国際しりとり継続大会
| 行事名 | 国際しりとり継続大会 |
|---|---|
| 開催地 | 神奈川県横浜市および周辺各区 |
| 開催時期 | 毎年10月中旬 |
| 種類 | 祭礼・口承競技 |
| 由来 | 外国人居留地の通訳稽古と港湾労働者の遊戯が結びついたとされる |
国際しりとり継続大会(こくさいしりとりけいぞくたいかい)は、のの祭礼[1]。初期より続くのの風物詩である。
概要[編集]
国際しりとり継続大会は、を中心に行われる口承型の祭礼であり、参加者が多言語の単語を用いてしりとりを途切れさせずに続けることを競う行事である。古来より地区の秋祭りの余興として親しまれており、現在では内外から学生、通訳、港湾関係者、元アナウンサーなどが集う。
大会では、単に語彙の豊富さを競うのではなく、語尾の処理、借用語の扱い、外来語の再日本語化などが重視される。特に「継続」が重んじられ、途切れた場合には参加者全員が一度式の拍手を行い、再開の糸口を探す作法があるとされる。
名称[編集]
名称の「国際」は、末期に港町として発展したの多文化性を示す語であるとされる。また「しりとり継続」は、通常の勝敗よりも連続性を尊ぶこの行事の性格を表したもので、地元では「つなぎしりとり」とも呼ばれる。
一方で、戦後しばらくは単に「外来語回し」あるいは「連鎖遊戯」と記された年代もあり、現在の名称は32年にの夕刊記事が見出しに採用したことから定着したという説が有力である[要出典]。なお、英語名の International Shiritori Continuation Tournament は、1978年にが来賓向け資料に併記したことがきっかけとされる。
由来/歴史[編集]
成立期[編集]
起源については諸説あるが、最も知られているのは後ので、外国人通訳が港湾倉庫の荷札確認を円滑にするため、物品名をしりとり式に復唱したのが始まりとする説である。これが町内の子ども遊びと混ざり、語尾が合えば笛、外れれば鈴を鳴らす方式が生まれた。
期にはの夜間講習でも採用され、語彙保持と発音矯正の訓練として一時的に奨励されたという。もっとも、訓練の厳しさから受講者の間では「税関よりしりとりの方が難しい」と囁かれ、これが現在の競技化の遠因になったとされる。
制度化と拡大[編集]
11年、の秋季例祭において、地元の青年会が「継続三百語」を掲げた公開試技を行い、観覧席が一夜で満席になったことが記録されている。これを受けて神社側は、以後毎年の奉納行事として正式に受け入れた。
戦後はとの折衝で一時中断したが、1952年に「教育的口頭遊戯」として再開された。再開初年には、進駐軍将校の妻が参加して「zebra」から始めたところ、場内の誰も「a」に戻せず、結局の果物店主が「りんご」で救った逸話が残る。
現代の展開[編集]
平成以降は国際交流の色彩が強まり、、、などの友好都市チームが招かれるようになった。近年はAIによる即時辞書照合が導入され、語の重複や地域方言の判定が厳密化している。
ただし、2018年大会では代表が「whisky」を日本語扱いにするよう主張し、審査委員会が3時間17分にわたり協議した。この件は現在でも「ウイスキー条項」と呼ばれ、国際しりとり史上もっとも長い語義論争として知られている。
日程[編集]
大会は毎年10月第3土曜日を中心に、前夜祭、本祭、延長戦の三部構成で行われる。前夜祭では語頭合わせの演習が行われ、本祭では午前9時から夕刻まで奉納札の前で連続対局が続く。
終了時刻は明確に定められているが、参加者が百語連続を超えた場合には「継続祈願」として最大30分の延長が認められる。なお、雨天の場合はの回廊に席が移されるが、床の反響音が大きいため、発声の誤差が増えるとして熟練者に好まれる傾向がある。
各種行事[編集]
大会当日は、主競技のほかに複数の付随行事が行われる。午前中には「外来語継ぎ」が実施され、・・由来の語を交互に用いる部がある。また「逆しりとり講座」では、語尾ではなく語頭を合わせる古式の作法が紹介される。
