しゅがー・みーつ・がーる!
| タイトル | しゅがー・みーつ・がーる! |
|---|---|
| ジャンル | 学園コメディ、発酵ロマンス、ファンタジー |
| 作者 | 桐生甘一 |
| 出版社 | 白砂書房 |
| 掲載誌 | 月刊パルフェ |
| レーベル | パルフェコミックス |
| 連載期間 | 2008年4月号 - 2015年11月号 |
| 巻数 | 全14巻 |
| 話数 | 全86話 |
『しゅがー・みーつ・がーる!』(しゅがー・みーつ・がーる)は、によるの。『』()において連載された[1]。
概要[編集]
『しゅがー・みーつ・がーる!』は、下町の和菓子店を舞台に、砂糖に宿る記憶を視認できる少女と、それを研究する少年の交流を描いたである。いわゆるの先駆けとして扱われ、連載中から単行本は累計発行部数320万部を突破したとされる[2]。
本作は、甘味文化の保存運動と若年層向けの恋愛喜劇を奇妙に結びつけた点に特色があり、後年の展開でもたびたび参照された。また、砂糖の結晶構造を感情のメタファーとして扱う独自の演出が話題となり、当時の編集部では「少年誌的速度感と少女漫画的余韻が同居する」と評されたという[3]。
制作背景[編集]
作者のは、もともと菓子包材の意匠を手がけていたデザイナーであり、2006年ごろに鎌倉市の老舗砂糖問屋で見た「氷砂糖の棚卸帳」に着想を得たとされる。初期案では料理漫画に近い形式であったが、担当編集のが「砂糖を会話媒体にした方が読者が泣ける」と提案し、超自然要素が強化された。
『月刊パルフェ』編集部は、当時が進めていた「生活文化再発見」キャンペーンの旗艦企画として本作を位置づけた。連載開始直前には、東京都内の製菓学校3校とタイアップした試食会が行われ、来場者427名のうち86%が「設定はおかしいが絵がうまい」と回答したという調査結果が残っている。なお、この調査票の原本は編集部の引っ越しで紛失したとされる[要出典]。
あらすじ[編集]
砂糖入学編[編集]
主人公のは、砂糖の粒が人の感情に応じて色づいて見えるという特異体質を持つ女子高校生である。転校先ので、製菓研究会所属の天才少年と出会い、校内に封印された「五層糖室」の存在を知る。
この編では、結芽が学園の地下貯蔵庫で見つけた年代物の角砂糖をなめた瞬間、19世紀の菓子職人たちの記憶が流れ込む場面が象徴的である。読者人気投票でも、角砂糖を口に入れたまま授業に出る回が第1位を獲得した。
蜜月試験編[編集]
は砂糖の純度を「対人関係の透明度」として測定する装置《シュガー・メーター》を完成させるが、値が高すぎると周囲の人間関係が一斉に甘くなりすぎることが判明する。これにより、文化祭の出店が全店メレンゲ化する事故が起き、学園は1日で売上記録を2.4倍に伸ばした一方、校長室の床がべたついて使用不能となった。
また、この編で登場する「蜜月試験」は、恋愛成就の儀式ではなく、実際には砂糖密度と気圧差を用いた保存実験である。意味がわかるようでわからない作劇が、のちにオタク文化圏で「理科っぽいのに完全に夢」と評された。
結晶王国編[編集]
物語後半では、結芽と晶がの廃坑に広がる《結晶王国》へ向かう。そこはかつて江戸期の密糖取引で栄えた地下都市であり、住民は砂糖を通貨・通信・祈祷の三用途で使っていたとされる。
最終局面では、王国の心臓部である「第七糖塔」が崩壊し、世界中の甘味が一時的に無味化する危機が訪れる。結芽が祖母から受け継いだ木製の匙で塔をかき混ぜ、晶が数式で温度勾配を制御することで事態は収束するが、結末で二人が交わす会話は「まだ固まっていない」で終わるため、連載終了後もしばしば議論の対象となった。
登場人物[編集]
は本作の主人公で、感情の強い場所ほど砂糖がきらめいて見える能力を持つ。気弱な性格であるが、食べ物に関する判断だけは異様に速く、作中では1分で和菓子の欠陥を見抜いたことがある。
は製菓研究会の部長で、甘味成分の相図を専門にする理系少年である。無表情であるが、砂糖水の濃度が0.3%ずれると語彙が増えるという奇癖があり、ファンの間では「糖度で感情が可視化される男」として知られる。
は結芽の親友で、学園新聞部所属。物語の説明役を兼ねるが、後半になるほど砂糖中毒気味の発言が増え、最終巻では「世界はまだ甘すぎる」とだけ書いた号外を配布した。
は学園理事長であり、表向きは教育者、裏では《五層糖室》の管理者である。彼女が毎朝8時15分に角砂糖を7個並べる習慣は、のちに読者の間で縁起物として模倣された。
用語・世界観[編集]
