軍事用フリスクコーラ
| 名称 | 軍事用フリスクコーラ |
|---|---|
| 分類 | 補給飲料、戦術清涼飲料 |
| 起源 | 1958年、神奈川県相模原市の陸上自衛隊関連研究会 |
| 主成分 | 炭酸水、糖類、ミント抽出物、塩化カフェイン |
| 標準容器 | 耐圧アルミ缶 310ml |
| 配備 | 哨戒部隊、潜水艦内売店、基地救急所 |
| 有名な型番 | MC-4、MC-9、FRC-12 |
| 俗称 | フリコー、冷却弾、白い警戒灯 |
| 現行規格 | 防衛補給飲料規格 D-17-2 |
軍事用フリスクコーラ(ぐんじようフリスクコーラ、英: Military Frisk Cola)は、にとを組み合わせた、に準拠する補給飲料である。主に、、および長時間のに用いられるとされる[1]。
概要[編集]
軍事用フリスクコーラは、清涼感の強いミント系飲料を軍事運用向けに再設計した補給品である。一般には単なる強炭酸の清涼飲料として誤解されやすいが、実際にはの夜間行動研究との共同開発から生まれたとされる[1]。
この飲料の特徴は、飲用後に口腔内の温度感覚を急激に下げ、眠気を一時的に抑えることにある。なお、初期型はあまりに刺激が強く、演習中に兵士が「敵味方識別がミント臭でできる」と報告したため、1972年版から香気拡散係数が3.6%抑えられたという[2]。
歴史[編集]
誕生の背景[編集]
起源は、の旧相模原補給実験班にさかのぼる。寒冷地訓練で支給された砂糖水入り炭酸飲料が「甘すぎて眠くなる」と不評であったため、衛生班長のがミント薬用酒の処方を参考にして改良案を作成したとされる[3]。
当初は「戦術清涼炭酸液」と呼ばれていたが、会議記録の書き間違いから「フリスクコーラ」という語が残った。もっとも、当時という名称はまだ一般化しておらず、編集史研究では後年の追記である可能性が高いと指摘されている。
制度化と配備[編集]
の警備計画で試験配備され、猛暑下の警備員に支給されたことから一気に知名度が上がった。とくにの外周警備では、1日あたり平均1,280本が消費され、空き缶の山が「白い塹壕」と呼ばれたという。
にはが正式に補給分類を与え、MC-4型が標準化された。1缶あたりの糖分は14.2g、カフェインは87mg、ミント香料は「鼻腔到達時間2.8秒以内」に調整され、以後の型番にもこの基準が継承された。
国際展開[編集]
にはおよびの沿岸警備隊へ輸出され、熱帯域での監視任務に適する飲料として受け入れられた。特にの倉庫では、冷蔵設備が故障した際に本品を氷代わりに入れる運用が行われたとされ、後に海軍医学誌で問題視された。
一方でのでは、過剰な清涼感が「夜間の緊張感を逆に高める」として採用が見送られた。これに対し開発側は、冷感値を0.8段階下げたFRC-12を提示し、翌年のでようやく「準軍用飲料」として承認を得た。
製法と規格[編集]
軍事用フリスクコーラの製法は、通常のコーラに近いが、仕込み段階でを微粉化し、加圧時に三段階で注入する点が異なる。標準化文書では、泡立ちの持続時間、缶を振った際の音圧、飲用後30秒の発話明瞭度まで測定項目に含まれている[4]。
規格上は「飲料」であるが、実務上はの一部に数えられることが多い。とくに冬季演習では、寒さで低下した集中力を引き上げる目的で、コーラ成分を15%増量した「寒冷地仕様」が配布され、口を開いた瞬間に湯気のような白い息が出ると報告された。
なお、1993年版では「携行時の誤用防止のため、缶底に逆さまの注意書きを印字すること」という奇妙な条項が追加された。これはの搭乗員が、上空で開栓して泡を噴出させた事故に由来するとされるが、当該事故の記録は一部しか残っていない。
運用と文化[編集]
現場では、軍事用フリスクコーラは単なる飲み物以上の意味を持った。新兵教育では「開缶の音で姿勢を正す」とされ、古参兵の間では、夜間哨戒前に1缶を飲み干す儀式が半ば慣例化していた。これを行うと、口臭が消えるだけでなく、なぜか無線通話の語尾が短くなるという報告が相次いだ。
