「折れ棘(おれくしばり)」を集める使命を負うが、実際には折れ棘が“記憶の鍵”として機能し、回廊の住人の言葉を後から編集できてしまうことが判明する。
各回廊には七種の茨が管理する区域が割り当てられており、霧圧の区域では過去の天候がやり直される。沈着の区域では死者の足取りが“規格化”され、温度回路の区域では装置同士の熱履歴が戦況を変える。これらは単なる演出ではなく、進行フラグに関係しているとされる[6]。
終盤では、七茨計画社が作った“茨の手順”を、かつて同社の先遣隊が「都市保全のための儀式」と誤解していたことが露見する。誤解のまま続けられた儀式が回廊の住人を縛り、プレイヤーはそれを解くために、全7系統の茨を“同時に不作動”させる儀式手順を選ぶ必要がある。ここで選択する順番がエンディング分岐に直結するが、開発側は「順番ではなく“やり残し”を数えよ」と説明している[7]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公は特定の固有名を持たず、「狩丁見習い」として始まる。代わりに、所持品の茨に“癖”が残り、癖の強いプレイヤーほど物語の一部の会話が増える仕様があるとされる。プロデューサーの[[渡辺精一郎]]はこれを「プレイヤーが語る余白」と呼んだとされるが、同氏の発言録の原本が見つからず、出典注記が“回覧板”になっている[8]。
仲間としては、霧圧系の茨を“天気の手紙”として扱う[[ルミオ・ヴェルデ]]、音蝕系の茨にだけ異常な敬語を使う[[市河紺(いちかわ こん)]]、温度回路の区域で生まれたという[[熱誓(ねつちかい)獣]]の幼体が同行する。敵側には、沈着の区域を独占する商人組合[[九室棘商会]]が登場し、刃紋紙を偽造して狩人免許を“紙の温度”で発行するという荒唐無稽な手口が描かれる。
特に[[九室棘商会]]の幹部「[[間根利門(まね りもん)]]」は、会計監査の書式にまで棘の記号を組み込み、領収書の紙面がプレイヤーのスキル習得速度に影響すると主張する。作中でのその影響は数値化されており、“領収書の余白が27.0mmを超えると経験値が減衰する”と説明されるため、プレイヤーの間で裁断用の定規が流行した[9]。
用語・世界観/設定[編集]
本作の中核概念である「七種茨」は、回廊を維持するために分類された7系統の管理装置群として扱われる。ゲーム内設定では、茨は植物に由来するのではなく、古い都市の防疫・治水・規格化の失敗を“棘”として記録した結果だとされる。
七種類はそれぞれ、気配の茨(索敵)、刃紋の茨(斬撃増幅)、音蝕の茨(聴覚妨害)、霧圧の茨(視界改変)、沈着の茨(行動遅延)、共鳴の茨(味方同期)、温度回路の茨(熱履歴操作)である。なお、共鳴の茨には“同じ呼吸回数で同期が成立する”という怪しい条件が付与されており、説明文だけ見ると呼吸法の教材のようになっている[10]。
世界観は“回廊の記憶”として構築されており、プレイヤーが行った選択が後に地図へ反映される。地図は更新されるが、更新対象はプレイヤーが見なかった分岐にまで及ぶとされ、結果として、ゲームが「あなたの学習」を介入させる設計になっていると指摘されたことがある。開発資料ではこれを“間接編集”と呼んでいる[11]。
開発/制作[編集]
制作経緯としては、[[七茨計画社]]が2016年に開始した「棘条件研究」によって、ゲームが“罠の挙動”に偏りすぎる問題を解消する方針が固まったとされる。研究チームには、都市計画部門の[[東京都]]出向者と、独自の数学補助を行う外部研究者が参加したとされるが、参加名簿の一部は“空欄”のまま残っている[12]。
スタッフ面では、ディレクターの[[Dr. Margaret A. Thornton]]が「装置の言語化」を担当し、デザインの[[椿貴祥]]が棘の造形を担当した。プログラマーの[[林田篤志]]は、茨の当たり判定を“音響の減衰曲線”として近似したため、開発中に社内でわずかなキーボード音が同期バグを引き起こしたという。なお、この件は会議室の床材が合わなかったのではないかという推測が後から出た[13]。
音楽面では、七茨音響工房が各茨の属性ごとに周波数帯を割り当てたとされる。ユーザーがイヤホンを使うと“共鳴の茨”がより強く聞こえるように作られたが、結果としてオフラインモードでは仕様が崩れる。これが発売前テストで問題になり、「演出とシステムの境界を越えた」という批判が一度は検討されたとされる[14]。
音楽(サウンドトラック)[編集]
サウンドトラックは『Seven Kinds of Thorn: Corridors of Memory』として発売され、茨の種類ごとに“楽器の癖”が割り当てられた。例えば霧圧系では高域が抑えられ、沈着系では低域のリズムがわざと遅れる設計になっている。七茨音響工房の資料では、沈着系の低域遅延を“平均0.083秒”と記しているが、資料の末尾に手書きで「測定器の誤差」と小さく書かれていたという[15]。
また、終盤の儀式パートでは、七つの茨に対応する旋律を同時に鳴らす“重ね奏”が採用されている。ただし全員が同時に正しく聞けるようには作られておらず、「最後の1小節だけは世界が選ぶ」と説明される演出になっている。ここが本作の“プレイヤーの体験”に寄与したとして評価される一方、再現性が低いとして敬遠する声もあった[16]。
他機種版/移植版[編集]
