西新宿JCT封鎖及び歌舞伎町JCT出現事件
| 分類 | 首都高の怪談に類する交通系都市伝説 |
|---|---|
| 舞台(地名) | 内の・周辺 |
| 現象(噂) | 西新宿JCTの封鎖と、別地点としての歌舞伎町JCTの出現 |
| 伝承の形 | 目撃談・警備無線・ドライブレコーダーの断片に基づくと言われる |
西新宿JCT封鎖及び歌舞伎町JCT出現事件(にししんじゅくじぇいしーていふうさおよびかぶきちょうじぇいしーていしゅつげんじけん)は、で全国に広まった都市伝説の一種である[1]。
概要[編集]
西新宿JCT封鎖及び歌舞伎町JCT出現事件とは、夜間に方面の環状ランプが突然封鎖され、その直後に側で「見たことのないJCT標識」が出現したという不気味な怪奇譚である[2]。
噂では、封鎖の原因は道路そのものが“乗り換えを要求する妖怪”に取り憑かれたためとされ、運転手は戻ろうとするほど別ルートへ誘導されると言われている[3]。
この話は、単なる交通事故の都市伝説としてだけでなく、都市の記憶が“取り違えられる”恐怖として語られ、目撃されたというドライブレコーダー映像がSNSで再点火したことでブーム化したとされる[4]。
歴史[編集]
起源:『標識の帳簿』と呼ばれた夜[編集]
起源は、1998年頃に一度だけ発行されたと噂される内部冊子『標識の帳簿』にあるとされる。冊子は「首都の分岐点には、番号ではなく“名札”が付く」と書いてあったという言い伝えで、編集したのはの架空の交通監査部門「道路名札管理室」だとされる[5]。
さらに、冊子の“検算式”として「封鎖は0.7分で解けるが、逃げ道を探す行為は2.3回まで」と記されていたとも言われる。もっとも、記述が細かすぎるため、真偽は不明とされつつも、この手順だけは全国の怪談系掲示板に転記され、伝承が固定されたと推定されている[6]。
ここから、夜のJCTが“鍵”になり、次にJCTが“戸”として出現する、という二段構えの正体が噂の骨格として定着したとされる。
流布の経緯:無線の沈黙がきっかけになったという話[編集]
流布の経緯は、2004年のある深夜に「管制—管制、環状の白線が消失。至急、誘導灯コードを確認」といった警備無線が途中で途切れたという目撃談に結びつけられている[7]。
噂では、その途切れた秒数がちょうど17秒であり、録音データのタイムスタンプが“17:17:17”に戻っていたと語られた。もちろん、都合よく数字が揃う点から疑われてもいるが、この事件は“数字で説明される怪談”として受け入れられ、目撃談が全国に広まった[8]。
その後、2016年に「新宿周辺の分岐点を巡る動画」がマスメディアで特集されたことで、視聴者が現地で似た現象を探す動きが強まり、ブームが再燃したとされる。
噂に見る「人物像」/伝承の内容[編集]
伝承の中心にいるのは、公式には存在しないとされる「名札係」と呼ばれる警備員だとされる。目撃されたという報告では、彼(彼女)は反射ベストではなく、首元に“札”のようなプレートを付けていたという[9]。
出現したというJCTでは、標識が道路名ではなく「観察者の運転回数」を記す形だったと噂される。たとえば「本日、帰路を選択した者:—」のように白い板が光り、運転手がその数字を読もうとすると走行が止められるという恐怖譚が語られている[10]。
また、怪談の正体については諸説がある。道路そのものが“乗り換えを食べる妖怪”であるという説[11]、あるいは遠隔操作の誤作動が噂として増幅しただけだという説もある。ただし噂の世界では、いずれも『恐怖のループ』だけは共通して語られている。
このようにして、都市伝説は「封鎖された場所に戻るな」「目撃した標識を撮影するな」という注意書きの形で伝承され、不気味さを保ったとされる。
委細と派生/派生バリエーション[編集]
委細として語られるのは、封鎖の“前兆”である。最初に、ハンドルの手応えが2回だけ軽くなると言われ、次にメーターの表示が「時刻:23:59」と固定される。最後に、見通しの良い直線で白線が1本だけ途切れ、そこから薄い霧が湧くとされる[12]。
派生バリエーションとしては、歌舞伎町側のJCTが必ず出現するとは限らず、「出現するが、入口標識が“役者”の名前になる」型があるとされる。例えば「入口:◯◯座第◯東側」という架空の番地表記が現れ、読めない漢字が一つ混じるため、撮影した人だけが翌日“違う道の記憶”を持つようになると言われる[13]。
また、学校系の怪談の文脈では、運転できない年齢層にも恐怖を与えるよう改変され、「電車の乗り換えで似た標識が出る」「放課後の回送電車が“JCT”に変わる」と語り替えられたと報告されている[14]。
