エッチだ(怒り)Wars
| タイトル | エッチだ(怒り)Wars |
|---|---|
| 画像 | (架空)怒りメーターが半透明に光るボックスアート |
| 画像サイズ | 220×220px |
| キャプション | 怒りメーターと“誓いのタコ糸”が描かれたパッケージ |
| ジャンル | ロールプレイングゲーム(戦闘特化型) |
| 対応機種 | ポケットアーケードQ / 携帯専用エミュ層「Q-Live」 |
| 開発元 | 湾岸ソフトウェア研究所 |
| 発売元 | 株式会社港町エンタープライズ |
| プロデューサー | 渡辺精一郎 |
| 音楽 | 『怒りのリズム学』プロジェクト(架空) |
『エッチだ(怒り)Wars』(よみ、英: Hetchi-da (Anger) Wars、略称: EAW)は、[[2014年]][[7月12日]]に[[日本]]の[[湾岸ソフトウェア研究所]]から発売された[[架空の携帯型据置ハード「ポケットアーケードQ」]]用[[コンピュータRPG]]。[[EAWシリーズ]]の第1作目である[1]。
概要[編集]
『エッチだ(怒り)Wars』は、怒り(Anger)を戦闘ステータスとして直接換算することを特徴とする[[コンピュータRPG]]である[1]。プレイヤーは主人公・[[マスオ]]として操作し、街道の路地裏から衛星軌道要塞に至るまで、敵と会話しつつ戦闘を進める構造になっている。
本作の象徴として、通常雑魚の敵キャラクターは全て「少女」としてデザインされる一方、クライマックスの[[ボス]]枠は全て男性として扱われるとされる[2]。発売前後に“意味深”な噂が相次ぎ、攻略が熱狂的に回ったことで、発売から2か月で[[日本ゲーム大賞]]の審査会が臨時に追加開催されるほどの注目を集めた。
また、怒りゲージが満ちるほど防御が落ちるという、一見矛盾したルールも同時に導入された。公式発表では「怒りとは攻めの錯覚である」と説明され、結果として“怒るほど守れないが、やり込めば勝てる”というプレイ体験が広まった[3]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
ゲームシステムの中心は、戦闘中に蓄積される[[怒りゲージ]]を、通常攻撃の命中率とクリティカル倍率に換算する点にある[4]。一方で怒りが一定閾値を超えると、回避率が減少し、被弾時のリアクションが長くなる仕様が採用された。
プレイヤーはターン制に近いテンポを持つものの、実際には「怒りの発火判定」と呼ばれる乱数が毎手で更新されるため、単純な作業では安定しにくい[5]。このため、攻略コミュニティでは「怒り=火花、被弾=酸素」と表現され、[[港区]]の同人イベント「怒火学会」に参加した開発者が一度だけ語った逸話が、後に攻略本の見出しになったという[6]。
アイテム面では、勝利報酬として入手できる[[“誓いのタコ糸”]]が特徴である。タコ糸は通常、ダメージ軽減に用いられるが、本作では「怒りを吐き出す」用途としても働き、怒りゲージを“反芻”させて逆に翌ターンの最大値を押し上げるという変則的効果があるとされた[7]。
対戦モードとしては、協力プレイと疑似対戦が用意されている。協力では二人の怒りゲージが同期して増減するため、片方が怒りすぎるともう片方が巻き添えになる仕様が“地獄の縦スクロール”として話題になった[8]。また、オンライン対応としては、当時流行していた「録画ログ同期」方式が採用されたが、接続の遅延により“怒りだけが先に伝わる”というバグ報告が多数寄せられた[9]。
ストーリー[編集]
物語は、東京湾沿いに設置された通信拠点[[ベイリンク第3ゲート]]が突如“怒りの通信”を受信するところから始まる[10]。主人公[[マスオ]]は、そこで発見された古い端末に「EAW起動キー」が保存されていると聞き、怒りの増幅装置を起動する。
しかし端末は最初に、街道を歩く少女たちの小隊を“敵”として投影する。そのため序盤のプレイヤーは、少女相手にすら勝てないように調整されているとされる[11]。この挙動は開発会議の議事録を模した資料(とされる)では「負けることが学習である」と記されていた。
中盤では、主人公が怒りを自制できた回数に応じて、同じ相手でも戦闘結果の表示が変わる。「怒りを怒りとして扱えないとき、敵は物理から逃げる」といった象徴的な演出が採用されたとされる[12]。終盤のボスは全て男性で、彼らは“怒りの権利書”を巡って主人公に交渉を迫る。交渉を強行すると怒りが増え、勝利条件も変わるため、プレイヤーは戦闘だけでなく会話選択の最適化が求められた[13]。
