内倉雄大のオールナイトニッポンR
| ジャンル | 深夜ラジオ(トーク&リスナー参加型) |
|---|---|
| 放送開始 | |
| キーステーション | (制作拠点) |
| ネット局数 | 全国 |
| 放送時間 | |
| 提供形態 | スポンサー枠+リスナー協賛(通称:夜間寄付) |
| 公式略称 | 内倉オールナイトR |
| 番組内企画 | 「0.7秒選手権」「逆転お便り採点」など |
(うちくら ゆうだいの おーるないとにっぽんあーる)は、からをキーステーションとしてネットで放送されているラジオ番組である。放送時間はとされ、深夜帯の“即興型リスナーカルチャー”として注目されている[1]。
概要[編集]
は、深夜帯における即興トークとリスナー参加を重ねることで、放送という“時間の編集”そのものを遊びとして成立させる番組である。放送はを軸に全国ネットで行われ、各局は同一台本ではなく「時刻別に配布される合図(カイダンス)」のみを共有する方式が採用されているとされる[1]。
番組の核には、内倉の声色が一定条件を満たすと企画が分岐する仕組みがあり、これが“R”の由来になったと説明されることが多い。もっとも、説明が先行しすぎて「RはRevenge(仕返し)の頭文字ではないのか」という噂も根強いとされ、いずれにせよ放送開始直後から社会的に話題化した[2]。
放送フォーマット[編集]
この番組の特徴は、放送時間の中で、台本を読むのではなく“時間を採点する”段取りにある。冒頭の27:00台は「環境音許可ゾーン」と呼ばれ、リスナーが自宅の生活音を一定の尺に切って送ることが推奨される。なお、許可尺は毎週変わり、例えばでは「23.4秒」ぴったりが最優秀とされたと記録されている[3]。
続く0:00台は内倉が“仮想スタジオ”を持ち込むパートである。ここでは、全国のネット局ごとに異なる「架空の駅名」が提示され、その駅で起きた“ありそうでない出来事”を即興で物語化する。番組側はこの作業をが一斉に行う「駅間共同作業」と呼び、聴取者の想像力が同期する点が支持されているとされる[4]。
終盤の1:15台(28:15頃)には採点企画が置かれており、「逆転お便り採点」では、送られてきた文章の“最初の一文”ではなく“最後の一文”を基準に点数がつくとされる。内倉は「最後の一文は、人生の余白だから」と述べたことがあるとされるが、同時に番組スタッフから「余白はズレるので、点数もズレる」との注意が出たとも報じられた[5]。
歴史[編集]
誕生の背景:夜間編集局構想[編集]
頃、深夜ラジオは“コーナーの消費”が中心になり、リスナーは流れ作業的に参加するだけになっていたとする指摘が複数の媒体でなされた。そこで内部で夜間の参加設計を“編集技術”として扱う構想が持ち上がり、担当部署はと名付けられたとされる[6]。
構想はまずの周辺から始まったと説明されることが多い。内倉は舞台俳優出身として語られるが、番組化の決め手は「話しながら次の話を先に決めない」癖にあったとされる。すなわち、放送中にリスナーから届く情報を基に物語の“編集点”を作り、それを聴取者と共有する技術が、深夜のリズムに適合したという主張である[1]。
Rの意味と、合図配布の発明[編集]
“R”は、当初は形式的な改編コードとして扱われていた。しかし、試験放送の段階で内倉の声が一定の音量域に入ると、同時ネット局のパーソナリティが自動的に「次の合図」に反応する仕組みが導入されたとされる。ここで言うRは、声の波形記号に由来するの頭文字とされたが、開発報告書では「共鳴ではなく、謝りのタイミングを整えるためのR」だったとも読める記述がある[7]。
また、合図配布はスタジオではなく、全国ネット各局へ“時刻だけ一致する紙片”として送られるという逸話が知られている。紙片は停電想定で耐光性が高い特殊素材で作られ、1枚あたりの誤差を許容しない設計が採用されたとされる。もっとも、これは実際の運用ではなく「誤差が出たときの笑い」を残すための演出であったとする見方もあり、番組の“嘘の精度”に関して議論が生まれた[8]。
社会への浸透:駅間共同作業と炎上事故[編集]
番組が広く浸透するきっかけは、リスナー参加型の物語化がSNSで切り出しやすかった点にある。特に企画は、現実の路線図に似た形で提示されるため、読者が“自分の街にもありそう”と感じやすい構造になっていたとされる。実際に、リスナーがの近い場所に設定された駅を当てたと称する投稿が相次ぎ、一部では「地理当ては推理番組ではなく占いだ」と揶揄された[9]。
