やまちゃんとしちゃん
| コンビ名 | やまちゃんとしちゃん |
|---|---|
| 画像 | 左:やまちゃん(固定カメラ目線)/右:しちゃん(電卓片手) |
| キャプション | 『計算間違いで起承転結』が代名詞とされる。 |
| メンバー | やまちゃん(渡辺山)/しちゃん(吉田利一) |
| 結成年 | 2009年 |
| 事務所 | ネオン串揚げ企画 |
| 活動時期 | 2009年〜現在(断続的に全国) |
| 芸種 | 漫才・コント |
| ネタ作成者 | 基本はしちゃん、修正はやまちゃん |
やまちゃんとしちゃん(英: Yamachan Toshichan)は、所属のお笑いコンビである。に結成。[[M-1グランプリ]]2017年ファイナリストとして知られる[1]。
概要[編集]
やまちゃんとしちゃんは、算数の誤差と人情を“同じフォーマット”で笑いに変換することを核とした漫才・コントで知られる。特に、手元の小道具(電卓・領収書・計測テープ)を「発想装置」とみなし、観客の理解速度を逆算する手法が特徴とされる[1]。
結成当初は地方のミニシアター寄席で活動していたが、2017年に[[M-1グランプリ]]での再現性の高いツッコミ連打が話題となった。なお、彼らの“しちゃん”が実際に暗算を間違えると、会場内の空調が一瞬止まるように感じる、という都市伝説も一部で流通していた[2]。
メンバー[編集]
やまちゃんは、淡々とした口調で事実を並べ、その事実が噛み合わない瞬間にだけ強い感情を差し込むことで知られる。所属事務所のプロフィールでは、肩幅を活かした“布のような受け”が持ち味と記されている[3]。
しちゃんは、電卓を叩く音をリズムとして使い、数字の“言い換え”をボケに変換する。ネタ作成は基本的にしちゃんが担当し、やまちゃんが「最後の一文だけ観客に譲る」修正を行うとされる[4]。
二人の呼称は由来が曖昧である。楽屋口の貼り紙が“山田・利一”の苗字だけになっていたことから、先に呼ばれた方が定着した、という説明が事務所内で語られてきた[5]。
来歴/略歴[編集]
結成と東京進出[編集]
2009年、二人はのミニ寄席「ひなびた計算台」で出会ったとされる。当時、しちゃんは“合格証書のコピーを燃やさない”ための安全講習を受けており、その際のノートに「人生は桁が増えても誤差は消えない」と走り書きされていたことが、後年のネタ構造に影響したと推定されている[6]。
2011年には、ネオン串揚げ企画の前身「ネオン串揚げ準備会」がの貸しスペースにて立ち上がり、両者は共同でチラシを配った。彼らの東京進出は2013年夏に前倒しになったとされ、当時の本番の持ち時間が“ちょうど12分”に設定されていたことが、後のテンポ設計(12ビート漫才)へつながったという[7]。
さらに、2016年の深夜ラジオ特番での即興コーナー「領収書から始まる謝罪会見」が受け、以降のメディア露出が加速したと記録されている[8]。
賞レースと転機[編集]
2017年、[[M-1グランプリ]]出場の直前に、二人は“ネタの長さを3段階に分ける”方針を採用した。一次で9分、二次で11分、決勝相当で12分という設計が、結果的に審査員の記憶に残る“差分”を生んだとされる[9]。
同年の会場リハーサルでは、しちゃんの電卓が誤って“0を1回だけ足してしまう”動作をしたが、やまちゃんはそのミスを即座に「誤差は愛で上書きできる」と言い換えた。これがテレビ映像に残り、SNSで「準優勝級の読み替え」として拡散されたという[10]。ただし、映像データの有無については記録が揺れており、関係者からも“見ていない”とする証言がある[11]。
芸風[編集]
やまちゃんとしちゃんの芸風は、漫才では「事実→計算→言い換え→謝罪」の順に進むことが多い。ツッコミは強いが罵倒せず、謝罪の形式を整えることで笑いへ回収する構造が特徴とされる。観客が“理解したつもり”になった瞬間、実は別の単位で計算していたと発覚するため、二段階で驚きが起きると説明される[12]。
コントでは、領収書やタイムカードなどの“半公的書類”を舞台美術に用いる。たとえば、架空の資格「三拍子対話技能」を取り締まる係員が登場し、被告人(客席)が“正しい沈黙”を提出できるかで判決が変わる、という形式が話題となった[13]。
出囃子は、[[筑波大学]]の軽音サークルで採譜されたとされる「メトロノーム賛歌」が原型とされるが、実際の楽譜を誰が持ち込んだかは曖昧で、編集者の間でも意見が割れている[14]。
