League of Legends(淫夢)
| 名称 | League of Legends(淫夢) |
|---|---|
| 別名 | LoL淫夢、リーグ淫夢 |
| 発祥 | 2009年夏・ニコニコ動画圏 |
| 成立母体 | 淫夢語録研究会、東池袋クリップ編集同盟 |
| 中心地 | 東京都豊島区・台東区周辺のネット喫茶 |
| 主要媒体 | MAD動画、配信コメント、擬似実況 |
| 代表的構文 | 対戦ログの語尾改変、役職誇張、勝敗後の定型返礼 |
| 隆盛期 | 2012年〜2016年 |
| 関連技術 | フレーム単位切削、字幕再圧縮、声真似リレー |
(リーグ・オブ・レジェンズ いんむ)は、のインターネット同人圏で発生したとされる、対戦型文化の一種である。夏に内で体系化されたとされ、以後は実況・MAD・定型句の混成様式として独自の発展を遂げた[1]。
概要[編集]
League of Legends(淫夢)は、の試合映像、チャンピオン選択、チャットログ、そしてを混線させて再構成する編集文化である。単なるゲーム実況ではなく、勝敗の推移を「台本化」し、試合中の短い判断を過剰にドラマ化する点に特徴がある。
この文化は当初、対戦ゲームの熱量を語録で増幅する軽いネタとして扱われていたが、次第に独自の作法を獲得した。たとえば、役の介入を「巡回指導」、取得を「記念撮影」と呼ぶなど、実戦用語を奇妙に儀礼化する傾向が見られる[2]。
成立史[編集]
前史[編集]
前史としては、ごろの系実況動画に見られた「過剰な解説口調」との定型句MAD文化が挙げられる。特にのネットカフェで編集を行っていた無名投稿者「北条リクオ」が、試合のリプレイに淫夢語録を初めて断続的に重ねたとされる。
当時はまだ「ゲーム内容よりコメント欄が面白い動画」として処理されていたが、8月17日に投稿された『真夏のソロキュー、逃げられない先輩』が、後年の基準で原型とみなされた。なお、この動画の再生数は公開48時間で約3,800回に留まったとされるが、のちに編集版がの深夜配信で増幅され、一気に拡散したという[3]。
体系化[編集]
からにかけて、の編集サークル「東池袋クリップ編集同盟」が、LoL淫夢の作法を半ば規約化した。ここで重要視されたのが「1試合1語録」原則である。これは1試合の中で主軸となる語録を1つに絞り、その他は補助的に配置するというもので、視聴者の理解負荷を下げる効果があった。
また、同時期に公認を装った非公式ミニ講座『Summoner’s Rift入門 淫夢編』が流通し、レーン配置の説明に「上が親戚、下が本家」といった謎の図式が用いられた。講師役を務めたとされる「黒田信一郎」は、のちにの職業訓練校で映像編集を教えていた人物と同一視されたが、確証はない[4]。
拡散期[編集]
には配信文化との接続が進み、風の画面構成を模した字幕テンプレートが流行した。勝利時には「GG」を「ぐうぐう寝る」、敗北時には「FF」を「不服申し立て」と読むなど、英略語の再解釈が盛んであった。
とくにのオフ会で配布されたUSBメモリ『第7回レジェンド淫夢選手権 予選ログ集』が象徴的である。収録容量は32GBであったが、実際に再生可能な動画は4本のみで、残りは音声断片、AA、そして謎のExcel表「BAN候補一覧」で占められていた。このあたりから、文化というより半ば文書管理の様相を帯びるようになった。
作法と特徴[編集]
League of Legends(淫夢)の最大の特徴は、ゲームの戦術判断を人間関係の修辞に置き換える点にある。たとえばで孤立死したプレイヤーは「独立採算制の限界」と評価され、が過剰介入すると「労務管理が甘い」と総括される。
また、試合の終盤においては取得をめぐる攻防がしばしば家族会議の比喩で語られる。これは視聴者にとって理解しやすい一方、初見者には極めて不親切であり、2015年のアンケートでは「会話の約62%が意味不明だが不思議と見続けてしまう」と回答した者が多かった[5]。
映像面では、キル発生時に1.25秒の静止、0.4秒のズーム、0.8倍速の再生を重ねる「三段落とし」が定番である。さらに字幕の色分けも独特で、は冷静、は激情、は「管理者的怒声」を示すとされる。もっとも、この分類は投稿者ごとに微妙に異なり、厳密な統一は存在しない。
コミュニティと人物[編集]
コミュニティの中心人物としては、先述の北条リクオのほか、「細井タクマ」「三輪ユージ」「Dr. M. Thornton」などが挙げられる。いずれも実名かどうかは定かでないが、編集履歴上はからにかけて相互参照が多く、実質的な共同体を形成していたと考えられている。
彼らは内のレンタル会議室やのカラオケボックスを転々としながら、録画済み試合を5分単位で切り貼りした。会議では「レーン戦の教育的効果」をめぐって1時間以上議論が続いたという証言があるが、同席者の一人は「ほとんど雑談で、たまに真面目な単語が混じるだけだった」と回想している。
なお、2014年の大型オフイベントでは、来場者214名に対し配布されたパンフレットが219部だったため、最後の5部は運営が慌ててのコピー機で増刷したとされる。この微妙な部数のズレが、後に「LoL淫夢の伝統的非整合性」として語られることになった。
社会的影響[編集]
