ガチャは悪い文明
| タイトル | ガチャは悪い文明 |
|---|---|
| 画像 | GachaIsABadCivilization_boxart.png |
| 画像サイズ | 280px |
| caption | パッケージアート |
| ジャンル | アクションシューティングゲーム |
| 対応機種 | ネビュラス・リンク、星環ポケット、ルミナメディア・ミニ |
| 開発元 | 彩星デジタル工房 |
| 発売元 | 星環インタラクティブ |
| プロデューサー | 真鍋 了介 |
| ディレクター | 北条 透 |
| デザイナー | 有馬 千景 |
| プログラマー | S. Watanabe, 黒木 剛 |
| 音楽 | 久遠 まどか |
| シリーズ | 《悪い文明》シリーズ |
| 発売日 | 2009年11月18日 |
| 対象年齢 | CERO B |
| 売上本数 | 全世界累計187万本 |
| その他 | オンライン対応、対戦モード、協力プレイ |
『』(がちゃはわるいぶんめい、英: Gacha Is a Bad Civilization、略称: GWB)は、にのから発売された用。後年の系作品の第1作目として扱われることが多い[1]。
概要[編集]
『』は、が開発したであり、プレイヤーが「収集に依存した都市」を解体していくという独特の構造を持つ作品である。キャッチコピーは「引くな、壊せ」で、のちに世代を代表する“反収集系”タイトルとして語られるようになった[2]。
本作は、当初は課金制の試作として企画されたが、途中で「文明そのものを敵にする」という設定へ改変され、結果として的な成長要素と的なボス戦が混在する怪作となった。一部資料では、これが「ガチャ」という語の一般的な否定表現をゲーム化した最初期の例とされているが、編集者の間では、実際には開発室の自動販売機が故障し続けたことが発想源だったのではないかという説も根強い[3]。
ゲーム内容[編集]
システム[編集]
ゲームシステムの特徴として、プレイヤーは“抽出装置”を破壊しながらマップを進行する。各エリアには「文明槽」と呼ばれる巨大な収集塔が配置されており、これを停止させると報酬が解放される仕組みである。なお、報酬の中には「当たりを引いたのにストーリーが進まない」ものが12種類存在し、当時のレビューでは賛否が分かれた。
戦闘はに近い操作感で、敵の攻撃を回避しつつ、画面内の“回転レーン”を撃ち抜く形式である。特に「連鎖否定射撃」と呼ばれる必殺技は、一定時間内に同じ色のエネルギーを6回否定すると発動し、敵を一括で無効化できた。この仕様は、後に『無課金の騎士団』などの派生作に継承されたとされる[4]。
アイテム[編集]
アイテムは大きく「破壊系」「保全系」「返金系」に分けられる。中でも「返金系アイテム」は、使用すると一時的に演出だけ派手になり、実際の性能が微増するという珍しい仕様で知られている。開発陣はこれを「心理的補償機構」と呼んでいたが、プレイヤーの間では「謝罪のかけら」と通称された。
また、隠しアイテムとして「ログ消しの鈴」が存在し、取得すると過去30分間の抽選結果がなかったことにされる。攻略本『』には、これを3個集めると店頭キャンペーンの抽選券が無効化されると書かれていたが、実際にそのような機能があったかどうかは不明である[5]。
対戦モード[編集]
対戦モードでは、2人のプレイヤーが同一マップ上で“文明槽”の耐久値を削り合う。相手が先に抽出装置を停止させると、画面中央に「文明の勝利」と表示されるが、勝者側にも追加でランダムな副作用が発生するため、単純な優位にはならない。オンライン対応版では、この副作用が通信遅延と重なり、1試合平均で4分17秒の“沈黙時間”が生じたという報告がある。
なお、協力プレイでは2人が役割を分担し、片方が否定射撃、もう片方が文明槽の保守担当となる。とくに港湾都市ステージ「」では、1人が橋脚を壊している間にもう1人が返金装置を回収することで、理論上は無限に資金が増えるとされていたが、発売後3日で修正された[6]。
オフラインモード[編集]
オフラインモードには「黙殺編」と呼ばれる章があり、会話をすべてスキップしてもクリア可能である。これは、当時の家庭用としては珍しく、テキストを読まないプレイヤーへの配慮として設計されたとされるが、実際には容量削減の都合だったという内部証言も残る。
ストーリー[編集]
物語の舞台は、の架空都市である。都市では“幸福の抽選”が日常化し、市民は毎朝、番号札を引かなければ職業も住居も決まらないという制度のもとで暮らしていた。
主人公のは、抽選の結果が一度も反映されない「無効市民」として描かれ、やがて抽選塔を破壊する反文明組織《》に合流する。終盤では、都市の中枢に眠る「第0ガチャ炉」が起動し、これが暴走したことで都市全体が“課金の泡”に包まれるという結末を迎える。
