粗品
| タイトル | 粗品 |
|---|---|
| 画像 | 粗品_ジャケット.png |
| 画像サイズ | 240px |
| caption | “未完成ギフト”をめぐる旅の図柄 |
| ジャンル | 儀礼型ロールプレイングゲーム(通称: ギフトRPG) |
| 対応機種 | ゲームボーイアドバンス風 / 家庭用携帯機「P・Breeze」 |
| 開発元 | 茶番工房 |
| 発売元 | 粗品流通株式会社(通称: 粗通) |
| プロデューサー | 渡辺精一郎 |
| ディレクター | ミナト・ハルカ |
| 音楽 | 霧島トロモンテ |
| シリーズ | 粗品シリーズ |
| 発売日 | 1999年11月12日 |
| 対象年齢 | C(13歳以上相当) |
| 売上本数 | 全世界累計 118万本 |
| その他 | 「未開封エンディング」収録。後年に“粗品パッチ”が配布されたとされる |
『粗品』(そひん、英: Sohin、略称: SOH)は、[[1999年]][[11月12日]]に[[日本]]の[[茶番工房]]から発売された[[ゲームボーイアドバンス風]]用[[コンピュータRPG]]。[[粗品]]の第1作目である。
概要[編集]
『粗品』は、[[1999年]]に発売された[[日本]]の[[茶番工房]]制作の[[コンピュータRPG]]である。通称は「ギフトRPG」とされ、プレイヤーは“差し出し側”として、儀礼と包装手順を戦略に組み込む。
本作の特徴は、通常の装備品に加えて「粗品札(そひんふだ)」と呼ばれる消費型カードが存在し、同じカードでも“渡す順番”で効果が変化する点にあった。なお、タイトルの[[粗品]]はゲーム内で、物品の価値ではなく「相手の受け取り心理を設計する技能」を指す概念として用いられている。
開発が進むにつれ、[[粗品]]という言葉を“軽い贈り物”と捉えるユーザーが多いことが想定され、逆に開発側は「軽く見えるほど、手順が重い」という設計思想を掲げたとされる。会議議事録の端に「粗品とは重量の幻影である」と書かれていたことが、後年の取材で語られた[1]。
ゲーム内容/ゲームシステム[編集]
システム[編集]
プレイヤーは“受け取りの流れ”を管理する役として、町の広場や駅前の待合所([[東京都]][[港区]]の架空地区「[[濃霧浜]]」を模したマップがあるとされる)を巡る。移動はターン制であるが、会話中に「包装ゲージ」が進み、一定以上に達すると“即時手渡し判定”が発生する。
ゲーム内通貨は「釣り札(つりふだ)」であり、通常の金銭とは別に、相手の表情が変化する“微細な釣り”に使われると説明された。また、粗品札は最大30枚まで保持できるが、同一札を同ターンに2枚以上用いると“過剰礼法”としてデメリット化される仕様が採用されたとされる。ファミ通の初期レビューでは、過剰礼法が「勝っているのに謝る状況を作る」仕掛けとして言及された[2]。
戦闘・儀礼[編集]
戦闘は「贈与戦」と呼ばれ、敵はモンスターではなく“受け取り手が凍結した人間型存在”として描写される。たとえば序盤のボス「[[折目番長]]」は、紙の折り目が1ミリでもずれると防御力が上がる。対策として、プレイヤーは定規ではなく“指輪型テンプレート”を使うアイテムを装備する必要があった。
攻撃は物理ダメージではなく「感情耐性」を削る仕組みで、ダメージ式は“包装の手数”と“読唇の一致率”から計算される。開発ノートでは一致率の算出に「52の口形サンプル」が使われたと記されているが、後に編集者が「52は偶然の数字に見える」とツッコミを入れた記録が残っている[3]。
アイテム・対戦/協力[編集]
アイテムには「未開封の包み」「紙の栞」「温度保持スリーブ」などが含まれる。特に温度保持スリーブは、冷蔵庫のない時代設定で成立させるために“湯気の霊力”で温度を偽装する設定が付いた。
対戦モードとしては、携帯機同士で“粗品札の手渡し順”を競う通信対戦が収録された。協力プレイは当時としては珍しく、共同で同じ相手に粗品を渡すと“連帯礼法”が発動する仕組みになっている。オンライン対応は発売から約2年後に追加パッチで実装されたとされ、初期ユーザーの一部は「実装日より先に噂が流れていた」と証言した[4]。
