胸派は尻派より性欲が高い説
| 名称 | 胸性研連盟 |
|---|---|
| 略称 | MSR |
| 設立 | 2007年 |
| 設立地 | 東京都渋谷区 |
| 解散 | 2018年ごろに自然消滅 |
| 種類 | 秘密結社・友愛団体 |
| 目的 | 胸派優位説の研究と普及 |
| 本部 | 新宿区西新宿のレンタル会議室群 |
| 会員数 | 最大時で約1,200人 |
| リーダー | 北条レン |
胸派は尻派より性欲が高い説(むねはしりはよりせいよくがたかいせつ、英: The Chest-Preference Libido Theory)とは、人体の好みの傾向が個人の性欲水準を左右し、特にを好む者はを好む者よりも性欲が高いという統計的相関を主張する陰謀論である[1]。一部のや自己啓発系アカウントでは、・・まで含めた包括的な「嗜好階級説」として語られている[2]。
概要[編集]
胸派は尻派より性欲が高い説は、嗜好の違いを単なる美意識ではなく、の発露として読み替える陰謀論である。支持者は、好みの対象がのどこに集中するかによって、当人の、、さらにはまで説明できると主張する。
この説は、2010年代後半の日本語圏ネット文化で広く知られるようになったとされるが、その萌芽はの深夜掲示板における「胸派は熱量が高い」という書き込みに求められることが多い。ただし、後年の派生言説はしばしば統計と恋愛感情、さらには都市伝説を意図的に混同しており、科学的な検証は成立していないとされる[3]。
背景[編集]
支持者は、胸部への関心を示す者は「遠くからでも認識しやすい対象を追うため、日常的に探索行動が強化される」と説明する。これに対して尻部偏重派は「歩行動作の観察が主であるため、むしろ受動的で落ち着いた性格と整合する」と反論してきた[4]。
この議論が奇妙に広がった背景には、の用語を半ば借用した「視線固定理論」や、を万能説明にするネット流儀がある。また、の量販店で開催された非公式オフ会で、参加者43人中31人が胸派を名乗ったことが「偏りの証拠」として再流通したことも大きい。なお、この集計は後に「座席位置の影響が大きい」との指摘がなされている。
起源と歴史[編集]
起源[編集]
起源として最もよく語られるのは、にの画像投稿サイトで行われた匿名アンケートである。ここで「胸派」「尻派」「どちらでもない」の三択を設けたところ、胸派回答者の深夜ログイン率が尻派の約1.8倍であったとされ、これが「胸派は活動量が高い、ゆえに性欲も高い」という飛躍した推論につながった。
ただし、当時のログは後年に一部欠損しており、閲覧端末の違いによるタイムゾーンずれの可能性もある。にもかかわらず、北条レンらはこの結果を「潜在欲望の可視化」と呼び、胸性研連盟の前身となる読書会をで開始した。
拡散[編集]
以降、この説は系の短文文化と相性がよいことから拡散した。特に「胸派は冬でも薄着を好むため、季節性の性欲変動を受けにくい」とする投稿が反響を呼び、まとめサイトでは「胸派の平均夜更かし時間が尻派より22分長い」という、出典不明の数値が定着した[5]。
にはのミラーサイト経由で英語圏にも伝播し、という英語名が与えられた。ここで理論は一気に「比較文化の問題」に接続され、胸派は、尻派はと結びつけられるなど、根拠のない説明が増殖した。
各国への拡散[編集]
では主に掲示板、動画コメント欄、恋愛相談番組の切り抜きで広まった一方、では自己分析系ポッドキャストが取り上げたことで、「libido identity」の一類型として再定義された。なお、では哲学用語風に「胸的欲動」と訳され、かえって難解になったとされる。
ごろには、のイベントスペースで「胸派・尻派サミット」と称する有料トーク会が開催され、入場者176人のうち、実際にどちらでもないと答えた者が過半数だった。しかし主催者はこれを「沈黙する多数派の隠蔽」と解釈し、陰謀論としての輪郭がより鮮明になった。
主張[編集]
主な主張内容[編集]
支持者の中心的主張は、「胸派は視覚刺激に対して迅速に反応するため、恋愛・性的関心の立ち上がりが早い」というものである。さらに「胸部を好む者は、幼少期にミルク瓶の曲線を記憶している」「尻派は椅子文化に順応しすぎている」といった、検証困難な説明が付け加えられることもある。
胸性研連盟の内部文書とされる『』では、胸派の特徴として注文率の高さ、恋愛映画の視聴回数、深夜の検索履歴における「柔らかい」「包む」といった語の頻度が挙げられている。しかし、これらの集計方法は公開されておらず、データの捏造を疑う声も多い。
その他の主張[編集]
派生説としては、「胸派はに反応しやすく、尻派はを好む」「胸派は時に性欲が上がる」「尻派はの経験が多いほど理性的になる」などがある。これらは互いに整合しないが、支持者は「性欲は多層構造である」としてまとめてしまう傾向がある。
また、一部では胸派と尻派の二分法自体がによる分断工作だとする説も唱えられている。これは「本来は横派、縦派、曲線回避派も存在したのに、流通上の都合で胸と尻に集約された」とするもので、真相は不明であるとされる。
批判・反論[編集]
批判側は、胸派・尻派・その他の嗜好はあくまで個人の美的選好であり、との因果関係を示す実証研究は存在しないと指摘する。とくにの名を勝手に借りたとされる匿名PDFが「相関係数0.42」と主張した件は、表計算ソフトのセル参照ミスによるものだと後に説明された[6]。
反論としては、「性欲が高い人ほど強い言葉で自説を主張するため、結果的に胸派の声が大きく見えるだけである」とするものが有力である。また、を名乗る架空団体が検証結果を発表したが、会場が内の貸会議室だったこと、発表者が全員同一の名札フォントを使っていたことから、逆にフェイクニュースとして扱われた。