の一部研究会では、これを「清涼化による命令文短縮効果」と呼び、会話の冗長性が平均18.4%減少したとする調査を発表している。ただし、サンプル数が27名しかなく、しかも全員が同じ売店で毎回購入していたため、学術的信頼性には疑問がある。
また、基地内の売店では人気が高く、1998年の祭では、限定ラベル版「迷彩ミント」が販売開始3時間で完売した。ラベルにはなぜかとが並んで印刷され、デザイン担当者は「緊張と春の両立」を狙ったと説明したという。
批判と論争[編集]
もっとも、軍事用フリスクコーラには批判も多い。栄養学の観点からは糖分とカフェインの過剰摂取が問題視され、1990年代後半には系の会合で「兵士を清涼感で動かすのは本末転倒」とする意見が出た[5]。
また、香りの強さゆえに、潜水艦内部での使用はほぼ全面禁止となった。ある幹部は「換気扇が先に覚醒してしまう」と述べたとされるが、この発言は記録係がメモを取り損ねたため、出典が不明である。
一方、民間転用も進み、コンビニエンスストアでは「眠気覚まし飲料」として売られた。しかし、一般消費者の中には1本で3時間眠れなくなる者もおり、2004年には深夜ゲーム大会での大量摂取が原因とみられる「発話速度の異常上昇」事案が報告された。
派生製品[編集]
寒冷地仕様[編集]
MC-4Cは、の冬季訓練向けに開発された派生型である。炭酸の抜けを遅らせるため、内圧を通常より0.3気圧高くし、缶を開けると雪の上でも泡が30秒ほど立ち続ける設計となった。これにより、演習地で缶を開けた兵士の周囲だけ雪面が丸く溶ける現象が観察された。
医療救護型[編集]
FRC-Mは、用に開発された救護仕様で、糖分を抑え、ミント成分を鎮静寄りに調整したものとされる。東日本大震災後の臨時配給で存在感を示したとされるが、実際には避難所の子どもたちに好評だったという雑感が多いだけで、正確な配布記録は残っていない。
脚注[編集]
[1] 防衛補給研究会『戦術清涼飲料の設計』。 [2] 佐伯和彦「高香気炭酸飲料の夜間行動への影響」『補給工学ジャーナル』Vol. 12, No. 3, pp. 41-58. [3] 渡辺精一郎『相模原補給実験班回想録』陸補研究社, 1979年. [4] 日本炭酸規格協会『D-17-2 軍用飲料缶試験法』技報出版, 1988年. [5] 厚生省生活衛生課「高カフェイン飲料の軍民転用に関する検討メモ」『衛生行政資料』第24巻第1号, pp. 5-19.
関連項目[編集]
脚注
- ^ 防衛補給研究会『戦術清涼飲料の設計』補給文化出版, 1969年.
- ^ 佐伯和彦「高香気炭酸飲料の夜間行動への影響」『補給工学ジャーナル』Vol. 12, No. 3, pp. 41-58.
- ^ 渡辺精一郎『相模原補給実験班回想録』陸補研究社, 1979年.
- ^ 日本炭酸規格協会『D-17-2 軍用飲料缶試験法』技報出版, 1988年.
- ^ Margaret L. Thornton, “Minted Logistical Beverages and Troop Morale,” Journal of Tactical Consumption, Vol. 7, No. 2, pp. 113-129.
- ^ Robert K. Ellery, The Cold Sip Doctrine, Northbridge Press, 1994.
- ^ 厚生省生活衛生課「高カフェイン飲料の軍民転用に関する検討メモ」『衛生行政資料』第24巻第1号, pp. 5-19.
- ^ 小林みどり『ミントと補給の近現代史』南風堂, 2001年.
- ^ 中村信吾「基地売店における限定飲料の消費行動」『流通社会学研究』第18巻第4号, pp. 77-92.
- ^ 「軍用炭酸飲料の香気拡散係数に関する実験」『相模原技報』Vol. 5, pp. 201-220.
外部リンク
- 防衛補給文化資料館
- 相模原補給史アーカイブ
- 日本清涼軍需研究会
- ミント飲料年鑑データベース
- 基地売店商品史コレクション