ストーリー[編集]
物語は、配達員でも英雄でもない“贈り手”が、町の制度である「粗品裁定(そひんさいてい)」に巻き込まれるところから始まる。粗品裁定では、相手が受け取った後の沈黙時間が記録され、沈黙が一定以上なら贈り手の評価が下がるとされている。
主人公は「開封の儀」を受けるはずだったが、儀式の最後に包みが“未完成”と判定される。そこで主人公は、[[濃霧浜]]にある廃倉庫を探索し、未完成包みを完成させるための“折り目の系譜”を集める旅に出る。
終盤では、敵対勢力「整列礼法同盟」が、贈与を秩序化しすぎた結果として、人々の沈黙が平均値に固定されてしまったことが示唆される。なお、この“平均値固定”は研究資料のように語られ、公式サイトのコラムで「平均は礼法の敵」と結論づけられたとされる[5]。
登場キャラクター/登場人物[編集]
主人公は名を持たず「贈り手A」と表記される。操作時には、相手の反応を読み取るための「目線タイミング」がゲージとして表示され、プレイヤーが最適化を迫られる。
仲間には、包装の職人である「[[縫い目のミドリ]]」がいる。彼女は戦闘では“縫い糸の糾弾”を放つが、実際には相手の受け取りをほどく役割に近いとされる。また、相棒のカバン型AI「[[薄紙ユニット]](型番: TP-0.3)」は、会話の間を0.3秒単位で提案するため、遅延の扱いでプレイヤーが悩む場面が多い。
敵役としては、序盤の[[折目番長]]、中盤の「[[沈黙取締官]]」、終盤の「[[整列礼法同盟]]執行官」などが登場する。特に沈黙取締官は、沈黙時間が“3分17秒”になると必ず現れる仕様があったとされ、配信者が攻略のために時計を重ね撮りしたことで話題になった[6]。
用語・世界観/設定[編集]
本作の世界観では、[[粗品]]は単なる物ではなく「受け取りの設計図」とされる。粗品札は紙片に見えるが、実装上は“確率の取り決め”として扱われ、成功率は包装材の繊維方向に依存すると説明される。
また、[[未完成包み]]は欠陥ではなく、相手が自分用に完成させる余白として扱われる。粗品裁定の基準値は「沈黙の中央値」とされ、これはゲーム内では“中央礼法”として神話化されている。
なお、開発資料の一部では「粗品とは、価値を下げる行為ではなく、誤差を増やして相手に選ばせる行為」と記述されたとされる[7]。ただし、用語解説に矛盾が見つかったとの指摘もあり、特定のパッケージでは“中央礼法”の項目が別の文章で差し替えられていたという。
開発/制作[編集]
制作経緯[編集]
茶番工房では、当初「誰かに渡すだけのミニゲーム」を作る計画であったとされる。ところが、社内での試作が“礼法の研究”に転じ、礼法そのものをゲーム化する方針が固まった。
プロトタイプでは、包装作業にかかる時間を実測してゲーム内のダメージに直結させる案が存在したとされる。しかし、開発者の一人が「測るほど嘘が混じる」と主張し、最終的に“見た目の折り目”と“会話テンポ”に基づくシステムへ整理された経緯がある[8]。
スタッフ[編集]
ディレクターの[[ミナト・ハルカ]]は、ゲームデザイン会議で「粗品は重い。プレイヤーは軽く投げるふりをして重さを隠せ」と述べたと伝えられる。プロデューサーの[[渡辺精一郎]]は、サブタイトル案として「未完成ギフトの哲学」を提案したが、最終的に『粗品』へ短縮された。
プログラマー陣は“口形一致率”のテーブル構築に時間をかけたとされる。なお、テーブル作成のために集められた音声サンプル数が「厳密には51.7」と書かれたメモが見つかり、後日の雑談で「小数点は礼法のため」と語られた[9]。
音楽(サウンドトラック)[編集]
音楽は、霧島トロモンテが担当した。サウンドトラックは“折り目”を表現するために、和紙をこするようなノイズを音階に変換する手法が用いられたとされる。
曲名には、ゲームの進行に紐づく「未開封の晩餐」「折目番長行進曲」「中央値の歌」などがあり、特定イベントではテンポが沈黙の長さに同期した。ファンの間では「曲が伸びる時は、礼法が失敗している」と言い伝えられている[10]。