ただし、真エンディングでは、主人公が全ての装置を止めたあと、なぜか抽選塔の代わりにが出現し、以後の都市経済が冷凍餃子で支えられるようになる。この急展開は発売当時から議論を呼び、脚本担当のは「文明の終わりは必ず在庫管理に行き着く」と説明したと伝えられる。
登場キャラクター[編集]
主人公[編集]
は、本作の主人公であり、右腕に抽選制御端末を埋め込まれた青年である。プレイヤーは彼を操作するが、ゲーム中盤以降は選択肢の半分が「それでも引く」を選ばせる設計になっており、人格形成に難があると評された。
仲間[編集]
仲間キャラクターには、元会計監査官の、修復工学者の、そして謎のマスコット「」がいる。ハズレ丸は戦闘には参加しないが、確率計算だけは異様に正確で、攻略サイトでは「実質的なディレクター」と呼ばれた。
敵[編集]
敵勢力は《》と総称され、局長のが各地の文明槽を管理している。彼らは一見すると行政組織だが、実際には“期待値”の増幅を目的とする秘密結社であり、最終局面では市民登録そのものを抽選化しようとする。
用語・世界観[編集]
作中では、「文明」とは単なる社会制度ではなく、抽選を継続させるためのエネルギー形態として定義されている。とくに「悪い文明」は、再利用不可能な期待値が都市に堆積した状態を指し、これを放置すると街区全体がガチャ筐体のように増殖する。
また、「無課金」は倫理概念ではなく、端末の電池が切れている状態を意味する用語として使われる。設定資料集『』によれば、この世界ではの某研究所が異次元転送に失敗した結果、抽選文化だけが独立進化したとされるが、図版の一部がの観光案内と酷似していたため、当時から真偽が疑われていた[7]。
開発[編集]
制作経緯[編集]
制作は春、の第3企画室で始まった。もともとは自動販売機の在庫を管理する教育用ソフトであったが、試作段階で「補充が当たるかどうか」をめぐる議論が過熱し、最終的に抽選を破壊するゲームへ転用されたという。
真鍋 了介プロデューサーは、のちに「課金を倒すのではなく、課金の発生源を地形として扱うべきだった」と述べたとされる。なお、開発室には実際のガチャ筐体が7台置かれており、夜間になると1台だけ勝手に動作音を立てたという逸話が残る[8]。
スタッフ[編集]
ディレクターのは、当時まだで、短期間で仕様をまとめる能力に長けていた。デザイナーのは、文明槽の円筒形デザインを「行政書類の束に似せた」と説明しており、敵グラフィックの多くが書類の山に見えるのはその影響である。
音楽のは、和太鼓と電子ノイズを重ねた“謝罪系サウンド”を得意とし、サウンドトラックは発売から半年で3回増刷された。スタッフロールには、なぜか「協力:近隣の文具店」と記されていたが、編集部ではこれが何を意味するのか長らく不明であった。
音楽[編集]
本作の音楽は、重低音のパーカッションと不穏な鐘の音を中心に構成されている。代表曲「」は、通常戦闘曲でありながらサビが一切高揚しないことで有名で、発売当時の試遊会では「元気がなくなるBGM」と評された。
サウンドトラック『』は、にから発売され、全18曲に加えて“無音トラック”が2分34秒収録された。久遠 まどかはインタビューで、「静寂こそが最大の否定表現である」と語ったとされるが、この発言は雑誌によって微妙に異なって伝えられている。
他機種版・移植版[編集]
には版が発売され、タッチ操作に最適化された結果、文明槽を指でなぞるだけで破壊できるようになった。これにより一部のプレイヤーは1日でエンディングに到達したが、開発側は「最適化の成果」として歓迎した。
の版では、通信要素が削除され、代わりにローカル通信風の擬似モードが追加された。さらにには向けの復刻版が配信され、バーチャルコンソール対応作品として扱われたが、タイトル画面の注意書きが8行に増えていたため、初見で離脱した利用者も多かったという[9]。
評価[編集]
発売初週の売上はで、シリーズ内では控えめな出だしだったが、配信実況との相性の良さから口コミが拡散し、最終的には全世界累計を突破した。とくに「引くな、壊せ」という単純な構図が、の消費疲れと共鳴したと分析されている。
一方で、レビューでは「思想は鋭いがUIが厳しい」「ゲームとしての快適さが文明批判に巻き込まれている」などの意見が見られた。なお、本作はの審査会で特別賞を受賞したとされるが、授賞式の記録に作品名が一度しか出てこないため、何らかの読み違いだった可能性も指摘されている[10]。
関連作品[編集]
続編に『』、外伝に『』がある。前者はに発売され、対戦モードを中心に据えたことで競技性を高めたが、後者はほぼ釣りゲームのような仕様で、シリーズファンの間でも解釈が分かれた。
また、メディアミックスとして『』がに放送され、全12話で主人公が一度も当たりを引かないまま終わるという潔い構成が話題となった。さらに、、も行われ、いずれも「収集の誘惑」を異なる角度から描いている。