《シュガー・メーター》は、会話の温度を砂糖の結晶形として表示する架空装置である。作者は取材時に実在の糖度計を見学しただけであり、そこから完全に別物へ発展したとされる。
《五層糖室》は、学園地下にある保存庫で、温度・湿度・笑気・月齢・告白率の5条件が揃うと扉が開く。実際には校舎の耐震補強のために設けられた配管空間を、作中で壮大に再解釈したものにすぎない。
《結晶王国》は、砂糖の結晶が地形そのものを形づくる異界である。地図上ではの一部と重なるが、県の観光課は一切関与していないとされる一方、単行本第9巻の帯にはなぜか「信州銘菓振興協力」と印字されていた。
書誌情報[編集]
単行本はより刊行され、初版は各巻とも平均4万部前後であったが、第7巻の文化祭編で急伸し、2012年には重版回数が通算17回に達した。限定版には砂糖の結晶を模した透明カバーが付属し、保管環境によっては表紙がわずかに湿気るという報告もある。
また、2014年に発売された画集『Sugar Archive: 甘味年代記』には、没ネーム94ページと、作者が実際に作ったという「結晶王国模型」の写真が収録された。なお、その模型は当初、角砂糖218個で構成されていたが、展示期間中に来場者が少しずつ持ち帰ったため、最終的には197個になったという。
メディア展開[編集]
2016年にはされ、全24話が深夜帯に放送された。アニメ版ではの老舗菓子蔵をモデルにした背景美術が高く評価され、オープニング映像の「砂糖が降る駅ホーム」は放送翌週にSNSで大きく拡散した。
その後、舞台化、ドラマCD化、スマートフォン向け育成ゲーム化が行われ、特にゲーム版『しゅがー・みーつ・がーる! きらめき保存日誌』は、プレイヤーが砂糖倉庫の湿度を管理するだけの内容でありながら、初週ダウンロード数が18万件を記録した。さらに、とのスタンプラリー企画では、参加者が実際に甘味を食べすぎて全4駅を巡れない事例が相次いだ。
反響・評価[編集]
本作は、単なる恋愛漫画ではなく「砂糖という日常物資に神話を再付与した作品」として批評された。『月刊パルフェ』編集長のは、最終回掲載号で「この作品は菓子棚から世界史を引き出した」と述べたとされる。
一方で、甘味文化の過剰な神秘化に対する批判もあり、の一部会員からは「史実の甘納豆製法と関係があるようでない」との指摘があった。ただし、その批判記事の末尾にも作品名の略称が三度登場しており、実質的には熱心な読者手紙だったと見る向きもある。
読者アンケートでは「一番好きな回は?」という設問に対し、7割近くが「砂糖を洗う回」と回答したため、作品の理解には甘味の物理法則より情緒が優先されていることが示唆された。
脚注[編集]
[1] 架空の掲載情報に基づく。 [2] 単行本帯の表記による。 [3] 編集部談とされるが、記録の所在は不明である。
関連項目[編集]
脚注
- ^ 相良俊介『月刊パルフェ編集後記と甘味文化の再構成』白砂書房, 2015.
- ^ 三好みづき「砂糖表象と学園恋愛の接点」『パルフェコミック研究』Vol. 8, 第2号, pp. 14-31, 2014.
- ^ Kiryu, Kanichi. “Crystallized Affection in Contemporary Manga.” Journal of Imaginary Media Studies, Vol. 12, No. 4, pp. 201-219, 2017.
- ^ 渡会紗耶『甘味装置の民俗誌』青玻璃社, 2016.
- ^ Henderson, Paul R. “The Meter of Sugar and the Ethics of Taste.” Candy & Culture Review, Vol. 5, No. 1, pp. 44-58, 2018.
- ^ 白砂書房出版部編『パルフェコミックス年鑑 2008-2015』白砂書房, 2016.
- ^ 小野寺蜜『結晶王国の地理学的誤読』星雲館, 2019.
- ^ Matsuda, Erika. “Youth, Fermentation, and the Post-Sweet Aesthetic.” East Asian Comic Quarterly, Vol. 9, No. 3, pp. 77-93, 2020.
- ^ 桐生甘一『しゅがー・みーつ・がーる! 制作ノート』白砂書房, 2015.
- ^ 岩崎糖太『角砂糖218個の夜』白砂文庫, 2017.
外部リンク
- 白砂書房 作品案内
- 月刊パルフェ 公式アーカイブ
- しゅがー・みーつ・がーる! アニメ版資料室
- 甘味文化研究センター
- 結晶王国観光促進協議会