おにぎりひやしますか
| 番組名 | おにぎりひやしますか |
|---|---|
| 画像 | OnigiriHiyashiPoster_ksf.png |
| ジャンル | バラエティ番組 |
| 構成 | トーク+実演コーナー+視聴者参加企画 |
| 演出 | 井上礼冶朗(放送技術特化の演出) |
| 司会者 | 那岐田トウマ |
| 出演者 | 倉塚ミサキ、黒羽ユウカ、菅原カズト、ほか |
| 制作局 | 北砂テレビ放送制作局バラエティ班 |
| 放送期間 | 2009年4月1日 - 2012年3月25日 |
| 放送時間/放送分 | 毎週金曜19時台(JST)/ 54分 |
| 放送回数 | 全156回 |
『おにぎりひやしますか』(おにぎりひやしますか)は、[[2009年]][[4月1日]]から[[2012年]][[3月25日]]まで[[北砂テレビ放送]](KSF)系列の毎週[[金曜日]]19時台([[日本標準時|JST]])に放送された[[バラエティ番組]]である。司会は[[那岐田トウマ]]。全156回で、番組開始当初は「冷やすべきか否か」を競うコーナーから始まったとされる[1]。
概要[編集]
『おにぎりひやしますか』は、視聴者の生活実感に結び付く“食の判断”を、準実験番組の体裁で盛り上げることを主眼にした[[北砂テレビ放送]]のバラエティ番組である。番組タイトルの文言は、ローカルフード論争をそのまま語感にしたものとされるが、当初から「本当に冷やすのか」「冷やすならどこまで冷やすのか」を毎回競技化していた点が特徴であった[2]。
番組の核は「冷蔵温度当て」「具材別の温度履歴」「視聴者冷却ログ提出」であり、スタジオには毎回“食の気象観測所”と呼ばれる機材が持ち込まれた。さらに、収録の進行中に出演者が同じ握りでも温度帯を変えて再現するため、[[高精度赤外線温度計]]の使用がルール化されたとされる[3]。なお、開始当初は“司会者が謝る回”が定番企画として存在したが、視聴者のSNS反応が過熱したため第3クール以降は謝罪テンプレが緩和されたという証言もある[4]。
あらすじ[編集]
各回の形式は概ね固定され、まず「今週の判断題」が出題される。出題は「海苔は温度で音が変わるか」など、物理寄りの問いも多く、司会の[[那岐田トウマ]]が“正しい家庭感”を装いながら、明らかに乱暴な仮説を提示することで場が温まったとされる[5]。
次に、出演者チームが握った[[おにぎり]]を、番組が独自に定義した温度帯(例:凍結手前の「氷点見習い帯」、庫内の「昼休み帯」など)へ順次移送する。移送は人力で、収録現場では温度が変わることを前提に“遅延”まで採点対象とされ、司会は「冷やすかどうか以前に、運ぶ時間が嘘をつく」と発言した回がある[6]。
最後に視聴者からの参加企画「冷却ログ提出」の結果が読み上げられ、スタジオでは“冷やした側が得をするのか、冷やさなかった側が助かるのか”を公開する。番組では勝敗を「食味得点」「海苔健全度」「主観の納得率」など複合指標で決定したが、これが後年になって“指標の恣意性が高すぎる”と批判される火種にもなった[7]。
出演者[編集]
司会の[[那岐田トウマ]]は、温度計の数値を読み上げる際に必ず一拍遅らせる癖があり、視聴者の間では「トウマが沈黙する間に温度が決まる」という冗談が流行したとされる[8]。相方格の[[倉塚ミサキ]]は、家庭調理の“段取り”を得意分野にしつつ、時折「冷やすと情緒が凍る」といった詩的な台詞を挟むため、企画の理詰めと感情のずれを両立させたと評された[9]。
準レギュラーの[[黒羽ユウカ]]は、具材に関する“食感科学”の担当として起用され、納豆・ツナ・辛子明太子などの温度耐性を、まるで材料工学のように解説することで人気を集めた。[[菅原カズト]]は対立構造を作る役で、温度帯が1℃変わるだけで「別の生き物になる」と主張してスタジオを沸かせた[10]。
ゲストは地元の食関連団体から芸能人まで幅広く、[[新富食文化協会]]から呼ばれた研究員が“番組内の温度帯命名が学会的に未承認”だと突っ込まれ、当該ゲストがその場で謝罪したというエピソードも残っている[11]。この一件はのちに、学術監修の枠組みを“視聴者に誤解されない範囲”に限定する運用へつながったとされる。
番組構成/コーナー[編集]
番組では毎回、固定コーナーとして「判断題フラッシュ」「温度帯レース」「冷却ログ審議」「海苔再生判定」が組まれていた。特に「温度帯レース」では、握ってから投入までのタイムラグが秒単位で記録され、スタジオには“遅延テロップ”が常設されたとされる[12]。
また、番組が語る温度帯には独自の命名が多く、たとえば「[[氷点見習い帯]](0〜1℃)」「[[昼休み帯]](7〜12℃)」「[[真夏の講義帯]](28〜32℃)」などが使われた。これらは実測に基づくと説明されたが、実際には当日の冷蔵設備とスタッフの裁量で数値が微調整されることがあり、裏で“帯の先生は現場担当”と呼ばれていたという[13]。