据置互換ドックでの移植は2020年に行われ、[[携帯型携行端末]]のセーブデータ互換が一部条件付きで導入された。具体的には、オフラインモードで“見なかった会話”がある場合、ロード時に補間が入り、会話の順序が入れ替わる仕様があるとされる。これにより、同じプレイでも二度目に異なる手がかりが出るため、配信者の間では「2周目で世界が別個体になる」と冗談が広まった[17]。
さらに2021年には、クラウド圧縮を用いた“回廊スナップ版”が配信され、回廊の記憶を短時間で復元する機能が追加された。公式はこれを「速さの礼儀」と呼んだが、速さの礼儀の代償として、温度回路系の装置挙動が1%ほど丸められる問題が発生した。丸め誤差の影響は、湿気の高い回廊でのみ顕著になったと報告されている[18]。
評価(売上)[編集]
売上面では、発売初週で33.8万本を記録し、全世界累計120万本を突破したとされる。もっとも、この120万本の算出方法は社内資料で“初週換算で算出”と注記されており、同社が後日「換算モデルを変更した」とする訂正を出している[19]。それでも国内ではミリオンセラーを達成し、ゲームメディアの一部では[[日本ゲーム大賞]]の前哨として扱われた。
評価では、システムの分かりにくさが賛否両論になった。特に、共鳴の茨の条件が呼吸回数に結びついているかのように読める点は、評論家の[[小泉皓志]]が「仕様か比喩か曖昧だ」と批判した。これに対し[[七茨計画社]]は、条件は“身体感覚を学習するための補助パラメータ”であり、厳密な運動生理の保証ではないと説明したとされるが、説明文には「厳密な保証はしない」とも「保証する」とも読める余白が残った[20]。
一方で、物語の間接編集設計はプレイヤーの考察を加速させ、ファミ通系のクロスレビューではゴールド殿堂に相当する扱いを受けたとされる。実際のスコア表記は“クロスレビュー内部基準”として公開されなかったため、ファンの間では「点数が存在しないのに称号だけある」という解釈が生まれた[21]。
関連作品[編集]
関連作品としては、テレビアニメ化された『七種茨 -棘の通信-』が挙げられる。アニメでは、霧圧の茨が通信の比喩として扱われ、敵側の[[九室棘商会]]が“行政書類の呪い”として描かれたとされる。
また、ゲームブックとして『折れ棘の手順帳 第1回』が刊行され、ゲーム内の“解析手順”を文章化して再現する形式がとられた。さらに、コミック版『熱誓獣の飼い方(1匹から)』が、温度回路系の演出を家庭用の比喩として翻案したとして話題になった[22]。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本としては『七種茨 解析手順完全読本(誤差対応版)』が発売され、茨ごとの設置角度や誘導ラインが図解された。特に音蝕系の章では、手元のメトロノームのテンポを“117.0BPM”に設定すると安定する、といった具体的指示が記されており、後に編集部が「117は当時の社内チューニング値」と明かしたとされる[23]。
ほかには公式設定資料集『回廊の記憶—編集される地図—』があり、地下水路の模式図が実在の地名と混在している。たとえば本文では、架空の回廊名として[[江東区]]に似た「江湊区回廊」が登場し、実在の運河の名称の雰囲気だけが引用されていると指摘された。編集者は「読者の記憶に寄り添うための色付け」とコメントしたとされるが、出典が「匂い」と表現されており[24]、ツッコミの的になった。
書籍では、作中用語の辞典『棘語辞典:共鳴の呼吸回数はなぜ生まれたか』も刊行された。辞典の序文に「呼吸回数は小数点第2位で決まる」と書かれていたため、数学好きの読者が小数点を巡って掲示板を荒らしたとされる[25]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 七茨計画社編『七種茨 解析手順研究ノート』暁黒流通, 2019.
- ^ 渡辺精一郎『棘はなぜ物語になるか:ゲーム設計論』七茨出版, 2020.
- ^ Dr. Margaret A. Thornton『Interactive Rituals in RPGs: A Case Study』Journal of Game Systems, Vol. 12 No. 3, pp. 41-58, 2021.
- ^ 林田篤志『当たり判定を音響減衰で近似する試み』信号処理会報, 第7巻第2号, pp. 12-26, 2018.
- ^ 椿貴祥『装置造形の棘:形状と言語の接続』デザイン潮流叢書, 2020.
- ^ 小泉皓志『曖昧な条件はプレイヤーを惑わせるか?』月刊ゲーム批評, Vol. 44, pp. 77-89, 2022.
- ^ Kyoukoku Distribution『Seven Kinds of Thorn Sales Model (Internal)』KDDリサーチ, pp. 3-19, 2020.
- ^ 七茨音響工房『共鳴は再現する:周波数割当設計』音響記録年報, 第2巻第1号, pp. 101-134, 2019.
- ^ 文化庁外部資料『都市保全装置の記号体系』第33補遺, 2017.
- ^ Thomas, R.『Thorns & Maps: Indirect Editing of Game Worlds』World Media Studies, Vol. 9 No. 1, pp. 5-20, 2018.
外部リンク
- 七茨計画社 公式アーカイブ
- 暁黒流通 パッチ履歴室
- 棘語辞典編集部サイト
- 回廊の記憶 ファン解析Wiki(架空)
- 七茨音響工房 サウンド検証ページ(架空)