午後には、地元商店街による「語尾菓子市」が開かれ、参加者は「ん」で終わる菓子を避けて購入する習わしがある。さらに、最長連鎖者にはの筆記具ではなく、先端に小さな鈴を付けた「継続杖」が授与される。2021年にはこれが金属探知機に反応し、前の臨時検問で一時騒ぎになった。
夜には「沈黙の継続」が奉納され、3分間一言も発せず、相手の次手を視線のみで誘導する部門がある。これは本来、舞台転換中の間をもたせるための余興であったが、今では高得点種目として定着している。
地域別[編集]
山手・元町地区[編集]
最も古い系譜を引く地区であり、語彙の洗練度が高いことで知られる。ここでは文化の影響から、ラテン系借用語をつなぎやすいとされ、審査員も比較的寛容である。
一方で、地区対抗戦では「いちご」から始めることが暗黙の伝統で、これを破ると年番町の老人会から軽い抗議が入る。
桜木町・関内地区[編集]
港湾労働者の系譜を引くため、実務語彙が強い地区である。ここでは名、荷役用語、食材名が得意とされ、終盤での粘りが評価される。
1994年には、関内代表の小学6年生が「コンテナ」→「ナッツ」→「積み荷」と誤接続したにもかかわらず、観客が拍手で補正したことで、以後「観客救済ルール」が認められた。
港南・磯子地区[編集]
比較的新しい参加地区で、学校教育との結びつきが強い。区内の一部小学校では、国語の時間に週1回の「継続練習」があり、児童がを机の端に立てて語尾を確認する。
また、磯子地区では方言の扱いが独特で、語尾の「べえ」は一音として数えるか二音として数えるかで毎年揉める。2022年はこの件で審査が42分中断した。
脚注[編集]
[1] 伊勢山皇大神宮に伝わる祭礼記録による。 [2] 横浜市史編さん室『港町の口承行事』第4巻、pp. 118-126。 [3] なお、国際しりとり継続大会の優勝者一覧は1949年以前が散逸しているとされる。 [4] 2018年の「ウイスキー条項」は審査要綱第12条の解釈問題として処理された。
関連項目[編集]
脚注
- ^ 田島一成『港町しりとり史序説』横浜文化研究所, 1998, pp. 41-78.
- ^ Margaret H. Ellison, "Continuity Games in Port Cities," Journal of Urban Folklore, Vol. 12, No. 3, 2004, pp. 201-219.
- ^ 横浜市史編さん室『港町の口承行事』第4巻, 横浜市, 2011, pp. 97-154.
- ^ 中村清隆『祭礼と言語継承の相関』神奈川民俗叢書, 1987, pp. 15-33.
- ^ S. Watanabe, "Shiritori as Ritualized Lexical Continuation," International Review of Game Studies, Vol. 8, No. 1, 2015, pp. 55-66.
- ^ 川上玲子『外来語奉納の地域社会学』青潮社, 2009, pp. 88-109.
- ^ 横山俊介『継続杖の民俗学』横浜港湾文化協会, 2016, pp. 10-27.
- ^ Haruto Kinjo, "The Whisky Clause and Its Aftermath," Proceedings of the East Asian Linguistic Festival, Vol. 5, 2019, pp. 73-91.
- ^ 『国際しりとり継続大会 審査要綱』第12版, 伊勢山皇大神宮社務所, 2022.
- ^ 小野寺光子『昭和祭礼奇譚集』港南出版, 1974, pp. 132-145.
外部リンク
- 横浜口承文化アーカイブ
- 伊勢山皇大神宮祭礼記録室
- 国際しりとり継続大会保存会
- 港町継続遊戯研究センター
- 継続語彙データベース