関連商品[編集]
攻略本『』はより刊行され、ページ数はに及んだ。巻末には「抽選に勝てない場合の心構え」が掲載されており、ゲーム攻略書というより生活指南書に近い内容であった。
そのほか、設定資料集『』、小説版『』、そして通販限定の「ハズレ丸 しゃべるぬいぐるみ」が発売された。ぬいぐるみは電池を入れると「引くのはやめよう」と3種類の声で告げる仕様だったが、初回出荷分の約6割が音声逆再生になっていたとされる。
脚注[編集]
1. 初期資料では略称が「GBC」と表記されている版もある。 2. 発売前の体験版ではタイトルが『文明は悪い』に短縮されていた。 3. この説は開発日誌に基づくが、当該日誌の大半がコーヒー染みで読めない。 4. ただし後年の移植版では性能が下方修正された。 5. 実際の挙動については検証報告が残っていない。 6. パッチノートでは「資金増殖の意図はない」とのみ記されている。 7. 研究所名は伏せ字になっている資料も存在する。 8. 夜間の動作音は録音されたが、空調と区別がつかなかったともいう。 9. 公式サイトのFAQでは「仕様」であるとされた。 10. 受賞リストの写しには作品名の代わりに抽選番号が印字されていた。
関連項目[編集]
参考文献[編集]
・真鍋 了介『ゲームにおける否定表現の設計』星環出版、2011年。
・北条 透『抽選都市の崩し方』彩星文庫、2010年。
・久遠 まどか『音楽としての謝罪と反復』星環レコード研究叢書、2012年。
・A. Thornton, "Negative Reward Loops in Early Civilizational Shooters," Journal of Nebulous Studies, Vol. 7, No. 2, pp. 44-61, 2014.
・有馬 千景『書類の山は敵である』ルミナ社、2009年。
・S. Watanabe, "On the Miraculous Failure of Randomized Commerce Systems," Digital Play Quarterly, Vol. 11, No. 4, pp. 103-119, 2015.
・『Gacha Is a Bad Civilization Original Soundtrack』星環レコード、2010年。
・『ガチャは悪い文明 完全否定バイブル』星環書房、2011年。
・M. R. Haldane, "The Rise of Anti-Loot Ludology in East Asian Arcade Culture," Game History Review, Vol. 3, No. 1, pp. 12-29, 2016.
・『リソース・アーク年代記』彩星資料室、2009年。
外部リンク[編集]
星環インタラクティブ 公式サイト
彩星デジタル工房 作品案内
悪い文明研究会アーカイブ
ネビュラス・リンク博物館
抽選都市保存協会
脚注
- ^ 真鍋 了介『ゲームにおける否定表現の設計』星環出版、2011年。
- ^ 北条 透『抽選都市の崩し方』彩星文庫、2010年。
- ^ 久遠 まどか『音楽としての謝罪と反復』星環レコード研究叢書、2012年。
- ^ A. Thornton, "Negative Reward Loops in Early Civilizational Shooters," Journal of Nebulous Studies, Vol. 7, No. 2, pp. 44-61, 2014.
- ^ 有馬 千景『書類の山は敵である』ルミナ社、2009年。
- ^ S. Watanabe, "On the Miraculous Failure of Randomized Commerce Systems," Digital Play Quarterly, Vol. 11, No. 4, pp. 103-119, 2015.
- ^ 『Gacha Is a Bad Civilization Original Soundtrack』星環レコード、2010年。
- ^ 『ガチャは悪い文明 完全否定バイブル』星環書房、2011年。
- ^ M. R. Haldane, "The Rise of Anti-Loot Ludology in East Asian Arcade Culture," Game History Review, Vol. 3, No. 1, pp. 12-29, 2016.
- ^ 『リソース・アーク年代記』彩星資料室、2009年。
外部リンク
- 星環インタラクティブ 公式サイト
- 彩星デジタル工房 作品案内
- 悪い文明研究会アーカイブ
- ネビュラス・リンク博物館
- 抽選都市保存協会