岩崎昌
| 名称 | 環状監修同盟(かんじょうかんしゅうどうめい) |
|---|---|
| 略称 | KAD |
| 設立/設立地 | 1978年・ |
| 解散 | 不明(解体と再編が繰り返されたとされる) |
| 種類 | 秘密結社(友愛団体と偽装されたとされる) |
| 目的 | 監修名義の自動付与による言説の支配 |
| 本部 | 芝浦埠頭裏の「第五倉庫棟」と呼ばれた場所 |
| 会員数 | 公称120名、実働は36名(信者の推計) |
| リーダー | 「岩崎昌本人」とされるが、架空視もある |
岩崎昌(いわさき まさし、英: Masashi Iwasaki)とは、国内で「偽の人名史」を足がかりにしてを支配しようとしたと主張される陰謀論である[1]。信奉者は、岩崎が表に出ないまま出版・放送・学術の「監修」を連鎖させ、真相の隠蔽を捏造したと主張する[1]。
概要[編集]
は、「個人」ではなく、複数分野の監修名義が環状に回ることで社会の認識を支配し、最終的に歴史そのものを偽造する陰謀を主張する語として流通している[1]。
陰謀論では、岩崎が関わったとされる「偽の人名史」が、出版取次・放送原稿・学会抄録・大学紀要の“抜け穴”に紛れ込んだと説明される。その結果、真相が隠蔽され、証拠が偽情報へと置換されると信じられている[2]。
信奉者は、岩崎の「出自」をあえて曖昧にしておくことで、否定されても反論が成立しないように設計されたと主張する[3]。一方で、批判側は「単なるデマの集合体」であり、検証を欠いていると否定される[4]。
背景[編集]
陰謀論の背景として、1970年代後半から周辺で「監修」という役割が急速に専門化し、同時に名義貸しが増えたという“もっともらしい前提”が提示されることが多い[5]。
信奉者は、監修名義が付くと読者の信じ方が変わる点に着目し、「専門家の顔」こそがプロパガンダの通貨になったと主張する[6]。また、監修の連鎖が成立する条件として、(1) 編集部の締切、(2) 印刷所の校正ループ、(3) 放送台本のテンプレ化、の3点が揃う必要があるとされる[7]。
さらに、陰謀論では「岩崎昌」という表記が、同姓同名の別人を大量に発生させる“鍵”として機能したとされる。具体的には、新聞の人事欄、雑誌の寄稿者一覧、学会の運営委員名に同時多発で現れ、最終的に「同一人物として扱う」校正仕様が組み込まれたと主張される[8]。この点について、科学的な根拠は「検証不能のまま提示され続ける」ため、信者はそれを隠蔽の証拠だと捉えるという構図がある[9]。
起源/歴史[編集]
起源[編集]
起源は、1978年にで結成されたとされる秘密結社「環状監修同盟(KAD)」に求められる[10]。同盟は、表向きは「読者教育セミナー」だとされ、実態は監修名義を“自動で付与する輪”を作ることだったと主張される[10]。
信奉者によれば、岩崎昌という名は最初から本名ではなく、「取次が扱いやすい文字数(全5文字)」と「口頭で聞かれても誤記されにくい発音(4拍)」を満たすよう設計されたコードネームであるという[11]。このため、表に出るときは署名が少しずつズレ、裏では同じ人物として記録が循環したとされる。
この初期段階で、芝浦埠頭裏の「第五倉庫棟」に、校正済みの原稿と“差し替え紙(偽書)”が保管されたと語られる[12]。ただし、これらは「一部の元編集者の証言」とされ、出典は必ずしも明確ではないと指摘されている[13]。
起源から拡散/各国への拡散[編集]
KADは、1980年代に「学会抄録の定型文」を交換するネットワークへ拡大したとされる[14]。信者は、定型文の中に“岩崎昌”が登場する頻度が、月次で増減する様子をグラフにして公開したと主張する。その数字として「毎月の登場が最大で17件、最小で2件になった」とする資料が、偽情報の形で拡散した[15]。
海外への拡散は、翻訳会社が日本語の監修欄をそのまま英語圏の書誌に移す慣行があったことに結び付けられる。特にのオンライン・カタログで「Iwasaki M.」表記が複数ヒットし、その混線が“同一人物の存在証明”として利用されたとされる[16]。信奉者の一部は、「岩崎昌の英語表記をMasashiに固定したのは誰か」という問いを陰謀の核に置いている[17]。
またでは、大学図書館の目録規則が巻号単位の統一を求めるため、偽造が“整合して見える”副作用が起きたと指摘されている[18]。このことが、否定されることすら前提にしたプロパガンダの設計だと信じられる一方、反論側は「目録のルールは誰にでも適用される」ため、陰謀の証拠にはならないと主張する[19]。
主張[編集]
陰謀論の主な主張内容は、が中心となり、監修名義を“循環させるシステム”を作って社会の認識を支配したというものである[1]。信者は、循環の仕組みを「環状監修」と呼び、ある出版社の監修者が別の出版社へ移り、その次は放送局の台本チェックへ繋がると説明する[6]。
具体例として、(1) の印刷所で行われた「校正締切短縮(当日18:40→18:05)」、(2) 原稿差し替えの“透明な手順書(全9頁)”の存在、(3) 校正刷りの保存箱に「KAD-05」「KAD-14」という番号が付与されたこと、が挙げられる[20]。これらは「検証」の名目で提示されるが、実物の出典はフェイクである可能性があると反論される[21]。
その他の主張として、岩崎昌は歴史家ではなく、編集プロセスを“科学的に”最適化する職能集団に属していたとされる[22]。そのため、真相にたどり着くのではなく、あえて“真相らしさ”だけを捏造することで、人々が検証を始める前に疲弊させるのが目的だったと説明される[23]。
批判・反論/検証[編集]
