『爆乳騎乗位』
| タイトル | 爆乳騎乗位 |
|---|---|
| ジャンル | 青春バトル漫画、スポーツ活劇 |
| 作者 | 霜月 恒一 |
| 出版社 | 星雲社 |
| 掲載誌 | 月刊アルカディア |
| レーベル | アルカディア・コミックス |
| 連載期間 | 2011年4月 - 2017年11月 |
| 巻数 | 全14巻 |
| 話数 | 全86話 |
『爆乳騎乗位』(ばくにゅうきじょうい)は、によるの。『』()において連載された[1]。
概要[編集]
『爆乳騎乗位』は、下町の私設闘技場を舞台に、独自の乗撃術「騎乗位」をめぐって若者たちが成長する様子を描いた漫画作品である。作中でいう「爆乳」とは、単なる身体的特徴ではなく、重心制御の極致に達した選手に与えられる階位名であり、の古武術研究会で体系化されたとされる[2]。
連載開始当初は奇抜な題名のみが先行して話題となったが、実際にはとを混交させた緻密な構成で評価を得た。累計発行部数は2020年時点で約480万部を突破し、後年にはテレビアニメ化、舞台化、さらにの観光イベントとのメディアミックスも行われ、社会現象となったとされる[3]。
制作背景[編集]
作者の霜月は、もともととを題材にした短編を得意としていたが、2009年夏にの健康器具見本市で見た電動騎馬型トレーニング装置に着想を得たという。これを「人が人の上で鍛える競技」に置き換えた結果、架空競技としての「騎乗位」が生まれたとされる。
編集部の記録によれば、企画会議では「タイトルが過激すぎる」として3度差し戻されたが、最終的には「内容が健全であれば問題ない」という判断で掲載が決定された。なお、初期案では題名が『巨躯乗法』であったが、霜月がの喫茶店で行ったスケッチ会で現行題に改めたという逸話が残る[4]。
あらすじ[編集]
入門試合編[編集]
主人公・は、祖父の遺した木製練習馬を修理するため、沿いの旧倉庫街にある道場を訪れる。そこで彼女は、上に乗ることで相手の呼吸と体幹を支配する競技「騎乗位」の存在を知り、初試合でわずか37秒のうちに2回の重心崩しを成功させる。
この編では、競技の基礎動作「前傾・支点・圧分散」が丁寧に説明され、同時に柚木の家計を支えるための大会賞金制度も描かれる。特に第4話で、審判がの伝統工芸職人から譲り受けた重りを用いて採点する場面が人気を集めた。
北辰リーグ編[編集]
柚木は地方リーグ「北辰杯」に参加し、から来た双子選手・とに挑む。ここで作品世界の中核概念である「爆乳階位制」が明らかになり、胸囲ではなく、背骨から骨盤へ伝わる荷重効率を百分率で評価する方式だと判明する。
また、会場の照明が一部だけ青白くなる演出は、作者がの倉庫群を視察した際の記憶に基づくとされる。読者アンケートでは、この編の「互いに支え合いながらも容赦なく競う」関係性が最も高い支持を得た。
天蓋決戦編[編集]
終盤では、の地下古武道施設にて、失われた奥義「天蓋騎乗」が復活する。柚木は宿敵・と決勝を戦い、床板が11枚連続で軋むほどの圧力を受けながらも、祖父直伝の「三拍呼吸」で逆転勝利する。
なお、この編の最終局面で示された「上に立つ者ほど低く構えねばならない」という台詞は、後年やの文脈で引用されることがあったが、出典をたどるとほぼこの作品にしか行き着かない。
登場人物[編集]
は、本作の主人公である。身長152cmながら重心感覚に優れ、地元の銭湯で培った体幹の強さから「下町の小さな砲台」と呼ばれた。
とは、双子でありながら競技姿勢が正反対のライバルである。透は理論派、融は感覚派として描かれ、二人の会話はしばしばの寒冷地スポーツ研究所の論文要約のようだと評された。
は、主人公の前に立ちはだかる天蓋決戦編の最重要人物である。寡黙だが、勝利後に必ずを三口だけ飲む癖があり、その所作が「敗北後の礼法」としてファンの間で模倣された。
用語・世界観[編集]
作中の「騎乗位」は、馬術・柔道・体操を折衷した架空競技であり、相手の上位に立ちながらも力任せではなく、重心移動で主導権を奪う技法を指す。公式ルールでは1試合につき審判3名、補助計測員2名、記録係1名が配置され、荷重差が7.8キログラムを超えると「危険展開」として即座に中断される。
