ちゅみ。(@nekocat337)
| 通称 | ちゅみ。/ Nekocat337 |
|---|---|
| 活動圏 | 日本国内の同人・ネットコミュニティ |
| 運用形態 | 個人アカウント(とされる) |
| 特徴 | 絵文字の位置固定と語尾「。」の反復 |
| 代表投稿形式 | 3行テンプレ+末尾に『確認済み』相当の語 |
| 関連用語 | 『ネコ指数』『ちゅみ割』 |
| 最終確認 | 前後(とされる) |
ちゅみ。(@nekocat337)は、で活動したとされる架空のネット同人系アカウントであり、投稿形式の独特さから「小規模拡散の最適化モデル」としても言及される[1]。一方で、運用者の実在性や経緯には複数の異説があるとされる[2]。
概要[編集]
ちゅみ。(@nekocat337)は、(旧)上の投稿体裁をめぐって論じられた、架空の「マイクロ・アテンション・プロトコル(細小注意プロトコル)」の代表例として語られることがある[1]。特に、語尾の「。」を単なる句点ではなく、リズム制御の合図として扱う運用が特徴であるとされる。
当該アカウントの活動は、同人ジャンルの周縁において「フォロワー数より保存数を優先する」観点を一般化させた、とする指摘がある[3]。また、投稿が拡散する条件を、投稿時刻・画像解像度・改行数の組合せとして計測しようとした点で、ネット文化研究者の間でも一度は話題に上ったとされる[2]。なお、この種の計測はのちに統計的に再現困難であることが判明し、半ば伝説化したとされる[4]。
成立経緯[編集]
ハンドル命名の由来と「ちゅみ割」[編集]
命名は「ちゅみ。」という柔らかい音節に、猫の擬似記号(nekocat)を接続し、末尾に「337」を付すという形で特徴づけられている[5]。研究ノートでは、この「337」がの家庭用複合プリンタの型番近辺に由来するとされる一方で[6]、別説としては、当時運用者が参照していた『猫画像の色相角度テーブル』の行番号だとする説明も見られる[7]。
さらに、「ちゅみ割」と呼ばれる概念が、投稿における“切り詰め”の美学として語られたとされる。具体的には、文章を3行に固定し、各行の文字数を平均で11文字前後に揃えることで、読む側の認知負荷が一定になるよう設計した、という主張がある[1]。この考え方は、後述する「ネコ指数」へと発展したとされる。
3行テンプレ発明の舞台:秋葉原の『旧・印字室』[編集]
3行テンプレの発明はの「旧・印字室」(資料上は『旧印字室(非公開)』として記載)で行われたとされる[8]。伝承では、印字室の棚に残っていた紙の断片から“改行3回で画面が整う”という感覚を掴み、それを投稿用の型へ落とし込んだとされる。
また、当時の運用試験は、同一画像を3種類の圧縮方式で再投稿し、保存されやすい比率を比較したことから始まったとされる[9]。試験結果として「圧縮率は72%が最頻」「画像短辺は812〜840pxが安定」など、やけに細かい数値が報告された。しかし、この数値は後に再測定で揺らいだとされるため、研究者の間では“儀式としての計測”だったのではないかという見解もある[10]。
投稿運用と社会への影響[編集]
ちゅみ。(@nekocat337)の影響は、単にフォロワーが増えたという範囲にとどまらないとされる。ネットコミュニティの運営者や同人作家が、「文章の長さより整い方」を重視するようになり、結果として編集方針の指標が変化した、という指摘がある[3]。
とりわけ「ネコ指数」なる言葉が、周縁参加者の間で一時的に流行したとされる[11]。ネコ指数は、投稿の“見出し感”を、(絵文字数×改行数)÷語尾句点の回数で近似する試みだったとされる。さらに、観測例として「語尾『。』が2回のとき保存率が1.6倍」「語尾が『…』だと返信率が0.73倍」といった数値がまとめられたとされる[12]。
ただし、これらの関係は再現性が薄く、同人界隈では「ネコ指数が高いのではなく、ネコ指数“っぽく書いた人”がたまたま話題を持っていた」だけではないか、との批判も出た[4]。それでも、指標を“信じることで文章を整える”という効果自体は否定できず、編集会議に「改行数チェックリスト」が持ち込まれた例が報告されている[13]。
周辺概念:『ネコ指数』と『確認済み』[編集]
『確認済み』が果たした役割[編集]
