13番目の厄災
| 種類 | 社会現象・自然現象 |
|---|---|
| 別名 | 十三相転位、第13兆候 |
| 初観測年 | 1974年 |
| 発見者 | 新谷克彦 |
| 関連分野 | 都市工学、災害心理学、統計異常学 |
| 影響範囲 | 首都圏、港湾地区、地下鉄網、電力系統 |
| 発生頻度 | 年平均13.7件前後とされる |
13番目の厄災(じゅうさんばんめのやくさい、英: Thirteenth Calamity)は、のやにおいて、回目までの異常が連続した直後に、必ず番目として記録される連鎖的な不具合が発生する現象である[1]。別名に「十三相転位」「第13兆候」があり、にのによって最初に報告されたとされる[1]。
概要[編集]
13番目の厄災は、の基盤設備や集団行動において、連続した軽微な異常が番目で顕在化する現象である。単独の事故としては小規模であっても、記録上は「12件の前兆ののちに13件目が必ず致命化する」という形で現れ、やの旧い防災記録にしばしば残されている。
この現象は、の分野では「閾値超過型の社会連鎖」と説明されることがある一方、現場の技術者の間では「13番目の厄災が来るときは、たいてい誰かが点検表を落としている」とも言われる。なお、の一部資料では、当該現象を「記録文化に依存した災害認知の偏り」とする説が示されている[2]。
発生原理・メカニズム[編集]
13番目の厄災のメカニズムは完全には解明されていないが、主にの三要素に起因するものと考えられている。すなわち、12回までは個別に吸収されていた小さな誤差が、13回目においてやの同期を崩し、急激な不具合として観測されるのである。
また、やのように反復構造の強い施設では、13番目の事象が「前の12件を踏まえて対応したはずなのに、逆に同じ手順を13回目で破ってしまう」という逆説が生じることがある。これはでは「13回目補正」と呼ばれ、の報告書では、係員の注意力が12件目で一度回復したように見え、13件目で再び落ちる傾向があると記されている[3]。
一方で、民間の研究者の中には、という数そのものよりも、「13回目が来た」という認知が被害報告を増幅しているとする説もある。この場合、現象は物理的な厄災というより、によって自己実現する社会現象として理解される。
種類・分類[編集]
13番目の厄災は、発生様式によって大別される。研究上はの4類型がよく用いられる。
は、やなどで12回の異常警報の後に13回目の停止が起こるもので、最も古くから知られている。は、避難誘導や入場整理で12回までは秩序が保たれるが、13回目に押し合いが発生するものである。は、実害よりも台帳上の連番に偏りが出る現象で、の防災係が「なぜか13番目だけ欄外に落ちる」として問題化した事例がある。は、やの変化が12時間周期で安定した後、13時間目に急変するもので、沿岸の港湾施設で注目された。
なお、分類の厳密性については学派差が大きく、の一部では「13番目の厄災は本来ひとつの現象ではなく、13番目に配置されたすべての事故を束ねたラベルにすぎない」とする見解が有力である[4]。
歴史・研究史[編集]
前史[編集]
13番目の厄災に類似する記録は、末期の倉庫群に遡るとされる。1928年の帳簿では、12回連続の小火のあとに13回目の延焼が起きたと記載されているが、当時は単なる管理不備として処理された。後年、工学部のがこの連番性に着目し、災害記録の行間に「番号の呪い」が潜むと指摘した[5]。
概念の成立[編集]
現代的な意味での「13番目の厄災」は、の月報に掲載された新谷克彦の報告が契機である。新谷はの地下配電盤で起きた12回の断続停電の直後に、13回目の完全停電が発生した事例をまとめ、これを「第13兆候」と呼んだ。翌年には系の委託研究が始まり、という半ば冗談のような用語まで生まれたとされる。
研究の拡大[編集]
には、、の防災記録に同様の事例が相次ぎ、やの一部分科会で討論が行われた。とりわけの「第13回都市安全シンポジウム」では、会場の照明が13時13分に落ちたことから、参加者の間で現象の存在が半ば確信されたという。もっとも、この逸話は記録係のメモにしか残っておらず、要出典とする研究者もいる。
観測・実例[編集]
最も有名な観測例は、ので記録された「13連続監視停止」である。これはの監視カメラが12台まで順次復旧した後、13台目だけ映像のタイムコードがで止まった事例で、後に「数列災害」として引用されることが多い[6]。
また、のの前身路線では、各駅の自動扉が12回まで正常に開閉したあと、13駅目で一斉に半開きのまま停止したと報告されている。現場では乗客が静かに待機し、車掌が「13なので急がないでください」とアナウンスしたという逸話が残るが、録音の所在は不明である。
気象分野では、の強風観測で、12分間の平均風速が安定したのち、13分目にだけ突風が発生した例がある。これにより沿岸の旗竿が「13番目にだけ折れる」ことが経験則として共有され、港湾作業員のあいだでは安全確認の回数を12回から14回に増やす慣行が広まった。
影響[編集]
13番目の厄災は、実害以上にとに大きな影響を与えた。災害報告では、連番を避けるために「第12の続発事象」「13相当事案」などの婉曲表現が用いられるようになり、の改訂では番号順の手順をあえて崩す例も見られる。
社会心理学的には、「13番目」という数字に対する警戒がを高める反面、過剰な不安や手順の冗長化を招くと指摘されている。特にでは、13回目のベルで児童が一斉に立ち止まる事例が報告され、教育現場では「13回連打の禁止」が半ば慣習化した。
一方で、都市伝承としての浸透も強く、やの一部の雑居ビルでは、13階が事務上「12A階」と呼ばれることがある。これは厄災回避ではなく、単に利用者が避けたがるためと説明されるが、実務上は極めて合理的であるともいえる。
応用・緩和策[編集]
研究の進展により、13番目の厄災にはいくつかの緩和策が提案されている。最も一般的なのはで、工程を12段階と1予備段階に分け、13番目を明示的に「予備」に格下げする方法である。これにより、やの現場では、13回目の異常を「想定内」として処理できる場合がある。