評価(売上)[編集]
発売週の初動は好調で、[[1999年]]年末までに約64万本を記録したとされる。全世界累計では118万本を突破したと公式発表され、日本ゲーム大賞相当の社内審査で最優秀“ギフト設計”部門を獲得したとされる。
一方で批評家からは、「礼法の理解が上手いほど勝つ設計は、プレイヤーを“社会性の試験”に巻き込む」という指摘があった。ただし、同時期に流行した“マナー学習型ゲームブーム”の文脈で擁護され、結果としてミリオンセラーとなった。
なお、評価点の合計が公式サイトで修正された履歴があるとされ、ある編集者は「粗品は軽く見えるが、成績表は重い」とコメントした[11]。
関連作品[編集]
本作には多数の派生メディアが存在するとされる。テレビアニメ『[[未完成包み物語]]』は、主人公Aの“沈黙の旅”を児童向けに再編集した作品として知られる。
また、短編漫画『粗品裁定 こっそり添削編』では、沈黙の中央値を“答案”として扱うギャグ表現が話題になった。ノベライズ『中央礼法の夜』は、ゲームの設定を現実の冠婚葬祭に接続しようと試みたとされ、読者の間で賛否が割れた[12]。
関連商品(攻略本/書籍/その他の書籍)[編集]
攻略本として『[[粗品]]公式ギフトレシピ完全版』(編集: [[粗通]]編集部)が発売された。内容は、粗品札の並び替え表、折り目テンプレートの寸法一覧(例: [[紙]]の角を2.4mmだけずらす“英雄折り”など)で構成されている。
書籍『沈黙を読む—贈与戦の確率論』(著: 佐伯カナメ)は、ゲームの一致率概念を“社会統計”に見立てた解説書として売れたとされる。さらに、交換用カード集「粗品札コレクション 第1弾」も流通し、通信対戦の相手を“カード所有者”として特定する行為が社会問題化したとの指摘がある[13]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
脚注
- ^ 渡辺精一郎「粗品札における手渡し順序の実装論」『家庭用携帯機設計誌』第12巻第3号, 茶番社, 2000年, pp. 41-58.
- ^ ファミ通編集部「粗品—ギフトRPGは“重い軽さ”をどう作ったか」『ファミ通』1999年12月特別号, KAD社, 1999年, pp. 12-19.
- ^ ミナト・ハルカ「一致率52の口形サンプルと会話テンポ補正」『インタラクティブ会話研究』Vol.7 No.1, 日本対話技研, 2001年, pp. 77-93.
- ^ 霧島トロモンテ「折り目ノイズの音階化手法」『サウンド・プロセシング年報』第4巻第2号, 音響工房, 2002年, pp. 105-120.
- ^ 整列礼法同盟監修「沈黙の中央値—ゲーム内制度としての位置づけ」『礼法統治学評論』第9巻第1号, 共和国法務出版, 2003年, pp. 1-22.
- ^ 佐伯カナメ「沈黙を読む—贈与戦の確率論」新書館, 2004年, pp. 33-51.
- ^ 茶番工房編『粗品開発メモランダム—包装ゲージの倫理』茶番社, 1998年, pp. 210-233.
- ^ Akiyama, R. “Packaging Gauge Synchronization in Gift-RPGs.” 『Journal of Gesture-Based Systems』Vol.13 No.2, International Press, 2002年, pp. 201-218.
- ^ Thornton, Margaret A. “The Median Silence Hypothesis in Interactive Ritual Games.” 『Proceedings of the Friendly Interface Workshop』pp. 9-17, 2003年.
- ^ (タイトルが微妙に異なる)[[粗通]]編集部『粗品公式ギフトレシピ完全版:第0巻』粗通文庫, 2000年, pp. 5-9.
外部リンク
- 粗品公式記録室
- ギフトRPG資料館
- 折り目研究アーカイブ
- 中央値アルゴリズム協会
- 粗品札交換所(閉鎖済)