「爆乳」は競技ランクの最高位のひとつで、作中では第8等級以上の選手にのみ与えられる称号である。名称の由来は、初代連盟会長がの宴席で「見栄えが大きく、しかし実用がある」と評した古語「爆充」にあると説明されるが、後年の資料ではほぼ毎回語源がぶれている[要出典]。
また、世界観には「起伏税」「勝負湯治」「床鳴り指数」などの独自概念が登場する。とくに床鳴り指数は、試合会場の板がきしむ音を数値化したもので、の建材試験所の測定法を流用したという設定になっている。
書誌情報[編集]
単行本は星雲社のアルカディア・コミックスから刊行された。第1巻には連載前の読切版「騎乗位前夜」が収録され、第7巻では作者がで取材した温泉旅館をモデルにした外伝が追加された。
各巻末には、霜月による「体幹メモ」が収録され、姿勢保持のコツや作画上の誇張表現について短く解説している。第13巻のみ紙質が妙に厚く、初版では背幅が1.4ミリほど誤差を持っていたことから、コレクター間で「重量版」と呼ばれている。
メディア展開[編集]
2015年には制作によるテレビアニメ化が行われ、全24話が放送された。アニメ版では動きの説得力を重視するため、試合シーンの作画監督に出身のスタッフが起用され、回転運動の尺が原作より長く取られた。
また、2018年には『爆乳騎乗位 the Stage』が上演され、客席中央に簡易試技台を置く演出が「観客の腰を不必要に意識させる」として賛否を呼んだ。さらに、の地域振興企画では主人公の練習馬を模した木工体験が実施され、来場者は3日間で延べ2万1400人を記録したとされる。
反響・評価[編集]
本作は、題名の強烈さに反して競技理論が妙に堅実である点が評価された。特に「見出しで笑わせ、本文で納得させる」構成は、の間で新しい青年漫画の手法として取り上げられた。
一方で、タイトルだけを見て内容を誤解した読者が多く、では第1巻に透明カバーをかける店舗が続出したという。2020年には、ある大学のゼミで「作品名が購買行動に与える影響」の事例として分析され、講義資料において32ページにわたり引用された。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 霜月恒一『爆乳騎乗位 公式設定集』星雲社, 2018, pp. 12-47.
- ^ 高瀬真由『平成青年漫画の身体表象』アルカディア出版, Vol. 8, No. 2, 2021, pp. 31-58.
- ^ 渡部誠一『架空競技の成立と受容』文化評論社, 第3巻第4号, 2019, pp. 102-119.
- ^ Margaret L. Hume “Posture and Spectacle in Modern Japanese Comics” Journal of Visual Culture Studies, Vol. 14, No. 1, 2020, pp. 5-27.
- ^ 柚木里奈『下町ヒロイン像の変遷』東京叢書, 2017, pp. 88-93.
- ^ 小野寺健『騎乗位という語の社会史』月見書房, 第2巻第1号, 2016, pp. 14-29.
- ^ S. K. Armitage “The Ethics of Competitive Mounting in Fictional Sports” East Asian Media Review, Vol. 6, No. 3, 2022, pp. 44-66.
- ^ 霜月恒一『体幹メモ 2011-2017』星雲社文庫, 2019, pp. 1-214.
- ^ 井口さやか『爆充から爆乳へ──用語変遷の誤謬』日本漫画学会誌, 第11巻第2号, 2020, pp. 77-81.
- ^ Hiro Tanaka “When Titles Become Movements” Cultural Seriality Quarterly, Vol. 9, No. 4, 2021, pp. 120-139.
外部リンク
- 星雲社公式作品案内
- 月刊アルカディア作品アーカイブ
- アニメ『爆乳騎乗位』特設サイト
- 爆乳騎乗位ファン研究会
- 下町スポーツ漫画資料室