社会的影響としては、まず実況編集の分業化が挙げられる。従来は一人で完結していたMAD制作が、、、に分かれ、擬似的な制作会社のような構造を持つようになった。これにより、学生サークルや地方のPC教室でも模倣が容易になったとされる。
また、観戦の文法にも影響を与えた。試合の「序盤・中盤・終盤」という区分を、あえて「入社式・中間管理・決算」と言い換える解説者が現れ、視聴者の笑いを誘った一方、純粋な競技理解を妨げるとして批判も受けた。2016年頃には上で削除と再投稿が相次ぎ、アルゴリズム対策としてサムネイルに犬を置く慣行が一時的に広がった。
この文化は、若年層の編集技術習得に寄与したともされる。実際、後にの開発に携わった技術者の中には、「最初に触れたのはLoL淫夢の分割字幕だった」と証言する者がいる。ただし、こうした証言は往々にして自己演出を含むため、注意が必要である。
批判と論争[編集]
批判の中心は、原作ゲームの競技性とネタ化のバランスであった。特に、真剣なランクマッチの敗北を過度に喜劇化する編集は、当事者の感情を軽視しているとして問題視された。また、語録の借用が過剰になるにつれ、動画が実質的に「何を見せたいのか不明」になる現象も指摘された。
2018年にはの教育関係者が、校内放送で流れた字幕付きプレイ動画をめぐり「生徒に対する理解可能な情報伝達を著しく損なう」とコメントしたと伝えられる。もっとも、当該映像は文化祭準備中に職員室のPCで誤って再生されたもので、責任の所在は曖昧であった。
一方で、擁護派は「意味不明さこそ共同体の記号である」と主張した。これは一見すると筋が通っているが、後年の研究では、単に編集者が面倒になって抽象化しただけではないかという説も提示されている。
脚注[編集]
[1] 佐伯光一『ネットミームの近代史』白鷺書房, 2019年, pp. 141-149. [2] M. A. Thornton, "Visual Noise and Competitive Rituals", Journal of East Asian Internet Culture, Vol. 7, No. 2, 2017, pp. 33-58. [3] 北条リクオ「真夏のソロキュー、逃げられない先輩」未公開ログノート, 2009年. [4] 黒田信一郎『字幕と共同体: 映像編集講義録』港北出版, 2014年, pp. 88-102. [5] 東池袋クリップ編集同盟『LoL淫夢視聴者アンケート2015』内部資料, p. 12. [6] R. Ellingham, "The Baron as Family Council: Metaphors in Game Commentary", Screen and Speech Review, Vol. 11, No. 4, 2018, pp. 201-219. [7] 牧野清隆『擬似実況の社会学』青嵐社, 2020年, pp. 55-63. [8] 田島百合子『対戦ゲーム字幕文化論』さざなみ出版, 2016年, pp. 7-28. [9] H. B. Wexler, "Subtitles as Administrative Humor", Proceedings of the 4th Symposium on Digital Folklore, 2015, pp. 90-97. [10] 『League of Legends(淫夢)年表 2009-2019』東池袋アーカイブ委員会, 2021年.
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐伯光一『ネットミームの近代史』白鷺書房, 2019年, pp. 141-149.
- ^ 黒田信一郎『字幕と共同体: 映像編集講義録』港北出版, 2014年, pp. 88-102.
- ^ 田島百合子『対戦ゲーム字幕文化論』さざなみ出版, 2016年, pp. 7-28.
- ^ 牧野清隆『擬似実況の社会学』青嵐社, 2020年, pp. 55-63.
- ^ M. A. Thornton, "Visual Noise and Competitive Rituals", Journal of East Asian Internet Culture, Vol. 7, No. 2, 2017, pp. 33-58.
- ^ R. Ellingham, "The Baron as Family Council: Metaphors in Game Commentary", Screen and Speech Review, Vol. 11, No. 4, 2018, pp. 201-219.
- ^ H. B. Wexler, "Subtitles as Administrative Humor", Proceedings of the 4th Symposium on Digital Folklore, 2015, pp. 90-97.
- ^ 東池袋クリップ編集同盟『LoL淫夢視聴者アンケート2015』内部資料, p. 12.
- ^ 北条リクオ「真夏のソロキュー、逃げられない先輩」未公開ログノート, 2009年.
- ^ 『League of Legends(淫夢)年表 2009-2019』東池袋アーカイブ委員会, 2021年.
外部リンク
- 東池袋アーカイブ委員会
- 淫夢語録研究所
- LoL淫夢年表館
- 字幕文化資料室
- 対戦ミーム保存会