残価でもGO!
| タイトル | 『残価でもGO!』 |
|---|---|
| ジャンル | ドライブギャグコメディ(残価設定・購買心理風刺) |
| 作者 | 三好くるま |
| 出版社 | 株式会社スリップストリーム出版 |
| 掲載誌 | 月刊ギガ・マイレージ |
| レーベル | ギガ・コミックス |
| 連載期間 | - |
| 巻数 | 全18巻 |
| 話数 | 全176話 |
『残価でもGO!』(ざんかでもごー)は、によるの。『』()において連載された[1]。
概要[編集]
『残価でもGO!』は、残価設定ローン(通称「残価」)をめぐる日常あるあるを、ドライブを軸に誇張して描いたドライブギャグコメディである。主人公はドライブ好きの女子大生・三好くるまで、愛車は残価設定で購入しただとされる。
本作は「契約書は読まないのに、ナビの最短ルートだけは理解している」という矛盾を主題として、同居人・乃子氏理穂(のこうじ りほ)との暮らしのズレが笑いに変換されていく構造が特徴である。また、残価設定の計算が妙に具体的な“生活術”として語られる点は、読者の共感と一種の後味の悪さを同時に生んだとされる。
制作背景[編集]
作者のは、デビュー前に大学の自動車部の会計補佐を務めていた経緯から、残価設定ローンの“説明資料の文字数”に強い違和感を抱いたと述べている。特に、車検・保証・残存価値の説明が長い一方で、本人たちの理解度を測る簡易テストが異様に短く、結果が「あなたは読みましたか?はい/いいえ」の二択で終わることに、編集部が「ギャグになる」と判断したとされる[2]。
連載開始時、スリップストリーム出版では社内企画として「家計簿よりも契約書が先にある漫画」を掲げ、取材協力にはの広報担当者も参加したとされる。ただし描写は極端化され、残価の“端数”が次々と主人公の行動を縛るようになる。
なお、タイトルの「GO!」は「残価の不安を笑って駆動させる」という社内コピーから採用されたとされるが、作者は後に「GO!」を信号の青ではなく、契約書の最後のページを指す合図だと語っている。
あらすじ[編集]
本作は時期ごとに章立てされ、残価設定に関する疑念が、ドライブの目的地とリンクする形で積み上げられていく。以下では、主要な編を抜粋して記す。
登場人物[編集]
三好くるまは、大学の講義を欠席してでもドライブに行くタイプの女子大生として描かれる。愛車のは、契約上の残価が“気分”のように変動する設定で、彼女の行動原理を半分はナビ、半分は不安が決めるとされる。
乃子氏理穂(のこうじ りほ)は三好の同居人で、家計と家電の両方に強い。彼女は「残価は将来のあなたへの請求書である」と断言し、冷蔵庫の付箋にまで契約条文を書き込む。二人は仲が良いが、笑いのタイミングだけはなぜか常にズレており、この“ズレ”が作中の反復ギャグとして機能している。
そのほか、ガソリンスタンド店員の、ディーラーの、そして車検当日の謎の「最終査定クイズ」を配るの職員などが、残価設定の不条理を舞台装置として加速させる役回りを担うとされる。
用語・世界観[編集]
作中で反復されるのは、残価設定を日常語に変換する独自用語である。たとえば「残価余命(ざんかよめい)」は、契約で示された残存価値の見通しが“健康診断の結果”のように語られる概念として登場する。主人公は余命が短いと判断すると、妙に早くコンビニへ寄り、なぜか洗車を始めることが描かれる。
また、「端数祈願(たんすうきがん)」という儀式めいた習慣が存在するとされる。これは契約書の計算式に出る小数点以下を“丸める神”に謝る行為で、乃子氏理穂が主導する。作中では、端数が0.04未満のときだけ“成功した気分”が残る、といった数値ギャグが繰り返される。
世界観の核には「ドライブは理解の代替である」という価値観が置かれている。つまり、説明を理解できないときは走って誤魔化す、という構造が社会の縮図として風刺されている。なお、作中の一部では、残価設定ローンが“遠出の許可証”のように扱われるため、目的地が不安の形をしているように描かれる。
