『あんさんうんさんのお出かけ情報番組』
| ジャンル | 外出情報・ローカル体験・生活実用 |
|---|---|
| 放送形態 | スタジオ進行+街頭リポート+電話占い(番組内企画) |
| 放送開始 | (深夜枠) |
| 放送終了 | (改編のため段階終了) |
| 放送局 | 東海圏を中心に編成された民放ネットワーク(通称:TWN) |
| 主演(司会) | 三雲(みくも)あん/雲見(くもみ)うん/山元(やまもと)さん |
| 番組内の象徴 | 「三歩以内の幸せ指数(S3H)」 |
| 視聴者参加 | ハガキ+当時の携帯電話番号抽選(照合方式は旧式) |
『あんさんうんさんのお出かけ情報番組』(あんさんうんさんのおでかけじょうほうばんぐみ)は、日本の放送局で企画・運用された外出情報系のテレビ番組である。人々の「外出の設計」を扱う形式として一定の影響があったとされる[1]。
概要[編集]
『あんさんうんさんのお出かけ情報番組』は、視聴者が外出先を選ぶ際の“手順”を、笑いと検証を交えながら提示する体裁で構成されたとされる。スタジオでは三人の司会が「今日の出発点はどこか」「徒歩・公共交通・自転車の比率はどうするか」を毎回“段取り表”として読み上げ、街では条件に合う場所が実査される方式が採られた[1]。
番組名の「三つの繰り返し」は、実際の語感から後年に付与された呼称であり、初期台本では“出かけ設計講座”という硬い名称が使われていたとされる。なお、番組の制作方針として「情報を断定せず、しかし不便は放置しない」が掲げられ、現場では渋滞・閉店・臨時休業を“台本上の敵”として扱う手法が定着した[2]。
放送後期には、番組独自の指標であるがSNS以前の掲示板でも話題となり、外出先決定の“気分の計算”として流用される例が報告されている。たとえば、は「受付から三歩以内で見つかる“座れる物”があるか」を点数化するという、実に些細な基準であったとされる[3]。
概要(選定基準)[編集]
この番組は、全国的な観光地の宣伝よりも、通行者の行動に密着した“外出の摩擦”を扱う点で特徴づけられるとされる。具体的には、に焦点を当て、途中の案内板の位置や、駅前での横断歩道のタイミングが番組内で再現された[4]。
また、放送局の地域営業部が「情報は売るのではなく、選ばせるもの」と説明したことがあり、その方針が台本のトーンに反映されたとされる。実査は放送日の前々週に行われ、現場メンバーが同じルートを“曜日・天気・靴の種類”ごとに3回ずつ歩いたとされ、記録書類が箱単位で残されているという話がある[5]。
掲載対象の基準は、視聴者が日常的に再現できるかどうかに置かれた。たとえば「車必須」「事前予約必須」を避ける一方で、敢えて難所としてを取り上げた回もあったとされる。ここでは“嘘の断定”を避けるため、受付時間の変動を秒単位で記録し、それでも最後は「あなたの足で確かめて」とまとめる、という締めが定型化した[6]。
歴史[編集]
企画の発端:『三拍子の外出』[編集]
企画の起点はの地域番組試作にあるとされる。当時、制作スタッフは外出情報番組が“行ったことがある人の自慢”に寄っている点を問題視し、そこで「初めての人が同じ結果を得るまで」を設計し直すことにしたとされる[7]。
番組の核となる仕組みは、三人の司会が各回で“判断役”を分担することで成立した。司会の一人であるは「近い正しさ」を、は「混み具合の読み」を、は「帰り道の安全」を担当し、街頭リポートでは役割ごとにチェック項目が入れ替わるという運用が採られた[8]。
ただし初期台本では、あんさんうんさんの語呂は“駆け足で言える合図”として決められただけで、番組の中核指標との結びつきは後から付与されたとする証言もある。結果として、後年に視聴者が「語呂が先に作られて、後から意味が付いた」と皮肉るようになったともされる[9]。
制作現場:『三回歩き規定』と官僚的メモ[編集]
制作現場では、調査日の選定が細かく定められた。番組は原則として、、そしてに同ルートを再調査したとされ、各記録はA4で平均、現場写真は最低に達したという[10]。
また、オンエア用の“確定情報”と“推定情報”を区別するため、脚注に相当するテロップ体系が先に設計されたとされる。具体的には、確定を表す、推定を表す、未確認を表すで表示し、スタッフが必ず目視で色を確認してから進行したという。なおこの方式は視聴者の間で「番組が自分に似てきた」という冗談を呼び、誤表示があった回では視聴者が訂正文を自主的に作成したことがあると報じられている[11]。
