すてんれす
| コンビ名 | すてんれす |
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| 画像 | |
| キャプション | |
| メンバー | 佐渡原研二、真鍋ミツル |
| 結成年 | 2008年 |
| 解散年 | |
| 事務所 | 北池袋芸能社 |
| 活動時期 | 2008年 - |
| 芸種 | 漫才、コント |
| ネタ作成者 | 佐渡原研二 |
| 出身 | NSC東京校16期 |
| 出会い | 都内の金属加工バイト先 |
| 旧コンビ名 | 未研磨 |
| 別名 | ステン |
| 同期 | 青磁スパナ、夜光ボルト |
| 影響 | 無音の間、事務職的な比喩 |
| 現在の代表番組 | 『夜更けの耐食相談室』 |
| 過去の代表番組 | 『東京ゼロ番地ネタ会議』 |
| 現在の活動状況 | 劇場を中心に活動 |
| 受賞歴 | 第7回銀河系ワラグランプリ 決勝進出 |
| 公式サイト | 北池袋芸能社 公式プロフィール |
すてんれすは、に本拠を置くの。2008年に結成され、無機質な掛け合いと異常に細かい生活小ネタで知られる。略称は「ステン」である。
メンバー[編集]
佐渡原研二(さどはら けんじ)はボケ担当で、ネタ作成も担当する。東京都出身で、学生時代は工場の見習いとして半年ほど働いていたとされる。金属の酸化に過敏で、道具箱のねじ一本まで並べ替える癖がある。
真鍋ミツル(まなべ みつる)はツッコミ担当で、相方の暴走を淡々と止める役回りで知られる。神奈川県出身で、前職はの書架整理補助であったという。動揺すると語尾がやや事務的になり、「それは規定外です」と返すのが定番である[1]。
両者とも高圧的ではないが、異様に細部へこだわる芸風で、スタッフからは「舞台袖で最も静かなコンビ」と呼ばれている。なお、初期は二人とも同じ作業着を着ていたため、客席で見分けがつかず、開演前に照明係が確認に入ったという逸話が残る。
来歴[編集]
結成まで[編集]
2008年夏、の金属部品倉庫でアルバイトをしていた佐渡原と真鍋が、休憩中に「ステンレスはなぜ“すてんれす”と読まれないのか」という雑談で意気投合し結成されたとされる。最初のネタは、錆びない包丁を巡って大家と住民が2時間も口論するだけの漫才であった。
当初のコンビ名は『未研磨』であったが、ライブの受付で毎回「何を磨いていないのか」と聞かれるため、2009年に現在の表記へ改めた。改名直後の持ちネタはわずか3本だったが、の小劇場で行われた持ち時間4分の大会で、なぜか退場時間まで含めて12分を使い切ったことで注目を集めた。
東京進出[編集]
2012年ごろから活動拠点をの小劇場群へ移し、いわゆる東京進出を果たした。北池袋芸能社の社員によれば、当時の二人はネタよりも小道具の手入れに時間をかけるため、出番の20分前には必ず金属磨きクロスでマイクスタンドを拭いていたという。
2015年には深夜番組『東京ゼロ番地ネタ会議』への出演が話題となり、極端に説明の少ない台本を逆手に取った漫才で評判を得た。この回の収録では、真鍋が「今日は何の話ですか」と本番中に確認したところ、MCから「それを探す番組です」と返され、以後の定番の導入になったとされる。
芸風[編集]
すてんれすの芸風は、日常の些細な不具合を異常なまでに分解していく漫才に特徴がある。冷蔵庫の霜、洗剤の泡立ち、駅の自動改札のわずかな遅延など、観客が普段気に留めない現象を、あたかも国家的課題であるかのように扱う。
また、コントでは金属加工会社、管理組合、耐食試験所など、事務的な空気の場面設定が多い。佐渡原が理屈を積み上げ、真鍋がそれを「書類上は可能だが感情上は不可」といった表現で崩す構成が多く、業界内では「会議漫才」とも呼ばれる[2]。
彼らの代表的な手法として、話の途中で必ず一度だけ沈黙する「防錆の間」がある。これは2009年の下北沢ライブで、舞台照明の切り替えミスにより生まれた偶然の間合いを、翌週そのままネタに組み込んだことが起源とされる。
エピソード[編集]
2016年、で行われた地方営業では、会場となった公民館の備品倉庫にあった大量のステンレス皿を見て即興漫才を始め、予定の15分を超えて23分にわたり皿の反射率だけで笑いを取った。主催者は「こんなに光を使う芸人は初めてだった」と証言している。
2018年には、の番組収録で真鍋が本番直前に「漫才の方向性が曇っています」と発言し、スタッフが全員意味を取り違えたまま換気を強化したことがある。この一件はのちに業界誌『演芸新報』で「芸人の一言が現場設備を動かした例」として紹介された。
2020年以降はオンライン配信にも進出し、カメラ越しにステンレス鍋のフタを細かく叩く音だけで3分間つなぐ企画が一部で人気を博した。なお、この企画は視聴者アンケートで「内容は薄いが手触りがよい」と評価されたという、やや不可解な結果を残している。
出囃子[編集]
出囃子はの『』の金属打楽器風アレンジである。これは佐渡原が「上を向いた皿は落ちにくい」という持論を述べたことに由来する。
