首都圏警察重犯罪対策課
| 名称 | 首都圏警察重犯罪対策課 |
|---|---|
| 略称 | MCHCD |
| ロゴ/画像 | 首都圏警察章に黒い方位盤を重ねた意匠 |
| 設立 | 1978年4月1日 |
| 本部/headquarters | 東京都千代田区霞が関2-7-1 |
| 代表者/事務局長 | 課長補佐(事務取扱) 竹内 恒一 |
| 加盟国数 | 該当なし |
| 職員数 | 1,284人(2023年度) |
| 予算 | 約186億円(2024年度) |
| ウェブサイト | mchcd.go.jp |
| 特記事項 | 首都圏広域重犯罪対策法に基づき設置された |
首都圏警察重犯罪対策課(しゅとけんけいさつじゅうはんざいたいさくか、英: Metropolitan Police Heavy Crime Countermeasures Division、略称: MCHCD)は、がへの即応と、をまたぐ重犯罪の一元処理を目的として設立されたである[1]。設立。本部は霞が関に置かれている。
概要[編集]
首都圏警察重犯罪対策課は、・・・の境界を越えて発生する凶悪事件を、単一の指揮系統で処理するために設置されたの内部組織である。設置法上は「課」とされるが、実際にはに相当する広域調整会議、に相当する定例会合、ならびに文書を備えた半独立的機関として運営される。
一般にはの初動捜査と捜査情報の集約を担う部署として知られているが、創設当初は、以前の都市型犯罪の増加を想定した「警察版の危機管理室」として構想されたとされる。なお、内部では事件の分類に独自の「重量係数」が用いられ、事件現場に残された金属片の総重量や犯行声明の文量まで予算査定に反映されたとの指摘がある[2]。
歴史・沿革[編集]
創設の背景[編集]
後半、では爆発物事件、身代金目的誘拐、銀行強盗の広域化が問題化していた。これに対し、内部の「都市治安再編会議」で、都県警の縦割りを超える「重犯罪の共同処理席」を常設すべきだという案が浮上した。提案者としては、元・刑事部のと、の分析官の名がしばしば挙げられる。
4月1日、首都圏広域重犯罪対策法に基づき正式発足した。同法は全12条からなる短い法律であるが、第7条に「必要に応じ、現場指揮は風向きに従い調整する」とあるため、後年まで条文解釈をめぐる議論が続いた[3]。
発展期[編集]
に入ると、対策課はハイジャック、銃器密輸、爆発物脅迫の3類型を重点対象に定めた。特にの「湾岸倉庫群同時放火事件」では、都県をまたいで移動する犯人の動線を、の料金所記録と弁当購入履歴から再構成し、48時間で検挙に至ったとされる。
には、情報解析室が新設され、電話回線の通話密度から犯行前兆を推定する「熱量監視モデル」を導入した。ただし、初期のモデルはと周辺の空気圧変化を同列に扱っていたため、関係者から「学術的だが使いにくい」と評された。
制度改編[編集]
の組織再編では、対策課は「初動班」「追跡班」「現場復旧班」「証拠冷凍庫運用班」の4班体制となった。証拠冷凍庫運用班は、押収物の温度管理を担当する珍しい班で、拳銃、金塊、コンビニのおにぎりまで同一規格で保冷することで知られている。
の東日本広域警備指針改定後は、心身障害者福祉会館跡地に設けられた臨時連絡室を拠点とし、災害時の治安維持も所管した。なお、この時期に策定された「一事件一方位原則」は、事件を東西南北のいずれかに無理やり分類する運用として一部で話題になった。
組織[編集]
組織構成[編集]
対策課は、課長、統括補佐、分析官、現場監察官、通信調整官、記録官から成る。人員配置は固定ではなく、年度ごとの予算査定に応じて「第1机」「第2机」といった机単位で再編される仕組みである。
また、都県警からの出向職員が全体の約38%を占め、残余はからの派遣、外部の研究者、ならびに元・の航法担当者で構成される。これは、犯人の移動経路を航空図法で読む必要があるという独自の前提に由来するとされる。
主要部局[編集]
主要部局としては、、、、、がある。都市地図復元班は、古地図と大型商業施設のフロア案内を重ね合わせて潜伏先を割り出すことで知られる。
特筆すべきは心理圧迫交渉班で、交渉時に昭和歌謡を低音で流す「静圧法」を採用していた。これにより、の人質立てこもり事件では犯人側が「曲目が古すぎて集中できない」として自首したという逸話が残る[4]。
活動内容[編集]
首都圏警察重犯罪対策課の主な活動は、都県境を越える強盗、誘拐、爆発物関連犯罪、要人脅迫への共同対処である。事件発生時には、現場検証より先に通信ログ、交通IC記録、気象庁の風向データを照合し、犯行の「移動可能半径」を算出する方式が採られる。
また、同課は民間事業者との連携にも積極的で、鉄道会社、百貨店、防犯カメラ業者、深夜営業の印刷所と年2回の合同訓練を実施している。訓練では、捜査員が各駅の売店で新聞を購入し、その見出しの折り目から現場到着順を競う「折り目整列訓練」が行われる。これは資料整理の効率化に資すると説明されているが、実際には職員の根性試しであるとの見方もある。
さらに、広報活動として「首都圏犯罪地図」を公開しており、事件が多発した区画を、灰色の濃淡ではなく煮干しの濃度に近い色調で表示する。2022年版ではとの一部がやや濃く示され、公開直後に「地図が味噌汁みたいである」と話題になった。
財政[編集]