一方で、もっともややこしい派生として「封鎖が解除される代わりに、車内の時計が“別の人の時刻”になる」というバージョンがある。これは友人の誕生日だけが表示され続けるという噂と結びつき、インターネットの文化として二次創作が増えたとされる。
噂にみる「対処法」[編集]
対処法は、都市伝説としてはかなり具体的であるとされる。基本は三つで、(1)封鎖にぶつかったらバックしない、(2)標識の文言を読まない、(3)車内のライトを全部消してから“助手席側の窓”だけ開ける、という手順が挙げられている[15]。
さらに細かい対処として、「窓を開けた瞬間に聞こえる“遠い拍手”に合わせてエンジン音を3回だけ変調する」と言われる。運転音が合うと“道路の帳簿”が更新され、封鎖が解除される可能性があるとされるが、失敗すると恐怖のパニックが起きるとも噂されている[16]。
噂の中には“対処に成功した人だけ”が共通して「車内にあったはずのコンビニ袋が消える」と語るものがある。これが、道路に吸い込まれたのか、あるいは最初から袋を持っていなかったのかは議論になっており、やはり要出典級の揺らぎが残ると指摘されている[17]。
社会的影響[編集]
社会的影響として最初に語られるのは、深夜のドライブ行動の変化である。都市伝説の流布後、一部では「西新宿を通る夜は右車線に寄らない」「歌舞伎町側の看板は撮影しない」といった自衛が増えたとされる[18]。
また、交通系の注意喚起にすり替わった例もある。自治体や民間の安全講習で「標識を読むな」という文言が、誤解されて“視認性を上げろ”側に解釈され、逆に危険になったという小さな炎上もあったと語られる[19]。
さらに、噂がマスメディアで扱われたことで、首都圏の夜間観光の文脈に紛れ込み、「不気味スポット」としての視線が集まったとされる。一方で、その結果として“現地で行儀よくしない撮影者”が出て、周辺住民との軋轢が生じたという指摘もある[20]。
文化・メディアでの扱い[編集]
文化・メディアでは、都市伝説としての“タイトルの長さ”が逆に使われた。ラジオ番組では、冒頭BGMを止めてから「西新宿JCT、封鎖…」と読み上げる演出が定番化し、聞き手が一斉に息を止めるほど恐怖が伝わると言われた[21]。
また、漫画やラノベでは、封鎖が“バッドステータス”として描かれ、「走行できるが、目的地が選べなくなる」というゲーム的表現に翻案されることが多かった。歌舞伎町側のJCTは“舞台転換装置”として設定され、妖怪は道路の精霊ではなく、観客の記憶を集める裏方とされることもある[22]。
映像作品では、ドライブレコーダー風の体裁が好まれ、画面の左下に「17秒後、別の出口へ」の字幕が出る仕様が定番とされた。もっとも、これは現実の交通設備ではありえないため、視聴者の多くは「これマジ?…嘘じゃん!」と反応しつつも、そこが魅力になったと考えられている[23]。
脚注[編集]
参考文献[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 道路名札管理室『標識の帳簿(夜間版)』交通監査出版, 1999.
- ^ 佐藤みのり『首都圏・怪談交差点の系譜』青灯舎, 2007.
- ^ 山脇卓也『無線が途切れる都市伝説』NHK出版(架空編集), 2018.
- ^ International Folklore Review『Metropolitan Junctions as Memory Filters』Vol.12 No.3, 2012.
- ^ 陸影ユウ『白線が一度だけ消える話』雨宿書房, 2016.
- ^ Dr. Margaret A. Thornton『Signals, Signs, and the Unseen Operator』Vol.4 Iss.1, 2014.
- ^ 新宿怪談調査会『学校の怪談に残る交通系恐怖』第2巻第1号, 2020.
- ^ Kawamura, H.『Urban Mist and Variant Narratives in Tokyo』pp.41-63, Journal of Night Studies, 2019.
- ^ 『首都高ブームの裏側—都市伝説とマスメディア』報道編集局編, 2021(書名が類似しているが別資料とされる).
- ^ 中村祐介『17秒の伝承学—数字で縛られる恐怖』数霊社, 2022.
外部リンク
- 首都圏怪談ライブラリ
- 夜間無線記録アーカイブ
- 標識の帳簿(閲覧代行)
- 新宿霧談義フォーラム
- ドライブレコーダー異聞映像室