栄免建設
| 業種 | 総合建設業(橋梁・再開発・免震改修) |
|---|---|
| 設立 | (任意団体から株式会社化) |
| 本社所在地 | 東京都千代田区(仮設社屋を含むと複数回移転) |
| 代表者 | 山吹精一郎(とされる) |
| 事業の特徴 | 免震“目地”工法と、品質監査の“逆立会い” |
| 主要取引先 | 系の地方整備局および再開発組合 |
| 従業員数 | 約1,140人(1994年時点) |
| 受注規模 | 年間請負額 260億円台(と推計される) |
栄免建設(さかめんけんせつ、英: Sakamen Construction)は、日本のを拠点に公共工事を受注したとされる建設会社である。社内では「“免”は免罪ではなく免震の略」という説明がなされ、いわゆる技術逸話でも知られている[1]。
概要[編集]
栄免建設は、工事の“安全”を制度として語るだけでなく、社内運用にまで落とし込もうとした建設会社として言及されることがある。特に、工事現場での合図や検尺の手順が独特で、「誰が見ても同じ結果になるまで、音を揃える」という理念が記録されたとされる[1]。
同社の社名は「栄える免」を目指す精神を表すとも、「免震(めんしん)の略称が誤記として残った」という説もある。なお、当時の労務担当者が“免許”の誤読から社名を提案したという逸話もあり、社内資料の一部はの会誌に残されているとされる[2]。
歴史[編集]
起源:免のない地盤を免じる仕事[編集]
栄免建設の起源は、前半の埋立地造成の急増に関連付けられて語られることがある。建設省系の土質委員会が、当時の港湾部で「沈下率が説明責任の限界を超えた」と報告した事件を契機に、民間から“沈下の言い訳を減らす”方法が求められたとされる[3]。
この流れの中で、土木測量技師のが、沈下を「免(ゆる)される誤差」として放置せず、工事中の検尺ログを“監査可能な音声記録”に変える提案をした。記録は1秒ごとに時刻を読み上げる方式で、測定者が間違えた場合に自動で自己申告が促される設計だったとされる。なお、この“読み上げ”が後年の社内合図に繋がったという[4]。
ただし、社内資料では当該委員会の正式名称が一部で「海底免責審査局」と書き換わっており、当時存在した公的機関名と一致しないと指摘されている。もっとも、後年の編集者は「当時の呼称が口頭でしか残らなかったため」として矛盾を説明したとされる[5]。
発展:逆立会い監査と“目地”の標準化[編集]
同社が全国的に注目されたのは、に提出された“免震目地”の標準仕様だとされる。ここでいう目地は、ただの隙間ではなく、地震時の滑りを制御するために角度と硬度を段階化した層として設計されたと説明された[6]。
一方で、栄免建設の監査手法がより話題になった。工事検査では普通、立会いは検査員が上から確認する。しかし同社では、コンクリート表面の反射を減らすため、検査員が逆立ち(“逆立会い”)で確認する手順が一部の現場に導入されたとされる。導入理由は「人間の脳は傾きに弱く、誤差が出たときに“見落としの癖”が出るため」である、と同社は主張したとされる[7]。
この手順により不適合が増えた(=発見できた)年があった一方、現場の安全意識は上がったとも報告された。たとえば、内の現場では、逆立会い導入後の是正までの平均時間が、導入前の3.2日から2.6日へ短縮されたとされる[8]。もっとも、同じ資料には「2.6日は“2日と14時間”の丸め」と注記されており、解釈には揺れがあると指摘されている[9]。
社会的影響:都市の免震が“物流の気分”を変えた[編集]
栄免建設の影響は、建物そのものよりも周辺の運用に現れたとされる。免震目地を採用した再開発では、地震後の動線確保のために、車両の待機位置や避難路の“再開基準”が同社の仕様として組み込まれた。結果として、物流会社が「揺れた日は配送が止まる」という雰囲気を避け、代わりに“再開予測”で稼働計画を組むようになったとされる[10]。
また、東京都港区の湾岸再開発では、栄免建設が市民説明会用に「振動の色分け」を投影する仕組みを持ち込み、質問が減ったという。市民は“危ない”と言われるほど黙る傾向があるため、むしろ色で判断できるようにした、というのが社内説明だったとされる[11]。
一方で、同社の“免”が免震だけを意味しないのではないか、という見方も出た。批判者は、免震の言葉を前面に出すことで、工事遅延や追加費用の説明を柔らかくしていた可能性があると主張したとされる[12]。
批判と論争[編集]
栄免建設は技術的評価を受けつつ、透明性をめぐって論争もあったとされる。代表的なのが「監査音声ログ」の取り扱いである。社内ではログが改ざん不可能な方式だと説明されたが、当時の監督官庁への提出物には、秒単位のはずの時刻が“00分”に揃えられた箇所が見つかった、と報じられた[13]。
さらに、逆立会い監査の安全性も問題になった。手順書では、逆立ちの継続時間を「最大27秒」と定めたとされるが、現場によっては「27秒+前奏(呼吸)3回」といった独自解釈が混ざり、作業員の負担が増えたという証言もある[14]。このため、系の安全指針に照らした指摘があり、栄免建設は「逆立ちは検査員の“気づきの瞬間”に限る」と釈明したとされる[15]。
また、社名由来に関する説の矛盾が笑いどころとして語られることがある。あるパンフレットでは「栄免は栄(はな)と免(ゆる)を意味する」とし、別の社史では「免は免震の免」と記す。さらに第三の資料では「免は免許(けんせつの資格)を取れた人の印」という説明があり、編集部が注釈を付けたうえで一部版だけ再配布されたとされる[16]。この注釈の内容は、後年「再配布自体が“再免”である」と皮肉られることもあった。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 栄免建設史編集委員会『栄免建設史:免震は“音”で守る』栄免出版, 2011年.
- ^ 神谷健三郎『沈下ログの可視化と自己申告機構』土質記録叢書, 1974年.
- ^ 中川友紀『逆立会い監査の合理性と限界』建設運用研究会報, 第18巻第2号, 1990年, pp. 41-63.
- ^ 佐伯玲奈『公共工事における透明性設計:提出物の時間整合性』都市行政工学ジャーナル, Vol. 32, No. 4, 2002年, pp. 88-112.
- ^ Department of Infrastructure(仮訳)『Seismic Joint Control as a Public-Facing Standard』Journal of Applied Resilience, Vol. 9, Issue 1, 1997年, pp. 1-19.
- ^ 山吹精一郎『栄免という言葉の二重意味—免震と免許』社内講演録(非売品), 1989年.
- ^ 林田哲也『免震改修の現場教育:作業者の負担と学習効果』日本建設教育学会誌, 第27巻第1号, 2005年, pp. 23-47.
- ^ K. Thornton『Auditability and Perceptual Bias in Construction Inspections』International Review of Building Safety, 第3巻第1号, 2001年, pp. 141-166.
- ^ 国土工事標準研究会『湾岸再開発の仕様統一ガイド(第三版)』国土工事協会, 1996年, pp. 210-233.
- ^ 【要出典】『栄免建設に関する新聞記事の体系化』時刻配列研究所, 2018年, pp. 55-77.
外部リンク
- 栄免建設資料館
- 逆立会い監査アーカイブ
- 免震目地オープン仕様書
- 港湾部沈下問題ポータル
- 都市再開基準データベース