2015年6月七甲山連続地震
| 発生日 | 2015年6月(複数日にわたる) |
|---|---|
| 場所 | 周辺(北東縁) |
| 被害の中心 | 斜面崩落・上水道の断続停止 |
| 観測の特徴 | 微小地震の連鎖と短周期の揺れ |
| 初動の公式見解 | 同一震源域に起因する連続活動 |
| 関連組織(当時) | 気象・地震・自治体の合同対策本部 |
| 議論の焦点 | 自然要因か、計測・施設要因か |
| 後年の再検討 | 周辺地下水位データとの相関が論じられた |
(2015ねん6がつしちこうさんれんぞくじしん)は、に周辺で観測されたとされる複数回の地震の総称である[1]。当時、地質調査機関は「同一震源域に起因する連続活動」と説明したが、のちに別の見立ても広がった[2]。
概要[編集]
は、主にの南麓から北斜面にかけて、短い間隔で複数回の揺れが記録された事象として整理されたものである[1]。
当初は地震学的には「余震ではなく、連鎖的な活動」とされ、震度・マグニチュードの推移や、周辺観測点の位相差が説明された。ただし後年になると、震源の時間発展があまりに規則的であったことが注目され、社会的には「地震が予定されていたのではないか」という冗談めいた噂まで生んだ[2]。
特に地元では、最初の数回の揺れが、毎朝の登山ラジオ体操や、山麓送水場の自動弁切替時刻と近いとして、観測と生活が結びつけられる形で話題化した。このため、公式発表と市民の受け止めの間で温度差が生じたとされる[3]。
本記事では、当該事象をめぐる行政・研究・メディアのやりとりを、架空の起源物語として再構成する。
名称と分類[編集]
当該事象は「連続地震」と呼ばれたが、震源メカニズムが完全一致したわけではないとされる。そこで対策本部の文書では、便宜的にを中心とした同心帯(半径「8.7 km」および「13.2 km」)で分類する方式が採られた[4]。
さらに、地震波形の特徴から「短周期優勢型」「中周期優勢型」「後半増幅型」の3類型が採用され、各日のラベルとして「J-S01」から「J-S09」まで付与されたと記録されている[5]。このラベリングは内部資料に見られる運用であったが、記者発表の段階で一部が一般公開され、結果として“型で覚える地震”という珍しい理解が広がった。
なお、報道では「七甲山連続地震」としてまとめられた一方、学術側の議論では「七甲山北麓反射連鎖」などの別名が提案された。これらは、地震波の見かけの反射が地下の空洞群と関係している可能性を示すものとして用いられた[6]。
用語の出どころ[編集]
名称の“連続”は、単に時間的に近いことだけを指すのではなく、当時整備が進んでいた「地震予報アラート・フィールド(EAF)」の表示仕様に由来するとする説がある。EAFの仕様書では「連続は3回以上、間隔は20分±7分」と定義されていたという証言が残っている[5]。
震源域の仮想境界[編集]
自治体が住民向け資料に載せた図では、震源域は“線”ではなく“帯”として描かれている。ここで帯の幅がやけに細かく「東西 1.9 km、南北 2.6 km」とされ、計測誤差を超えるほど精緻だったことがのちに疑義として残った[4]。
概要(出来事の流れ)[編集]
2015年6月の初旬、を中心に微小地震が連続して記録され、気象庁系の監視網では「注意喚起レベル1」が複数回更新された[1]。報道では「毎週末に集中」という言い方もされたが、実際には平日にも発生しており、気象条件や観測体制の都合によって“見え方”が変わったと考えられている[7]。
最初の顕著な揺れは6月12日早朝とされ、自治会連絡網には「スマート温度計が一斉に“揺れ値”を記録した」という報告が流れた[3]。この温度計は地震計ではないが、内蔵の慣性センサが揺れで校正ズレを起こす仕様だったと説明された。一方で、ズレの復元に要した時間が「37秒±3秒」で揃っていたことが、のちに“計測が揃いすぎ”と評される原因となった[8]。
その後、6月中旬から下旬にかけて、震度の割に停電が少なく、代わりに上水道の自動弁が不規則に切り替わったという。市の上下水道局は「配管圧の急変に連動する保護動作」と説明したが、切替時刻が揺れの発生から「9分42秒後」に集中していたとされる[9]。これは偶然として片付けられる一方、生活のタイムラインに対して機械側が“追随している”印象を与えた。
最終的に、合同対策本部は「余震活動の範囲で説明可能」としつつ、観測点の一部について再校正を実施すると発表した[1]。ただし再校正の完了日が、なぜか地元の“山開き前日”に一致したと報じられ、納得感を損ねる形となった[10]。
架空の起源物語(なぜ“連続”になったのか)[編集]
この事象を「自然現象の連続」と見るだけでは、当時の“規則性”の説明が難しいとされる。そこで、再検討の一部で語られたのが、地震観測の黎明期にまで遡る「震源カレンダー説」である[6]。
説によれば、七甲山の地下には明治期から地下水制御用の旧型トンネル群があり、そこに“観測用の微小擾乱”を流し込む仕組みがあったという。目的は地震そのものではなく、揺れが来る前に計測器のベースラインを安定させるためだったとされる[11]。結果として、何らかの理由で擾乱パルスが連続的に発火し、波形が“余震のように見える連鎖”になった、という筋書きである。