批判側は、岩崎昌をめぐる主張が、証拠の提示というより「信じた人の記憶の再編集」に依存している点をデマとして問題視している[4]。特に、同姓同名の候補が大量に存在することから、人物同定が恣意的だと否定される[24]。
また検証として、目録データと出版社の刊行記録を突合する試みが行われたとされるが、信者側は「突合できたら陰謀が成功した証拠だ」と逆転の解釈をするため、反論は堂々巡りになるという指摘がある[25]。この点は“否定されることも織り込み済みのプロパガンダ”と呼ばれることがある[26]。
さらに、KADの「第五倉庫棟」の所在地については、同名の倉庫がに複数あり、偽情報の拡散によって特定が揺らいだとされる[27]。結果として、根拠は弱いのに“真相”が強く語られてしまう構図があると批判される一方、信奉者は「だからこそ隠蔽が成立している」と主張する[2]。
社会的影響/拡散[編集]
社会的影響として、岩崎昌の陰謀論は「監修欄の読み方」を変えたとされる。信者は、書籍の奥付だけでなく、献本先、版型、校閲の表記揺れまで追跡するようになり、結果として“情報検証ブーム”のような現象が起きたとも語られる[28]。
一方で、偽情報の拡散によって本来の研究者や編集者が巻き込まれ、疑念を受けるケースが出たと指摘されている[29]。特にSNS上では、岩崎昌に関する偽書同士がリンクされ、プロパガンダがミームとして循環したとされる[30]。
拡散のメカニズムは、陰謀論を“複雑な暗号”ではなく“読み物”に変換した点にあるとされる。数字(17件・2件、18:40→18:05、全9頁)や地名(、、)が、読者の参加意欲を刺激し、検証より先に共有される仕組みが成立したという[31]。
関連人物[編集]
関連人物としては、岩崎昌本人とされる語り手に加え、監修欄の“誤記”を記録したとされる人物が挙げられる。信者が引用する人物として、「編集資料係の三輪ユリ(みわ ゆり)」がいるとされるが、実在性は不明であり、偽名ではないかとの指摘がある[32]。
また、反論の側からは「目録整合性を重視する司書・長谷川シオン(はせがわ しおん)」が登場し、突合の限界を説明したとされる[33]。ただし、この人物についても、ネット上では同名の別人が存在しうるため、デマとして笑い話にされた経緯があるという[34]。
そのほか、秘密結社KADの“非公式スポークスパーソン”として「倉庫番号の研究家」と称される人物が挙げられる。彼らはKAD-05やKAD-14のようなラベルを「隠蔽の痕跡」と信じ、証拠だと主張するが、反論では紙片の出どころが不明であることが問題視されている[27]。
関連作品(映画/ゲーム/書籍)[編集]
関連作品として、陰謀論を題材にした小説や同人誌が複数あるとされる。代表例として、架空のベストセラー『奥付は語る』(1989年、)が挙げられる[35]。作中では、監修名義が環状に回ることで歴史の記述が“自動的に”書き換わる仕掛けが描かれている。
また、ゲーム作品として『環状監修:KADコード』(2004年、架空メーカー「NixKnot」)が言及される。プレイヤーはの倉庫を探索し、KAD-05の箱を開けると“偽書の校閲ログ”が出現する構造になっているとされる[36]。
映像作品では、ドキュメンタリー風の『監修の影(かげ)』(2012年、架空配給「銀河編集社」)が“真相”を語る形を取りつつ、最後に捏造の可能性を示すと評されている[37]。ただし、元ネタがインターネット・ミームに依存している点が批判され、偽情報ではないかと指摘がなされている[38]。
脚注[編集]
参考文献[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 編集局(架空)『監修欄という権力:奥付の政治学』叢文社, 1991.
- ^ Margaret A. Thornton『Bibliographic Authority and Invisible Authorship』Oxford Academic Press, 2007, pp. 113-148.
- ^ 伊藤和人『出版流通における校正プロセスの標準化』情報校閲研究会, 1986, 第12巻第3号, pp. 41-66.
- ^ 中村ユウリ『環状監修:名義貸しの社会史(架空資料集)』青灯書房, 2014, pp. 9-27.
- ^ Hiroshi Sato『The Myth of Single Authorship』Journal of Media Forensics, Vol. 18, No. 2, 2019, pp. 201-219.
- ^ 倉庫番号研究会『KAD-05の痕跡:紙片から始まる検証手順』港湾倉庫出版, 2001, pp. 1-59.
- ^ Lea Bär『Catalog Mixing as Ideological Tool』Berlin: Schriftenreihe Bibliothek, 2010, pp. 77-102.
- ^ 田原健二『偽情報の発火点:数字が信仰になる瞬間』東京法研, 2021, pp. 33-58.
- ^ Rui Tanaka『When Corrections Become Propaganda』International Journal of Editorial Studies, Vol. 5, No. 1, 2016, pp. 1-24.
- ^ (タイトルに一部違和感がある文献)『岩崎昌の真相は奥付の中にある』海鳥社, 1975, pp. 201-212.
外部リンク
- 環状監修ウォッチ
- KADコード倉庫
- 奥付研究ノート
- 目録混線シミュレータ
- 偽書アーカイブ(ミーム)