第21回全国アイドル養成校一舞踏会
| タイトル | 第21回全国アイドル養成校一舞踏会 |
|---|---|
| ジャンル | 学園、アイドル、競技ダンス、群像劇 |
| 作者 | 桐生みつる |
| 出版社 | 白燿社 |
| 掲載誌 | 月刊ミラージュ・ジャンプ |
| レーベル | ミラージュKC |
| 連載期間 | 2012年4月号 - 2018年9月号 |
| 巻数 | 全14巻 |
| 話数 | 全83話 |
『第21回全国アイドル養成校一舞踏会』(だいにじゅういっかいぜんこくあいどるようせいこういちぶとうかい)は、によるの。『』()において連載された[1]。
概要[編集]
『第21回全国アイドル養成校一舞踏会』は、に本部を置く架空の芸能教育連盟「全国アイドル養成校協議会」が毎年主催する、全寮制アイドル養成校対抗の舞踏競技大会を描いた学園漫画である。競技はダンス、即興歌唱、所作、礼法、観客動線の設計まで含む総合評価方式とされ、作中では「一舞踏会(いちぶとうかい)」という独自の呼称が定着している[2]。
連載開始当初は大会のルール説明が中心であったが、やがて地方校同士の因縁や、舞台照明の色温度をめぐる派閥争いが物語の核となった。作中では大会を軸に、からまでの養成校が参加し、累計発行部数は最終巻時点で680万部を突破したとされる[3]。
制作背景[編集]
作者の桐生みつるは、もともとを題材にした読切を描いていたが、編集者のが「アイドルは踊るが、勝敗が見えにくい」と指摘したことから、本作の原型が生まれたとされる。桐生はにで開催された架空の養成校交流会を取材し、そこにあった「発声練習の合図が古武術の号令に似ている」という逸話に強く影響を受けたという[4]。
なお、初期案では大会名が『全国アイドル育成校一舞踏祭』であったが、白燿社の校閲部が「祭では連載後半で格が落ちる」と判断し、より格調のある『一舞踏会』へ改題された。第3巻までは審査員席にの元舞台監督が実名に近い形で登場するなど、実在施設の描写が妙に細かいことでも知られている。
あらすじ[編集]
予選編[編集]
主人公は、地方の弱小校に入学するが、初日に配布されたのは教科書ではなく「足さばき評価表」であった。彼女は、全国大会で3位以内に入らなければ校舎がの研修施設へ売却される危機に直面し、未経験ながら予選に挑むことになる。
予選では、各校が30秒ごとの転換で舞台を継ぐ「連続立礼法」が採用される。まなみは、転倒した先輩の衣装を即席で直しながら歌う場面で審査員を驚かせ、一気に地区代表候補へ浮上する。
地区代表決定編[編集]
地区代表決定戦では、の名門、の、のなどが登場する。特に浪花星華学園のリーダーは、舞踏中に扇子を開閉する回数で感情を表現する癖があり、読者人気投票で1位を獲得した[5]。
この編の終盤では、審査項目に「客席のため息率」が存在することが明かされ、会場内に設置されたマイクが約0.7秒遅れで客の反応を集計していたことが判明する。これは後年、学園側の不正疑惑として論争の火種にもなった。
全国大会決勝編[編集]
全国大会決勝は、で4日間にわたり行われる。まなみたちは、衣装の裾に仕込まれたLEDを使って「群舞の星図」を描く演目で会場を沸かせるが、決勝審査ではなぜか審査員の1人だけが古典舞踊の採点基準を持ち出し、点数が大きく割れた。
最終局面では、各校の代表が一斉に歌い始める「終幕合唱」が実施され、まなみは即興で校歌を3拍子から5拍子へ切り替えるという荒業を披露する。これにより東雲学院は準優勝に終わるが、作中では「勝たずに伝説になった回」として語り継がれる。
登場人物[編集]
は本作の主人公で、田舎出身の不器用な一年生である。踊りは素人だが、相手の振付を見ただけで重心の癖を読む能力に長けており、作中では「観客より先に空気を読む少女」と評される。
は浪花星華学園のエースで、常に礼儀正しいが、舞台裏では勝負の前に必ず黒糖飴を7個食べる。彼女のライバルであるは、手先の器用さを武器に衣装改造を得意とし、後半では採点用ペンのインク濃度まで議論するほどの理屈派として描かれる。
用語・世界観[編集]
一舞踏会とは、単なるダンス大会ではなく、歌唱、礼法、所作、舞台美術、視線誘導を総合評価する競技体系である。作中の審査基準は「魅力度」「同期率」「余韻保持率」「袖口の揺れの美しさ」など12項目に分かれており、最終的な得点は各校の校長が封筒で受け取る仕組みになっている。
また、全国の養成校は必ず「声の出し始めを北東へ向ける」という奇妙な校則を持つとされる。これは末期に、ある審査委員が「東から上がる声は運がいい」と述べたことが起源とされているが、根拠は明らかでない[要出典]。
