アベンジャーズvs豚 2
| 作品名 | アベンジャーズvs豚 2 |
|---|---|
| 原題 | Avengers vs Pigs 2 |
| 画像 | AvengePigs2_poster.jpg |
| 画像サイズ | 220px |
| 画像解説 | 劇場公開時ポスター |
| 監督 | 長谷川玄太 |
| 脚本 | 長谷川玄太、三枝ユリ |
| 原作 | 長谷川玄太『アベンジャーズvs豚』 |
| 製作 | 桐生真澄 |
| 出演者 | 霧島レイ、堂島カイト、猪俣トオル |
| 音楽 | 三島圭吾 |
| 主題歌 | 「MILLION PIGS」/Sable Nine |
| 撮影 | 三好潤 |
| 編集 | 小宮山藍 |
| 制作会社 | スタジオ・ミルフォード |
| 製作会社 | 東亜連環映像製作委員会 |
| 配給 | 東和シネパル |
| 公開 | 2021年7月17日 |
| 製作国 | 日本 |
| 言語 | 日本語 |
| 製作費 | 8億4000万円 |
| 興行収入 | 31億8000万円 |
| 配給収入 | 19億6000万円 |
| 上映時間 | 118分 |
| 前作 | アベンジャーズvs豚 |
| 次作 | アベンジャーズvs豚 3: 豚王の逆襲 |
『アベンジャーズvs豚 2』(あべんじゃーずぶいえすぶた 2、原題: Avengers vs Pigs 2)は、[[2021年]]に公開された[[日本映画|日本]]の[[アニメーション映画|劇場アニメ]]。原作・脚本・監督は[[長谷川玄太]]で、[[東亜連環映像]]が製作した。興行収入は31億8000万円で[1]、第44回[[日本怪映画賞]]最優秀音響演出賞を受賞した[2]。
概要[編集]
『アベンジャーズvs豚 2』は、[[2021年]]に公開された[[東亜連環映像]]制作の劇場アニメである。前作『[[アベンジャーズvs豚]]』の直接続編として企画され、[[東京都]][[江東区]]の旧倉庫街をモデルにした「第七畜産特区」を舞台としている。
本作は、巨大な豚型自律兵器「ピッグ・コロッサス」と、それに対抗する義勇チーム「アベンジャーズ」の全面衝突を描く作品である。なお、劇中では豚が単なる動物ではなく、都市封鎖下で独自の電波網を構築した知性体として扱われており、この設定が一部の評論家から「妙に学術的である」と評された[3]。
あらすじ[編集]
前作の事件から18か月後、[[神奈川県]][[横浜市]]の湾岸地区では、食料供給を担う巨大企業「グランジャー・フード社」が行方不明の養豚船団を捜索していた。しかし調査班は、海底から浮上した豚型通信塔群が、都市の自動運転信号を乗っ取り始めていることを発見する。
主人公の霧島レイは、旧式の防災放送を再起動するために[[名古屋市]]の地下音響基地へ向かう。一方で、豚側の指導者である「将軍トンテキ」は、失われた第2養豚衛星を再稼働させ、首都圏全域を“脂質圏”に変える計画を進める。物語は、[[東京ビッグサイト]]上空で行われる最終決戦へと収束し、アベンジャーズは豚肉ではなく「香りそのもの」を奪い返すことで勝利するのである。
なお、終盤で明かされる「2」は続編番号ではなく、豚側の軍事用背番号体系の第2規格を意味していたという解釈があるが、公式パンフレットでは曖昧に処理されている。
登場人物[編集]
主要人物[編集]
霧島レイは、アベンジャーズの通信担当である。前作では補助役であったが、本作では[[埼玉県]][[所沢市]]にある訓練施設「第14減圧ドーム」で鍛えられ、豚の鳴き声を周波数解析して逆探知できる唯一の人物とされた。
堂島カイトは、近接戦闘を担当する元自衛隊員である。右腕に装着した豚皮製の反動装置「トリ・ブレーキ」が印象的で、撮影現場では作画班がこの装置の描写にだけ17か月を費やしたとされる[4]。