ちゅみ。(@nekocat337)の投稿は、末尾付近に「確認済み」に類する語(資料では“要約すると同等”と注記される)を置くことが多かったとされる[14]。この語は事実の保証を意味するというより、読む側の“続きの期待”を制御するための合図として機能した、と説明されることがある。
この点について、(仮説として言及される)に所属していたとされる研究者・が、「注意の保留」を設計する言語技術として論じたとする報告がある[15]。もっとも、当該論文が実在するかは検証が難しいとされ、要出典の扱いがされる場合がある[16]。
画像圧縮と『812〜840px』の逸話[編集]
前節の試験結果のうち、画像の短辺が812〜840pxで安定した、という逸話は、なぜかコピペ文化の形で残ったとされる[9]。たとえば、同人印刷所の営業資料では「ちゅみ。基準の“保存向き縮尺”」という見出しが付いたとされ、ポスター制作の打ち合わせにまで影響が及んだという[17]。
一方で、現場の制作者からは「812pxに合わせても売れない」「むしろ余白の設計が本体だった」という反論も出ている[18]。それでも“数値を掲げることで迷いが減る”という心理的効用は、後のコミュニティ文章テンプレにも波及したと考えられている[12]。
批判と論争[編集]
ちゅみ。(@nekocat337)をめぐる論争は、主に「計測の恣意性」と「模倣による停滞」に集約される。ある分析では、運用者の実験が特定の曜日・特定のタイムゾーン(例としてに固定)でしか観測されていないため、一般化の根拠が弱いと指摘された[10]。
また、テンプレ模倣が進んだ結果、文章が“似ている”こと自体が目的化し、表現の多様性が損なわれた、という批判もある[19]。研究者のは「ちゅみ割」が“型の成功”を“個の失敗”と混同させる危険を持つと述べたとされる[20]。
さらに、運用者が実在の人物か、あるいは複数人がリレーしている可能性があるのではないか、という噂も流通した[2]。この点は、プロフィール文に同一語尾が連続することを根拠にする説や、逆にアイコン更新頻度の“ばらつき”を根拠にする説などがあり、確証は得られていないとされる[16]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐伯 玲於『マイクロ注意設計と言語の終端記号』情報言語学研究会, 2019.
- ^ 高梨 康明『テンプレ模倣の社会心理学:『ちゅみ割』事例の再検討』第12巻第3号, pp. 41-58, 2020.
- ^ M. A. Thornton『End punctuation as interaction pacing』Journal of Digital Semiotics, Vol. 6, No. 1, pp. 12-27, 2018.
- ^ 中田 響『保存される投稿の条件:改行・画素・文末の相関(架空データ補遺付き)』コミュニケーション工学会誌, 第27巻第2号, pp. 101-119, 2021.
- ^ S. Nakamura『Micro-spread optimization in fan communities』Proceedings of the Friendly Network Workshop, pp. 77-90, 2017.
- ^ 林田 真琴『812〜840px伝説と再現性問題』印刷メディア学会誌, 第9巻第4号, pp. 5-19, 2022.
- ^ 国立情報学研究所編『表現形式の計量社会史:非公開資料の整理』第1部, pp. 203-245, 2016.
- ^ 渡辺 精一郎『旧・印字室の記録:機材と紙片の年代推定』東京印刷史研究叢書, pp. 33-61, 2015.
- ^ “ネコ指数”解析委員会『ネット指標の作り方と壊れ方(ちゅみ号)』オンライン技術白書, 2020.
- ^ R. Kuroda『The 337 suffix mystery in social accounts』International Journal of Meme Studies, Vol. 3, Issue 2, pp. 200-214, 2019.
外部リンク
- ネコ指数アーカイブ
- ちゅみ割検証ログ
- 旧・印字室の記録集(私家版)
- 終端記号と注意の研究ノート
- 同人テンプレ資料室