書誌情報[編集]
『残価でもGO!』はレーベルで刊行された。全18巻で、巻ごとに「残価の季節(春夏秋冬に相当)」のような呼称が付される構成が特徴である。
作中の話数は全176話とされ、各巻末には“残価設定早見表”と称する短い補足漫画が掲載された。編集部はこれらを「本編の笑いを契約の現実へ橋渡しする装置」と説明したとされる[3]。
なお、巻によっては表紙デザインが実在のキャンペーン告知の文言と酷似していると指摘され、ファンの間で「意図的に紛らわしい」と議論された時期もある。
メディア展開[編集]
連載が軌道に乗った頃から、関連メディアとしてテレビアニメ化が検討されたとされる。最終的に、にによるテレビアニメ化が発表され、放送枠は深夜であったとされる。
アニメでは、残価の数式を読み上げる“朗読SE”がギャグとして定着した。最終査定を待つ回では、主人公が車内で「端数に祈りを捧げた回数」を自己申告し、乃子氏理穂が横で「申告は監査対象です」と返す描写が話題になったとされる。
さらに付録として、架空の「残価ナビ・アプリ(残ナビ)」のスクリーンが付く企画も行われた。ファンはアプリのUIが“契約書のフォント”に寄せられている点を高く評価したとされる。
反響・評価[編集]
本作は社会現象となったとされ、特に学生層で「残価でもGO!」が合言葉のように用いられた時期があった。出版社側の集計によれば、累計発行部数はを突破したとされる(時点)。また、レンタルコミックでは“査定回”が最も返却ペースが遅い巻として記録されたと報じられた[4]。
一方で、残価設定ローンの仕組みを過度に軽く扱っているとして批判も生じた。作中で「読まない人が悪い」という方向に振れる回があり、読者の一部は「それ、笑いにできる話じゃない」と指摘したとされる。
評価面では、ドライブギャグのリズムが評価されることが多く、特に“信号待ち”の間に数字が勝手に増えていく描写が「時間を笑いに変えた」と肯定的に語られた。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 山田一範『残価設定と消費者心理:契約書を笑う文学』新潮図書, 2018.
- ^ 『月刊ギガ・マイレージ』編集部『残価でもGO!制作ノート:端数祈願の考察』スリップストリーム出版, 2020.
- ^ 佐藤真琴「ドライブギャグにおける時間設計」『日本漫画研究』第12巻第3号, pp. 41-58, 2021.
- ^ 高見澤拓也「査定待ち表象の言語化:最終査定クイズの効果」『商業漫画論叢』Vol. 7, No. 1, pp. 103-119, 2022.
- ^ Martha A. Thompson, “Contracts as Comedy: Numeracy and Avoidance in Pop Culture”, Journal of Applied Media Humor, Vol. 15, No. 2, pp. 77-95, 2020.
- ^ Kenta Nishimura, “Drive Time and Moral Accounting in Japanese Visual Narratives”, International Review of Comic Studies, Vol. 9, pp. 210-233, 2019.
- ^ 『自動車販売金融機構年報』令和3年度版, 自動車販売金融機構, 2022.
- ^ 編集ガイドライン委員会『漫画原稿のフォント選定:残価ナビUIの再現手順』第2版, ぎがぴあ印刷, 2019.
- ^ (出典不明)『深夜枠アニメ視聴者アンケート:端数祈願はなぜ刺さるか』, 2020.
- ^ 匿名「残価余命の比喩がもたらした会話の変化」『広告表現批評』第4巻第4号, pp. 1-12, 2021.
外部リンク
- ギガ・コミックス 公式サイト
- 残価ナビ・ファンページ
- スリップストリーム出版 アニメ特設
- 端数祈願 研究会(同人)
- 査定局アーカイブ(非公式)