ただし、2022年以降の一部劇場では、音響設備の都合で同曲の冒頭2秒のみが使用され、残りは換気扇の音で代用されることがある。この簡略版はファンの間で「2秒版」と呼ばれ、むしろ本家より緊張感があるとされる。
賞レース成績・受賞歴[編集]
2021年の『』では、準決勝で審査員全員が採点表の記入に手間取るほどの細密なボケを連発し、決勝進出を果たした。結果は5位であったが、得点よりもネタ後の退場時に二人そろってマイクケーブルを丁寧に束ねた所作が高く評価された。
また、2023年には『』の「舞台上で最も静かに片付けた賞」を受賞している。これは同賞がその年から新設した極めて限定的な部門であり、受賞条件は「エンディングで小道具を3点以上、音を立てずに収納すること」であった[3]。
出演[編集]
テレビ[編集]
現在の代表番組は制作の『夜更けの耐食相談室』で、一般視聴者から寄せられる「家の水切りかごが錆びる」といった相談に、半分本気、半分漫才で答える構成である。過去には『東京ゼロ番地ネタ会議』『深夜の工具箱』などに出演した。
特番では系の地域バラエティ『道具の町で会いましょう』に出演し、の金属加工工場を見学する企画で、二人が工場長より先に保全マニュアルを読み込んでいたことが話題となった。
ラジオ・配信[編集]
ラジオでは『すてんれすの無音ラジオ』が有名で、あえて5秒間の沈黙を番組の“名物コーナー”としている。配信では、視聴者が持ち寄った台所用品を画面越しに鑑定する『家庭用品鑑定会』が人気で、最盛期には同時接続が1万2,400人を記録したとされる。
一方で、2021年の生配信中に真鍋が誤って背景にあった耐熱トレーを“ネタの主役”として紹介したため、コメント欄が一斉にトレーの材質議論に傾いた事件がある。以後、配信冒頭で必ず「今日は主役が増えません」と宣言するのが恒例となった。
作品[編集]
DVD『研磨前夜』は、舞台本編に加えて「ネタができるまで」を追った特典映像が収録されている。特典では、佐渡原がホワイトボードに“錆びない怒り”と書き、真鍋がそれを見て黙るだけの場面が9分ほど続く。
また、配信限定企画『すてんれすの素材見本市』では、彼らが街で拾ったネジ、フタ、クリップなどを資料番号付きで紹介しており、ファンの間では半ば博物館的に扱われている。タイトルの最後の「見本市」は、実際にはほとんど販売を伴わなかったため、やや誇大であるとの指摘がある。
単独ライブ[編集]
単独ライブは毎年1回のペースで開催され、会場は主にとの小劇場である。代表作としては『錆びない夜』『研磨中』『ステンレスのある風景』などがあり、いずれも舞台美術がやたらと精緻であることが特徴である。
2024年の単独ライブ『終わらない表面処理』では、開演前にスタッフが誤って舞台床を一部だけ磨いてしまい、二人がその箇所だけを避けながらネタを進行する珍事が起きた。結果として、偶然生まれた“滑らない間”が観客の爆笑を誘い、演出として称賛された。
脚注[編集]
1. 真鍋の図書館勤務歴は本人のトークライブで語られたものだが、自治体記録との照合は取れていない。
2. 「会議漫才」の呼称は業界関係者によるもので、一般的な用語ではない。
3. 『小劇場演芸大賞』の部門新設は、主催者がその場で決めたとする説がある。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
北池袋芸能社 公式プロフィール
演芸データベース・すてんれす
小劇場演芸アーカイブ
無音芸人研究会
東京ネタ会議 オンラインライブラリ
脚注
- ^ 佐伯一真『無音の笑いと表面処理』北池袋出版, 2019.
- ^ 高梨文子『小劇場における会議漫才の成立』演芸学会誌 Vol.14, No.2, pp. 33-49, 2021.
- ^ Motohiro Kanda, "Rustproof Timing in Contemporary Japanese Comedy" Journal of Stage Humor Vol.8, Issue 1, pp. 101-118, 2020.
- ^ 北園真理子『東京下町芸能史ノート』中野文化社, 2017.
- ^ L. Benton, "The Aesthetics of Silent Pauses" Comedy Studies Quarterly Vol.6, No.4, pp. 77-90, 2018.
- ^ 小林玲奈『配信時代の小道具経済』東都書房, 2022.
- ^ 森岡修『ステンレスの夜に笑う』演劇と放送社, 2020.
- ^ Eleanor Voss, "Microprops and Macro Laughter" The International Review of Performance Vol.11, No.3, pp. 55-72, 2023.
- ^ 浅野結衣『地方局深夜枠の変遷と観客反応』南関東メディア研究所, 2024.
- ^ 『演芸新報』第42巻第7号「工場長より先に読まれたマニュアル」pp. 12-15, 2018.
外部リンク
- 北池袋芸能社 公式サイト
- 演芸データベース すてんれす項目
- 小劇場アーカイブ・東京
- 無音コント資料館
- ステン研究会