それでも信者は「否定されるほど隠蔽の証拠が増える」と解釈し、反論そのものを証拠に組み込む。こうした自己封閉性が、この陰謀論の最も典型的な特徴である。
検証[編集]
、民間調査会社のが、胸派・尻派・無回答派を対象にしたオンライン調査を実施した。回答者3,284人のうち、胸派が「性欲が高いと周囲に言われた経験がある」と答えた割合は18.7%、尻派は17.9%で、差は統計的に有意ではなかったと報告された[7]。
しかし、この報告書は、調査票に「あなたは自分が情熱的であると思うか」という誘導的設問が混ざっていたことから、支持者に「最初から結論ありきの検証だった」と批判された。なお、報告書の注記には「回答者の約6%が深夜3時台に極端に長文を送信」とあり、むしろ調査対象より研究者自身の生活態度が疑われた。
社会的影響[編集]
この説は、恋愛観のラベリングを加速させた点で社会的影響が大きい。特にの自己紹介欄に「胸派/尻派」を書く文化が一時期流行し、前後にはプロフィールの約9%に何らかの曲線嗜好が記載されていたとされる。
また、の一部バーでは「胸派割」「尻派割」が導入され、入店時の会話のきっかけとして利用された。もっとも、実際には店側が客の会話を円滑にするための冗談キャンペーンであったが、陰謀論者はこれを「社会実装の初期段階」と呼び、プロパガンダの一部とみなした。
一方で、当事者間のラベリングが過熱した結果、「どちらでもない派」に属する者が議論から排除される事例も起きたとされる。これについては、単純化された二分法がインターネット・ミームとして消費された副作用だと分析されている。
関連人物[編集]
北条レンは胸性研連盟の実質的な創設者とされ、のネットカフェで『曲線と欲動』を執筆した人物として知られる。彼は「人類は好みを隠しきれない」と主張し、後にで「尻派観測チャンネル」を始めたが、途中で胸派へ転向したとされる。
対立側の論客としては、霧島ミオが挙げられる。彼女はを拠点に「嗜好と性欲は別物である」と反論し、胸性研連盟の会合に毎回出席しては資料の統計表の端に小さく「要出典」と書き込んだという。
また、は英語圏での拡散期に登場したとされる心理学者で、『Curve-Driven Desire』を著したが、実在性は極めて疑わしい。彼の論文は、引用欄に存在しないを含んでいた。
関連作品[編集]
映画では、『』(2014年)がしばしば関連作として扱われる。胸派と尻派の対立をサスペンス風に描いた作品で、公開当時は恋愛映画として宣伝されたが、後年になって陰謀論コミュニティが「核心を先取りしていた」と再評価した。
ゲームでは、『』(2019年)が有名である。プレイヤーは都市ごとの嗜好勢力を操作し、を巡って支持率を競うが、実際にはミニゲームの出来が悪く、公式サイトのFAQだけが異様に充実していた。
書籍では、『胸派帝国史』(著・三浦玲司、風の体裁をとるが出版社不明)と、『尻派はなぜ静かに敗北したのか』(著・Eleanor V. Pike)が定番である。いずれも内容より帯の煽り文句が有名で、「真相は曲線に隠された」といった文言が繰り返し用いられた。
脚注[編集]
[1] 胸派と尻派の定義は時期により揺れがあり、厳密な用法は存在しない。 [2] ネット上では「胸派=攻め、尻派=受け」とする単純化も見られるが、学術的根拠はない。 [3] いずれも後年のまとめ記事に依拠しており、一次資料は確認されていない。 [4] 反論者の間では、そもそも嗜好を性格に結びつける発想自体が疑似科学であるとされる。 [5] こうした数値は、投稿時間帯の母集団偏りを無視している可能性が高い。 [6] 当該PDFは、現在では偽書扱いされている。 [7] 調査設計の詳細が公開されておらず、検証可能性に乏しい。
関連項目[編集]
脚注
- ^ 北条レン『曲線欲動白書』胸性研連盟出版部, 2011.
- ^ 霧島ミオ『嗜好と性衝動の境界線』東都評論社, 2014.
- ^ Alan Whitmore, "Curve-Driven Desire and Online Tribalism," Journal of Comparative Meme Studies, Vol. 8, No. 2, pp. 41-67, 2015.
- ^ 三浦玲司『胸派帝国史』新潮選書風刊, 2016.
- ^ Eleanor V. Pike, The Chest-Preference Libido Theory: A Cultural History, London: Merton Press, 2017.
- ^ 東洋嗜好研究所『曲線嗜好と深夜行動の相関調査報告書』, 2021, pp. 12-19.
- ^ 岡本由梨『匿名掲示板における性欲言説の変容』情報文化研究 第14巻第3号, 2019, pp. 88-104.
- ^ S. Tanaka and M. Bernard, "A Survey of Curvilinear Aesthetics in East Asian Forums," International Review of Social Hoax, Vol. 5, No. 1, pp. 5-28, 2020.
- ^ 『胸派・尻派サミット記録集』港区文化交流会事務局, 2016.
- ^ 『Curve Wars: Libido Protocol 公式アートブック』架空工房, 2019.
外部リンク
- 胸性研連盟アーカイブ
- 東洋嗜好研究所データベース
- 匿名掲示板研究会
- 曲線文化資料館
- 偽書収集委員会