猪俣トオルは、豚側から寝返った元研究員である。名前の通り猪と豚の両方に関わる立場にあり、劇中では最も説明台詞が多い人物として知られる。
その他[編集]
将軍トンテキは、豚軍の最高司令官である。[[茨城県]][[鹿嶋市]]沖の養豚島で誕生したとされ、語尾に必ず「ブヒ」を付ける演出があるが、字幕版では一切補正されない。
シスター・マーヤは、アベンジャーズに情報を提供する修道士型ドローン整備士である。ローマ法王庁の古文書を参考にした設定だが、なぜ豚の反乱に古文書が必要なのかは最後まで説明されない。
また、終盤に一瞬だけ登場する「小豚の群れ」は、実は前作の観客アンケート上位20名の声紋を合成した存在であるとする説があり、要出典とされる。
声の出演[編集]
霧島レイ:[[篠原みどり]]
堂島カイト:[[森下迅]]
猪俣トオル:[[朝倉義之]]
将軍トンテキ:[[大門鋼次]]
シスター・マーヤ:[[久遠さやか]]
ナレーター:[[黒木丈]]
その他、主要な豚兵士の鳴き声は、[[群馬県]][[高崎市]]の養豚団体から採取した環境音を加工している。制作側は「声優に頼らない群衆表現」と説明したが、実際には編集段階で人間の咀嚼音もかなり混ぜられたとされる。
スタッフ[編集]
映像制作[編集]
監督は長谷川玄太、脚本は長谷川と三枝ユリの共同執筆である。絵コンテは全742枚で、そのうち119枚が豚の移動経路の検討に充てられた。特殊技術監修は[[佐伯一真]]が務め、劇中の脂質爆発エフェクトには、実際のラード温度変化を参照したと説明している。
また、色彩設計には[[奈良県]][[生駒市]]の旧染料工場で採取された3種類の茶系統が使われた。これは「豚肉の赤みを単純に赤で表現しない」ためであり、アニメ映画としては異例の配慮である。
製作委員会[編集]
製作は東亜連環映像製作委員会が行い、参加企業には東和シネパル、港湾防災通信社、グランジャー・フード社、関東養成記録局が名を連ねた。なお、最後の2社は実在しないが、劇中設定資料集では実在企業のように扱われている。
委員会の内部資料によれば、公開3か月前にタイトル末尾の「2」を「II」に改題する案が出たが、豚がアルファベットを好むという設定と矛盾するため却下されたという。
製作[編集]
企画[編集]
企画は[[2018年]]、長谷川が[[北海道]][[帯広市]]の豚丼店で前作の海外配信版を見直していた際に着想したとされる。店内で隣席の畜産学研究者が「豚は敵にも味方にもなりうる」と発言したことが、シリーズの主題である“共食と共闘の反転”につながったという。
当初は短編企画であったが、[[文化庁]]の若手映像支援事業に類似した独自助成を受け、最終的に118分の長編へ拡大された。企画書には「豚を倒す映画ではなく、豚に倒される社会を描く」と記されていた。
制作過程[編集]
制作は[[埼玉県]][[川口市]]のスタジオと、[[韓国]]・[[釜山広域市]]の共同作画拠点で進められた。特に第3幕の空中戦は、1カットにつき平均48層のレイヤーが使用され、最大で1,200枚の修正指示が出たという。
公開版では、豚軍の基地内部の壁面に微細な漢字が彫り込まれているが、これは美術班の遊びではなく、効果音を可視化した結果生じたものである。監督は後年、「あれは実質的に音楽の文字起こしだった」と述べている。
美術・CG・撮影[編集]
美術監督の[[坂井玲子]]は、[[千葉県]][[浦安市]]のコンテナ埠頭と、[[静岡県]][[焼津市]]の冷凍倉庫を取材し、豚型都市の材質感を構築した。CG班は豚の皮膚表現に独自のサブサーフェス処理を導入し、照明条件によって「生」「焼」「蒸」の3段階に見えるよう調整したとされる。
撮影は一部実景を用いたが、豚の大群は空撮データと群衆シミュレーションで合成されている。なお、最終決戦の水上シーンでは、[[東京湾]]の潮位変化が予想より大きく、予定していたカメラアングルの3分の1が使用不能となった。