また、では「13回目にだけ気をつける」のではなく、11回目から記録様式を変える「前倒し記録法」が採用されている。これは系の研修資料でも紹介されており、以降、地方自治体の約37%が試験的に導入したとされる[7]。
ただし、現場からは「13回目を意識しすぎると、12回目から緊張しすぎて別の事故が起こる」との懸念も示されている。そのため、現在では完全な排除よりも、13番目が現れても平常運転に見せる「無表情対応」が推奨される傾向にある。
文化における言及[編集]
13番目の厄災は、やの題材としても頻繁に扱われている。とくに放送の深夜番組『』では、13番目の警報音だけが逆再生で流れる演出が話題となり、以後「13コール現象」として若者文化に定着した。
文芸では、の短編『第十三停留所』が知られており、バス停に13回目だけ現れる老婆が厄災の予兆であるとする筋立てが評価された。映画では監督の『』が、降水確率12%から13%に上がった瞬間に街が沈むという設定で公開され、の企画展でも引用された。
また、インターネット上では、13番目の厄災が起きるときにだけが13:13を示すという画像が拡散し、いわゆる「13:13ミーム」が生まれた。画像の多くは後年の加工であるとみられるが、利用者の間では「不自然に整いすぎている」こと自体が現象の証拠だと解釈されている。
脚注[編集]
[1] 新谷克彦『都市圏連鎖異常と十三相転位』東京都立防災技術研究所月報、第18巻第4号、1974年、pp. 41-58.
[2] 国土交通省都市安全局『連番災害報告の分類試案』官報附録資料、1982年、pp. 9-17.
[3] 首都圏交通研究会編『地下交通網における閾値超過現象』交通安全資料集、第7号、1981年、pp. 103-119.
[4] 佐伯未央『社会的数列と災害認知』日本災害社会学会誌、第12巻第2号、1991年、pp. 77-91.
[5] 有馬宗一『倉庫火災帳簿にみる反復事故の構造』東京帝国大学工学部紀要、第29巻第1号、1931年、pp. 5-23.
[6] 東京都港湾局監視室『臨海副都心における13連続監視停止事例報告』港湾技術レポート、第44号、1996年、pp. 2-14.
[7] 総務省消防庁研修課『前倒し記録法による災害心理の緩和』防災研修資料、第21巻第3号、2021年、pp. 66-80.
[8] Margaret L. Thornton, "Threshold Events in Urban Systems", Journal of Anomalous Infrastructure Studies, Vol. 9, No. 2, 1999, pp. 201-219.
[9] Pierre Delacourt, "Thirteenth-Cycle Failures and the Sociology of Panic", Revue Internationale de Sécurité Urbaine, Vol. 14, No. 1, 2007, pp. 33-52.
[10] 山口義平『十三回目の都市はなぜ沈むのか』東洋気象社、1988年、pp. 88-102.
[11] Eleanor V. Shaw, "On the 13th Incident Bias in Municipal Logs", Proceedings of the North Pacific Risk Forum, Vol. 3, 2015, pp. 1-12.
[12] 中沢一徳『第13兆候と記録文化の盲点』防災と統計、別冊12号、2004年、pp. 14-29.
関連項目[編集]
脚注
- ^ 新谷克彦『都市圏連鎖異常と十三相転位』東京都立防災技術研究所月報、第18巻第4号、1974年、pp. 41-58.
- ^ 国土交通省都市安全局『連番災害報告の分類試案』官報附録資料、1982年、pp. 9-17.
- ^ 首都圏交通研究会編『地下交通網における閾値超過現象』交通安全資料集、第7号、1981年、pp. 103-119.
- ^ 佐伯未央『社会的数列と災害認知』日本災害社会学会誌、第12巻第2号、1991年、pp. 77-91.
- ^ 有馬宗一『倉庫火災帳簿にみる反復事故の構造』東京帝国大学工学部紀要、第29巻第1号、1931年、pp. 5-23.
- ^ 東京都港湾局監視室『臨海副都心における13連続監視停止事例報告』港湾技術レポート、第44号、1996年、pp. 2-14.
- ^ 総務省消防庁研修課『前倒し記録法による災害心理の緩和』防災研修資料、第21巻第3号、2021年、pp. 66-80.
- ^ Margaret L. Thornton, "Threshold Events in Urban Systems", Journal of Anomalous Infrastructure Studies, Vol. 9, No. 2, 1999, pp. 201-219.
- ^ Pierre Delacourt, "Thirteenth-Cycle Failures and the Sociology of Panic", Revue Internationale de Sécurité Urbaine, Vol. 14, No. 1, 2007, pp. 33-52.
- ^ 山口義平『十三回目の都市はなぜ沈むのか』東洋気象社、1988年、pp. 88-102.
- ^ Eleanor V. Shaw, "On the 13th Incident Bias in Municipal Logs", Proceedings of the North Pacific Risk Forum, Vol. 3, 2015, pp. 1-12.
- ^ 中沢一徳『第13兆候と記録文化の盲点』防災と統計、別冊12号、2004年、pp. 14-29.
外部リンク
- 東京都立防災技術研究所アーカイブ
- 都市数列災害学会
- 港湾異常記録データベース
- 第13兆候研究センター
- 首都圏防災口述史プロジェクト