エピソード[編集]
2018年の地方特番「笑いの精度検査」で、二人は“謝罪を録音で再現”するチャレンジを行った。会場のスタッフが計測したところ、謝罪の発話間隔が平均0.83秒で、標準偏差が0.05秒に収まったというデータが本人の手帳に挟まれていたとされる[15]。ただし、その手帳がいつ撮影されたのかは不明で、出典は“楽屋に落ちていた”という証言のみである[16]。
また、しちゃんが“電卓を叩く音”を嫌がる共演者に対し、代わりに箸で机をトントン叩いたところ、共演者が勝手に泣き笑いしたことがある。二人はこれを「共鳴の種類が変わっただけ」と説明し、以後“音色でネタを替える”方針を掲げたと伝えられている[17]。
一方、やまちゃんは健康志向のフリをして炭酸水を持参するが、実際は“泡を数える”ために持ち込んでいる。観客席からは「それは漫才じゃなくて検算だ」と言われることがあるが、本人は「検算こそ人生」と真顔で返すことで恒例化した[18]。
賞レース成績・受賞歴[編集]
[[M-1グランプリ]]では2017年にファイナリストへ進出し、準決勝での“単位換算ボケ”が評価されたとされる[19]。その翌年、別会場の[[キングオブコント]]で予選突破したものの、最終出番の直前に台本が“誤って他人のバイトシフト表”と入れ替わっていたという。結果として台本は崩れたが、二人は即興で「労働時間が短いほど謝罪が正確になる」とまとめ直し、観客の反応がむしろ良かったとされる[20]。
受賞歴としては、2019年の「第6回領収書芸術祭」優秀賞、2020年の「全国即興謝罪選手権」準優勝などが挙げられる。なお、これらの大会は公式サイトが閉鎖された時期があり、当時のアーカイブの所在が確認できない部分があると指摘されている[21]。
出演[編集]
テレビでは、系バラエティ「計算しないで笑え!特盛」でレギュラー準レギュラーとして出演したとされる。コーナーは毎回3本で構成され、第1本が“言い換え”、第2本が“謝罪”、第3本が“単位の裏切り”と説明される[22]。
ラジオでは、の深夜番組「領収書でつなぐ夜」でパーソナリティを務めた。聴取者からは“メールが領収書の体裁で届く”ことが増え、番組が周辺文化を生成したと分析される[23]。
近年は、動画配信「ネオン串揚げ公式検算チャンネル」にて、月1回のライブ配信を継続している。配信回のサムネイルには毎回、架空の役所「生活微差監査庁」のハンコが押されているが、本人たちは「行政ごっこは行政ではない」と釘を刺しているという[24]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 佐藤ネオン『嘘の精度が笑いになるまで:やまちゃんとしちゃんの12ビート漫才』ネオン串揚げ出版社, 2018.
- ^ 渡辺精文『手続き芸の系譜—謝罪を台本にする技術』日本舞台笑書房, 2020.
- ^ Margaret A. Thornton『Comedy as Measurement: Error, Apology, and Audience Timing』Vol. 12, Clocktower University Press, 2021.
- ^ 小林利次『電卓ツッコミの音響設計—トントンから始まる推論』第3巻第2号『笑技術研究』, 2019.
- ^ 吉田利一『領収書から始まる会見—口上の単位変換』Vol. 7『即興実務叢書』, 2017.
- ^ Hiroshi Matsuo『Urban Folklore of Blank Air Conditioners: The Yamachan Effect』『Journal of Unverified Audience Psychology』第5巻第1号, 2022.
- ^ 町田サチ『“標準偏差0.05秒”の笑い統計』中央寄席学会, 2020.
- ^ 『第6回領収書芸術祭記録集(復刻版)』領収書保存振興財団, 2021.
- ^ 『ネオン串揚げ公式検算チャンネル番組審査資料』生活微差監査庁広報課, 2023.
- ^ 笠井ユキ『要出典だらけの百科体—書き手が信じる前提の作り方』文庫編集舎, 2016.
外部リンク
- ネオン串揚げ企画 公式プロフィール
- やまちゃんとしちゃん 検算チャンネル(配信アーカイブ)
- 領収書芸術祭(閉鎖アーカイブ倉庫)
- 生活微差監査庁 ハンココレクション
- 全国即興謝罪選手権 記録スレッド