音楽・主題歌・着想の源[編集]
音楽は三島圭吾が担当し、金管と電子低音を同時に鳴らす「脂肪和声」が初めて本格導入された。主題歌「MILLION PIGS」はSable Nineによる楽曲で、サビの語尾にだけ豚の呼気サンプルが重ねられている。
着想の源として、監督は[[1950年代]]の防災映画、[[1990年代]]の怪獣映画、そして地域振興用の豚祭り記録映像を挙げている。とくに[[群馬県]][[前橋市]]で毎年行われる架空の「脂環節」の映像が強く影響したと説明されたが、詳細は不明である。
興行[編集]
本作は[[2021年]]7月17日に[[東和シネパル]]配給で公開された。公開初週の興行収入は6億4200万円を記録し、動員ランキングで初登場1位となった。
宣伝では、都内12駅と[[大阪市]]の一部地下鉄駅に、豚の鳴き声が一定間隔で流れる異例のジャックが行われた。とくに[[渋谷駅]]では、広告映像が信号音と同化して一時的に案内放送が聞き取りづらくなったという。
公開後にはリバイバル上映が2度実施され、2022年の再上映版では、音響を再調整した「脂質拡張版」が上映された。さらに海外では、[[台湾]]、[[タイ]]、[[シンガポール]]で限定公開され、英題のまま受け入れられたが、現地字幕では「猪突連合」と誤訳された回がある。
反響[編集]
批評[編集]
批評家の間では、前作に比べて物語構造が複雑になった点が評価された一方で、豚の軍事理論がやや過剰であるとの指摘もあった。[[映画評論家]]の折原誠は「本作はバカ映画の顔をした都市計画映画である」と評している[5]。
また、SNS上では「戦闘シーンより豚の会議が長い」との投稿が拡散したが、制作側は「会議こそが本作のアクションである」と反論した。
受賞・ノミネート[編集]
本作は第44回[[日本怪映画賞]]で最優秀音響演出賞、最優秀群像設計賞にノミネートされ、うち最優秀音響演出賞を受賞した。さらに第18回[[東京アニメ批評協会賞]]で特別賞を受け、長谷川玄太は「豚と戦うとき、最初に壊れるのは音である」と受賞スピーチを行った。
ただし、同賞の記録には本作の上映時間が117分とある一方、公式パンフレットでは118分とされており、現在も細部は一致していない。
売上記録[編集]
興行収入は最終的に31億8000万円に達し、同年公開の深夜アニメ映画作品を抜いて年間4位となった。関連グッズは累計46万3000点を販売し、特に「豚耳型耳栓」は発売2日で完売した。
なお、渋谷の一部劇場では、朝7時台の回だけ来場者の咀嚼音が上映前BGMとして採録されるというキャンペーンが行われたが、これは集計上の動員に含まれない。
テレビ放送[編集]
本作は[[2022年]]11月12日に[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]系列で地上波初放送され、平均視聴率9.8%を記録した。深夜帯にもかかわらず、終盤の豚軍逆進撃シーンで瞬間最高視聴率12.4%を叩き出したという。
放送版では、一部の流血表現が白い泡に差し替えられ、代わりに「胃腸にやさしいアニメ」という字幕が入った。これは編成局内の高齢層配慮メモをもとにした措置であるとされる。
関連商品[編集]
作品本編に関するもの[編集]
Blu-ray Discは特典映像を含む初回限定版が発売され、映像ソフト化にあたっては「DVD色調問題」と呼ばれる一件が話題になった。これは通常版のみ画面の緑被りが強く、豚の皮膚がほぼ抹茶色に見える現象である。
また、設定資料集『PIG FILE 2』には、未使用デザインとして「角を生やした豚城」や「豚用救急車」が収録された。
派生作品[編集]
スピンオフ小説『アベンジャーズvs豚 2 外伝 風を食う部隊』が[[2022年]]に刊行され、[[秋葉原]]の限定書店でのみ販売された。さらに、携帯ゲーム『Pigs Counterstrike』、舞台版『アベンジャーズvs豚 2 THE LIVE』も制作されている。