放送後期には、情報番組にもかかわらず“官僚的なメモ”が売りとして定着した。たとえば、ローカル鉄道の駅では発車案内が一度だけ更新され、その瞬間を逃すと翌週の調査で整合が崩れるため、番組チームはまで録音していたとされる[12]。このような細部の執着が、のちに視聴者の生活設計にも影響したと指摘されている。
社会的影響[編集]
番組の影響は“外出の選び方”という形で、生活文化に入り込んだとされる。具体的には、視聴者が外出前に「出発点→寄り道→帰宅まで」を書き出す習慣を始めた例が、地方紙の投稿欄で集計されたとされる。投稿の見出しが毎週似通い、「三歩以内」「最後の400メートル」など番組語が日常語に溶けたという[13]。
また、広告業界ではこの番組の“控えめな断定”が評価され、自治体の観光課が情報提供のトーンを見直すきっかけになったとされる。実際、向けの研修資料に、本番組の段取り表が“雛形”として転用されたと報告する記事がある。もっとも、転用された資料は“テンプレっぽさ”が強く、現場の担当者が「私たちは番組ではない」と言い出したという逸話も残っている[14]。
一方で、生活者の側では「外出=評価対象」という空気が生まれたとの指摘がある。特にが“気分のスコア”として扱われたことで、家族旅行が“採点ゲーム化”し、喧嘩の種になったとする声が同時期の掲示板で散見された[15]。
批判と論争[編集]
番組には批判もあった。最大の論点は、情報番組でありながら毎回の調査が“都合の良い日の観測”に偏っているのではないか、という疑いである。批評家は、同じルートの三回歩きを実施していても、たまたま観測日が風の強い日に固定されており、行動時間が平均より短く見積もられる可能性があると指摘した[16]。
また、番組が扱う“敵”の設定が不自然だという声もある。たとえばある回では、臨時休業を「敵キャラ」として扱い、司会が「今日の敵は店先の張り紙」と言い切ったとされる。これに対し、当事者の商店主が「我々は敵ではない」と抗議し、局内で訂正テロップが検討されたが、結局は“笑いの責任範囲”として翌週の放送で軽く触れられただけだったとされる[17]。
さらに、後年には番組内で紹介された特定の施設について、実際の営業時間と番組での目安がズレていたのではないかという問い合わせが発生した。局の調査では、誤差は平均で程度であったと記録されている。もっとも、番組は当日受付の変動を扱う仕様だったため、視聴者が“計測バグ”と理解するのは自然だった、という論評もある[18]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 東海映像制作研究会『生活情報番組の段取り設計:1990年代の実査記録から』東海映像出版社, 2008.
- ^ 三雲あん『三歩以内の幸せ指数(S3H)実践ガイド』リバーサイド編集部, 2003.
- ^ 雲見うん『外出情報における確定と推定の境界表示』日本テレビ技術協会誌, Vol.12第4号, pp.41-56, 2001.
- ^ 山元さん『帰り道の安全はどこまで語れるか:番組フォーマットの倫理』放送倫理研究, 第7巻第2号, pp.9-24, 2005.
- ^ Maruya, K.『Quantifying Micro-Commutes in Regional TV Formats』Journal of Local Media, Vol.8 No.1, pp.77-99, 2004.
- ^ Thornton, M. A.『Soft Claims and Hard Footsteps: Audiences and Uncertainty Displays』Broadcasting & Society, Vol.19 Issue 3, pp.201-230, 2006.
- ^ TWN編『ネットワーク編成における深夜枠リズム分析(1995-1999)』TWN資料叢書, 第3集, pp.13-28, 2010.
- ^ 矢嶋 章『臨時休業を“敵”にする語用論:番組脚本の研究』日本語メディア文法学会, 第11巻第1号, pp.55-73, 2002.
- ^ 『外出情報番組の功罪:視聴者投稿データ(仮)』報道統計叢書, 第2巻第6号, pp.1-18, 2009.
- ^ Kobayashi, R.『S3H and the Sociology of Scoring Journeys』Proceedings of the Mild Verification Conference, pp.10-24, 2007.
外部リンク
- 出かけ段取りアーカイブ
- TWN放送台本倉庫
- S3Hファン掲示板(保存ミラー)
- 三歩以内計測プロトコル
- 局内訂正テロップ集