視聴者参加は、番組公式サイト(後述の外部リンク)に冷却ログを送信する形式であり、送信されたログの集計には「自己申告ゆらぎ補正係数」が用いられたとされる。この係数がいくらかは毎回変動すると発表される一方、番組内で一度だけ「第41回は1.037」と画面に出てしまい、視聴者が大きくざわついたと報じられた[14]。なお、その回の司会は後日談として「数字はだいたいのままでも人は笑う」と述べたとされる。
番組史[編集]
番組は[[2009年]][[4月1日]]に開始され、当初の放送枠は[[北砂テレビ放送]]の“金曜19時台”の新設枠であった。開始当初は「冷やす派」「常温派」「常識破壊派」の三者択一で進行し、視聴率が初月で9.8%を記録したとされるが、これは“番組公式データ”と社内別資料で数字が異なっていたとする指摘もある[15]。
第2クールからは生放送要素が導入され、スタジオから生中継で[[物流実験保冷庫]]の温度推移を見せる企画が増えた。もっとも、実験保冷庫は“冷やすほど温度が安定する”はずだと説明されていたにもかかわらず、番組内の放送では度々温度が上がるため、視聴者が「保冷庫が番組に反抗している」とまで言い出した[16]。
その後、2011年にリニューアルが行われ、「氷点見習い帯」などの温度帯名称が“わかりやすさ優先”へ寄せられた。さらに「海苔再生判定」が新設されたが、これは海苔の触感が温度で変わるという主張を“科学っぽく”見せるための仕立てだったとされる[17]。番組は[[2012年]][[3月25日]]に放送を終了し、最終回では“結論は家庭の感情にある”という司会の発言が最後のテロップとして残った。
反響・評価[編集]
放送当時は、食の安全や保存温度に関心が高まる時期と重なり、『おにぎりひやしますか』は“家庭の判断を支える娯楽”として語られることが多かった。特に、主観評価をスコア化する手法は、視聴者の体験談を引き出す点で評価されたとされる[18]。
一方で、番組内の温度帯が実在する分類として受け取られることがあり、視聴者から「結局どの温度が正しいのか」という質問が増えたという。このため番組側は第5クール以降、テロップで「本企画は家庭の目安を示すものではない」と注記するようになった[19]。ただし、注記が小さすぎるとして不満も寄せられ、結果として“注記はあるが心が折れない”という半ば肯定的な皮肉が流行したとされる。
終了後には、番組の監修が曖昧だった点が話題になった。[[北砂テレビ放送]]の番組審議会では「温度計の校正手順が説明されていない」という指摘があり、資料提出の遅延が問題視されたと報じられた[20]。ただし、制作サイドは「笑いが先の段取りである以上、細部は“余白”として残す必要がある」との見解を示したとされる。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 鷲尾ユリカ『“おにぎり”温度論争とテレビ演出』北砂新書, 2012.
- ^ 森嶋カイ『家庭実験バラエティの数理:自己申告ゆらぎ補正係数の試案』映像計測学会誌, Vol.18 No.3, 2011, pp.44-67.
- ^ Dr.ヴェルナー・グレイ『Refrigeration Humor in Media: A Case Study of 金曜19時台』Journal of Culinary Broadcasting, Vol.6 No.2, 2010, pp.91-118.
- ^ 佐倉真衣『食の“気象”演出:温度テロップの心理効果』放送研究叢書, 第22巻第1号, 2010, pp.12-29.
- ^ 北砂テレビ放送編『番組審議会議事録要約(非公開部分の周辺)』北砂テレビ放送, 2011.
- ^ 朧井レン『冷やすか否か:スタジオ遅延がスコアを歪める問題』統計放送レビュー, Vol.9 No.4, 2012, pp.201-233.
- ^ 富樫カンタ『海苔再生判定はなぜ受け入れられたか』食感研究通信, 第3巻第2号, 2011, pp.5-24.
- ^ 高梨オサム『バラエティ制作の現場校正:赤外線温度計は笑わせるためにある』放送技術年報, Vol.14, 2011, pp.77-104.
- ^ 山崎ルイ『生活実感型クイズの構造分析』クイズ番組学研究, 2010, pp.33-58.
- ^ (タイトルが微妙に異なる)『おにぎりひやしますか:温度帯の誤読が生む視聴者行動』北砂メディア研究所, 2013.
外部リンク
- KSF冷却ログポータル
- 北砂テレビ放送 企画アーカイブ
- 食の気象観測所(番組機材)
- 温度帯ネーミング辞典
- 海苔再生判定レシピ集