書誌情報[編集]
単行本はより刊行され、通常版のほか、各巻の初回限定版には「舞踏会用得点札」風の紙しおりが封入された。第8巻では、地方大会の移動費をめぐる話数が人気を集め、同巻のみ初版18万部を記録したとされる。
また、完全版は全10巻に再編集され、コマ割りが舞台照明の設計図に合わせて微修正された。作者によるあとがきでは、物語の終盤で一度だけ登場する猫の審査員「ミケ公」が、実は連載打ち切り回避のために編集部が追加した存在であると明かされている。
メディア展開[編集]
2016年にはに似た架空の局「」でテレビアニメ化され、全24話が放送されたとされる。アニメ版では、舞踏シーンの作画監督をが務め、群舞の際に足元の影だけでフォーメーションを判別できる作画が話題となった。
さらに、舞台版『第21回全国アイドル養成校一舞踏会 THE STAGE』が風の大劇場で上演され、千秋楽では観客が一斉にペンライトではなく白手袋を振るという独自文化が生まれた。スマートフォン向けゲーム『一舞踏会クロニクル』も配信されたが、リリース初日に「礼法ゲージ」の仕様が複雑すぎるとして一部で炎上した。
反響・評価[編集]
本作は、学園ものとしての熱量と、異様に厳密な舞台礼法設定の組み合わせが評価され、コアな読者層から「設定だけで白飯が食える作品」と呼ばれた。特にの第52話「三歩下がって前へ出る」は、SNS上で「意味はわからないが泣ける」と評され、いわゆる“舞踏会ミーム”を生んだ。
一方で、後期に入ると審査基準の追加が過剰であるとして、読者から「採点項目が増えすぎて物語がExcel化した」との批判もあった。それでも最終回放送後には、内の書店で関連フェアが実施され、初日売上が前年同月比312%を記録したとされる。
脚注[編集]
[1] 白燿社広報部『月刊ミラージュ・ジャンプ作品案内 2012年度版』白燿社出版局、2012年、pp. 14-19。
[2] 桐生みつる「一舞踏会という名の戦場」『創作設計学報』第7巻第2号、2013年、pp. 41-58。
[3] 鷺沼真一『平成後期アイドル漫画の市場拡張』白光書房、2019年、pp. 122-129。
[4] 三条久仁彦「編集会議で削られた三つの拍子」『漫画編集録』第15号、2014年、pp. 5-11。
[5] 井伏ひかる『読者人気投票と扇子経済圏』双翼社、2016年、pp. 77-83。
[6] 東雲文化研究会『全国養成校の礼法史』文潮館、2018年、pp. 201-210。
[7] 佐伯カヅキ「客席のため息率測定器について」『舞台技術と統計』第3巻第4号、2015年、pp. 9-16。
[8] M. Thornton, The Grand Cotillion and the Sociology of Applause, Mirage Press, 2020, pp. 33-47.
[9] 河合静「白手袋応援文化の成立」『現代応援論』第11巻第1号、2017年、pp. 88-95。
[10] 『第21回全国アイドル養成校一舞踏会 完全設定資料集』白燿社、2021年、pp. 4-213。
関連項目[編集]
脚注
- ^ 白燿社広報部『月刊ミラージュ・ジャンプ作品案内 2012年度版』白燿社出版局, 2012.
- ^ 桐生みつる「一舞踏会という名の戦場」『創作設計学報』第7巻第2号, 2013, pp. 41-58.
- ^ 鷺沼真一『平成後期アイドル漫画の市場拡張』白光書房, 2019, pp. 122-129.
- ^ 三条久仁彦「編集会議で削られた三つの拍子」『漫画編集録』第15号, 2014, pp. 5-11.
- ^ 井伏ひかる『読者人気投票と扇子経済圏』双翼社, 2016, pp. 77-83.
- ^ 東雲文化研究会『全国養成校の礼法史』文潮館, 2018, pp. 201-210.
- ^ 佐伯カヅキ「客席のため息率測定器について」『舞台技術と統計』第3巻第4号, 2015, pp. 9-16.
- ^ M. Thornton, The Grand Cotillion and the Sociology of Applause, Mirage Press, 2020, pp. 33-47.
- ^ 河合静「白手袋応援文化の成立」『現代応援論』第11巻第1号, 2017, pp. 88-95.
- ^ 『第21回全国アイドル養成校一舞踏会 完全設定資料集』白燿社, 2021, pp. 4-213.
外部リンク
- 白燿社作品アーカイブ
- 月刊ミラージュ・ジャンプ公式設定庫
- 一舞踏会研究会
- 桐生みつるインタビュー集
- 全国アイドル養成校協議会資料館