北和大学資源工学部棟(廃館・11号館)の五限の拍手喝采
北和大学資源工学部棟(廃館・11号館)の五限の拍手喝采(きたわだいがくしげんこうがくぶとう(はいかん・じゅういちごうかん)のごげんのはくしゅかっさい)は、の学校の怪談の一種[1]。
概要[編集]
は、夜間のキャンパス見回り中に「五限」だけが異様に盛り上がるという都市伝説である。伝承によれば、の廊下で手を叩く音が鳴り始め、いつの間にか誰もいないはずの講義室から拍手喝采が聞こえてくるという話とされる。
この怪談が学校の怪談として全国に広まったのは、学生の「“拍手が終わるまで帰れない”」という目撃談が、掲示板と動画サイトで反復転載されたことによるとされる。なお、動画では画面の端にが映り込むとも言われており、見た者の間で恐怖と不気味さが増幅したという噂がある。
歴史[編集]
起源[編集]
起源については複数の説があり、最も語られたのは「資源工学の講義実験の事故後、学内の拍手が“回収”され続けている」という筋書きである。北和地域を所管するとされるのアーカイブに、“講義評価の透明化”を目的とした「11号館運用規則(暫定)」が存在したという噂が先行し、そこから「五限の拍手」が儀式のように定着したとされる[2]。
一方で、別の流布経緯として「実験廃材の保管庫を誤って講義室として使用した年度があり、その年だけ五限開始のチャイムが二重になった」という目撃談が挙げられている。特に語り継がれる数字として、拍手が聞こえ始めるのは「17時05分から17時13分の、ちょうど8分間」であるとされ、毎回同じテンポで鳴ると語られる。もっとも、これが正しいかどうかは不明であるが、噂の精密さだけが先に増殖したという話とされる。
流布の経緯[編集]
2000年代後半、の学生が「廃館の11号館で五限の拍手が聞こえた」と書き込んだ匿名スレッドが発端になったとされる。投稿者は“録音データ”として「拍手一回あたりの平均ピークが-12.4dBで、環境騒音との差が6dB以上あった」と細かく書いたため、当時の閲覧者が「嘘か、工学部の本気か分からない」とざわついたとされる[3]。
その後、マスメディアが「大学の異音スポット」として短い特集を組んだことでブームが加速した。番組側は“怪談の真偽”には踏み込まず、画面上に「には立ち入りを禁止する掲示がある」とテロップを出したという。すると逆に、立ち入り禁止が“正しい手順”だと解釈され、恐怖と不気味がパニック気味に拡大したとされる。
噂に見る「人物像」/伝承の内容[編集]
伝承では、拍手喝采を生む“主体”が複数語られる。最も多いのは「授業評価システム“北和式拍手点”の管理者だった教員(故人)だ」という説である。この人物はの「選鉱工学担当」の肩書きで語られることが多いが、名前は回ごとに変わるとされる。例えば「渡辺精鉱(わたなべ せいこう)」だとする話があれば、「Маргарита Градова(マーガリータ・グラドーワ)」のように外国人教員として語られる場合もある。
一方で、拍手が“生徒を褒める音”ではなく“誰かを呼び戻す合図”であるとする言い伝えもある。目撃されたという話によれば、拍手が始まると同時に廊下の温度が3℃下がり、黒板消しの粉の匂いがするという。不気味な点として、叫び声や足音は聞こえないのに、拍手だけが異様に揃うとされる。怪談の定番として「笑ってはいけない」「拍手のタイミングを真似してはならない」と注意が繰り返されてきた。
委細と派生/派生バリエーション[編集]
派生バリエーションとして、拍手が“学生の拍手”ではなく“機械が学習した拍手”だとする話がある。噂では、11号館の天井に古い振動センサーが残っており、人が廊下を歩くたびに“反射音”が拍手に変換されるよう設計されていたとされる。ただし、実際にはセンサーなど無いはずだと反論もあり、正体は「反響では説明できない」とされて恐怖が強まる原因になった。
また、拍手の種類にも分岐があるとされる。第一の型は「通常拍手型」で、パチパチという音が規則的に続く。第二の型は「喝采崩れ型」で、途中から拍手のリズムが崩れ、最後だけ“乾いた破裂音”に変わるという。さらに少数だが、「満員祝賀型」と呼ばれるものが語られる。これは五限が終わったはずなのに、講義室の中から“拍手終了のお礼”のように聞こえる声が混じると言われ、動画では画面が一瞬ブラックアウトすると報告されたという[4]。
なお、派生として「拍手の相手が“来客”である」という奇妙な話もある。夜間に現れる“来るはずのない誰か”へ、11号館が拍手で迎えているのだとされるが、迎えられた者は翌朝から「五限の時間割」を覚えてしまうという。内容は毎回同じで、「資源工学演習(全)」「選鉱基礎(不定期)」「実験倫理(未配布)」だとされる。
噂にみる「対処法」[編集]
対処法は、学生の安全ノウハウとして語られる一方で、儀式に近いものも混ざる。まず共通するのは「五限開始のチャイムが聞こえる前に、11号館の廊下の折り返し地点で立ち止まらないこと」である。立ち止まると拍手が“あなたの手の形”を真似すると言われ、恐怖とパニックが連鎖するという話がある。
次に挙げられるのが「拍手の回数を数えるな」という注意である。数えてしまうと、拍手があなたの呼吸に同期し、気づくと誰かと一緒に拍手している状態になるとされる[5]。さらに“やってはいけない対処”として、「録音で証拠を残す」「動画を撮る」「スマホのマイクを最大化する」ことが挙げられている。録音には拍手が入るが、後から再生すると自分の声が“講義の感想”のように混じっているという噂がある。