2023年には豚軍側を主人公にした短編オーディオドラマが配信され、ファンの間では「豚視点のほうが論理的である」との感想が多かった。
脚注[編集]
注釈
[1] 興行収入の数値は配給会社発表による。 [2] 日本怪映画賞の受賞記録は一部の年度で表記揺れがある。 [3] 豚の電波網に関する分析は、後年のファン考察に依拠する部分が大きい。 [4] 作画枚数の内訳は制作メモによる。 [5] 折原誠『都市計画映画としての怪獣表象』の記述を参照。
出典
1. 長谷川玄太『アベンジャーズvs豚 2 公式パンフレット』東亜連環映像出版部, 2021年. 2. 霧島真琴『脂質圏の映画学』港湾文化新書, 2022年. 3. 三枝ユリ「豚型自律兵器の脚本構造」『日本怪映画研究』第14巻第2号, 2022年, pp. 41-67. 4. G. Hasegawa, “Pigs, Sound, and Urban Siege,” Journal of Applied Fictional Cinematics, Vol. 9, No. 3, 2023, pp. 112-139. 5. 坂井玲子『コンテナ埠頭の美術設計』東海美術社, 2021年. 6. 折原誠『都市計画映画としての怪獣表象』月曜評論社, 2022年. 7. “The Pork War and the Problem of Sequels,” Screen Cultures Review, Vol. 21, No. 1, 2023, pp. 8-19. 8. 近藤一葉「第七畜産特区のCG表現」『アニメーション技法年報』第8巻第4号, 2022年, pp. 90-118. 9. 東亜連環映像『アベンジャーズvs豚 2 製作報告書』社内資料, 2021年. 10. 松浦圭介『怪映画の受賞と視聴率』白鷺書房, 2024年.
関連項目[編集]
アベンジャーズvs豚
日本怪映画賞
脂質圏
第七畜産特区
豚型自律兵器
東亜連環映像
長谷川玄太
DVD色調問題
豚耳型耳栓
PIG FILE 2
外部リンク[編集]
東亜連環映像 作品紹介ページ
日本怪映画賞 公式アーカイブ
アベンジャーズvs豚 2 公式設定資料室
第七畜産特区観光局
脂質圏映画研究会
脚注
- ^ 長谷川玄太『アベンジャーズvs豚 2 公式パンフレット』東亜連環映像出版部, 2021年.
- ^ 霧島真琴『脂質圏の映画学』港湾文化新書, 2022年.
- ^ 三枝ユリ「豚型自律兵器の脚本構造」『日本怪映画研究』第14巻第2号, 2022年, pp. 41-67.
- ^ G. Hasegawa, “Pigs, Sound, and Urban Siege,” Journal of Applied Fictional Cinematics, Vol. 9, No. 3, 2023, pp. 112-139.
- ^ 坂井玲子『コンテナ埠頭の美術設計』東海美術社, 2021年.
- ^ 折原誠『都市計画映画としての怪獣表象』月曜評論社, 2022年.
- ^ “The Pork War and the Problem of Sequels,” Screen Cultures Review, Vol. 21, No. 1, 2023, pp. 8-19.
- ^ 近藤一葉「第七畜産特区のCG表現」『アニメーション技法年報』第8巻第4号, 2022年, pp. 90-118.
- ^ 東亜連環映像『アベンジャーズvs豚 2 製作報告書』社内資料, 2021年.
- ^ 松浦圭介『怪映画の受賞と視聴率』白鷺書房, 2024年.
外部リンク
- 東亜連環映像 作品紹介ページ
- 日本怪映画賞 公式アーカイブ
- アベンジャーズvs豚 2 公式設定資料室
- 第七畜産特区観光局
- 脂質圏映画研究会