てごすて!
| 番組名 | てごすて! |
|---|---|
| 画像 | 架空の番組ロゴ(配色:生成り×群青) |
| ジャンル | 連続ドラマ風バラエティ(演出上の分類) |
| 構成 | オープニング茶番→依頼相談→大喜利劇場→次回予告 |
| 演出 | 共同演出(『余白で笑わせる』方式) |
| 主演 | 主演俳優:柊堂(ひいどう)レン |
| 出演者 | レギュラー:結城ノイ(ゆうき のい)ほか(架空) |
| 放送国 | 日本(架空編成) |
| 映像形式 | 当初:フィルム→のちテレシネ/一部回のみハイビジョン放送 |
| 放送期間 | 1954年〜(休止・再開を含む) |
| 放送時間 | 毎週火曜19時15分〜19時45分(JST) |
| 放送分 | 30分 |
『てごすて!』(てごすて!)は、1954年7月1日から1954年12月30日まで全国の放送局で断続的に放送された架空のテレビ番組である。続いて1980年にインターネット放送が休止され、テレビ・ラジオの同時放送が開始された。さらに2020年にはインターネット放送および電子辞書にて放送が再開されたとされる[1]。
概要[編集]
『てごすて!』は、言葉の誤認識を“物語の推進力”に転化する設計で知られる、架空のテレビ番組である。番組冒頭で放送中の視聴者の記憶(とされるもの)を一度だけ書き換える演出が特徴とされ、以後のコーナーがそれに反応して展開すると説明されている[2]。
番組の成立経緯は、1950年代初頭の視聴者参加型演出の流行に、当時急速に整備され始めたの“地区回線”が結び付いた結果であるとされる。具体的には、放送開始当初はが管理する試験回線を通じて、合計12カ国・42都道府県で同時に受信確認が行われた、という社内記録が残っているといわれる[3]。
ただし、その同時確認は実際の放送到達率よりも“視聴者が思い出したと報告した内容”の統計を重視しており、番組は放送事故というより一種の社会実験として扱われたとする証言もある。ここでいう“事故”の多くは、後年にインターネット放送の設計へ転用されることになったという点が、研究者の注意を引いている[4]。
概要[編集]
放送開始と「てごすて」の語感[編集]
番組名の『てごすて!』は、当時のスタジオで流行していた即興擬音に由来するとされる。企画会議では『言い間違いが起きた瞬間だけ笑いが発生する』という仮説が採用され、アクセント配置が議論されたと記録されている[5]。
制作側のメモには、口頭で「てごすて」と言うと発音の途中で舌が“一度止まる”と追記されており、この“止まり”を視聴者の記憶回路の区切りとして利用した、という珍妙な説明が残る。一方で、言葉自体に意味はなく、スポンサー交渉では「覚えやすいが検索に引っかからない」ことが利点だとされたとも報じられている[6]。
視聴者参加の設計思想[編集]
『てごすて!』の参加設計は、視聴者が送るハガキや電話の文面を“脚本の一部”として扱う点にあった。ここで採用された処理は、の回覧表に従い、誤字の位置を“次回の伏線”として転換するルールであると説明される[7]。
番組史の語りでは、後年のインターネット放送へ移行する布石として、音声認識ではなく「視聴者が自分で直す」過程を重視していたとされる。なお、現代的に見ると矛盾があるが、当時の関係者は『直しが起きる瞬間に共犯感が生まれる』と真顔で語ったとされ、そこが“放送芸術”として扱われる理由になったとも指摘されている[8]。
あらすじ(放送上の連続性)[編集]
番組は連続ドラマ風の体裁を取りながら、実際には“視聴者の反応で話が変わる週替わり連続”として運用されたとされる。毎回、架空の町を舞台に、主人公の柊堂レンが「忘れてはいけない言葉」を探しに出る。だが、その言葉は毎週“視聴者の訂正”によって変形し、物語の正解が増殖すると説明される[9]。
第1期(1954年)は、依頼相談コーナーが中心で、視聴者が送った誤認識例がそのまま“事件の名称”として採用された。たとえば、ある回で「駅前で見た看板」を送った視聴者の文面に基づき、看板の文字が一字だけ入れ替わる演出が行われた結果、物語上ではその一字が“海賊の合言葉”になるという具合である[10]。
一方で、1980年のインターネット放送休止を境に構成が変わり、テレビ・ラジオの同時放送開始により、主人公の台詞は“字幕”ではなく“口調”で意味を担うようになったとされる。最後に、2020年の電子辞書版では『てごすて!』が辞書の例文として表示され、視聴者はページめくりのタイミングで次の展開を“検索の癖”として受け取ったとされる[11]。
登場人物[編集]
柊堂レン(架空俳優):番組内主人公で、視聴者から届く“訂正メモ”を元に、町の噂を再編集する役である。初期では硬質な語り口が評価されていたが、ある回で自分の名を呼び間違えられた際に急に軽口へ転じたとされ、この“演技の破綻”が社会的に話題になったと記述されている[12]。
結城ノイ(架空俳優):準レギュラーで、言葉の誤認識を“薬”のように扱うキャラクターとして登場する。彼女は毎週、視聴者の誤字のうち語尾だけを拾い、物語の危機を“次回予告の約束”に変える。なお、当初は健康情報コーナーと区別できなかったため、番組関係者が『これは処方箋ではないが、視聴者は安心した』と回想している[13]。
神楽輪(かぐらわ)ドロウ(架空俳優):司会進行の役割も担うが、物語内では“局内の時計”として扱われる。彼の台詞は放送国別の受信差を前提に調整されており、12カ国で同時に同じ冗談が成立するよう“分数”を削った、とスタッフが証言したとされる[14]。
キャスト[編集]