逆に“正しい対処”として、窓のない廊下では壁の番号札を順に触って歩くという方法が語られる。番号札がの奥で“0号館”へ飛ぶといわれ、そこを境に拍手が遠ざかるとされる。ただし真偽は不明であり、実践者のうち一部が翌日から手のひらがかすかに乾くと報告したとも言われる。
社会的影響[編集]
この都市伝説は、大学の安全管理やキャンパス文化に間接的な影響を与えたとされる。噂が広がった直後、では“廃館の通路照度を増やす措置”が行われたと語られているが、当時の学内掲示では「改修工事の目的は防犯であり、音響現象とは無関係」と明記されたとされる[6]。
それでも、学生のあいだでは「五限に拍手が聞こえる地点を避ける」ことが暗黙の常識になった。サークルの新人歓迎会では、廃館の前を避けてルートを作るようになり、幽霊目当ての肝試しが減ったという。もっとも、減ったのは外向きの行動であり、内側では“誰が一番静かに五限を聞けるか”という競技めいた語りが生まれたとされる。結果として怪談は消えず、むしろ知的遊戯化して残ったという話とされる。
さらに、就職活動の面接で「資源工学部門の倫理と、未知の音への対応」を語る学生が現れたとも言われる。もちろん都市伝説そのものを根拠にするのではなく、“状況判断の比喩”として使われたというが、聞き手が苦笑した例もあったとされる。
文化・メディアでの扱い[編集]
文化・メディアでは、ホラー短編や大学を舞台にした漫画、ラジオドラマなどに転用される傾向がある。特に“五限”という具体的な時間が、怪談のリアリティを高める装置として使われたと指摘されている。作中では、主人公が深夜に廃館へ向かう導線で、ほぼ必ず「17時05分」「8分間」などの数字が小道具として出ることが多い。
また、YouTubeでは「拍手喝采の周波数分析」動画が複数投稿された。編集者の一部は「音の波形が拍手と一致しない」と主張しつつ、同時に“一致しているように見える瞬間”をあえて切り貼りしたため、コメント欄が論争で荒れたという[7]。一方で、音楽制作者は「テンポが一定すぎてメトロノーム的」として、怪談を素材化した曲も発表したとされる。
加えて、実在の大学名を伏せたパロディも生まれた。「五限の拍手」「廃館の11」「喝采の回収」という断片だけが独り歩きし、別キャンパスの怪談に置き換えられるケースが多い。結果として、元の伝承から切り離されたにもかかわらず、読者は“どこかの大学の話”として受け取ってしまうとされる。
脚注[編集]
参考文献[編集]
北和大学怪談研究会『キャンパス廃館の音響現象と都市伝説』北和大学出版局, 2016年.
山口達郎『学校の怪談における“時間指定”の効果』怪談学会紀要, 第12巻第1号, pp.33-58, 2018年.
佐伯由貴『拍手・評価・統計:大学文化の闇に関する民俗学的考察』民俗音響研究, Vol.5 No.2, pp.101-140, 2020年.
Kobayashi, Haruto. "Acoustic Illusions in Abandoned Facilities." Journal of Campus Folklore, Vol.3, No.1, pp.1-19, 2019.
北和市『北和市教育委員会所蔵資料目録(暫定)』北和市教育委員会, 2009年.
田中しのぶ『夜間巡回と学生行動:安全対策の実装事例』防犯政策レビュー, 第27巻第4号, pp.77-92, 2021年.
Марков, Илья. 『恐怖の同期:拍手喝采都市伝説の再現性』第2版, 東欧民俗出版社, 2017年.
『怪談制作現場の編集技法:ホラー映像の“信じさせる編集”』映像制作協会, 2022年.
(書名の表題が不自然とされる)『北和式拍手点の歴史(復刻版)』資源教育史資料館, 2001年.
小林瑠花『未確認動物ではなく未確認“音”:存在論の再検討』音響思想研究, 第9巻第3号, pp.201-233, 2023年.
関連項目[編集]
脚注
- ^ 北和大学怪談研究会『キャンパス廃館の音響現象と都市伝説』北和大学出版局, 2016年.
- ^ 山口達郎『学校の怪談における“時間指定”の効果』怪談学会紀要, 第12巻第1号, pp.33-58, 2018年.
- ^ 佐伯由貴『拍手・評価・統計:大学文化の闇に関する民俗学的考察』民俗音響研究, Vol.5 No.2, pp.101-140, 2020年.
- ^ Kobayashi, Haruto. "Acoustic Illusions in Abandoned Facilities." Journal of Campus Folklore, Vol.3, No.1, pp.1-19, 2019.
- ^ 北和市『北和市教育委員会所蔵資料目録(暫定)』北和市教育委員会, 2009年.
- ^ 田中しのぶ『夜間巡回と学生行動:安全対策の実装事例』防犯政策レビュー, 第27巻第4号, pp.77-92, 2021年.
- ^ Марков, Илья. 『恐怖の同期:拍手喝采都市伝説の再現性』第2版, 東欧民俗出版社, 2017年.
- ^ 『怪談制作現場の編集技法:ホラー映像の“信じさせる編集”』映像制作協会, 2022年.
- ^ (書名の表題が不自然とされる)『北和式拍手点の歴史(復刻版)』資源教育史資料館, 2001年.
- ^ 小林瑠花『未確認動物ではなく未確認“音”:存在論の再検討』音響思想研究, 第9巻第3号, pp.201-233, 2023年.
外部リンク
- 北和キャンパス怪異アーカイブ
- 五限の拍手解析チャンネル
- 廃館立入禁止データベース
- 怪談編集研究会サイト
- 学生安全サイン掲示プロジェクト