なお、最後のステージでは、怒りが満ち切った状態でのみ開ける「逆光の扉」が登場し、そこを通過するとスタッフロールの最後に『また怒れ』という字幕が表示されると報じられた。もっとも、これは一部プレイヤーの改造端末でのみ見られたという指摘もある[14]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公の[[マスオ]]は、姓よりも“怒りの扱い方”が強調される人物として描写される[15]。彼は当初、攻撃力は平均値を下回る一方、怒りに反応して瞬間的に火力が跳ね上がる“暴走型成長”を持つとされる。
仲間には、学園制服を着た少女である[[サチコ]]、港湾整備員の[[トモヤ]]、そして謎の通訳AI[[タコ糸ちゃん]]が登場する[16]。サチコは序盤から敵側に見えるが、一定条件を満たすと協力枠に移行する。また、トモヤはボス戦でのみ姿を見せる男性枠として扱われるため、本作の“敵の性別規則”を揺さぶる要素になったとされる。
敵の少女小隊は、通称で「[[路地裏三姉妹]]」「[[信号機クラブ]]」「[[雨傘カウンター隊]]」などと呼ばれる[17]。各隊は性格よりも戦術が個別化されており、“怒りを踏むと飛び道具が増える”などの癖が知られていた。
ボスは全て男性として設定される。代表例として、[[光速怒鳴官]]の[[王子マサル]]、[[反射衛星]]を司る[[ドン・コースト]]、そして最終ボスの[[怒りの権利書保管官]]である[[ハシバミ]]が知られている[18]。なお、最終ボスのみ視覚上は性別不詳だが、公式大会の勝敗表では男性として記録されていたという[19]。
用語・世界観/設定[編集]
世界観は「怒りがエネルギーになる」とする技術神話として構築されている。技術用語としては[[怒り合成式]]、[[反復ダメージ]]、[[逆光スロット]]などが登場する[20]。とくに怒り合成式は、プレイヤーの入力(攻撃/防御)を「怒りの温度」として再計算し、次ターンの上限を左右する概念とされる。
本作は、少女敵と男性ボスの分類が“物語上の制度”として説明される点が特徴である。ゲーム内では、敵少女は「仮想身体」、ボス男性は「管理人格」と呼ばれているとされる[21]。ただし、管理人格であるはずのボスが会話中にだけ異常に礼儀正しいことから、プレイヤーの間では「礼儀=怒りの圧縮」という俗説も流行した。
また、誓いのタコ糸に関連して[[反芻効果]]という用語が定着した。反芻効果は、怒りを消費した後に“未消費分が戻る”挙動として語られることが多い[22]。さらに、タコ糸の入手率は「総プレイ時間119.4時間で上がる」と噂されたが、当時の検証サイトでは条件が揺れており、要注意とされた。
このほか、ステージ名として[[海鳴り回廊]]、[[ベイリンク第3ゲート]]、[[サンセット倉庫11号]]などが知られる[23]。倉庫11号に限り、プレイヤーの怒りゲージが100%に達していない場合でも、勝利後に“謝るBGM”が鳴る仕様があったと報告されている。
開発/制作[編集]
開発は[[湾岸ソフトウェア研究所]]が主導したとされ、プロデューサーは渡辺精一郎、ディレクターは[[小林レン]]であった[24]。制作経緯としては、もともと研究所が“怒りの心理計測”をテーマにした業務用シミュレーターを試作しており、そのUIを娯楽用に転用したという経路が公式説明として語られた。
もっとも、初期試作は攻撃と防御が同時に上昇する仕様だったため、バランスが破綻し、社内テストでプレイヤーが全員同じボス(仮)を倒してしまう問題が起きたとされる[25]。そこで方針転換が行われ、雑魚少女に負ける状態をあえて残し、成長の学習曲線を立て直したと報じられた。
スタッフの中には、音楽担当として“怒りを刻む”ことに執着した[[山根ユリオ]]が参加した。彼は「BPMは怒りの心拍である」として、楽曲テンポを段階的に揺らす実装を提案し、結果として戦闘中のBGMがプレイヤーの呼吸に追従するように作られたと説明される[26]。
発売日直前には、[[港町エンタープライズ]]が宣伝用に「怒りがMAXのときだけ見える告白台詞」を仕込んだとされる。ただし、その台詞は後に地域別の審査で修正され、初期ロットだけが短いバージョンを含んでいたという指摘がある[27]。
音楽(サウンドトラック)[編集]
サウンドトラックは『怒りのリズム学』としてまとめられ、全28曲で構成されたとされる[28]。収録曲には、戦闘開始直後にだけ鳴る「予告フレーズ」があり、プレイヤーが“今から怒るべきか”を判断する指標になったという。
また、ボス戦用の楽曲は全て男性名義の歌唱で統一されていたとされる。これは“敵少女の可視性”と対比させる意図だったと説明された[29]。一方で、エンディング曲「海鳴りは許可制」だけは女性ボーカルで、サチコの没入演出と同期しているとされる。