主要キャストは、毎期の脚本チームと同様に“役割の流動性”が高かったと説明される。柊堂レンのほか、霧島港周辺の住民役として、千種岬(ちぐさ みさき)、阿久津ミナリ、早乙女カスミといった架空俳優が挙げられることが多い[15]。
当時の制作現場では、役者の演技は固定されず、視聴者のハガキに応じて台詞の語尾だけが差し替えられた。結果として、同じ回数で放送されていても“似ている別話”が発生し、後年の再放送がしばしば炎上したという逸話が残る[16]。
特に1980年以後は、テレビ・ラジオ同時放送への対応で、音声情報のみで成立する台詞設計が求められた。そのため、字幕で示されるはずの擬音がわざと省かれ、ラジオ側の聴取者が先に意味を推理する仕組みになったとされる[17]。なお、この“推理を先にさせる”方針が、後の電子辞書連動へ接続されたと語られることもある。
スタッフ[編集]
演出は、の流儀で知られたが主導したとされる。ここでは、カット割りを減らし、その代わりに視聴者の誤読を引き出す“間”を増やすことで笑いが生成される、と理論化されていた[18]。
制作局はとされ、放送枠の移動が頻繁だった点が特徴として挙げられる。たとえば、火曜19時台は2回だけ土曜20時台に移動したが、移動理由は「家庭の夕食タイミングが平均2分早まった」という内部調査に基づくと説明されている[19]。ただし、この“平均2分”は資料によって1分半〜3分の幅があり、編集担当者が脚色したのではないかと推測されることもある。
さらに2020年の電子辞書放送再開では、が“例文のページ位置”を時間コードの代わりに使ったとされる。この仕組みは、視聴者側の操作(開き方)を自然に同期させる狙いがあり、研究者は「同期は通信でなく儀式で起きる」と評したと記録されている[20]。
反響・評価[編集]
当初、『てごすて!』は視聴率よりも“誤認識の再現率”で測られたとされる。社内集計では、初回放送から7日以内に、視聴者が同じ箇所を同じように聞き間違えた割合が、最大で68.2%に達したという数字が残る[21]。もっとも、当時は全国統計の取り方が統一されておらず、後年の研究では再集計により62〜74%のレンジに落ち着いたともされるため、数字の正確性は揺れている。
1980年のインターネット放送休止は、通信遅延そのものが理由ではなく、視聴者が“遅延を物語の一部だと感じてしまう”現象が多発したことにある、と批評では語られる。テレビ・ラジオ同時放送へ切り替えたのは、その“物語としての遅延”をほどくためだったとされ、結果として番組はより軽快になったという評価もある[22]。
一方で、2020年の電子辞書連動については、視聴者が辞書の用例を“正解”と誤解してしまい、番組の趣旨が変質したという指摘もある。ただし制作側は『正解が増えることこそ、てごすて!の仕様である』と述べたとされ、ここが支持層と批判層の分岐になったと記録されている[23]。
受賞歴[編集]
受賞歴としては、架空の放送企画賞であるにおいて、1956年に“視聴者訂正演出部門”を受賞したとされる。選考理由は『誤認識が笑いに転換される速度が速い』というもので、審査員がその場で聞き間違えをやり直したという逸話が付随して語られている[24]。
また、1981年にはから“同期儀式型放送設計”の表彰を受けたとされる。さらに2021年には、電子辞書連動を評価されて“ページ遷移連動演出賞”が授与されたと記述されるが、授与年が新聞ごとに年代と令和年代で食い違うことから、記録の混線が指摘されている[25]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 横溝勲『訂正が笑いになる構造:てごすて!研究(第1巻)』霧島港文化出版, 1957.
- ^ M. Halloway『Broadcast Timing and the Memory Turn』Journal of Imaginary Media Studies, Vol. 12 No. 4, pp. 101-143, 1963.
- ^ 山野田柊『言語誤認識のテレビ史:誤読は伏線である』中央民放出版社, 1983.
- ^ 佐久間綾乃『放送回線と都市差:12カ国同時確認の裏側』放送回線学会誌, 第8巻第2号, pp. 55-78, 1991.
- ^ Dr. O. Kelner『The Delay-as-Plot Hypothesis in Mass Media』International Review of Fictional Broadcasting, Vol. 5, pp. 1-26, 1980.
- ^ 稲葉鴎司『ラジオ同時放送の設計論:字幕なき台詞』音声制作技術叢書, 第3巻第1号, pp. 203-231, 1982.
- ^ 電子辞書連携推進協議会『用例ページ連動放送の規格:TZD-20』電子資料企画局, 2020.
- ^ 霧路映像研究所『余白編集の方法:カットを減らして笑わせる』映像演出月報, 第14巻第9号, pp. 77-99, 1955.
- ^ 田嶋ゆら『てごすて!の視聴者統計:68.2%の再検証』統計と放送, 第21巻第3号, pp. 12-39, 1999.
- ^ Matsura B.『Lexicon-Linked Viewing Rituals』Dictionary-Driven Media Quarterly, Vol. 2 No. 7, pp. 44-60, 2021.
外部リンク
- てごすて!アーカイブ資料館
- 全国言葉戯曲放送賞データベース
- 余白編集実践ノート
- 電子辞書連携ガイド(閲覧用)
- 霧島港回線メモリアル