さらに、この仕組みは大学の研究室と民間の計測会社が共同で改良し、「EAF」の前身となる計測システムに組み込まれたと語られる[5]。この計測システムが、入力された時刻(例:毎時00分からの内部同期)に依存していたため、観測上は“予定された連続”のように見えたのだとされる。
ただし当時の記録では、旧型トンネル群の“バルブ交換”が実施された日が、6月の第2週と一致しており、偶然か意図的かが焦点化したとされる[12]。ここで疑惑が社会的に広がり、専門家の間では「自然か操作か」という二項対立が生まれ、一般には「山がスケジュールを持っていた」という笑い話が定着した。
関係者と組織(誰が何をしたか)[編集]
制度・現場・メディアの接点として、の地方連絡室(地方名は資料で伏せられたが「東播広域防災室」と通称された)が中心に据えられた[9]。この部署は、観測機器の再校正や、自治体の広報文面の“表現統一”を主導したとされる。
研究側では、の地球物理研究グループと、計測企業のが共同で、波形の位相整合を検証したと記録されている[6]。ところが共同研究の報告書は「整合が良すぎる」として、編集段階で一部の図表が差し替えられた疑いがあるとされる[13]。この“差し替え”は、のちに野次馬的な解釈を呼び、「地震の絵が後から直された」と揶揄された。
また、住民側では周辺の登山団体「七甲山麓友の会」が、揺れの時間を独自集計し、6月17日から19日にかけて揺れの発生が「平均で1時間に0.9回」だったと発表した[3]。この数字は分母の取り方が曖昧だったと批判されたが、一方で住民の語りとしては非常に受け入れやすかったため、SNSで拡散した[7]。
メディアでは、地方紙のが、観測データの“読み替え”を推進したとされる。記事では「揺れは自然でも、発表は編集される」といった語が見られ、専門用語を短く噛み砕く手法が功を奏した反面、誤解を固定化したとの指摘もある[10]。
批判と論争[編集]
批判の中心は、(1) 観測波形の規則性、(2) 再校正のタイミング、(3) 生活インフラへの同時性、の三点に整理される。特に「震源域の境界帯」があまりに精密だった点は、計測精度というより“運用の都合”を反映しているのではないかと疑われた[4]。
また、合同対策本部が公表した「連続の定義」は、EAFの仕様に近い形で文章化されていたとされる。仕様書の当該条項が引用されず、結果として“後付け定義”と受け取られたことが論争を拡大させた[5]。これに対し、当時の広報担当は「専門の言葉を市民向けに翻訳したまで」と反論したと記録されるが、翻訳が具体的な数値まで踏み込んでいたことが、逆に疑念を強めたとされる[9]。
さらに、“操作”説に対しては、地震学側からは否定的な見解が示された。ただし否定の根拠が「地下水位の変化は相関に過ぎない」とする一般論にとどまったため、反対側は「ではなぜ相関が毎回一致するのか」と応じ、議論は決着しなかった[6]。
この論争の結果、当時の住民意識としては「備えは増えるが、信頼は揺れる」という状態が生まれた。防災訓練への参加率は上がった一方、行政発表への疑いが“笑い”として固定化され、深刻なはずの不安が時にエンタメ化したとする分析もある[10]。なお、最後に残った最も小さな笑いどころとして、「地震の愛称を公募しなくてよかった」という一文が、どこかの議事録に残されていたことが話題になった[14]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 『2015年6月 七甲山連続地震 記録集(速報版)』防災庁地方連絡室, 2015年。
- ^ 藤堂礼司「七甲山周辺における短周期優勢型地震波形の特徴」『地震計測研究』第42巻第3号, pp.55-71, 2016年。
- ^ 中村佳子「生活インフラ応答と微小地震の同時計測:登山団体の時刻集計の評価」『地域安全学会誌』Vol.18 No.2, pp.110-128, 2017年。
- ^ 山路光弘「EAF仕様に基づく“連続”定義の再現性」『防災情報工学会論文集』第9巻第1号, pp.1-19, 2018年。
- ^ Katherine W. Halloway, “Phase-Locked Aftershock Appearances in Dense Monitoring Networks,” Journal of Seismic Synthesis, Vol.12, No.4, pp.201-219, 2019.
- ^ 田崎剛史「地下水位変動と震源推定の相関:七甲山北麓反射連鎖のケース」『地球化学と地震』第27巻第2号, pp.77-95, 2020年。
- ^ 『神播日報 データ報道検証:2015年6月の特集記事を読む』神播日報編集局, 2016年。
- ^ Reza M. Salimi, “Instrument Calibration Timing and Public Trust,” Bulletin of Applied Risk Communication, Vol.5, No.1, pp.33-46, 2021.
- ^ 鈴木啓介「上水道自動弁の応答遅れと揺れイベントの対応関係」『水資源工学通信』第31巻第6号, pp.402-419, 2016年。
- ^ 『七甲山麓友の会 年次報告(2015年版)』七甲山麓友の会, 2016年(第◯章が欠落している)
外部リンク
- 七甲山防災資料アーカイブ
- EAF仕様書ミラー
- シグナル精機 技術メモ倉庫
- 神播日報 記録データページ
- 地域安全学会 旧号検索