1勝1敗1オスナ
| 正式名称 | 1勝1敗1オスナ |
|---|---|
| 読み | いっしょういっぱいいちおすな |
| 分野 | プロ野球・記録表現 |
| 初出 | 2007年頃 |
| 提唱者 | 関東記録協会 第三分類班 |
| 関連球団 | 東京を中心とする複数球団 |
| 基準 | 勝敗と救援事象の同時記録 |
| 通称 | オスナ均衡式 |
| 使用媒体 | 新聞スコア欄、場内放送、ネット掲示板 |
1勝1敗1オスナ(いっしょういっぱいいちおすな)は、のにおいて、試合展開の均衡を象徴するために用いられる独特の成績表現である。一般にはとに加え、という特定の救援局面を1回だけ成立させた状態を指すとされる[1]。
概要[編集]
1勝1敗1オスナとは、試合成績を単純な勝敗で表すのではなく、オスナの登板がもたらした心理的・統計的な揺らぎを1単位として加算する記録表現である。通常のに、9回以降の「オスナ局面」が1回挿入された状態を指し、もともとはの草野球記録会で生まれたとされる[2]。
この表現は、数字の見た目が整っている一方で中身が妙に具体的であることから、ネット上では「成績のようで成績ではない言葉」として知られている。なお、記録者によっては1オスナを「延長十二回における気配の残留」と定義する場合もあり、厳密な統一はなされていない[3]。
歴史[編集]
草創期[編集]
起源は夏、近辺のファン有志が運営していた手書きスコア交換会にさかのぼるとされる。当時、ある試合での救援陣を模した代替記号として「O」を用いたところ、記録係の一人であったが「1勝1敗では足りない、そこにオスナが1つ入る」と発言したのが始まりとされる[4]。
当初は内輪の言い回しに過ぎなかったが、翌月の交換会で参加者32名のうち27名が同表現を使用し、さらに地方紙の投書欄に「1勝1敗1オスナのような均衡感が大事」と掲載されたことで、用語として半ば独立した。ここでいう「オスナ」は人名ではなく、救援失敗と成功の境界に現れる架空の単位であると説明されていた。
普及と定着[編集]
代にはが非公式に採用し、スコアブックの備考欄に「OS-1」を書き込む欄が追加された。これにより、球場スタッフの一部が試合後の集計で「勝ち負けは同じ、だがオスナが残る」と言い回すようになり、記録文化として定着したとされる[5]。
また、には周辺の居酒屋で「一勝一敗一オスナセット」が流行し、枝豆、唐揚げ、ハイボールに加えて、なぜか小皿に塩だけを載せた品が付くようになった。これは「オスナは味を決めるが、満腹にはしない」という比喩に由来するという[6]。
国際化と誤解[編集]
、英字圏の野球ブログがこれを“One Win, One Loss, One Osuna”と訳したことで、国外では一時期、特殊な救援指標だと誤解された。特にの分析フォーラムでは、1オスナを「1回の不可逆的な勝敗中立化」と呼ぶ派閥が生まれ、の統計家が独自にOSU指数を提案したが、数式がやけに複雑で誰も検証しなかった[7]。
一方で日本国内では、頃からSNS上で「今日は1勝1敗0オスナだった」「3連敗2オスナで耐えた」などの拡張用法が拡散し、もはや成績表現というより感情の温度計として扱われるようになった。
定義[編集]
1勝1敗1オスナの「1勝」は通常の勝利、「1敗」は通常の敗戦を意味するが、問題は「1オスナ」である。これはが登板した回数ではなく、試合のどこかで観客が一斉に座り直した瞬間を1回として数える、きわめて曖昧な単位であるとされる[8]。
記録規程上は、九回表以降に先頭打者を四球で出し、球場全体の空気が「これは来る」と認識した段階で1オスナが付与される。なお、満塁になっただけでは付与されず、ベンチ前での名が一度でも実況席から発せられることが条件とする説もある。
文化的影響[編集]
この表現は、野球実況のみならず、やの自己採点にも転用された。たとえば「今日は1勝1敗1オスナだった」という発言は、成果と失敗が拮抗し、なおかつ何らかの不可解な外圧が1回発生したことを意味する便利な比喩として機能した[9]。
内の一部出版社では、校了直前の赤字修正が3回入った原稿を「1オスナ案件」と呼ぶ慣行ができ、編集部のホワイトボードには「今月は2勝0敗4オスナ」と書かれていたという。こうした用法の拡大により、オスナは人名を離れて「試合を最後まで平らにしない何か」の代名詞となった。
批判と論争[編集]
批判の多くは、1オスナの定義が恣意的である点に集中している。特にの一部会員は、「勝敗と選手名を同列に扱うのは統計学的に不適切である」と指摘したが、反対派は「不適切だからこそ感情に忠実である」と応じ、議論は平行線をたどった[10]。
また、にはのラジオ局が特集番組を放送した際、ゲストの元投手が「1オスナは投手の責任ではなく、湿度の責任である」と発言し、これが一部で流行語化した。もっとも、同発言の直後に放送席のマイクが2度落ちたため、番組内では「やはり1オスナが発生した」と記録された。
派生表現[編集]
派生語としては「2勝1敗0.5オスナ」「逆1オスナ」「未遂オスナ」などがあるが、いずれも厳密な根拠はない。とくに「未遂オスナ」は、試合は成立したが実況アナウンサーが名前を噛んだために記録されなかった状態を指すとされ、現場では半ば迷信として扱われている[11]。
なお、にはアマチュア野球連盟の一部が「オスナ係数」を導入し、ベンチの緊張度を0.25単位で可視化する試みを始めた。ただし、集計担当者の3人中2人が途中で辞職したため、制度は現在も試験運用にとどまっている。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐伯直人『スコアブックの余白に生まれた言葉たち』関東記録出版, 2011, pp. 44-61.
- ^ 東條みのり「オスナ局面の記録心理について」『日本野球文化研究』Vol. 12, No. 3, 2014, pp. 118-129.
- ^ Harold P. Winfield, “One Win, One Loss, One Osuna: A Post-closure Metric in Japanese Baseball,” Journal of Comparative Sport Semantics, Vol. 8, No. 2, 2017, pp. 55-74.
- ^ 中村剛志『野球と感情の測り方』新潮記録社, 2018, pp. 201-219.
- ^ Martha L. Kettering, “The Osuna Unit and Its Discontents,” Annals of Fictional Athletics, Vol. 5, No. 1, 2019, pp. 9-33.
- ^ 『関東記録協会年報 第17号』関東記録協会, 2015, pp. 12-18.
- ^ 小林史朗「1敗のあとに残るもの――1オスナの社会学」『東京スポーツ史紀要』第21巻第4号, 2020, pp. 77-95.
- ^ Daniel R. Hovarth, “Quiet Ninths and Loud Names,” Baseball Metrics Quarterly, Vol. 14, No. 4, 2021, pp. 140-156.
- ^ 山岸和真『実況席の民俗学』港北書房, 2022, pp. 88-104.
- ^ 藤堂彩子「オスナ係数試案とその挫折」『アマチュア野球研究』第9巻第2号, 2024, pp. 3-16.
外部リンク
- 関東記録協会デジタルアーカイブ
- 日本野球記録学会資料室
- 神宮周辺口伝コレクション
- オスナ係数研究会
- 後楽園記録交換会名簿