高齢者ロリコン
| 名称 | 高齢者ロリコン |
|---|---|
| 別名 | シニア・ロリータ趣味、老年愛好 |
| 初出 | 1978年頃 |
| 主な活動地 | 東京都、神奈川県、愛知県 |
| 関係機関 | 日本広告倫理研究会、東京生活文化資料館 |
| 提唱者 | 佐伯倫太郎、三枝久美子 |
| 標語 | 若さの代わりに歳月を愛でる |
| 関連分野 | 老年学、サブカルチャー、広告史 |
| 代表的媒体 | 同人誌、深夜ラジオ、地方自治体の広報紙 |
高齢者ロリコン(こうれいしゃロリコン、英: Elder Lolicom)は、主に後期から初期にかけて内の文芸・広告・放送業界で用いられたとされる、年長者を過度に理想化して愛好する美学的嗜好の俗称である。近年はの一分類として再評価されている[1]。
概要[編集]
高齢者ロロコンは、実在の恋愛嗜好としてよりも、むしろ末の都市文化における記号操作として理解されることが多い。文献上は、老年の皺、節くれだった指、補聴器のノイズ、和菓子の包装紙のしわまでを美点として読み替える「逆年齢主義」の一形態と説明されている。
この概念はの周辺で自然発生したという説と、のコピーライターたちが周辺の喫茶店で冗談半分に定式化したという説が並立している。ただし、いずれの説も一次資料が極端に少なく、後年の雑誌記事と匿名座談会をもとに再構成されたものにすぎないとされる[2]。
歴史[編集]
黎明期[編集]
最初期の用例は、に発行された小冊子『老いのためのロマンス入門』に見られるとされる。そこでは、年長者の「話の長さ」「薬袋の整理整頓」「孫の写真を見せる速度」が魅力として列挙されており、後の愛好家の間では半ば教典のように扱われた[3]。
この時期の中心人物とされるのが、広告代理店勤務の佐伯倫太郎である。佐伯はの会議室で「若さは浪費されるが、老いは熟成される」と発言し、同席していた編集者の三枝久美子がこれを「高齢者ロリコン」という語で雑誌欄に短く書き込んだことから、用語が拡散したという。なお、佐伯本人は後年までこの呼称を「字面が強すぎる」として一貫して嫌っていた。
普及と制度化[編集]
にはで開催された「シルバー・テクスチャー展」で、とを並置するインスタレーションが話題となり、展示カタログに「高齢者ロリコン的視点」という章が設けられた。来場者は3日間で延べ7,420人に達したとされるが、チケットの半券がほぼすべて雨で溶けたため、正確な動員数は不明である[4]。
また、の深夜討論番組で老年学者の上野澄江が「これは性愛ではなく、時間への敬意である」と説明したことから、概念は一時的に「老齢趣味」へ言い換えられた。しかし、言い換え後のほうが怪しさが増したため、ファンのあいだでは元の語がむしろ定着したとされる。
衰退と再評価[編集]
半ばになると、の掲示板文化の中でこの語は主に自虐的なネタとして消費されるようになった。特にの「全国シルバー趣味連絡会」事件では、会員数48名の小団体が会報を誤って全国紙に郵送し、見出しだけが独り歩きしたことが、用語の拡散に拍車をかけた。
一方で、以降はの進行とともに、地域福祉、終活デザイン、シニア向けファッション研究との接点が指摘され、学術的には「高齢者の尊厳を美的に読み替える運動」として再評価されている。ただし、若手研究者の間では「結局は昭和の冗談を論文にしただけではないか」との指摘も根強い。
文化的特徴[編集]
高齢者ロロコンにおける美意識の中心は、外見そのものよりも「時間の堆積」にあるとされる。具体的には、茶色いメモ帳、薬のラベル、毛糸のベスト、そして自筆の年賀状の筆圧などが愛好対象として挙げられる。
また、愛好家のあいだでは「ひざ掛けの重み」「湯呑みの底の茶渋」「病院の待合室での沈黙」など、通常は無意識に通過される要素に価値を見出す傾向があると説明される。これを『東京老年感覚年報』では「生活摩耗の審美化」と呼んでいる[5]。
社会的影響[編集]
この概念は、実際には小規模なサブカルチャーにとどまりつつも、の広報物やの標語に奇妙な影響を与えたとされる。たとえばのある区役所では、シニア向け講座のポスターに「人生の皺を、誇りに変える」と書かれたところ、若干の反響を呼び、翌週にはポスターの下部に「誤解を招く表現ではありません」と追記された[6]。
また、代後半にはが「エイジング・エレガンス」という表現を多用した結果、編集部に「高齢者ロリコン特集ですか」と問い合わせが月平均14件寄せられたという。問い合わせ対応に追われた編集長は、後に社内報で「最も収益性の低い誤解」と回想している。
批判と論争[編集]
本概念は、その語感の強さから、初期からたびたび批判の対象となった。特にはの声明で、「老いの尊重を表す語としてはあまりにも雑である」とし、用語の使用自粛を求めた[7]。
ただし、内部文書では「言葉の不穏さがかえって議論を可視化した」とも記されており、結果的に概念の生命力を延命させた可能性がある。なお、とされたまま掲載されたままのままの逸話として、「講演会で配布された栞の紙質が良すぎて参加者が内容を忘れた」というものがあるが、これは研究者のあいだでも真偽不明である。
関連する人物[編集]
佐伯倫太郎は、概念の命名に関わったとされる人物で、後にの市民講座で「私は老いを好きになったのではなく、老いの編集可能性に興奮しただけだ」と述べたと伝えられる。三枝久美子は対照的に、語を社会化した実務家として扱われ、の連載でたびたび引用された。
また、老年学者の上野澄江、コピーライターの加賀谷修、そしての学芸員・塚原正彦が、後年の再構成において重要人物とされる。いずれも実際には関係が薄い、あるいは全く関係がなかった可能性があるが、資料の少なさゆえに定説化したとされる。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐伯倫太郎『老いのためのロマンス入門』東京生活文化出版, 1978年.
- ^ 三枝久美子「逆年齢主義の周辺」『月刊広告と生活』Vol. 12, No. 4, pp. 18-27, 1981年.
- ^ 上野澄江「皺の美学とその社会的誤読」『日本老年学雑誌』第9巻第2号, pp. 113-129, 1984年.
- ^ 加賀谷修『深夜ラジオとシルバー・テクスチャー』中央選書, 1986年.
- ^ 東京生活文化資料館 編『昭和後期の珍語録』学芸記録社, 1991年.
- ^ Margaret H. Ellison, “Aesthetics of Aging in Urban Japan,” Journal of Comparative Subcultural Studies, Vol. 3, No. 1, pp. 44-62, 1995.
- ^ 塚原正彦「シニア向け広報における語感の事故」『自治体広報研究』第21巻第3号, pp. 77-85, 2002年.
- ^ Kenji Morita, “The Elderly as Icons: Reversed Age Desire and Its Discontents,” Studies in Modern Folklore, Vol. 18, No. 2, pp. 201-219, 2009.
- ^ 『老齢趣味の社会学』日本広告倫理研究会報告書, 2011年.
- ^ 三枝久美子『皺と包装紙』、誤植社、2014年.
外部リンク
- 東京生活文化資料館デジタルアーカイブ
- 日本老年感覚研究センター
- 昭和珍語データベース
- シルバーサブカル年表館
- 自治体広報表現研究室