余談として、BGMの一部には[[8ビット]]時代のアナログ誤差を再現する効果が含まれていると噂され、オーディオ測定サイトでは「誤差が±0.07秒で周期的に現れる」と報告された[30]。この数字は再現性が薄いとして異論もあり、音響エンジニアの[[遠藤キョウ]]が「耳が勝手に補正しただけ」と述べたとされる。
評価(売上)[編集]
発売から1週間で初週出荷が約43万本に達し、初月に[[全世界累計]]で110万本を突破したとされる[31]。その後も年末までに累計で170万本を記録し、国内だけで「ミリオンセラーを記録」と報じられた。
ただし、評価は賛否が分かれた。ファミ通系のクロスレビューではゴールド殿堂入りになった一方、プレイヤーの一部からは「怒りメーターが高すぎると操作が“倫理的に”不自由になる」という批判が出た[32]。また、怒りゲージの挙動が端末の世代差で変化するとの報告もあり、同じステータスでも勝てないケースがあったとされる。
売上面では好調だったが、二次流通で“怒りログカード”の偽物が出回り、店舗が一時的に回収キャンペーンを行ったと伝えられている[33]。なお、その回収の理由は「仕様ではなく、初期宣伝資料の誤読」が原因だったという説もある。
関連作品[編集]
本作は[[EAWシリーズ]]として展開され、後続作では怒りの種類(嫉妬怒り/屈辱怒り/敬意怒り)などの亜種が導入されたとされる[34]。関連作品には、世界設定を補完する[[ゲームブック]]『怒りの権利書(外伝)』や、テレビアニメ化を模した短編配信『路地裏三姉妹:謝る回』がある。
また、ファン制作として“男性ボスだけを倒す縛り”を題材にした映像作品が流行し、サチコの台詞だけが切り抜かれて拡散されたという。これにより本作は、原作ゲーム外での文脈理解が先行した稀な例として言及された[35]。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本としては『エッチだ(怒り)Wars 公式怒火ガイド(上巻)』『同 公式怒火ガイド(下巻)』が刊行された[36]。上巻では、序盤で少女小隊に負けるための最適ルート(“負け前提最適化”)が具体的に解説されたとされる。
書籍には『怒り合成式の現場—誓いのタコ糸を解く119の手順』があり、手順数が妙に多いことから一部でネタ扱いされた[37]。ただし、実際には手順1〜17が“負ける練習”、18〜54が“怒りの温度計測”、55〜119が“ボス交渉の言い回し最適化”という構成になっていたとされる。
その他、サウンドトラックの連動本『海鳴りは許可制:BPM追従解析ブック(第2版)』や、端末設定集『Q-Live互換チューニング』も販売された[38]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精一郎「『エッチだ(怒り)Wars』と怒り合成式—仕様書の裏側」『港町ゲームレビュー』Vol.12 No.3 pp.41-58, 2014.
- ^ 小林レン「少女雑魚・男性ボスという設計意図」『インタラクティブ物語研究』第7巻第1号 pp.12-29, 2015.
- ^ 山根ユリオ「BPM追従が戦闘学習を加速する—楽曲実装の観点から」『サウンド制作技術紀要』Vol.4 No.2 pp.77-96, 2016.
- ^ 遠藤キョウ「怒りログ同期の失敗例と対策」『ネットワーク入力研究』第9巻第4号 pp.201-219, 2015.
- ^ 荒井ミドリ「負けることを設計するRPGバランス」『ゲームデザイン学会誌』pp.3-18, 2017.
- ^ Margaret A. Thornton「The Anger-State Mechanic in Micro-Console RPGs」『Journal of Play Systems』Vol.18 No.1 pp.1-24, 2018.
- ^ Ivan Petrov「Negotiation as Damage Control in Turn-Like Combat」『Proceedings of Synthetic Story Games』pp.55-71, 2019.
- ^ 『ファミ通クロスレビュー』編集部「エッチだ(怒り)Wars」『ファミ通クロスレビュー』2014年11月増刊号 pp.6-9, 2014.
- ^ 港町エンタープライズ 広報部「怒りが先に伝わる—回線と演出の相関」『湾岸月報』第33号 pp.88-102, 2014.
- ^ 遠藤キョウ『Q-Live互換チューニング大全(第2版)』港湾プレス, 2016.
外部リンク
- 湾岸ソフトウェア研究所 公式アーカイブ
- 港町エンタープライズ 開発日誌(閲覧限定)
- 怒火学会(アーカイブ)
- EAWシリーズ資料室
- Q-Live互換チューニングWiki(非公式)