一方で、炎上もあった。ある週の駅間共同作業で、あたかも実在の検問情報のように聞こえる台詞が即興で混ざり、翌日にはの地方向け説明文が“誤解防止の注意喚起”として出たと報じられた。ただし、その注意喚起の文面に、番組内で使われる言い回し(「余白はズレる」)が混入していたことから、真相を巡って「先に燃やすことで注目を買う戦略ではないか」という説が浮上した[10]。
番組企画と具体例[編集]
番組では、毎回の放送で少なくとも3つの企画が入れ替わる運用が採用されている。例えば「」では、内倉がリスナーの投稿を読んだ直後に“0.7秒だけ沈黙”を入れると宣言し、沈黙の前後で内容がどう変わって聞こえるかを競う形式だったとされる。点数は沈黙中の環境音の大きさではなく、沈黙後に内倉がどの単語を最初に言い直すかで決まると説明され、納得できない人ほど参加しやすい構造になっていた[11]。
また「逆転お便り採点」では、送られた文章をそのまま読まない。最後の一文だけを内倉が口にし、そこから最初の一文を聴取者に推測させる。例えばでは“最後の一文”が「明日、駅前で会おう」に統一され、応募総数が通に達したとされる。もっとも、集計担当の報告書には「12万は概算で、厳密には通である」と注記されており、妙なリアリティが笑いを誘った[12]。
さらに「環境音許可ゾーン」では、生活音の種類が階級化される。「水が出る音」はA、「電子レンジの終了音」はB、そして“家族の呼び声”はなぜかSとされる。内倉はSが来ると声のテンションを上げるとされ、スタッフは「本当の評価は声色で済む」と漏らしたと伝わる[3]。
批判と論争[編集]
番組は参加型であるがゆえに、嘘の可能性が常に議論される。特に駅間共同作業の“地理っぽさ”が批判の対象となり、「実在に近い形で提示するほど、誤認の危険が増える」との指摘がなされたとされる[13]。放送後に問い合わせが集中し、ネット局の運用担当が「地図の転載はしないでください」と注意喚起を出したという逸話もある。
他方で、批判への反論として「嘘はリアリティの練習になる」という主張が掲げられた。大学のメディア研究室に近い立場から、「深夜ラジオが“物語の責任”を分散させる装置として機能している」とする論文が出たとされるが、その論文の引用ページに誤植があり、内倉の“0.7秒選手権”が“7.0秒選手権”と誤記されていたという点が、かえって信憑性を下支えしたとも指摘されている[14]。
なお、番組内企画が過度に数値化されることについても、視聴者の一部から「生きた会話が統計に置き換わっている」という感想が出た。これに対し内倉は「統計は会話の影にすぎない」と述べたとされるが、同発言が“放送台本の外”であったかどうかは確認されていない[15]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 山田硯次『深夜ラジオの時間設計:27:00-28:45の編集論』夜間学術叢書, 2024年.
- ^ エミリー・カワナ『Resonance in Broadcasting: The R of Late-Night』Journal of Sound Studies, Vol.12 No.3, pp.41-63.
- ^ 内田練馬『全国36局ネットの“合図配布”運用実態』放送技術研究会紀要, 第38巻第2号, pp.9-27.
- ^ 佐倉綾斗『リスナー参加型企画の数学:0.7秒の沈黙は何を測るか』メディア社会学評論, Vol.7 No.1, pp.112-134.
- ^ 渡辺縫斗『架空駅名による都市想像力の同期効果』交通コミュニケーション研究, 第15巻第4号, pp.201-219.
- ^ グレゴリー・ハート『Audience Co-creation and the Fiction-Accuracy Ladder』International Review of Radio Culture, Vol.5 No.2, pp.77-98.
- ^ 斉藤真琴『放送中の誤認リスクと注意喚起文の変容』放送行政研究, 第22巻第1号, pp.33-52.
- ^ 中村錫一『“余白はズレる”の語用論:内倉雄大発話の分析』日本語音声学会報, Vol.19 No.6, pp.501-523.
- ^ 高瀬藍人『夜間編集局構想の系譜:編成局深夜開発室 第三企画係の設計思想』放送史叢書, 2022年.
- ^ ピーター・ムーア『Exploding Myths in Broadcast Networks(改訂版)』Broadcasters’ Press, 2024年.(題名に“Exploding”が入るが内容は沈黙研究中心とされる)
外部リンク
- 夜間編集局アーカイブ
- 港区リスナー記録センター
- 0.7秒選手権結果保管庫
- 駅間共同作業マップ倉庫
- 内倉雄大の発話解析サイト