2024年度予算は約186億円であり、その内訳は人件費が52%、通信・解析設備費が27%、車両・装備更新費が11%、残余が紙資料の保管および非常食費である。とくに非常食費は年々増加しており、2023年度にはアルファ化米よりもカロリーメイト様の保存菓子の比率が高かったとされる。
財源は負担を基本とするが、都県の分担金が約19%を占める。なお、の一部商業施設からは防犯協力金が任意で拠出されており、毎年の納入式では金額よりも「お礼の菓子折りの格式」が重視されるという。監査報告では、2019年に「通信機器の更新」として計上された3,840万円のうち、実際には大型ホワイトボードと回転椅子の購入に1,100万円が充てられていたことが判明し、軽い批判を受けた[5]。
歴代幹部[編集]
歴代課長[編集]
初代課長はで、在任期間はからまでである。黒田は「現場に先に入るな、地図に先に入れ」という標語を残したとされる。
第3代課長のは女性初の課長として知られ、の就任以降、分析部門の拡充を進めた。彼女は会議中に必ず都県境の色分け資料を3枚以上並べる癖があり、その過剰さが後任にも影響した。
事務取扱・幹部[編集]
現任の課長補佐(事務取扱)はである。竹内は前職での渋滞予測を担当していた経歴を持ち、犯人の車列を「平日朝の環七」と同じ理屈で読むことで評価された。
また、対策課では幹部の交代時に「鍵束の引継ぎ」ではなく「磁気テープの方位合わせ」が行われる慣習がある。これは初代から続く儀式で、引継ぎ書類の厚さが3.2センチを超えると、次期幹部が半日だけ無言になるとされる。
不祥事[編集]
、証拠冷却班が押収したチョコレート菓子を冷凍庫で保管しすぎた結果、事件とは無関係の施設利用者に配布される「証拠品再配分事故」が発生した。これにより、数名の職員が始末書を書いたほか、冷凍庫の温度設定が「-18℃」から「-17.5℃」に改められた。
には、職員向け研修資料に掲載された首都圏地図の中で、が2回出現し、代わりにが消失する誤植が発覚した。内部では「都市の重複は捜査効率に影響しない」として処理されたが、地理担当の職員数名が3日間にわたり座標を確認し続けたという。
さらに、の内部監査では、会議室A-7の机下から未申請の折りたたみ椅子19脚が見つかり、これが「隠匿物件」として記録された。もっとも、後に全てが職員の私物であることが判明し、報告書は「重大な組織的不整合ではない」と結ばれている。
脚注[編集]
[1] 首都圏警察庁『首都圏広域重犯罪対策法逐条解説』警察行政研究会、1980年。 [2] 佐伯真奈美「都市型重犯罪と重量係数モデル」『警務評論』Vol. 14, No. 2, pp. 33-51, 1991年。 [3] 『首都圏広域重犯罪対策法』第7条、官報特別号、1978年4月1日。 [4] 竹田倫太郎「静圧交渉法の導入と人質事件の転機」『危機管理学紀要』第8巻第1号, pp. 112-130, 2000年。 [5] 東日本監査院『首都圏警察重犯罪対策課に関する会計検査報告』第3号、2020年。 [6] Margaret H. Ellison, Urban Crime Command Structures in East Asia, Northgate Press, 2007. [7] 山村志保「広域事件統合班の設計思想」『現代警察行政』第22巻第4号, pp. 5-29, 2015年。 [8] 田所健一『首都圏犯罪地図の技術史』東京法政出版、2019年。 [9] J. P. Wainwright, The Geometry of Pursuit, Alder Row Publishing, 1998. [10] 小泉あかね「冷凍証拠管理の実務と倫理」『行政装備月報』第31巻第7号, pp. 77-88, 2022年。
関連項目[編集]
の行政機関
の官公庁
脚注
- ^ 首都圏警察庁『首都圏広域重犯罪対策法逐条解説』警察行政研究会、1980年。
- ^ 佐伯真奈美「都市型重犯罪と重量係数モデル」『警務評論』Vol. 14, No. 2, pp. 33-51, 1991年。
- ^ 『首都圏広域重犯罪対策法』第7条、官報特別号、1978年4月1日。
- ^ 竹田倫太郎「静圧交渉法の導入と人質事件の転機」『危機管理学紀要』第8巻第1号, pp. 112-130, 2000年。
- ^ 東日本監査院『首都圏警察重犯罪対策課に関する会計検査報告』第3号、2020年。
- ^ Margaret H. Ellison, Urban Crime Command Structures in East Asia, Northgate Press, 2007.
- ^ 山村志保「広域事件統合班の設計思想」『現代警察行政』第22巻第4号, pp. 5-29, 2015年。
- ^ 田所健一『首都圏犯罪地図の技術史』東京法政出版、2019年。
- ^ J. P. Wainwright, The Geometry of Pursuit, Alder Row Publishing, 1998.
- ^ 小泉あかね「冷凍証拠管理の実務と倫理」『行政装備月報』第31巻第7号, pp. 77-88, 2022年。
外部リンク
- 首都圏警察庁公式資料室
- 重犯罪対策課デジタル年報
- 広域事件統合アーカイブ
- 首都圏治安統計ポータル
- 霞が関行政文書館